ターゲットの暗殺教室   作:クローバー

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罪悪感

しばらく空を眺めていると誰か下から視線を感じる。

「ん?」

視線の先には死神がいた。

どうやら俺を見ているわけじゃなく。どこか別の人を見ているような感じだ。

「……先生、ちょっと。」

「にゅや?」

「ほら、ここ。」

手を振ると死神は顔を赤くする。

「にゅやー!!授業サボってなにしてるんですか!!」

「たぶん、今のあんたと同じことだよ。ほら、座れば?」

俺が呼ぶと死神が飛んでくる。そして隣に座ると少しの時間何も話さずに空を見る。

そして数分経ってから

「知ってたのか?俺がそれを作ったこと。」

「いや、知りませんでした。」

俺たちが言っているのは触手のことだ。元々は反合成物質を使ったエネルギーをあるものに使おうと柳沢の理論を少し変化させたもの。

しかしその一つはかなり大変で見つからなかったことだった。

「馬鹿らしいよな。俺はそのたった一つで家族も、友達の姉も、自由もなくなって、自分の命を狙われて…。本当ならもっと楽しいものを作ろうと思ってたのにな。まさか人を殺す道具として国家が使ってくると思わなかったよ。」

俺は理事長から実験のため貸し出されているPCを死神に渡す。

「この項目。反合成物質の服産品触手を利用した対人兵器の作成。日本政府の国家機密をまとめてあるUSBをパクったものだよ。」

「……どこでこれを。」

「昨日の店の帰り、アサルトライフルを撃って来たやつが持っていた。あんたのことが書かれているからここのとこ1〜2年のデータなんだと思う。」

パスワードはハッキングですぐにわかった。

「なぁ。なんでこうなったんだろうな。」

俺は下を向く。

「本当にどうしてこうなったんだろ?俺のせいじゃないのに後悔してる俺がいるんだよ。」

「……」

「どうしてなんだろ。俺は人殺すためにこれを作ったわけじゃないのに。」

「……」

「危険性も全部伝えたのにな。なんで」

俺は自然と拳を握って

「好きな人は俺のそばからいなくなってしまうのだろう。」

 

俺が教室に入ると教室は騒ついていた。

多分死神のことだろう。

俺はその隙を見てゆっくりと入る。

空いている席は2つ

さっきのHR中にこっそり確認しておいた。

多分俺か有名な赤羽先輩の席だろう。

とりあえず席は空いてあった席の一つに座る。

カバンから教科書を取り出し授業の準備をする。

しばらくしたら死神が教科書を持ってきた。

へぇ〜本当に授業やるんだなぁ。

烏間も監視だろうが教室の中に入って来ていた。

教科は数学

正直なところ俺は幼稚園時までに高校クラスの問題は解けるようになった。

理由としては家が厳しすぎて小学生からは習い事で忙しくなるからと理由だった。

今考えると鬼畜すぎるよな。

死神の授業を聞きながら適当に教科書を見る。

でも、やっぱりやったところなので面白くない。

「えっと、ここは?」

隣にいるポニーテールの女の子が悩んでいた。数学は苦手なのだろうか。

「そこ、最初から違う。因数分解は基本だぞ。数学が苦手なのならここは公式を記憶するのがいいぞ。」

「えっ?」

「最初と最後は二乗、中はα+β。難関大学を狙うならそのあと4乗までは覚えたほうがいいぞ。」

「あ、うん。ありがとう。」

俺はとりあえずノートを開くと

「「「お前誰だよ!!!」」」

クラスの主に男子が突っ込む。

「え?羽川康太だけど?」

「「「はい?」」」

「羽川康太。一応言っておくけど羽川建設五代目。まぁどうやら日本では死んだ扱いになっているらしいがな。」

するとクラス中が騒めき始める。

「ってか一応去年からここの生徒だったんだけど、誰も気づいてなかったのか。まぁ一応先輩方の一個下だから。一応特別教科生徒っていう名目でここにいますが、先輩方の安全を確保することが本当の目的です。まぁボディガードだと思って構いません。」

「はい。質問。それって政府から雇われたってこと?」

斜め前の女の子が手を上げて質問してくる。

「違う。俺が頼まれたのはそこにいる先生だよ。ってか日本政府は敵だし。」

「えっ?」

「俺もこの先生同様にターゲットなんだよ。賞金は100億円。」

するとみんながざわめき出す。まぁ当たり前だろうな。

「まぁ、政府からの追われてる同士っていえばいいかなぁ?ってか先生って暗殺報酬は何円?」

「にゅや?100億円ですがってさっきのHR屋根でサボっているから分からないんですよ!!」

「別にいいじゃん。ってかそんなに安いのか。300はあるかと思った。まぁ、俺は正直殺そうと思えばすぐに殺せるけど基本は暗殺にノータッチだから勝手に殺していいぞ。ってか殺そうとしてきたやつは手入れしてから返すっていうのが俺のやり方だから殺すことはしたくないし」

「「「お前もかよ」」」

えっ?なんで突っ込まれたの?

俺は死神の方を見ると顔をそらして口笛を吹いている。

よしあいつ後から殴る。

「まぁ、本気で暗殺したいやつは手伝いや自主練には付き合うから。あともうひとつ。」

俺はニコリと笑いながら

「俺を殺しに来てもいいけど、多分こいつぐらい殺せないと俺は殺せないよ。経験の差が違いすぎるしな。」

「そんなわけないだろ。マッハ20だぞ。」

と金髪の男が言うが

「……実際のところそうだろう。5年前から何度も暗殺者を送り込んでいるが怪我をするどころか暗殺者をやめ、転職するやつばっかりだ。おかげで殺し屋の数はこの5年間で3割にまで減っている。」

「「「はっ?」」」

「それにもう殺し屋の中では最も優れている人でも殺せなかった。実質ミサイルか核爆弾を使わなければ羽川くんは殺せないだろう。」

烏間の言葉に苦笑してしまう。

「まぁ、さすがにそこまでされたら無理ですけど。まぁ生身ではだけど。ってかなんか質問時間になってるけど数学やらんでいいの?」

「にゅや!?まぁ最初の授業だからいいじゃないですか。私も皆さんのこと知りたいですし。」

「ふーん。まぁいいけど他の奴にしてくれ。ってか俺、今の所、磯貝先輩と片岡先輩しかわからないし。」

「……」

視線を感じるがそっちは見ないようにする。

見たら今すぐにも罪悪感で泣きたくなるから。

そして始まっていく中俺は罪悪感でいっぱいだった。


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