本当は大阪公演の翌日に投稿するはずでしたが朝起きたら住んでいたところに地震が来まして足元に本棚が落ちてきたりと朝から死ぬ思いをしました。
未だに余震は続いておりますが気持ちの整理が終わったので投稿いたしました。
桜前線
強化選手に選ばれて二度目の夏を過ごすことになった。
「またこの人混みかよ」
俺は悪態をつきながらもこの満員電車に揺られる。
去年と違うのは俺はドアに背を預けて真上の広告をぼんやり見ている事だ。
ぼんやりしていると揺れで一人の少女がこちらに来るのに気付いた。
「大丈夫か?」
肩を掴んで受け止めて声をかけたがこの赤色の髪に身に覚えがあった。
「すいませ……えっ」
少女は顔を上げながら謝罪するが最後で驚きの顔に変わっていた。
「あんたはあの時の」
「去年以来かな」
「それより、離れてくれないか?」
女は自分の体にもたれている状態だ。
「ご、ごめんなさい」
顔を赤くしてサッと離れた。
「今年も選ばれたの」
「そんなところだな、それにコーチの方が個人で見たいらしくて長めにこっちにいる」
「そっか、良かったら町案内するよ」
「観光には興味ないから遠慮する」
そう言うと明らかにショックを受けているから言葉を変える。
「静かになれる場所を教えてくれうるさい場所は好きじゃないんだ」
「じゃ、約束ね」
そう言って携帯を出してきた。
「連作先分からないと連絡できないから」
そう言われて俺は携帯を渡した。
「あいにくと持ってるだけだから勝手にやってくれ」
「本当に水泳以外興味ないんだね」
「俺は水泳は好きじゃないんだ、ただ泳いでいるだけが好きなだけなんだ」
思い出すのは雪との約束だけ。
「はい、清水君」
そう言って携帯を渡された。
画面には桜内梨子と書かれていた。
「梨子か」
「いきなり名前呼びするんだ」
「嫌なら名字で呼ぶが?」
「梨子で大丈夫だよ、れ、零君」
梨子は照れながらそう言った。
「それじゃ、暇な時に連絡するよ」
そう言って目的の駅について2人そろって出て途中まで会話をして別れた。
練習が終わって宿舎に帰る時に今朝あったばかりの顔を見た。
「零君、今終わりなの?」
「まさか、終わるまで待ってたのか」
「少しだけね」
なんでここまでの行動力があるか分からない。
「はぁ、練習はないが自主練すると考えなかったのか?」
「それでも少しだけは待ってたよ」
「分かった、暑いだろどこか涼しくて落ち着ける場所知っているか」
「近くにカフェはあるけど」
「なら、そこで少しだけ話すよ」
そう言って俺たちは歩き出す。
「えっと、迷惑だったかな?」
「迷惑だと思ってたら静かになれる場所なんて聞かない」
人と話すのは苦手だ。
それもあったばかりでここまで前を止めらるなんて。
「水泳を始めたきっかけとか聞いても大丈夫かな」
「あぁ、それなら別に話してもいいが落ち着いてからだ」
何でこんなことを話そうなんて思ったのだろうか。
多分、俺はこの瞳に興味を持ったのかもしれない。
俺に興味を持つものはいない。
向けられるのは期待そんな目しか向けられなかった。
だからこんなにも自分を知りたいと思う純粋な目を見たことがなかった。
だから俺は語るのだ自分の過去を。