ターゲットの暗殺教室   作:クローバー

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再開

今頃学校では始業式が開かれているだろう。

俺はため息をつく。

俺はE組の校舎の屋根で寝転んでいた。

「まさか、こんな簡単に許可が出るとはな。」

俺は始業式をサボって裏山で寝転んでいた。

俺はこういうことは珍しくない

てか学校に来ることさえ珍しいのだ。

多分俺がE組行きって言われても誰もが納得するだろう。

「3-Eか。」

俺は笑う。

この学校には階級制度がありE組は差別されている。

階級制度のお陰で椚ヶ丘中学と椚ヶ丘高校はたった数年で全国有数の進学先になった。

たしかに一つのクラスを晒し者にすることによって他のクラスは優越感と危惧感を抱かせることによって他のクラスは有名な大学に進学している。

その代わりEクラスの大学進学率はかなり低いのだが。

「まぁ。俺にはぴったりのとこだよな柳沢に騙されてから借金地獄にあった俺には。」

俺は少しだけため息をつく。

俺はターゲットだ。

死神と同じ殺される側であり殺す側じゃない。

だから思考が他の中学生とは違う。

どこから狙われてるか。わからない。

警戒は寝てる時も怠ることはなく罠を仕掛け防御盾まで用意している。

それでも一度殺しにきた暗殺者がいた。

その時は気づいたからよかったものの唯一死を覚悟した。

……まぁ、そいつが今日から先生やるんだけど。

俺は苦笑してしまう。

変な付き合いだよな。

俺は校舎上から下を見ていると一人の女の子が歩いてきた。

これからクラスメイトになるやつは、始業式は始まったばかりで帰って来るはずもない

ってか中学生にしたら小さすぎるよな

身長は多分150センチくらい?いやもっと小さいか。

その少女が一人で歩いてる。

別にそのことが気になったわけじゃない。

首筋に根っこのような筋が見えたのだ。

旧式の触覚か。

俺はため息をつく。

少し黒くなっているからメンテナンスはしておらず多分盗んだものだろう。

あのアホが。何を簡単に奪われているんだよ。

俺は校舎から飛び降りる。

「おい。そこのお前。」

「えっ?」

俺がいるのがわからなかったのか驚いたようにこっちを見る。

緑色の髪にここの制服を着た女の子が俺の方を見る。

すると、その女の子は信じられないようなものを見たようになる。

「おい、どうした?」

「もしかしてこう?」

こう?

どこかで聞いたことがあったような。

「……あっ?あかりねぇ。」

「本当にこうなの?」

「だから羽川康太って言ってんだろ。ってか本当にあかりねぇさんかよ。久しぶりだな。」

雪村あかり。昔、雪村製薬を援助していた時知り合った女の子でよく遊んでいた女の子だった。歳は俺の一個上だったはずで昔、女優として活躍していた。

「嘘。おねぇちゃんがこうちゃんは死んだって。」

「……」

そうか。何も知らない人にはこう伝わっているのか。

「死んでねぇよ。ってか、俺社会的には死んだ扱いになってるのか。それ多分デマだわ。ってかそれ流したの100%柳沢だろ。」

「……」

「ってかあぐりさんのこと大丈夫か?俺はそっちのほうが。」

「うっ……ひぐっ、」

「……」

あかりねぇは力が抜けたように座り込む。

大丈夫なわけなかった。

あかりねぇはあぐりさんが大好きだった。

いつもべったりで俺と会うときは基本仕事かあぐりさんのことばかり話していた。

あぐりさんもそんなあかりねぇのことを溺愛しており本当に姉妹っていうより恋人同士みたいだった。

たぶん誰にも相談できなかったんだろう。

首元には触手があるんだから。

「……」

俺は少し迷ったが今は暗殺者どころか誰からの視線も感じられなかったので。

「……よく。頑張ったな。」

とあかりねぇの頭を撫でる。昔あかりねぇや俺が泣いたときあぐりさんがやってくれたように。

あかりねぇが泣き止むまで俺は頭を撫で続けた。

 

「落ち着いたか。」

「うん。ありがと。」

あかりねぇと俺は座り込む。

「とりあえず、久しぶり。五年?いや六年ぶりか。」

「うん。あの事件以来だからね。」

俺は頷く。

「ってか、一応俺って死んだことになってるの?俺数年間海外を転々としていたから全くこっちのことわからないんだよ。」

「世間では死んだことになってるよ。でも、本当にこうだよね?」

「まぁ、死んだと思ってたやつが生きてたらこんな反応か。証拠はまぁ昔の思い出でも話せばいいか。一応本物だよ。ちょっと国から追われてただけ。」

「……国から追われるってどんなことをしたの?」

「日本政府の研究室からの誘いを断っただけだよ。まぁちょっと小二の時の自由研究テーマがちょっとな。」

あのときはまだあんなことになるとは思ってもなかった。

「まぁそんなことはどうでもいいとして。」

「よくないよ。どれだけ心配したと思ってるの?」

「それについては悪いっていうか俺のせいじゃないんだけどなぁ。追われるわけになったのは全部柳沢のせいだし。」

私利私欲のために俺の研究を自分の成果にしやがったからな。あいつは

「まぁ。この話は後だ。それよりもあかりねぇ。今すぐその首の触手外せ。」

するとあかりねぇの顔色が一瞬黒に変わった。

「触手?こう何を言ってるの?」

一瞬だけ黒ってことは侵食はまだ進んでいないのか?

「さっき上から見たときに首の根っこのような物が見えたんだよ。まぁ、見間違いだと思っていたけど。どうやら見間違いじゃなさそうだな。あぐりさんのこともあるし。」

「……お姉ちゃんのことについて何か知ってるの。」

「あぁ。ちょっと色々あってな。まぁ説明すると。」

俺は昨日まであったことを説明する。黄色いタコのこと。そしてあぐりさんの情報も

「そっか。お姉ちゃんが死んだことはもう知ってたんだ。」

あかりねぇが苦しそうに言う。

「まぁな。本当なら断ってるところだけど……あの人の願いは正直叶えてあげたいんだよ。それに今回の件にその触覚が使われている以上見過ごすわけにはいかないんだ。たとえ罠でも」

このことが承認されたのは俺の暗殺も含まれているだろう。それに

多分柳沢はここに現れる。

俺はそう判断していた。

「それに多分本当のことだと思うんだよ。普通世界最強の殺し屋が先生をやるわけないだろ。」

「でもそれが嘘だったら。」

「嘘じゃない。あぐりさんが死んだことの証明がつく。それに……俺は死神がみせたあんな表情を嘘だとは思いたくない。」

俺は一度人間だったころの死神にあっている。その時の死神は優しく、知識もありそれでいて安心をみせるような素振りだった。

それは本当に完璧超人みたいに。

「なぁ。一度あのタコに真実を聞いてみないか?そっちの方があかりねぇが納得できると思う。俺が時間とるから。もし納得がいかなかったり、嘘をついているようだったら俺に言え。俺があかりねぇに仇は取らせるから。だからそれまではその触手とってくれないか?それ以上は危険だから。」

俺が言うとあかりねぇは俺を見る。そして首から触手を取り出す。黄色の触手になっているので俺でも安全にけせる

「でも、どうやってこの触手を。」

「ほら首出せ。」

あかりねぇは今殺気が抜けているので多分できる。

注射器を取り出しそれを触覚に刺す。

すると黄色い触手が光に変わり消えていった。

「えっ?なんで?」

「触手の強化液として作ったんだけど、これがなぜか触手を綺麗さっぱりなくしてしまうんだよ。人体的にも異常はないし副作用もないことは自分に使った時に確かめてる。」

怪我の功名ってやつだろう。条件はあるものの触覚を消し去ることができる。

「まぁ。多分いろいろ聞きたいことはあると思うけど。それは朝のHRの時に話すよ。どうせ言わないといけないことだからな。」

すると校舎側から騒ぎ声が聞こえる。多分もう始業式から帰って来る時間だろう。

「じゃあ。また後で、あかりねぇ。」

「とも…くん…」

俺はわざとあかりねぇを遠ざける。

これから起こることがわかっていたからだ


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