ここからは最初からプロットを立てていたのでスムーズに書ける。
お気に入り登録が増えるのは嬉しいです。
こんな作品ですがこれからもお願いします。
桜の舞う季節、俺は会いたくない男に出会ってしまった。
「零じゃないか」
金髪の男だ。
俺を水泳に誘い、夢の為に海外に行った男だ。
「何でいるんだよ、雪」
笑顔で俺のそばまで来て笑う雪に俺は戸惑っている。
「高校は日本で過ごすって決めてたんだよ」
聞いていない。
俺はそんな事を一度も聞いたことがない。
「水泳部来いよ!」
俺は腕を掴まれたまま屋内プールに連れてこられた。
去年は少しだけ泳いだ。
肩の痛みはない。
寮に住むことになるから親父にはバレルことはない。
「どうした零、水着ないのか?」
「あっ、あぁ、部屋に置いてきてな」
「零も寮か」
「今日からだけどな」
俺は雪から部活の予備を借りてプールサイドに戻ってくると雪に体を触られた。
「へぇ、なかなか絞ってるな」
「そうか、普通なじゃないのか?」
やっと落ち着いてきた。
最初は驚いたが気分が高まってくる。
「バッタだよな」
「競うのか?」
「久々に泳ぎたいんだよ零と」
「負けても泣くなよ」
昔を思い出しながら言うと驚いていた。
「零が泣くかもな」
「俺は負けても泣いたことないけどな」
二人でスタート台に立つ。
懐かしい。
「秒針が上に来たらスタートだ」
そう言って雪はゴーグルの後ろのゴムを引っ張りはなす、昔からの癖はそのままの様だ。
「なら昔の様に罰ゲームも付けるか?」
「なら、負けたらコーラ奢りな」
その瞬間に秒針は上に着いた。
飛び出す、タイミングはぴったりだ。
「だぁーこれは美味いな」
泳いでから制服に着替えて学園内のベンチに座り俺はコーラを飲んでいた。
勝負は勝った。
雪がターンでミスをしたから勝てたけど。
「本当にうまそうに飲むよな」
「やらねぇから」
俺はまだ残っている缶を傾けながら言う。
「お前のその態度はムカつく」
「でも雪はフリー専門だろ?」
「これでもこの部活のフリーとバッタの記録持ってるの俺なんだけど」
「ご愁傷様」
そんな冗談を交えながら話していたらスマホが震えている。
誰から連絡が来たのかは察している。
「雪、悪いが電話が来てる」
俺は震えるスマホを見せて席を外そうとした。
「零の彼女か!」
雪は目を輝かせながら聞いてくる。
「そうだ、だから離れるぞ」
俺はそう言い切ってベンチから少し離れてから電話に出る。
『出るのが遅い!』
スピーカー越しに怒鳴られて耳が痛い。
「悪い、それでどうしたんだよ」
聞いたら低いトーンで返された。
『やっちゃったのよ』
「堕天使封印できなかったのか?」
『しかも、自己紹介でやっちゃって』
「善子らしくていいと思うが?」
『高校からはお淑やかに普通のキャラでいきたかったの! ヨハネを封印したいのよ!』
そんな大声を出されたら声が漏れるからな。
「それで学校から逃げ出したわけないよな」
俺は冗談で聞いた。
『なんでそこまで分かるのよ』
「お前の思考は分かりやすい」
『明日から学校に行けないじゃない』
「お前が逃げ出すからな」
『逃げ出さなくても陰で何言われるか分からないじゃない』
「その発想から考えるなよな」
はぁ、このネガティブ思考がなければいいと思うんだけどな。
『今度、買い物に付き合いなさいよ』
「それはいいが学校には行けよ、テスト前に泣きつかれても範囲は違うからな」
『普通、そこは優しくしなさいよ! 彼女が困ってるのよ!』
後ろの雪はニヤニヤしながら俺の会話聞いてるな。
後で何言われるだろう。
「今度慰めてやるから、会った時に色々聞いてやるから」
『本当に』
「約束する」
そう言ったら電話は切れたがその直後に首に回された腕が邪魔だ。
「彼女は誰なんだよ」
本当にこの兄妹は嫌いだ。
「中学の同級生だよ」
「俺の知らない奴か」
そう言って腕をどかしてくれた。
「疲れたから俺は寮に戻る、荷物の整理もあるし」
そう言ってこの場を離れようとしたら一枚の紙を渡された。
「入部届だ、書いたら俺に渡してくれ」
「なんで雪に渡すんだよ」
俺は受け取りながら聞いた。
「俺が部長だからな」
笑いながら答えた。
雪が部長か。
「似合わないな」
「お前な俺が気にしてること言うなよ」
気にしてたんだ。
「雪が部長とか」
俺は笑いながらその場を逃げ足で去っていく。
この入部届を俺は出すのだろうと思いながら部屋に戻り整理をする。
「相部屋って聞いてたが上級生かよ」
使われていた机には三年の教科書が置かれていた。
こき使われるんだろうなと思いながら整理をしていたらドアが開いて同居者が帰ってきたようだ。
「悪い、部屋汚いだろ」
数時間前に聞いた声をまた聴くことになるとは思いもしなかった。
「雪かよ」
「なんだ、零か」
あらかた整理が終わって本題に入る。
「零は下が良かったよな」
「あぁ、雪も下だろ」
本題は寝るベットの場所だ。
ベットは二段ベッドになっている。
二人ともしたがいいのなら答えは決まっている。
「「じゃんけん」」
そう、勝利したものが下を獲得できる。
じゃんけんも終わり食堂で飯を食べながら呟く。
「雪、俺に下を譲ってくれ」
豚カツ定食を食べながら俺は終わったことを引きづっていた。
「じゃんけんで決まっただろ」
「なら、あの時の約束を使う」
こんなことで約束を使うが俺はそれでもいいと思う。
「そんなんで約束使うなよ、まだ覚えてたんだな」
「あぁ、雪が何も言わなく俺の前から去った日だからな」
「根に持ってるだろ」
「当たり前だろ何も言わないで海外に留学するとか」
俺は豚カツを頬張る。
「別れってなんか嫌なんだよ」
「黙って去られる方の気持ちも考えて欲しいな」
この一年は楽しいことがありそうだと思った。