日が沈み、夜が更けだしたニューヘリックシティ
バン達は街のホテルに戻ってきていた。
「で、これからどうする?」
ニューヘリックシティを出た後の事を話していた。
「どうするもこうするも、ガリル遺跡に行ってみる!」
「ガリル遺跡?」
「ああ、あの石版が発掘された場所ね。」
「そこに行けばフィーネが何か思い出すかも知れない。ひょっとしたらゾイドイヴも・・・」
「ゾイドイヴ・・・」
アーバインが呟きながら、ベッドで寝ているフィーネを見る。
「今更かもしれんが、それを見つけたら何があるっていうんだ?」
「何がって、フィーネの記憶が戻るかもしれないんだ!」
「本当にそれだけだと思う?」
ムンベイが何かに確信を抱いている言い方をしている事に、アオイは気付いた。
「ムンベイ、何か知ってるの?」
「あたしも気になってさ、色々調べてみたのよ。」
「それで?」
「ゾイドイヴについては何も分からなかったわ。けど、面白い連中がゾイドイヴに興味を持ってるのよ。」
「面白い連中?」
バンが聞き返したが、アオイにはある程度察しが付いていた。
「帝国の軍上層部」
ムンベイが出したその名前にバンとアーバインは少し驚き
(やっぱり・・・)
アオイは心の中で呟いた。
「ゾイドイヴの情報提供者にはかなりの賞金が出るそうよ。」
「どうやら相当なお宝らしいな、ゾイドイヴってのは」
「もしくは強力な兵器だろうね」
「そんなんじゃねえだろ?フィーネが会いたいって言ってたんだし・・・」
「ところで、ガリル遺跡ってのは何処にあるの?」
「がぜん興味が出てきたみたいね。」
アオイの問いにムンベイは地図を広げた。
「ここよ」
指さされた所に3人が地図を覗き込む。
「中央山脈の向こう側にあるガリル高原」
「帝国領だな。」
「厄介ね、帝国軍とはち合わせる可能性があるわ。」
「ガリル高原が何処だろうと、ゾイドイヴが何だろうと関係ねえ!俺は行くぜ!」
バンは拳を握り締め叫んだ、ガリル遺跡に行けばきっとフィーネのためになる
その言葉に3人は微笑む。
「決まりだね。」
「まあ仕方ねぇな。」
話し終えると、寝ていたフィーネが起き上がり目をこする。
「フィーネ、起きた?」
「うん・・・」
フィーネがそう返事した後、彼女から腹の虫が鳴く音が聞こえた。
「お腹減っちゃった。」
「そういや晩飯まだだったな。」
「じゃあ何か食べにいこっか?」
「うん」
アオイがフィーネのと手を繋ぎ
一瞬体を震わせ冷や汗をかいた。
「どうしたアオイ?」
「私・・・・・・・・お金、ないんだった」
バンが尋ねた後、青筋を立ててそう呟くアオイに
「「「ああ・・・・・」」」
バンとアーバイン、ムンベイは思わず声を漏らす
仕方ない、とムンベイは奢る事にし食事が出来る店へと向かった。
店に入り、料理が出来るとがっつく様に食べるバンとアーバイン
フィーネはカップスープ、アオイは遠慮してコーヒーを啜っていた。
「ここの料理美味しいです。」
「こんな時間に営業している割にはまあまあだな。」
「おじさん!これお替りね!」
「私も!」
「オヤジ、俺もだ!」
3人が調子に乗って料理の追加をしようとしたが
「ダメ!!今のオーダー取り消しよ!!」
ムンベイが叫んで止めた。
「何で?」
「これから冬の山越えをするんだよ!?装備や燃料に食料・・・今まで以上にお金が掛かるの!!今後贅沢は禁止!!」
「また雇われ兵士でもすればいいだろ?」
「そんな都合よく私たちを雇ってくれる物好きな奴なんて現れるはずないでしょうが!!」
「・・・まあ、一理あるわね。」
アオイがそう呟いた後、ムンベイは続ける。
「それにアンタ、アオイのお金全部無くさせたの忘れた?」
そう言われてバンは、申し訳なさそうな表情を見せた。
「す、すまねぇアオイ・・・俺なんかのために・・・」
「いいのよ、あの共和国軍兵士には頭に来てたし。」
「この非常時に何が待機だ!!」
聞き覚えある声で怒鳴る声が聞こえ、一同がその方へ顔を向ける。
「おい!誰かあの基地攻め込んでプテラスかっぱらって来い!大尉を無事に連れて来たら軍人やめても余裕で食っていける金をやるぞ!!」
「中尉いくらなんでもまずいですって」
そこにいたのは、レッドリバー基地にいたオコーネルとライトだ。
「あ・・・」
「レッドリバーのオコーネル中尉・・・」
「それとライト少尉もいるわね。」
「いたな、物好きな奴が」
「またあいつらと組むのかぁ?」
バンは嫌そうな顔をするが
「でも、ここのお替りできるね。」
「そっか!」
フィーネにそう言われ嬉しそうな表情をする。
「おじさん!ここフルコース5つ追加ね!」
「フルコースはやりすぎ!」
調子に乗って追加しようとするバンの頭を、アオイは引っ叩いた。
そして、ムンベイはオコーネルの前まで歩み寄り
「こんばんは中尉さん?」
「ん?」
「何かお困りのようですけど?」
「あ・・・」
「君達は・・・!」
営業スマイルで仕事を取るのだった。
オコーネルはここまでの経緯をアオイ達に説明する。
ヘリック湾の哨戒任務に就いていたハーマンが消息を絶った
レッドリバーから捜索隊を出そうとしたが、それを母親であるルイーズ大統領が許可を出さなかったそうだ。
「なるほどね・・・」
「全く、大統領も大統領だ。自分の息子が心配じゃないのかね」
「馬鹿!!」
オコーネルの軽口にアオイが怒鳴った。
「自分の子供が心配じゃない親なんているわけない!!大統領はこれ以上犠牲者を増やしたくないから許可を出さなかったのよ!!」
「アオイ・・・」
「中尉、今の発言は流石に不謹慎です。」
「・・・すまん」
「とにかく、さっさとハーマンを助けるためにプテラスをかっぱらってくるよ!」
「ムンベイ、少しは空気読め」
オコーネルの指示した基地へ向かうバン達
基地は隔壁によって閉鎖されていた。
しかし、人間相手ならまだしもゾイドならば楽に突破が可能である。
「よし、行くぞ。」
「あ、ああ。」
「頑張ってね二人共!」
「ごめんね、ゼロの装備じゃ隔壁は壊せないわ。」
「ったく、女共は・・・」
アーバインが毒を吐いた後、シールドライガーとコマンドウルフが砲撃し隔壁を破壊した。
基地内部へ潜入し、プテラスにムンベイとフィーネが乗り込んだ。
「や、やっぱこういうのってマズイんじゃないか・・・?」
「文句言わずにちゃんと援護してよ!ハーマン大尉はあれでも大統領の息子なんだから、上手く行けば報酬の上乗せもあるかもしれないでしょ?」
「ムンベイ、考えが邪過ぎ」
「アンタはもうちょっとずる賢くなりなよアオイ。」
「余計なお世話」
「緊急発進!手順一切合財全部省略!」
「ムンベイ、操縦できるの?」
「まあ、あたしの腕を信じなさい。」
「待て貴様ら!!」
異常に駆けつけた共和国兵士がライフルで攻撃を仕掛けてくる。
バンとアーバインがゾイドで盾になり、咆えて共和国兵士を威嚇する。
「今だムンベイ!」
「ハッチ解放!OKよ!」
「了解!」
アオイが基地の発進口を開け
プテラスは離陸した。
3人は港に入り、灯台代わりのライトを点けた。
プテラスが海岸上を飛行しているが、ハーマンは見つけられていないようだ。
かなり時間が経ち、ジークが欠伸をしていた。
「ジークも眠そうだな・・・こんなに暗いんじゃ見つかりっこないよ」
「文句言わずにやれ!」
「わかってるよ」
「でも、確かにこの暗がりじゃハーマン大尉を見つけるのは至難の技・・・ん?」
アオイが空を見上げると、白い綿のようなものが降り注いでいた。
「何コレ?」
「雪だ」
「雪?」
「ああ、爺さんが降らせたのと同じ雪だ」
「爺さんって・・・ドクター・ディのこと?」
「ああ、あの時は失敗したかと思ったけど」
「やってみるもんだよな?」
バンとアーバインが嬉しそうに語っていたが、アオイは意味が分からず首を傾げていた。
そして突然ライガーゼロがあらぬ方向へ顔を向け、唸りだす。
「どうしたの、ゼロ?」
「アオイ、どうした?」
「ゼロが向こうの海を見てるの。もしかしたらハーマン大尉が・・・」
「まさか、ここまで泳いできたってのか?」
バンの問いに答える間もなくゼロは歩き出した。
「おい何処行くんだよ!」
「間違いないわ、ゼロはハーマン大尉を見つけたのよ!」
「・・・プテラスかっぱらってきた意味・・・」
「なかった・・・みたいだな。」
「グオ」
二人が苦笑いをしながらゼロの後を追う
砂浜が見えてきて、それと同時に人影も見えた。
間違いなく、ハーマンだった。
「いた!ハーマン大尉よ!」
「本当にいやがった・・・」
「とにかく早くムンベイに伝えようぜ」
バンがライトを点滅させハーマンが見つかったとムンベイ達に知らせる。
ハーマンの元に辿り着いた一行は、彼から帝国軍が海から侵攻してきていることを聞かされる。
帝国軍はマウントオッサ要塞に陽動部隊を送り込み、氷山に偽装した艦を使い首都に接近
現在空に降り注いでいる雪は電波障害を起こす「ジャミングスノー」
そのため発見が遅れたのだ
「いいか!敵の主力部隊は海だ!マウントオッサなんか放っておいてニューヘリックシティを守れ、そう伝えてくれ!!」
「わかった!」
「また飛ぶの?」
「飛ぶのよ!」
ムンベイとフィーネはプテラスでマウントオッサへ飛んでいく
「大急ぎで沿岸の基地に行け!今なら迎撃態勢を整えることが出来る!」
「OK!アーバイン・・・ってあれ?」
バンはハーマンを乗せ沿岸基地に向かおうとしたが
さっきまでいたアーバインが姿を消していた。
「アーバインの奴また何処かに逃げやがって!」
「違うわ、多分ゴジュラスの援護に向かったのよ。帝国の主力部隊を迎え撃つにはゴジュラスしかない!」
アオイの言葉に、ハーマンを同意の意を示した。
「彼女の言う通りだ。アオイ、すまんがマウントオッサに残っているゴジュラスの援護に向かってくれ。」
「わかったけど、マウントオッサにいるゴジュラスの数は?」
「2体だ。恐らく奴が向かったのはフォード中佐達のところだろう。お前は反対側にいるゴジュラスのところに行くんだ!」
「まだゴジュラスっていたのね・・・」
アオイは感心していたが、今は一刻を争う事態
すぐにマウントオッサ要塞へライガーゼロを走らせた。
ハーマンの情報通り、ゴジュラスはいた。
しかし
「スリーパーだけじゃ持ちこたえられないわ!」
「隊長!他の部隊から増援は!?」
「電波障害が激しくて通信ができん!それに他のエリアも一緒だ、増援は期待できない!」
状況は帝国軍の大部隊がスリーパーゾイドと2体の新型ゾイド「ガンスナイパー」と2連装ロングレンジキャノンを装備したコマンドウルフAC
そしてその後方を陣取るゴジュラスを追い詰めており、状況は切羽詰っていた。
「撃て撃てぇ!」
「ゴジュラスを沈めれば我々の勝ちだ!」
「ハーマン大尉の言う通り来てよかったわ。」
到着したアオイは崖の上から戦況を観察していた。
「確か、あれはブルーユニコーン隊ね。新型ゾイドの実験部隊って聞いてたけど・・・この戦況じゃ。駆り出されたわけね。」
分析をある程度済ませ
「行くよ、ゼロ!」
ライガーゼロで崖を駆け下りる。
「ザン、ティータ!ここはワシに任せて後退しろ!」
「できません!隊長を置いて逃げるなんて!」
「ティータ上だ!!」
「え!?」
コマンドウルフACから聞こえたザンの声から一瞬遅れて上を見ると
足の鍵爪を光らせたゾイドがガンスナイパーに襲いかかろうとしていた。
「まずい!!」
「ティータぁぁぁ!!」
ザンとゴジュラスに乗ったアルバーンが、最悪の結果を頭によぎらせ
その直後、襲ってきたゾイドは地面に倒れていた。
「な、何!?」
「間に合ってよかったわ」
ティータの目の前には、ライガーゼロがいた。
ガンスナイパーに攻撃が当たる直前で、体当たりで攻撃を防いたのだ。
「な、何だぁこのゾイド!?」
「紅いライガータイプ・・・シールドライガーMk-Ⅱではない・・・一体・・・!」
「あなた、大丈夫?」
「え、あ・・・はい、なんとか」
ティータは突然のことで戸惑い、返事が遅れてしまう。
「あれってレブラプターよね・・・実戦配備ってまだ先じゃなかったかしら?」
アオイの呟きに、ザンが強く反応した。
「レブラプター!?あれがあのゾイドの名前か!?」
「ええ、そうだけど?」
「よく知っているな。見たところ帝国軍の新型っぽいが、お嬢ちゃん何で知ってるんだ?」
アルバーンの疑問に、アオイは少し冷や汗をかく。
「あ・・・いえ、たまたま帝国領にいた時に見かけただけよ・・・」
アオイは内心焦っていた。
彼女は帝国軍人時代に資料で見たことがあるから、知っていた
だから自然とレブラプターの名前が出てしまったのだ。
(あっちゃー私としたことがうっかりしたわ・・・)
疑われていないか心配している矢先
帝国軍が攻撃を再開した。
アオイとブルーユニコーン隊の周囲に着弾し怯む
「悠長に話している場合じゃないわね。」
「待て、お前さん一体」
「事情は後で話すわ!まずは帝国の部隊を無力化する!」
アオイはゼロを敵陣に突っ込ませ
「うわぁぁぁぁ!?」
モルガを数体弾き飛ばし
「は、早い!?」
レッドホーンの武器を食い千切り、次々と帝国のゾイドを倒していく
その光景に、ブルーユニコーンの面々は見ていることしかできなかった。
「す、すごい・・・!」
「あのお嬢ちゃん、ただのゾイド乗りじゃないな・・・」
「分かるぜ、俺には・・・」
ただ一人、ザンは嬉しそうな表情でライガーゼロの戦いを見ていた。
「あのゾイド、乗り手と一緒に戦えている事を喜んでいる」
アオイは、次のターゲットをレブラプターに絞り込んでいた。
「新型相手でも、私とゼロなら・・・勝てる!!」
アオイに呼応する様に、ライガーゼロは咆哮しながら爪を輝かせる。
少し怯むレブラプターだったが、すぐにカウンターサイズを展開しライガーゼロ目掛けて突っ込む。
「ストライクレーザークロォォォォ!!」
ストライクレーザークローがレブラプターの背部に炸裂
カウンターサイズが砕け、レブラプターはその場で倒れた。
「ひ、退け退けぇぇ!!」
「後退して第一装甲師団と合流するぞ!!」
帝国軍は後退 撤退していった。
一仕事終えたアオイはため息をつき、アルバーンの声が聞こえてきた。
「救援に感謝する。俺の部下を助けてくれてありがとう!」
「礼には及ばないわ。」
「すっげーよさっきの戦い!世界には俺たちの知らねぇゾイドがまだまだいるんだな!!」
「ちょっとザン!はしゃぐのは事情を聞いた後にしなさいよ!」
子供の様にはしゃぐザンだったが、ティータに咎められ黙り込む。
「助けていただいてありがとうございました。それで、何故あなたがここに?」
「ハーマン大尉から伝言を預かってるの。」
「ハーマン大尉から?一体・・・」
アオイは、帝国が海から首都へ侵攻してきていることをザン達に話した。
「帝国軍が!?」
「なるほど、確かに盲点だった。偽装艦に電波妨害・・・帝国軍め、手の込んだことを」
「早くニューヘリックシティに向かわないと!」
「ええ、マウントオッサにいる他の部隊も向かっているはずだから、行きましょう」
アオイとブルーユニコーンはすぐにニューヘリックシティへ急いだ。
その道中で、アオイは帝国軍兵士が口にした事で考えていた。
「第一装甲師団・・・マウントオッサの陽動部隊はシュバルツ少佐だったなんて・・・」
何処か胸騒ぎを覚えながらも
アオイはニューヘリックシティへ向かっていく
そして
哀しき別れが 訪れる
お待たせしてすみませんでした。何とか続きを投稿しました。
ロットティガーに続きブルーユニコーンも出演させました。でもキャラが思い出せないのでちょっと違うかも・・・
そういえば、このサイトの禁止事項に「原作の大幅コピー」がありますが、セーフゾーンってどれくらいなんでしょうか?これからそう言ったセリフがかなりあるので抵触しそうで怖いです。