ターゲットの暗殺教室   作:クローバー

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幼馴染

梅雨

雨は多く降る季節

みんなが憂鬱そうに歩いてるが昔は雨は好きだった。

雨の時はあかりがよく遊びに来てくれた。

撮影が中止になるときてくれた。

そしていつも遊び、話してくれる。

それがとても嬉しかった

でもいつからか嫌いになってしまった

全てはあの日から始まったからだ。

 

「……こうちゃん。」

「ん?」

起きるとあかりが立っていた。

「あれ?ここは?」

「教室だよ。珍しいねこうちゃんが寝ちゃってるって。」

「……あぁ。寝てたのか。」

「うん。ずっと寝てたよ。殺せんせーが起こしても起きなかったくらいに。」

「そっか。」

俺は少し思い返す。そういえば最近あかりと二人きりの時間って全く取れてなかったよな

「……なぁ。今日一緒に帰らないか?ちょっと昔話がしたいんだけど。」

「…えっ?」

「二人きりの時間取れてなかっただろ。せっかくだし美味しいとこ教えてくれないか?」

「…いいの?」

多分外食することについてだろう。一度誘われた時も何度も断ってきた。

「うん。もう怖がってばかりもダメだしなんかデートしたかったんだよ。修学旅行の時もうやむやになったし。それに初デートはあかりといきたいんだ。」

全ては俺が言い出せなかったから。

だからあかりと二人きりになれなかった。

桃花とは律の開発の時ぐらいだからとってやりたいけど

あかりねぇと最初のデートは行きたかった。

「……うん。いいよ。」

「そういやみんなは?」

「もうみんな帰ったよ。今何時だと思ってるの?」

時間をみるともう四時を回っていた。

「そっか。桃花も有希子ももう帰った?」

「うん。二人とも友達と遊びに行くって。」

「そっか。ならあかり。」

「何?」

「キスしてもいい?」

するとあかりが顔を真っ赤にする。

「こ、こうちゃんな、なにを?」

「……なんかさ。雨の日だと少し寂しくなるんだ。なんか今でもあの日のことを思い出してしまって。」

土砂降りの中ずっと走り続けたあの日。ずっと前のことなのに嫌でも雨音を聞くと思い出してしまう。

「なんか。ずっと怖い。怖いんだよ。あかりと桃花と有希子と離れることになるような気がして。いつもは強く見せられてもやっぱりトラウマがずっと残ってる。……だから」

「こうちゃん。」

「なん」

声を出す前にあかりの顔が近づき口に柔らかいものが当たりすぐに離れる。

「……」

「……」

たった一瞬だったけど確かにキスしたよな。

「……こうちゃんが弱いとこみせるのって私にだけだよね。昔から。」

「……最近は死神とかにも見せてるけど。でもやっぱりあかりがいい。なんかすごく安心する。」

いつもはかっこつけ強い自分を見せているけどやっぱりこういう時は昔からずっとあかりがいる。

「なぁ、もう一回だけダメ?」

「……いいよ。」

すると今度は俺から近づき唇をくっつけ舌を入れる。

「っ!!」

どうしても離したくなかった。手放したくなかった。自分の全部を受け止めて欲しかった。

あかりは抵抗することもなくただずっと大人しくしている。

子供の頃とは違う

もう二度と手放したくない。

そして5分くらい経ってから息が続かなくなり一度離れる。

「……」

「……」

お互いに顔が真っ赤になり見合わせる。

「……こうちゃんのバカ。」

キスのことではないことはわかっていた。多分もっと昔のこと

「……ごめん。」

「なんであの時相談してくれなかったの?」

「……巻き込みたくなかった。あかりねぇには迷惑かけたくなかった。」

でも心配も迷惑も悲しいことも全部負わせてしまった。

辛い思いをさせてしまった。

辛いことにもあった。でもそれでも

「また会えて良かった。」

「うん。私も。」

「……さっき甘えさせてもらったから今度は」

あかりを抱きしめる。言葉はもういらない。

多少の言葉はなくても、それでも伝わる。

あかりねぇが何をいいたいのか。

あかりねぇが何をしたいのか

でも、気持ちだけは共有できない

どんなことにあったのか

どういう気持ちでこの教室にきたのか

どのいう気持ちで触手に手を伸ばしたのか

あかりねぇが泣き始めると同時に思う

全部の気持ちが知りたい

あかりねぇの気持ち、昔何があってどんな気持ちになったのか

あかりねぇだけじゃなく全員の悩みを解決したい

苦しみも全部受け止めてあげたい。

理解することはできないだろう

でも少しでも解決することができるのならそれでいいじゃないか

 

「……本当に美味しいな。」

「うん。私のオススメの店なんだ。」

あかりと二人でケーキを買い食いすることになった。

「……でも本当にいいのか?カフェとか入らなくて。」

「うん。こうしてこうちゃんと二人で歩くのが夢だったから。」

「そっか。」

すると

「あれ?茅野と康太じゃん。」

すると後ろには杉野と渚、律と岡野先輩がいた。

「杉野たちなにしてるの?」

「ここのケーキを律に食べさしてあげようと思って。」

「はい。どれも美味しかったです。」

「どうやら律は甘党みたいなんだよ。それで辛いものが苦手らしくて。」

もう何回か味覚について調べてたんだな

「なるほどな。んじゃ今日はもういくわ。」

「えっ?どうしてですか?」

「岡野先輩。律に説明しといてください。」

「わかった。」

「カエデ行こうぜ。」

「う、うん。」

俺は手を引いて歩く。

「……よかったの?」

「まぁな。言っただろ。二人で帰ろって。……誰にも邪魔されたくないんだよ。この時だけは桃花にも有希子にも。」

ずっと夢見てた。二人で学校生活を送りたいって。学年も違うし学校にも行けなかったあの頃。

「それにあかりには言ってなかったよな。俺の気持ち。」

言葉はいらなかったけど言わないとダメだろう

「ずっと、好きでした。別れる前からずっと大好きでした。」

「うん。私も好きだよ。」

ずっと言えなかったこと

やっと言えた

一番最後だったけどやっと言えた

……ただ

「じゃあ帰ろっか。」

「うん。」

時にすれ違い、時に間違えることもあるだろう

いや、もうすでに間違えてるのだけれども

まぁこれでいっか


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