詳細は活動報告にて
「うあぁぁぁぁぁぁぁん!!」
炎が上がる村の一角
燃え盛る教会の前に一人の少女が泣き喚いていた
その少女の後ろに3体のゾイドが近づいてきた
何かと思い振り向いた少女の目に、銀と金のセイバータイガーが映る。コクピットが開き、それぞれから帝国軍の軍服を着た初老の男が3人降りて、少女に駆け寄る。
「大丈夫か?」
「ケガはないようだが・・・何があったんだ?」
少女は顔を上げ、帝国軍の男達を見ながら口を開く
「と、盗賊が襲ってきて・・・畑の野菜みんな持ってって・・・そしたらゾイドで攻撃して・・・先生も、友達もみんな・・・!みんなぁ・・・!!」
話していく内に、目の前で起きた惨状を思い出し、少女は再び泣き叫んだ。
断片的でも何が起こったのか察した男達は、拳を震わせ沸き上がる怒りを抑える。
「おのれ・・・!外道共め!」
「断じて許すわけにはいかん!」
「未来ある若者達の命を奪った報い・・・己が命で贖ってもらおう!」
3人は腰に挿したサーベルを抜き、空に向けて掲げる。
「偉大なる帝国軍の名に懸けて!」
「ツェッペリン皇帝陛下の名誉に懸けて!」
「一人の少女の涙のために!」
「「「今、再び戦わん!!」」」
3人の帝国軍兵士・・・戦士達の声高らかな宣言を見て、少女は見惚れていた。
先ほどまでの悲しみを忘れるほど、目の前の男達を・・・
そして、年月は経ち・・・
「これが今のガイロス帝国軍なのか・・・空しい勝利だ」
戦士達は、風の都を襲撃して帝国軍部隊を殲滅し終えていた。
そして、今の腐敗しきった帝国軍に呆れを通り越した感情を抱いていた。
「あいつが逃げ出したって話も頷けるな」
「動機が違うだろ・・・だがあいつも内心、帝国軍を見限りたいと思っていただろう」
「・・・今頃、お前は何処で何をしているんだろう・・・アオイ」
3人の戦士、グロスコフ、ビーピー、ワグナーはアオイを・・・あの時、助けた少女を思い、空を仰ぐ・・・
その頃、件の少女は・・・
「やれやれ、目立つなって言ったのに・・・」
「勇者の谷の話聞いて、いてもたってもいられなくなったってところね」
崖に伸びた木の枝に引っかかったバンを見上げていた。
アオイ達は帝国軍の警戒網を避けるため、勇者の谷と呼ばれる場所を進んでいた。
勇者の谷は、戦前に各国から優れたゾイド乗りが選出され、その力と技を競い合った時代があった名残がある場所だった。
その話を聞いて、バンは目を輝かせていた・・・で、その時使われた闘技場が見えるかもとゾイドを隠す布カバーをパラシュート代わりに上から見ようと試みた。
が・・・思いの外風が強く、予想以上に舞い上がってしまい、括り付けたロープが切れて空を舞い・・・今の状態になっている。
そんなバンをそっちのけに、次の移動先をルドルフ達が相談していた。
「すぐ近くに村があります、あそこは昔から非武装地帯ですから、さほど危険はないでしょう」
「その村なら私も知っているわ、いいところよ」
「なら次の行き先は決まりだな」
「オイいつまで話し合ってんだ!早く助けてくれよ!!」
バンが枝から抜け出そうと暴れるが、その拍子に枝が折れて落下してしまう。ジークが受け止めようと向かったが・・・
「どえ!?」
「・・・グオ・・・」
全く見当違いのところに行ってしまい、バンは地面に叩きつけられ、ジークが冷や汗を垂らす。
「ジーク・・・あんたわざとやったの?」
「グオ!?グァッグェガイグァッグェガイ!?」
アオイにそう言われ、ジークは首をブンブン振りながら否定する。
アオイ達は歩き出し、ルドルフの言った村までもう少しのところまで来ていた。
その村は風の都とも言われ、各所に風車が回っている豊かな村となっている。その話をルドルフから聞いたバンは、元気いっぱいにはしゃぎ出す。
「ルドルフ!その村まで競争しようぜ!」
「あそこの峠を越えたら村が見えます」
「OK!じゃあ行くぜ!」
バンとルドルフが走り出し、フィーネとジークもそれに便乗し追いかけて行った。
「元気な奴らだぜ」
「でもどんな状況でも楽しめるって素敵じゃない?」
「そうね・・・風の都、か・・・」
アオイは少し暗い表情を見せた。
「そっか、ガリル高原の村のあいつらをここに・・・」
「ええ、連れて行きたかった・・・風の都なら平和に暮らしていけるはずだったから・・・」
沈んだ顔をするアオイの肩を、ムンベイが叩いて励ます。
「あの子達のような犠牲を出さないために、あんたはここまで来たんだろ?胸を張りな、あんたは間違った事をしていないんだから」
「・・・そう、ね。ありがとう、ムンベイ」
アオイは少し微笑むと、バン達を追いかけるために駆け出す。
「殿下!そんなに走ったら転んでしまいますよ!」
バン達は麓に辿り着くと足を止めた。風の都に見惚れているのだろうと、アオイは思った・・・が、実際は違っていた。
「え・・・」
その風の都が、見るも無残な姿に変わっていた。
風車も家屋も壊され、あちこちで黒煙が上がっており、住民達は村の復旧に勤しんでいた。
「風の都が・・・何で・・・」
アオイ達は麓を下りて村に行き、何が起こったのか村人達に聞いて回った。
村の人達は口々に、帝国軍がいきなり攻撃を仕掛けてきたと話した。風の都の惨状は、同胞のはずの帝国軍が招いた事だという。
それを聞いたアオイは表情を強張らせ、怒りに震える
「何処まで腐れば気が済むのよ帝国軍は・・・!!」
やり場のない怒りを覚える中、ルドルフが地面に伏せて涙を流す。
「僕の責任です、僕がもっとしっかりしていればプロイツェンに帝国を好きになんてさせなかった。この村が焼かれる事だって・・・!」
風の都が焼かれたのは自分の責任だと自身を責める姿に、アオイは慰めようと声を掛けようとするが、バンがルドルフの元に駆け寄ってきた。
「お前が落ち込んでてどうすんだよ」
バンはルドルフに村人達を見るよう促した。風の都の村人達が忙しなく働き、村を復興させている様が見えた。
「どんなに泣き言を並べようと焼かれた村は元には戻らねぇ。」
「けど、これ以上この村が焼かれない世の中にする事だったら・・・だからお前はこうやってガイガロスを目指してるんじゃないのか?」
バンに励まされ、ルドルフは涙を拭って立ち上がる。
「行きましょう、人々の笑顔を取り戻すために」
決意の籠ったルドルフの顔つきを見て、アオイは慰めようとした自分を戒めた。
「(殿下の成長に気付けないなんて、私もまだまだね。もう私が助ける必要はないのね)」
アオイ達は休むことよりもガイガロスに向かう事を優先するため、すぐに村を出て出発の準備に取り掛かる。もう少しで終わろうとしたところで、ゾイドの咆哮が聞こえてきた。
バンが声が聞こえる崖の上を見ると、そこに金と銀のセイバータイガーが現れた。
それを見たアオイが目を見開いた。
「嘘、あれは・・・あのゾイドは・・・!?」
「チッ、帝国軍のお出ましか!」
バン達が身構えると、セイバータイガーのスピーカーを通してパイロットの声が聞こえてくる。
『我々はツェッペリン皇帝陛下直属の従士隊である。帝国の命によりお前達を討伐する。この先に闘技場がある、1対1の勝負でどうだ?』
「1対1だって?面白ぇ!受けて立ってやるぜ!!」
バンがやる気満々の中、アオイだけは身体を震わせていた。そしてバンがブレードライガーに向かおうとするところを怒鳴って止めた
「駄目!!」
「ど、どうしたんだよ?」
「駄目よ・・・あの方達には絶対勝てない・・・!」
あまりの怯えようにアーバインが声を掛ける。
「何だよお前らしくもねぇ」
「いえ、アオイ姉さん通り、戦うのは危険です。」
「ルドルフまで何言い出すんだよ!?」
「彼らは伝説の三銃士かもしれません」
ルドルフは今現れたゾイド乗りについて語り出す。
伝説の三銃士・・・かつて存在したゾイド戦士の中でも最強の域に入った優れたゾイド乗り・・・それがバン達の見たゾイド乗りである可能性があると
「もし彼らが伝説の三銃士なら、いくらバンのブレードライガーでも勝ち目は・・・それと、彼らはアオイ姉さんのお師匠様でもあるんです」
「ええっ!?」
「それホントか?」
アオイは沈んだ表情で頷く。
「ええ、私は彼らに一度も勝ったことがない・・・特にあの金色のセイバータイガー・・・ワグナー叔父様に一度も攻撃を当てる事が出来なかった・・・」
「アオイでも攻撃を当てられないって・・・」
滅多に見ない弱気なアオイからそう聞かれ、ムンベイは呆気にとられる。
これまで幾度なく敵を退けてきたアオイですら、攻撃を当てられない相手・・・それを聞いたバンは
「最高だぜ!」
委縮するどころか、何処か嬉しい表情をしていた。
「アオイが勝てなかった相手・・・そんな強い奴らと戦えるなんて最高だぜ!」
「バン・・・」
やる気に満ちたバンを見て、アオイは昔の自分を思い出していた。
自分を助けてくれた最高のゾイド乗りの元で操縦を教わり、何度負けてもへこたれずに挑んだ時の事を
「(いつの頃かな・・・ここまで挑戦する事を忘れてしまったのは・・・)」
アオイは微笑みながら頷く。
「行きましょう、闘技場の場所は知ってるわ」
アオイ達はゾイドに乗り込み、三銃士の待つ闘技場へと向かった。
「ここよ」
辿り着いた場所は、円状に削れた崖に囲まれた広い空間。ゾイドが戦うには十分な広さだ。
「怖気づいて逃げ出したと思ったが」
「いらぬ心配だったようだな」
崖の上から再び三銃士が現れる。
「当たり前だろ!さあ誰から戦う?かっこつけてねぇで」
「まずは俺が行く」
戦う気満々だったバンを遮って、アーバインが前に出た。
それを見たバンが声を荒げる
「ずるいぞ!」
「もし俺がやられたとしても、お前とアオイがいる。それが正解だ」
「正解って?」
「言いたかねーが、お前等の腕を頼りにしてるって事だ」
なかなか聞かないアーバインのセリフに、アオイは思わず吹き出してしまう。
そして銀色のセイバータイガーが闘技場に降りてきた。
「貴様はこのグロスコフが相手になろう。どこからでもかかってこい」
「フン、それじゃあ遠慮なく!」
コマンドウルフが崖を駆け、跳び上がり降下しながらセイバータイガーに砲撃を加える。
砲撃を掻い潜り、セイバータイガーも崖を駆けて飛び上がり、コマンドウルフに体当たりをする。
「ぐぅ!?なんて強烈な攻撃だ」
「フン、次で決めさせてもらう!」
「ハッ、やってみろよ!!」
セイバータイガーがミサイルを発射、コマンドウルフはそれを迎撃し、辺りに爆煙が立ち込める。遮られた視界の外からセイバータイガーが接近し、コマンドウルフのロングレンジライフルを噛み千切った。
あまりの一瞬の事に、バンが驚愕する。
「う、嘘だろ・・・アーバインがこんな簡単に・・・」
「馬鹿野郎・・・そんな事じゃ他の二人には・・・」
コマンドウルフが倒れると同時にグロスコフのセイバータイガーの右肩から爆発が起こり倒れた。寸でのところで相打ちに追い込んだようだ。
その光景にアオイも驚いていた。今まで勝つことができなかったグロスコフを相打ちとはいえ、行動不能にさせたからだ。
「グロスコフ叔父様を倒すなんて・・・」
「油断しおって・・・」
「仇は取ってやるぜ、行くぜジーク」
「グォォォォ!!」
ジークは空に上がり、ブレートライガーと合体する。
「オーガノイドか・・・そんなものに頼って勝てるほど勝負の世界は甘くない!」
「別に頼ってるわけじゃない!俺達はいつも一緒に戦ってきた大切な仲間なんだ!」
「ワグナー!次は私が出よう!」
ビーピーのセイバータイガーが闘技場に降り、突っ込んでくるブレードーライガーに向かってミサイルを発射する。それを跳び上がって回避するが
「それで躱したつもりか!!」
セイバータイガーの腕を振り上げ、相手の勢いを利用して爪で引っ掻く。
「まだまだぁ!!」
「行くぞ小僧!!」
ブレードライガーはブースターを吹かし突撃を仕掛けるが、それを軽く躱したセイバータイガーは牙を向ける。それを読んだのか、ブレードライガーはブースターの向きを変えて牙を回避する。
その戦いぶりを見て、アオイは声を漏らす。
「ビーピー叔父様と互角に渡り合っている・・・!」
「やっと動きが掴めてきたぜ!」
ブレードライガーはブレードを展開、向かってくるセイバータイガーの右両脚を切断する。
「おのれぇぇぇ!!」
ビーピーは悪足掻きに腹部の機銃を発射しブレードライガーに攻撃を浴びせた。
最後の攻撃でブースターが故障、機動力が大きく損なわれた。
「流石はビーピー叔父様・・・けど、攻撃を読んで立ち回ったバンも・・・」
「ビーピーをも倒すとはな」
金色のセイバータイガー・・・ワグナーが下りてきた。
「だがその傷付いた状態ではもう戦えまい」
「これくらいの掠り傷、どうって事ねえぜ!」
バンは再び臨戦態勢に入ろうとしたところで、今度はアオイのライガーゼロが割って入って来た。
「次は私が行くわ、バンはしばらく休んでいて」
「お、オイちょっと待てよ!アオイまで!」
「・・・やはり、お前だったのか・・・アオイ・リュウガ」
「お久しぶりです、叔父様」
掠り傷すら負わせることができなかった相手を前に、アオイの手は震えていた・・・しかし、負け続けたあの頃とは違う・・・それを証明するために、アオイはワグナーに勝負を挑む。
「お前が生きていてくれた事は嬉しく思っている、だが賊に成り下がるとはな」
「叔父様も殿下が偽物だと言うのですか?」
「真意はどうあれ、帝国への勅命は絶対だ。ここでお前達を討つ」
「やれるものなら・・・行くわよ、ゼロ!」
ライガーゼロが咆哮し、セイバータイガーに向けて走り出す。その勢いにワグナーは感心する。
「ライガーゼロと言ったか、確かに並みのゾイドとは違う・・・しかし!」
セイバータイガーは軽く横に跳び、突進を回避した後、ミサイルを連射する。
「猪突猛進さは変わっていないか!」
「そんなもの!!」
ライガーゼロは崖へ向かい跳び上がり、更に崖を蹴ってミサイルを回避しつつセイバータイガーへ爪を突き立てて突っ込む。
「そこぉ!!」
「甘いわ!!」
向かってくる腕を咥えて掴み、ライガーゼロを投げ飛ばす
「きゃあ!?」
崖に叩きつけられるが、ライガーゼロはバランスを立て直して着地する。
「くぅ・・・!や、やっぱり強い・・・!」
「あの頃から少しは成長していると思っていたが・・・私の思い違いのようだな」
「見縊らないで!私は絶対に勝つ!!ゼロと一緒に!!」
ライガーゼロは爪を輝かせながら突撃し、跳び上がって爪を振り下ろす
「ストライクレーザークロー!!」
セイバータイガーも跳び上がってライガーゼロに突っ込む。互いにすれ違い、地面に着地する。
「どっちが勝ったんだ・・・!?姉さんか、三銃士か・・・!?」
ルドルフは手に汗を握り、瞬きをする事も忘れ勝負を見ていた。
そして・・・ライガーゼロは倒れた。
「アオイが!?」
「そんな、姉さんがこんな簡単に負けるなんて!?」
セイバータイガーの口には、折られたライガーゼロの牙が咥えられていた。すれ違った一瞬でライガーゼロの攻撃を躱し、牙をへし折ったのだ。
「また・・・届かなかった・・・!」
「・・・先ほどの発言を撤回しよう・・・成長したな」
嘆くアオイを励ますように言ったワグナー
彼のセイバータイガーの右肩アーマーが抉れていた。
致命傷には至らなかったが、アオイは初めて、師であるワグナーに一撃加えられた。
「すごい!あの一瞬で攻撃を当てるなんて!」
「けど相打ちじゃない・・・セイバータイガーはまだ戦えるわ」
「アオイ・・・お前の分まで戦うぜ!」
ブレードライガーは、再びワグナーの前に出るが、未だにダメージは残っていた。
「威勢は良いが、その傷付いた状態では戦えまい?」
「へっ、オッサンも似たようなもんだろ?さあ、勝負だ!」
「見上げた根性だ、ただ戦いとは非常なもの、手加減はせんぞ!」
「望むところだぜ!」
互いに睨み合い、バンとワグナーの戦いが始まろうとした・・・その時だった。
空を切り裂く音が辺りに響き、ブラックレドラーの編隊が接近して来ていた。
「新手か!」
バンは敵の増援だと思っているが、アオイは違った。
「嘘・・・!叔父様達が、こんな戦いを汚す真似はしないはずよ!」
古の決闘を重んじるワグナー達が増援を呼ぶ事はしない。それを知っているアオイは、その戦いを汚しにきた帝国軍に憤慨する。
ブラックレドラーが爆撃の態勢に入るところを、ワグナーは攻撃を加えて撃墜する。
「手出し無用と言ったはずだ!!」
「味方を撃墜するとは・・・この裏切り者が!!」
「何だ?味方同士じゃないのか?」
同士討ちをしているように見えたバンが首を傾げる。その間もワグナーはブラックレドラーを次々と撃墜していく。
「我らに敗北は許されない、しかし・・・」
最後のブラックレドラーを落とし、ワグナーは声を震わせ呟く
「空しい勝利など・・・もううんざりだ・・・」
「ワグナー叔父様・・・」
古の決闘は国の思惑も入り混じっていたが、それでもゾイド戦士にとっては互いの腕を競い合い、互いを称え合えた至福の時だった。
しかし、高潔な戦いは戦争によって変わってしまった。そんな話を小さいころから耳にしていたアオイは、ワグナーの悲痛の叫びを誰よりも理解していた。
「・・・そんな事はありません!」
ワグナーは、アオイの叫びを聞き顔を向けた。
「何?」
「あれを!」
アオイが崖の上を指差した。その方向を見ると・・・大勢の人々が集まっていた。その誰もが闘技場にいるワグナーやバン達に声援を送っていた。
「頑張れ三銃士!!」
「負けるな青いゾイド!!」
その光景を目にしたワグナーは、感慨深く思い、微笑んだ。
「戦士に贈られる最高の宝は、この人々の惜しみない声援・・・また、こんな気持ちで戦う事ができようとは」
セイバータイガーの武装が次々と外されていく。アオイは感じていた、ワグナーは本気を出す・・・そして、かつて輝いていたゾイド戦士の時代に戻ったのだと
「飛び道具は一切使用しない!古の格闘法に従い、この牙のみで貴様を倒そう!」
「俺だって、ライガーの牙だけで決着をつけてやるぜ!!」
セイバータイガーとブレードライガーが駆け出し、互いに体当たりを仕掛ける。しかし、ブレードライガーがセイバータイガーの勢いに負けて吹き飛ばされる。
態勢を立て直す隙を与えず、セイバータイガーが跳び上がってブレードライガーに向かって牙を向ける。
「さらばだ!!」
これで決まると誰もが思っていた、しかし
「バァァァァン!!」
ワグナーの視界にルドルフが映ると、攻撃の手を緩めて着地してしまう。
「ルドルフ殿下・・・!」
何が起こったのか・・・バンは考える前に、セイバータイガーに牙を向ける
「うおりゃああああああああああ!!」
「っ!?」
牙が叩き折られ、宙を舞ったセイバータイガーは体勢を立て直し着地するが、力尽きて倒れる。
「伝説の三銃士相手に、バンが勝った!!」
「ワグナー叔父様を・・・倒すなんて・・・」
今まで全く歯が立たなかったワグナーをバンが倒した事に、アオイは呆気に取られていた。
「・・・勝者の特権だ、トドメを刺せ」
「そんな事しねーよ!」
「何?」
「最高に燃える勝負だったぜ!オッサンたち、いつかまた俺と勝負してくれよな!!」
バンの言葉に、ワグナーは古の決闘の頃を思い出し、静かに微笑む。
「戦いの場で他に気を取られていた私の完敗だ」
その光景を見て、アオイは一人で呟く
「いつの間にか、追い抜かされちゃったわね・・・」
アオイとワグナー達はゾイドから降りて、何年振りかの再会を果たす。
「叔父様・・・今までご心配をお掛けして申し訳ありません」
「いや、お前さんが無事でいてくれてよかった」
「ここまで腕を上げてくるとは思わなかったぞ」
「しかし跳び上がる癖は相変わらずだな」
「誰に似たんだろうな?」
ワグナー達が笑い合う中、アオイは涙を流しながらワグナーの胸に顔を埋める。
「会いたかった・・・ずっと・・・!」
「ああ・・・私もだよ。我々の大事な娘よ」
ワグナーはアオイをそっと抱きしめる。バン達はその光景を見ながら笑顔になり、崖の上にいた人達は拍手をする。
そして・・・アオイ達の長い旅が、一つの区切りを迎えようとしていた。
アニメファンなら誰もが記憶に残っている三銃士・・・あれだけ人気がありながらあの一話限りと思うと少し残念に思います。
なのでここではちょくちょく登場させようと画策しております