ターゲットの暗殺教室   作:クローバー

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弱み

一瞬の静寂が包まれる

すると

「何を言ってるんだ羽川。俺たちは家族みたいなもんだろ」

家族、家族か

そんな気持ちを持っているのに家族か

『とぼけるんならいいんですけど。まぁ一つだけ忠告です。別にこのクラスのみんなを傷つけるようなことをした場合。あなたのことを徹底的に潰しますから。覚悟しといてくださいね。』

俺は後ろを向き教室に戻ろうとする

「ちょっと待てよ。」

右だな

俺は左に二歩横にずれる。

すると肩を掴もうとしたのだろう。鷹岡は何もつかめずにただ空を切る

俺は避けながらメモをかき

『そういえば俺、烏間先生に呼ばれているので。じゃあなみんな。』

全員に見せる。

俺は少し殺気を出しながら歩いていく。

そして校舎の方にいる烏間先生にメモを見せる

『どういうことですか?確か防衛省の中でも危険人物ですよね?』

鷹岡明

俺はその名を知っていた。

「あぁ、ちょっとそのことで話したい。」

まぁそうだろうな

「マスター」

すると律が飛んでくる。

「なにか用ですか?」

『鷹岡について調べてくれないか?写真でもなんでもいい。俺のスマホに送りこんでくれ。ついでにマスターはやめろ。羽川でいい。』

「はい。分かりました」

結構まずいことになりそうだし一度相談したほうがよさそうだな。

 

翌日

「おはよう、羽川。」

磯貝先輩の挨拶に会釈する

言葉で返したいが返せない

やっぱりきついな

俺はため息をつく

「それで羽川、昨日の写真のことなんだが、あれ本当か?」

俺は頷く。律から届いた写真には鷹岡の育てた自衛官の背中があざだらけになっているものだった。

『律と烏間先生の部下の人が言うにかなりやばそうです。でもまだこのクラスでも同じ行為に動くわけじゃないんで動き方が難しいんですよ。昨日もぎりぎりの線まで攻めましたが解決まで行く方法はかなり厳しそうなんですよね。』

証拠がないのが一番辛い。この写真も過去のだけで安全な訓練をしてくれるんであればそれはありがたいんだけど

「でも、羽川が相談しに来るって珍しいな。ずっと一人で抱え込んでいたのに。」

俺はペンを走らせる

『前はそれが一番いいと思っていたんですけど、自分はそこまで強くないんでやめました。それに前溜め込みすぎてこんなことになりましたし。だから少しだけでもいいから助けてもらおうと思いました。』

「少しだけなんだな。」

苦笑している磯貝先輩に頷きまたペンをとる

『はい。本当に困った時に助けてもらうのはちゃんとお互いに信用している者ができる特権ですから。正直なところまだ俺に不信感を持っている人は結構いますし、俺が信用しているって言っても信じてくれる人はまだ少ないですから。』

実際のところそれだけのことはしてるしな

『でも、俺はここが好きです。自分の命に価値があることを教えてくれたから。俺を信じてくれる人がいるから。守ってくれる人がいるから。だから守りたいんです。信頼されたい。それがこの教室なんです。』

俺はみんなから物として見られてた。肩書きでは天才。でもだれも人として見てくれなかった。

でもちゃんとここでは一人の人だと見てくれる。

弱いところも全て受け入れてくれる。

そんなE組が大好きだった。

ここが俺の居場所だと思うほどに大好きなんです

「……なんか羽川って変わった奴だな。」

『よく、言われます。』

「……羽川は証拠があれば鷹岡を撃退できるのか?」

磯貝先輩がそういうが俺は首を振る

『一応名目上は先生としてやってきているので多分烏間先生が鷹岡より優秀だと認めさせないと。俺は武力解決なので、ちょっとみんなを怖がらせることになるんで。』

「羽川は安全に解決したいと。」

『そういうことです。でもやっぱり最低限誰かを傷ついてしまう作戦しか思いつかないんですよ。』

「ふーん。じゃあ俺がその役引き受けようか?」

するといつの間にか前原先輩が会話に入ってきていた。

「ごめんな、昨日羽川から連絡来た時に前原もいてさ。」

「あぁ、それで鷹岡の本性を引き出せばいいんだろ。それなら俺がなんとかするさ。」

俺は少し慌ててしまう。俺は急いでメモに書いていく。

すると後ろからメモを取り上げられる

「康太くん。やっぱりまた私たちに隠し事してたんだね。」

後ろには桃花が立っている。

「本当にこうちゃんは優しすぎるんだよ。私たちが傷つかないようにこうちゃんが全部痛みを引き負ってるんだもん。たまには私たちにも頼ってよ。」

あかりが呆れ顔でこっちを見てくる

「でも優しいところが康太くんのいいところだから。」

有希子がクスリと笑う。

何もできないのでただみんなの方を見るしかない。

「どうしたの?」

「それがさ、羽川がこんな写真を見かけたんだよ。」

片岡先輩がかけてきて前原先輩は磯貝先輩のスマホを片岡先輩に見せると頭を抱えている。

「それで、磯貝くんに相談していたと。」

「えっと多分見せただけだと思う。昨日こうちゃん久しぶりにちゃんと寝れたから。」

「「「……えっ?」」」

「多分このことを予知夢として見てたんじゃないかな。こうちゃんは昔DVされてたから。こういったことに敏感なんだよ。」

「そういえば茅野って昔から羽川のこと知ってるのか。」

「うん。幼馴染。」

「そうだったの?」

片岡先輩が驚いてる。

「こうちゃんが隠そうとしてたけどそれは私の安全を守るためだったんだ。……本当に優しすぎるんだよ。」

「本当にな。」

「なんで私たちに相談してくれなかったのかな?一応頼りないかもしれないけれどクラスメイトだよ。」

「それに康太くんは無茶しすぎ。たまには頼ってよ。」

俺はノートを取り出し書き始める

『すみません。じゃあ少し俺の考え聞いてもらえますか?』

すると頷くみんな。

『とは言っても結局は普通に受けてもらえればいいんですけど…でもおかしいと思ったら逆らってください。そしたら俺が写真を撮って理事長のところに交渉しにいきます。E組のシステムとはいえ暴力ざたはさすがに問題視されるので。受け身のスキルはみんなかなり高いレベルなので怪我をすることはないと思います。』

「そういえば羽川が教えてくれた受け身ってなんで教わったんだ?」

前原先輩の質問に話はかなりそれるが答えたほうがいいだろう。メモ帳二ページを使って書く

『受け身は全ての基本なんですよ。多分烏間先生から習うことになると思いますがフリーランニングというスキルには必ずと言って必要になるんです。それに安全な暗殺をするにはやっぱり施設がよくてもちゃんと受け身をとらないと骨折したりする可能性が高くなるんです。だからこれから暗殺も厳しくなるとすればまずは自衛する方法をまずは身につけないといけないです。』

『だから最初に受け身を教えることだったんですけど。』

「……なんか凄く考えてくれたんだな。」

『当たり前ですよ。俺も烏間先生もプロとして最低限度の生活に支障が出ないように心がけていますから。』

逃走のプロと実践のプロ

俺たちはそういう関係を保ってる

『ちゃんとみんなの安全を考えながら行動し実行する。それが当たり前のことなんです。でも、その当たり前を保証できないのであればそれはもう三流以下ですよ。』

それはなによりも俺らが気にしてることだ。

『烏間先生も忙しい中で色々と考えてくれてるんです。だから俺だって信用してる。多分俺たちのためなら先生を殺せるチャンスがあってもそれを捨ててまで俺たちのことを守ってくれますよ。』

 

「あれ?今日の体育最初から羽川いるの?」

杉野が不思議そうにこっちを見る。

『少しある情報を掴んだんで。……ちょっと化けの皮を剥いでやろうと思って』

俺は磯貝先輩と前原先輩の方をみる

すると二人が頷く

決着の時間が近づいてきた。

すると鷹岡が降りて来る

「よーしみんな集まったな!今日から新しい体育を始めよう。」

本当に冷たい声だよな

話す内容は生徒の心を掴む為にしているけど

ずっと聞いていてそう思う。

「さて!訓練内容の一新に伴ってE組の時間割も変更になった。これをみんなに渡してくれ。」

俺は隣からプリントを渡されるとそれをみてやっぱりそうかと思う

「嘘…でしょ?」

「十時間目…」

「午後9時まで……訓練…?」

これしかも最悪な奴だ。

訓練が長いほどみんなは強くなれる。

本当に暗殺のこと考えるのであれば一点集中型ではなく平均して育てたほうが暗殺できる可能性が高い。

やばいここまで無能だとは思ってなかった。

「こうちゃんどうするの?」

『今の所カメラ回し始めてる。』

スイッチを入れる。

「ちょっ…待ってくれよ無理だぜこんなの。」

前原先輩が声を上げる。

「ん?」

「勉強の時間これだけじゃ成績落ちるよ!理事長もわかってて承諾してんだ!!遊ぶ時間もないしできるわけねーよ。」

すると鷹岡の手が動くその瞬間俺は走りだす

やばい。このままだったら溝に入る。

俺は前原先輩の襟を引き後ろに下げる。すると頭を掴んできた引き寄せられ溝に鷹岡の膝が入る。

「「「羽川」」」

「できるんじゃないやるんだよ。」

そんな声が聞こえる。痛みがないが吐き気がする。

やべぇ。まともに攻撃喰らったの何年ぶりだ

でも、こいつに弱いところは見せられない

俺は立ち上がろうとすると

「羽川くんは下がって。」

片岡先輩が命令される。

確かに下がった方がいいだろう。俺は少し後ろに下がる。

「こうちゃん大丈夫。」

あかりの言葉に頷く。一応この程度だったら我慢できないこともない。

「おいおい。そこの犯罪者の息子の肩を持つのか?」

犯罪者の息子

その一言がはっきりと言われるとやっぱり来るものがある

しかもあらがち間違っていないっていうのは余計にくる

俺は立ち上がる

「おいおいまだやる気かお前の弱点は全部お前のとうちゃんから聞いてるんだぞ。」

その言葉に体が一瞬固まる。するとクラス中がざわめく。

やっぱり父さんは日本政府の方にいるのか

「…羽川、どういうことだよ?」

『父さんは日本政府専属の殺し屋なんだよ。そして佳奈を殺した張本人だ。』

「「「えっ?」」」

「おい。そこまで知っているのか?」

確かこいつも隠し玉扱いされてたしな

多分それ繋がりで知る機会があったんだろう

こいつ本気で俺を潰しにきているな。

俺の弱点は露見していないだけで結構ある

とくにその一点だけはほとんど致命的と言っていいほどの大きな弱点だ

多分そのことが露見している

ちょっとまずいかもな

「なぁ、羽川勝負しようぜ。」

すると鷹岡がニヤニヤと笑いこっちを見る。

「お前らもまだ認めていないだろう。このままだったら父ちゃん不用意だ。羽川も少し体育教師をやっていたんだろ。そこでこうしよう。こいつで決めるんだ。」

すると対先生ナイフを取り出す鷹岡。

だいたいやりたいことがわかった

血の気が引いていく

「康太くん?」

「羽川、お前かお前と烏間が育てたこいつらの中でイチオシの生徒を一人選べ。」

やっぱりそうくるか

「そいつが俺と闘い一度でもナイフを当てられたら…烏間の教育が俺より優れていたのだと認めよう。その時はお前に訓練を全部任せて出てってやる。男に二言はない。」

俺は寒気と冷や汗が止まらない。何故ならば

『ナイフの種類って本物か?』

俺が紙に書くと鷹岡がニヤリと笑う

「もちろんだ。殺す相手が人間なんだ。使う刃物も本物でなくちゃな。」

俺は心拍数が上がる。まずい。本当にまずい。

すると視線が俺に集まる。

多分俺に期待してるんだろう。

でも、俺は本物のナイフが持てないんだ。

「おいおいどうした?怖いのか?人を殺すのが。」

「羽川?」

「そりゃ、そうだろうなぁ。だってお前は人を傷つけることができないんだからな。安心しな寸止めでも当たったことにしてやるよ。」

鷹岡の言葉を聞き流しながら俺は考える。

正直模擬戦なら多分俺に叶うものはいない。

でも実戦では違う。

簡単だ。だって俺はまだこの状態で人を傷つけたことがないんだ。

正直実戦では俺はこのクラスで一番最弱と言っていい。

でも、このままだったら

……でも、一人だけチャンスがある先輩がいる。

殺し屋の才能がこのクラスでもずば抜けており俺が単独で殺せると思ったたった一人の人物

でも、

「羽川くん。」

すると烏間先生の声が聞こえる

「……大丈夫か、冷や汗がすごいぞ。」

『正直結構厳しいです。可能性があるのが二人いるんですが……その先輩を危険に巻き込んでいいものか。」

「……あいつが言ってた人を傷つけることができないって本当なのか。」

俺は頷く

怖い

ただ怖い

多分あいつは昔俺が受けていたことをするんじゃないかって思うだけで寒気がする。

『本物のナイフも銃も練習だったらどんな条件でも外さない自信があるんですが。実際の状況になると震えが止まらなくなるんです』

そう俺の唯一の弱点

誰かが傷つけるのを極端に嫌うのだ。

体が言うことを聞かず手が震える

それが殺し屋であっても如何にかして助けようとしてしまう。

俺は周りを見る。油断している鷹岡。不安げな先輩方。

そして一人だけ色が混じってる先輩

多分俺よりも殺せる可能性が高い

でも、

「こうちゃん。私がやろうか?」

あかりが不安げに俺の方を見る。

違う。あかりがやっても無理だ。

そして何度も考えながら決めた

俺はみんなの方を向く。震えた手で書く。

『すいません。俺じゃ殺せません。』

するとみんなが目を逸らす。軽い絶望感が見える。でも

『先輩の中で可能性がある人が一人だけいます。』

俺が書いてみせる。するとみんなが驚いている。

『でも危険なことに巻き込んでしまう可能性が高くて正直迷っています。』

「……」

全員が俺が書くのを待っている。

『でも、この中で一番殺せる可能性があるのは渚です。』

すると全員が俺を見る。でもこれが間違っているとは思わない。

『みなさん。言いたいこともあると思いますがこの条件なら俺は誰に何でいわれようとも渚を指名します。正直自分勝手なお願いではありますか助けてもらえますか?お願いします。』

俺は頭を下げる。これは俺が招いたことだ断ってくれた方がありがたかった。

「俺もこの条件なら渚くんを指名する。」

すると烏間先生が俺の肩を叩く

「返事するまえに俺の考えを聞いてほしい。これは羽川くんも聞いてほしい。」

すると烏間先生は真剣な顔つきになる。

「地球を救う暗殺任務を依頼した側として…俺は君たちとはプロ同士だと思っている。プロとして君達に払う最低限の報酬は当たり前の中学生活を保障することだと思っている。それは羽川くんにも同じことが言える。みんなは知らないと思うがこの教室の中で一番の負担がかかってるのは羽川くんだ。みんなは中学生活を守りながら指導し私達の暗殺任務の協力や情報収集や環境設備に購入に管理その他にも多くのことをたった一人の中学生がやっている。自分のこともあるのにだ。」

すると全員に見られる。注目されるのに慣れていないので少し逃げたくなる。

「なんでそこまでして」

「羽川くんは普通な生活が一切無縁の生活を送ってきた。だから不安なんだろう。いつどこで殺されてもおかしくない生活をしているんだ。それにこのクラスで唯一国からではなくあいつから依頼されてるんだ。もしこの教室であいつがいなくなれば羽川くんはどうなる?」

本当にこの先生は的確に不安を言い当てていく

「「「……」」」

「多分羽川くんはあいつが殺されて自分が必要がなくなったら、それにもし自分のせいでみんなが殺し屋に殺されたら。もしこの教室が終わったら。羽川くんにとったら初めてできた居場所なんだ。失うのが怖いに決まってる。それに羽川くんは今殺されそうになってるんだ。親からも見捨てられ、ずっと殺し屋から狙われてきた。死地を切り抜けていた。でもそれを褒めてくれる人も優しくしてくれる人もいない。ずっと孤独に、ひたすらに生き続けてきた。理不尽なことでだ。でも、本当はただの中学生になりたかったんだろう。」

事実だった。ただ怖かった。この場所を失うことが怖かった。

だから慎重になっていた。完璧であろうとした。なんでもできる羽川康太を演じていたんだ。

それでも楽しくて居場所にいようとした。多くのことをしてまで俺はこの教室にいたかった。

夢だったから。

学校に行くことが夢だったから

「もしどんな結末があろうとも。羽川くんを責めないでやってほしい。」

すると全員が頷く。

「そして渚くんも無理に受けとる必要はない。その場合俺が鷹岡に頼んで…『報酬』を維持してもらえるよう努力する。」

正直な話それが一番ありがたかった

受け取ってもらえなければ

それで怪我をしないでもらえれば

でもそれは

「やります。」

俺の手からナイフを受け取った渚の一言で断ち切られた。

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