ターゲットの暗殺教室   作:クローバー

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参加できないんだ

ブニョンッ、ブニョンッ

「さっきからうるさいんだけど。先生。小テスト中だぞ。」

「こ、これは失礼!!」

俺がいうとやめるけど

「何があったんだ?壁パンばっかりして。」

「実はカルマくんが殺せんせーの触手に初めてダメージを与えられたんけど…その後おちょくられて。」

「……納得です。」

矢田先輩の言葉にため息をつく。

「……しかもこの時間もう一度仕掛けるらしいですよ。」

「えっ?」

「まぁ、見とけばわかりますよ。」

床には対先生BB弾がまき散らかしてあり、死神は一度敗北しており少し怒りで我を忘れてる。

誘導するなら今のうちだろう

「こら、そこ。大きな声出さない」

「お前が言うな。」

俺が冷静に突っ込む。

「おっ?羽川じゃん。久しぶり。」

「久しぶりです。」

「あれ?知り合いなの?」

「まぁ、少し。」

俺が言うと赤羽先輩がどこからかジェラートを取り出す。

「ごめん。ごめん。殺せんせー。俺もう、終わったからさジェラート食って静かにしてるわ。」

と手にしたものは昨日死神が買ってきたジェラートだった。

うまいな。

甘い物好きの死神にはうってつけのものだろう。

「そっそれは昨日イタリア行って買ったやつ!!」

案の定引っかかる。

「怒りを利用して視界を狭くさせる。暗殺にも逃走のテクニックでも使えるから。」

小声で矢田先輩に解説して指をさし

「単純なことに気づかない。」

「!!」

死神が対先生弾を踏み発砲音が聞こえる。

「はぁ全くなさけねぇな。あれが俺を追い詰めた殺し屋かよ。」」

「えっ?」

「……なんでもないです。」

俺はあっけなくやられてる死神にため息をついた。

 

「んで、思う存分触手にダメージを受けておちょくられて、ジェラートを食べられ怒りに任せて近寄ろうとしたら、赤羽先輩が下に転がしたBB弾を踏みつけて舐められすぎたっと。」

俺は土下座している死神に向かって、休学していた赤羽先輩にボロボロにやられた姿を見て

「バカなの?」

一言だけ罵倒した

「俺も後半は見てたけどさ、完全に相手のツボに入ってるじゃん。そりゃ〜赤羽先輩の思惑通りになるだろ。」

好きなものも全部知っていたのだろう。手回しをして、自分で策を練り実行する。

「……あの先輩は別格だよ。たぶん賞金が目的じゃなく純粋に教師に恨みを持っている。」

「……」

「それがE組になった理由か知らないけど、本気の殺意がある。」

「えぇ。わかってます。」

「……たぶんあの先輩の中では二番目に手強いですよ。」

「にゅや?あれ以上の殺し屋がいるのですか?」

「……一番やばいのは潮田先輩ですよ。あの人殺し屋の素質があるってどころじゃない。俺と昔のあんた以上に殺し屋の才能がある。開花したら俺でさえ気づかれないレベルの。」

あのとき火薬の匂いがしたので気付いたが、殺気の気配は全くわからなかった。

「自分では気づいていないけど、殺し屋に向いている。天職といっていいほどにな。」

「……」

「多分あんたを単独で殺せるのはその二人だ。他は正直厳しいと思う。」

俺が言うと死神は顔を覗かせる。

「……なんだよ?」

「いえ。正直なところ、あまり羽川くんがそこまでクラスのみんなのことを見ているとは思いませんでした。」

そんな訳ないじゃねぇか

「あの人が残していった生徒だぞ。それにあいつもいるしな。」

「……茅野さんのことですか?」

「まぁな。」

俺が言うと死神はどこか不思議そうにこっちを見る。

「そういえば、茅野さんと羽川くんはどのような関係なんですか?」

「俺が好きな女の子。」

「……えっ?」

「正しくは好きだった女の子かな?まだ逃げ始める前だったから。」

あのころはまわりにいた女の子が少なかったけど、かっこよくて、かわいくて、一途でとても姉思いだった。

「……逃げていたことも全部知ってるんだろ。あんたのことだし。つまりはそういうことだよ。」

「……」

「この話はまた今度してやる。まずは赤羽先輩だ。言いたいことはわかってるんだろ。」

「えぇ、これは羽川くんは介入しないってことですね。」

そう今回の件は死神がなんとかしないといけない。

「あぁ。今回の件は先生であるあんたでしか解決できないし、俺はちょっと調べないといけないことがあってな。」

「にゅや?」

「明日調理実習あるだろ。俺料理できないし。」

少し本で予習しとかないと。まぁ料理が苦手じゃなくて料理する機会がないからレシピとか調べないと。

「……羽川くんにも弱点があったんですね。」

「俺結構あるぞ。些細なことが多いけど。なぁ昔は泣き虫だったりな。今もそうだけど。」

「……」

「臆病だし、怖がりだし、だから生き残れた。俺がその中の一つでもなかったならもう死んでいる。今でも警戒は怠ってないしな。でも」

だからこそ俺は

「暗殺教室には参加できないんだ。」


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