ZOIDS 紅の獅子   作:モルヤパ

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第24話 帝都炎上

アオイがバンと別れて引き返している中、ルドルフ達も動き出し、プロイツェン親衛隊の攻撃に見舞われるも、帝都に向かうために突破を図っていた。皇帝の専用機であるロイヤルセイバーにルドルフが乗り、敵の攻撃を掻い潜って行くが、帝都まで目前というところで戴冠式が始まる鐘が鳴った。

 

あと一歩のところで、プロイツェンの皇帝就任を阻止できなくなってしまった。

 

「間に合わなかったか・・・」

 

「皆さん、ありがとうございました。こんな僕のために」

 

『never give up!!』

 

諦めムードを切り裂くように、空からストームソーダーが現れる

 

『天定まって亦能く人に克つ!翼の男爵アーラバローネただいま参上!!誇り高き嵐の刃、ストームソーダーを恐れぬならば、かかってくるがよい!!』

 

「あ?またあいつらか」

 

「一体何者なのよ、あいつら」

 

『ルドルフ殿下!いざ戴冠式へ!』

 

ストームソーダーが降りてきて、ルドルフを乗せて帝都へ向かい飛び去って行く。

それを見届けたアーバイン達は、プロイツェン親衛隊に包囲された。

 

「ねえ、私達はどうやって脱出するのよ?」

 

「殿下の命さえ助かればそれでいい、我らの命など安い物だ」

 

「あんたが納得できても、こっちは納得できねえんだよ!」

 

覚悟を決めたような態度を見せるホマレフに、アーバインは怒鳴りつける。親衛隊の攻撃が始まろうとしたが、そこに別方向からの砲撃に遭い、足を止める。

 

「何!?」

 

何事かとハーディンが砲撃が飛んできた個所に視線を移すと、ゾイドの大群が土煙をあげて向かってきているのが見えた。シールドライガーやコマンドウルフ、ゴルドス等の共和国軍だった。

 

「おお!ルイーズ大統領に頼んでいた応援部隊が来てくれた!」

 

「よぉご苦労さんご苦労さん」

 

ドクターディが呑気そうにグスタフの方へと歩いてきた。

 

「ディ爺さん助かったよ!」

 

「馬鹿野郎!遅すぎるんだよ!」

 

「撃て撃てぇ!!」

 

部隊の指揮官として来たハーマンが号令を出すと同時に、共和国軍のゾイドが親衛隊に向かって砲撃を浴びせていく。

 

「小癪な!」

 

『ハーディン准将!共和国軍の戦力は圧倒的です!一旦帝都に退避して態勢を整えましょう!』

 

「退却だと!?ふざけるな馬鹿者!!ここを死守するんだ!!」

 

『フン、その忠誠心だけは褒めてあげるわよ。ハーディン准将閣下』

 

撤退を進言する部下を一蹴して怒鳴ると、通信からアオイの声が響いてきた

 

「この声は!?」

 

レブラプターが次々と跳ね飛ばされ、何者かが近づいてきた。レブラプターが多数弾き飛ばされ、そこからライガーゼロが躍り出た

 

「ライガーゼロ!」

 

「アオイか!」

 

「リュウガ准尉!ご無事でしたか!」

 

「遅くなりました、それで殿下は?」

 

「アーラバローネなる者達の銀色の飛行ゾイドに同乗し、帝都に向かわれました」

 

「アーラバローネ?またあいつらが」

 

「ていうかバンはどうしたんだよ!?」

 

「話は後!ここを突破するわよ!」

 

アオイはライガーゼロを走らせ、ハーディンが立ちはだかる橋へと向かう

 

「おのれ前皇帝暗殺の大罪人が!」

 

「まだそんな事言ってるの?ホントお笑いね」

 

「黙れ!ここで貴様を始末する!!」

 

ハーディンの駆るアイアンコングはミサイルランチャーを連射する。飛んでくるミサイルを躱しつつ、ライガーゼロは接近しながら爪を輝かせる。

 

「おのれ!貴様がいなければルドルフを容易く葬れたものを!!」

 

「私がいなくても結果は同じだったわよ?」

 

ライガーゼロは飛び上がり、爪をアイアンコングの頭部に向ける

 

「さようなら、プロイツェンの腰巾着」

 

「プロイツェン閣下ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

ライガーゼロの爪がアイアンコングの頭部を切り裂き、倒れたと同時に共和国軍の砲撃に晒され、跡形もなくなった。

 

「急ぎましょう!プロイツェンはデスザウラーを復活させたの!」

 

「何、デスザウラーじゃと!?」

 

「それが本当なら一刻の猶予もない、帝都へ急げ!」

 

親衛隊を抑えた共和国軍より先行し、アオイは帝都へ急行する。戴冠式の会場になっている宮殿から、黒く巨大な物体が現れる。

 

「あれは・・・デスザウラー!」

 

デスザウラーが口を大きく開け、荷電粒子砲を放った。その目標は共和国軍で、先行していたシールドライガーの部隊が一撃で蒸発した。

 

「見たか諸君!これが我らの科学の髄を結集し、復活を果たしたデスザウラーの威力だ!我々は最強の力を手に入れたのだ!」

 

プロイツェンはデスザウラーの肩に乗り、民衆に向かって演説を続けていた。そこにストームソーダーが宮殿の門前に降りたつ

 

「やめろプロイツェン!!」

 

「フン、ルドルフか・・・今更来たところでもう遅い!ガイロスの指輪はここにある、この私がガイロス帝国の皇帝なのだ!」

 

「それでも構わないさ!けどみんなはそんな力を望んではいない!これ以上、国民を無益な争いに巻き込まないでくれ!!」

 

「黙れぇ!もはや帝国は私の物だ!私がどうしようと勝手だ!!」

 

デスザウラーは巨大な脚を持ち上げて歩き出す。周囲に居た帝都の市民が逃げ惑う。

 

「プロイツェェェェェェェェェン!!!」

 

デスザウラーを止めるため、ライガーゼロは跳び上がってプロイツェン目掛けて突っ込む。

 

「アオイ・リュウガめ、何処までもしつこい奴よ!!」

 

デスザウラーは左腕を動かし、プロイツェンを守る様に翳してライガーゼロの攻撃を受け止める。

 

「くぅ!?」

 

「東洋の没落種族如きが!!貴様がいなければ前皇帝を早々に始末できたものを!!」

 

「東洋の・・・?何よそれは!?」

 

「貴様が知る必要はない!ここで死ねぇ!!」

 

デスザウラーが動き出す前に、後方からガトリング砲を浴びせられた。

宮殿から帝国軍第一装甲師団のゾイドが現れる。

 

「本性を現したなプロイツェン!」

 

「シュバルツ少佐!」

 

「貴様がやっているのは帝国のための戦いではない!単なる破壊と殺戮だ!!」

 

「フン、その通りだ。強大な力を持った者こそが、この星を支配する権限を持っているのだ。貴様らにはそれが分からんのかぁ?この力を前にしてもまだ、この私に従わんのか?」

 

開き直りにも狂っているようにも見えるプロイツェンの持論に、シュバルツは苦い表情をする。

 

「化け物め・・・!もう何を言っても無駄か」

 

デスザウラーは荷電粒子砲を帝都に向けて発射する。家屋が焼かれ、辺り一面が火の海を化す。

 

「フハハハハ!!燃えろ燃えろ!何もかも燃え尽きてしまえ!!」

 

「何としても止めるぞ!!」

 

「ええ、あいつだけは絶対に倒すわ!」

 

ストームソーダーがデスザウラーを後方からミサイル攻撃を加えるが、直撃にも関わらず傷一つつかなかった。逆にレーザー機銃を浴びせられて墜落した。

 

そこに共和国軍が到着し、照準をデスザウラー頭部に合わせる。

 

「これよりデスザウラーを攻撃する!包囲陣形のまま集中砲火!後方支援を怠るな!!」

 

高火力の砲撃がデスザウラーに浴びせられ、大爆発を起こす。

 

「やったぁ!!」

 

「いやまだだ!!」

 

アーバインの言う通り、デスザウラーの頭部装甲が破壊されただけで、いまだ健在だった。そしてゆっくりと下を向く。

 

「いけない!ムンベイ逃げて!!そこはデスザウラーの射線よ!!」

 

アオイが警告するがそれも遅く、デスザウラーは頭部のビーム砲を連射、グスタフの方へ向かう。

 

「うわあああああああ!?」

 

グルタフに着弾するかと思う所で、ブレードライガーが現れ、シールドを展開しグルタフを守った。

 

「ブレードライガー!」

 

「遅かったな?バン。買い食いでもしてたのかよ?」

 

「その様子だと、レイヴンに勝てたようね」

 

「すまねぇ、待たせたな!」

 

「ご無事で何よりです」

 

「遅れた分、きっちり取り返すぜ!行くぜジーク!」

 

「グオォ!!」

 

ブレードライガーは地を駆け、真っ直ぐデスザウラーへと向かった。

 

「俺はお前なんかに絶対に負けねぇ!」

 

「フン!ダン・フライハイトの息子か・・・レイヴンめ、しくじったな」

 

デスザウラーは腹部にあるビーム砲を連射しブレードライガーに浴びせる。巧みにビームを掻い潜り、ブレードライガーはデスザウラーに向かって跳び上がる。デスザウラーは尻尾にエネルギーを集中させて振るい、衝撃波としてエネルギーを放ちブレードライガーを吹き飛ばす。

 

「くそっなんて強さだ!近づく事すらできねぇ!」

 

「お前の攻撃パターンは父親そっくりだな?」

 

「父ちゃんと!?」

 

「冥土の土産に教えてやる、お前の父親、ダン・フライハイトを殺したのは・・・この私だ」

 

「な、何だって!?」

 

プロイツェンから、自分が父親の仇であると告げられ、バンは驚愕する。

 

プロイツェンは、ダンの部隊がオーガノイドを発見したとの情報を得て、たった数体の共和国ゾイドを相手に3個師団という圧倒的な物量で攻撃を仕掛け、ダンを戦死させたと語った。

 

「大人しく言う事を聞いていれば、死なずに済んだものを」

 

「お前・・・お前がぁ!!!」

 

父の仇を前にバンは声を荒げるが、デスザウラーの頭部ビームを浴びせて黙らせる。

 

「私は全てを手に入れる!シャドーも、帝国も・・・そしてこの惑星Ziも、いずれは私の物だ」

 

「お前だけは倒す!倒してみせる!」

 

「ハッ!お前は無力だ!父親と同じように、この私に殺されるがいい!!」

 

殺気の籠った眼光で言い放つプロイツェンを相手にバンが激昂、複座にいたフィーネはそんなバンを応援する。

 

「バン!貴方ならデスザウラーを倒す事ができるわ!みんなを、帝国を・・・いいえ!この惑星Ziを守るためにプロイツェンなんかに負けないで!」

 

「愚かなものだ・・・貴様らに勝機など、毛筋ほどもない」

 

それを嘲笑うプロイツェンを黙らせるように、デスザウラーに砲撃が浴びせられる。

そこには、アーバインのコマンドウルフと、ムンベイのグスタフがいた。

 

「一人でカッコつけてんじゃねえぞ?」

 

「あたし達がいる事を忘れないで欲しいのよね?」

 

続いて、シールドライガーとロイヤルセイバー、ライガーゼロがブレードライガーの傍まで来た。

 

「おいミラクルボーイ、もう一度俺達の前で奇跡を見せてみろ」

 

「バン、あいつに本当のゾイドの乗り方を見せてあげましょう!」

 

「こんなところで挫けてられないわ、プロイツェンの鼻っ柱を一緒にへし折ってやりましょう」

 

「みんな・・・」

 

仲間達に励まされ、ブレードライガーは立ち上がる。

 

「よし、行くぜみんな!!」

 

「おう!!」

 

「みんなで、あのデスザウラーを倒すんだ!!」

 

「ええい!!煩わしい虫けら共め!!」

 

苛立つプロイツェンに応えるように、デスザウラーは尾のミサイルハッチを開き、ミサイルを斉射、上空で爆発させて鉄杭を振らせる。

 

「危ない!散れ!!」

 

「フン!それでデスザウラーの攻撃を避けたつもりか!!」

 

続いて荷電粒子砲を放ち、Eシールドを展開するシールドライガー部隊に向かって攻撃、シールド越しにも関わらず、シールドライガーは蒸発した。

 

「シールドが全く役に立たないなんて・・・」

 

「オイオイ、少し桁違いじゃねえのか!?」

 

「ああ、あのデスザウラーを倒すには、後10個師団必要だな」

 

「くそっ!どんな操縦をしているんだプロイツェンは!」

 

「操縦何てしていないわ、プロイツェンはデスザウラーの邪悪な意識に取り込まれているのよ」

 

デスザウラーに死角も弱点もなく、装甲もグスタフ以上にあり、手の打ちようがないように見えた。しかし、ドクターディは体内のゾイドコアを狙えば勝機があると分析していた。

 

デスザウラーのエネルギー源は、他のゾイドから抜き取ったゾイドコアであり、故に通常の数倍圧縮されたゾイドコアが腹部にあると告げた。そこを破壊すれば、内部爆発を起こし、デスザウラーを倒す事ができると

 

「けどそんな真似ができるのは・・・」

 

「そう、分厚い装甲をも切り裂く鋭いブレードを持ち、かつ迅速な動きができるものでなくてはならない。ここにあるゾイドでそれが可能なのは・・・ブレードライガーしかない」

 

「今の話、本当なんだろうな?ディ爺さん」

 

バンは快く引き受けるが、デスザウラーに迂闊に近づく事ができない状況にあった。ジェノザウラーとは違い、荷電粒子砲の向きを自由に変えられる上に、何発でも連発が可能だった。

 

そこにフィーネが、荷電粒子砲を止める手段を提案する。

 

「荷電粒子砲を撃たせない方法はあるわ、背中にある荷電粒子供給ファンを止めればいいの。そうすれば荷電粒子を集められなくなって、荷電粒子砲が撃てなくなる」

 

「なるほど、その手があったか!エライぞフィーネ!」

 

「ならばその役目、我々に任せてもらおう」

 

墜落していたストームソーダーが復帰し、アオイ達の頭上を飛び交う

 

「あのデカイ扇風機を止めればいいんでしょ?take is easyよ」

 

「しかしそのために5秒間だけ動きを止めて欲しい」

 

アーラバローネからの要請にアーバインとアオイが名乗り出る。

 

「5秒か・・・だったら楽勝だ!俺がやってやる!トドメは任せたぜ?バン!」

 

「私も行くわ!決定打にならなくても、装甲を脆くする事はできる!」

 

「待て、ライガーゼロはともかくコマンドウルフじゃ5秒も持たん、こいつに乗って行け。今しがたゴジュラスが到着した!」

 

ハーマンの言う通り、アオイ達の後ろからゴジュラスが数体姿を見せた。

 

「ゴジュラス・・・俺が乗ってもいいのか?」

 

「ああ」

 

「僕も協力します!援護は任せてください!」

 

「よし決まりだ!やるぞみんな!!」

 

作戦が決まり、ゾイド乗りもゾイド自身も戦意を鼓舞させた。

 

「総員、デスザウラーに集中砲火!全弾使い切っても構わん!荷電粒子砲を撃つ暇を与えるな!!」

 

「了解!!」

 

オコーネルの号令と共に、ライトの駆るアロザウラーを先頭に砲撃を開始した。

 

「行くぜティータ!遅れんなよ!」

 

「ええ!」

 

「ここが正念場だ!死ぬなよ!!」

 

ブルーユニコーン隊のシールドライガーDCS-J、ワイルドヴィーゼルを装備したガンスナイパー、ゴジュラスも攻撃を開始する。

 

「総員攻撃開始!共和国軍に後れを取るな!!」

 

シュバルツの第一装甲師団も便乗し攻撃を開始する。別方向からも帝国軍の増援が現れる。

 

「ザンに借りを作らせるわけにはいかないんでな!」

 

「前々から気に食わなかったが、ここまでだったとはな?プロイツェン!」

 

「我々ロットティガーは帝国の平和のため、デスザウラーを撃つ!攻撃を開始しろ!!」

 

ロットティガー隊のセイバータイガーAT、ダークホーン、アイアンコングPKも参加し、デスザウラーを攻撃した。

 

集中砲火を浴びるデスザウラーに、ハーマンとアーバインが駆るゴジュラスが接近する。

 

「フン、ゴジュラスか。たった数体で何ができるというんだ」

 

そのゴジュラスの後方に、積極的に前に出て攻撃するロイヤルセイバーがいた。

 

「バカ、ルドルフ!お前は後方から援護しろ!」

 

「嫌です!僕もバンのために、何か役に立ちたいんです!」

 

「それでこそ、ガイロス帝国の皇帝陛下です」

 

ゴジュラスの間を縫うように、ライガーゼロがデスザウラーに向かって駆け出す。

 

「フ・・・やんちゃな皇帝陛下だ」

 

「フン、雑魚共が・・・まとめて片付けてくれる」

 

デスザウラーは尾部のミサイルハッチを開く

 

「あのミサイル発射口を狙え!!」

 

デスザウラーの後方にいた帝国軍ゾイドが、ハッチが開いた個所へ砲火を浴びせ、ミサイルが誘爆すると、ダメージが効いたのかデスザウラーが怯んだ。

 

「今だ!!」

 

その隙をつき、ゴジュラスはデスザウラーの脚へと向かう。

 

「まだまだ!!」

 

攻撃を受けながらも突っ込み、デスザウラーの両脚に組み付いた。

 

「今だ!アーラバローネ!」

 

「愚かな、それでデスザウラーの動きを封じたつもりか?」

 

腹部ビーム砲が薙ぎ払うようにゴジュラスに浴びせられ、頭部が切断される。

 

「いかん!アオイ!奴の動きを止めろ!」

 

「はい!!」

 

ライガーゼロは爪を輝かせ、デスザウラーの腹部目掛けて跳び込んだ。

 

「ストライク!レーザークロォォォォォォ!!!」

 

ライガーゼロの爪が腹部に直撃し、デスザウラーが停止する。その隙を突き、アイアンコングが接近し、右脚の関節部に腕をねじ込ませ

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

腕を引きちぎり、デスザウラーの動きを封じた。

 

「やった!これで」

 

「小癪なぁ!!」

 

腹部に組み付いたライガーゼロを、デスザウラーは左腕の拳をぶつけて弾き飛ばす。

ストライクレーザークローを受けた腹部の装甲に亀裂が走っていた。

 

「行くよ!トリプルソード、ファイヤー!!」

 

荷電粒子供給ファンに向けて、ストームソーダーは両翼と頭部のソードを発射する。

 

「ほう?考えたな、だがそんなもの」

 

デスザウラーは尻尾の衝撃波で飛来するソードを弾き飛ばし、余波をストームソーダーにぶつけた。

 

飛ばされるストームソーダーの陰から、もう1機のストームソーダーがソードを発射し、荷電粒子供給ファンに命中させた。

 

「荷電粒子供給ファンの停止を確認、離脱する!」

 

デスザウラーの荷電粒子砲を防いだ・・・千載一遇のチャンスが訪れた。

 

「よし、今だバン!」

 

「待ってました!行くぜジーク、フィーネ!」

 

ブレードライガーはブースターで加速し、ブレードを展開しデスザウラー目掛けて突っ走る。

 

「アオイがデスザウラーに付けてくれた傷がある!そこを狙うぞ!」

 

「グオォォォ!!」

 

徐々に追い詰められ、プロイツェンに焦りが見えてきた。

 

「くぅ・・・!どうしたデスザウラー!?貴様はそれでも史上最強と謳われたゾイドか!!」

 

意地を見せる様に、デスザウラーは荷電粒子供給ファンを無理やり回転させ、刺さったソードが軋みをあげる。

 

「ファンが!?」

 

「間に合うのか!?」

 

ブレードライガーはシールドを展開し、攻撃の態勢に入る。

しかし・・・ソードが吹き飛び、荷電粒子供給ファンが再び回転を始めた。

 

「フハハハハハハ!!それでこそ破滅の魔獣、デスザウラーだ!!荷電粒子砲を発射しろ!!虫けら共を焼き殺せ!!」

 

再び荷電粒子砲のチャージが始まり、デスザウラーの口腔が激しく光り出す

 

「バンよせ!!突っ込むなぁ!!!」

 

アーバインの制止は届かず、ブレードライガーはデスザウラーに向かって跳び上がる。

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「死ねぇ!!!」

 

デスザウラーの荷電粒子砲が、ブレードライガーに浴びせられた。

 

「バン!!」

 

ルドルフを始め、全員が悲観になっていたが・・・アオイとライガーゼロだけは違っていた。

 

「殿下、心配いりません・・・バンは大丈夫」

 

アオイに応えたかのように・・・荷電粒子砲のビームが裂け、そこからブレードライガーが見えた。その光景にプロイツェンは驚愕した。

 

「ば、馬鹿な!?何故、荷電粒子の中で平気なんだ!?」

 

「そうか!ブレードライガーのブレードは電子レベルの微小な振動が起こっているんだ!それを荷電粒子を拡散させているんだ!」

 

ドクターディの難しい分析を代弁するように、ムンベイが呟く

 

「まるで・・・荷電粒子を引き裂いているように見えるわ」

 

「すごい・・・すごいですよ、バン!」

 

「やるなあいつ」

 

「そう・・・バンなら絶対に勝てると信じていた・・・だって、私よりも強いんだから・・・ね、ゼロ?」

 

ライガーゼロはアオイの想いに同調し、共にバン達にエールを送る様に、大きく咆哮した。

 

「そんな・・・馬鹿な・・・」

 

余裕をなくしたプロイツェンが狼狽えだし、デスザウラーも荷電粒子砲の勢いが弱まり出した。

 

「デスザウラーがパワーダウンしていくわ!ここで一気に勝負よ!!」

 

「グオォググァ!!」

 

「いっけええええええええええええええええ!!!」

 

ブレードライガーはブースターでさらに加速し、荷電粒子砲を突破してデスザウラーの腹部へ向かい

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

デスザウラーを貫き、ゾイドコアを破壊した。

 

「何故だ・・・何故この私が・・・虫けら共に敗れねばならんのだ・・・・・・何故だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

プロイツェンの断末魔と、デスザウラーの悲鳴が辺りに木霊する。

デスザウラーの全身が爆発を起こし徐々に崩れ落ち、最後に大爆発を起こし・・・デスザウラーは残骸と化した。

 

「やったぁ!!バンが勝ったぁ!!」

 

デスザウラーを倒し、共に戦ったゾイド乗り達が凱歌する。

 

その空に・・・漆黒のゾイド、ガン・ギャラドがいた。

 

「フン、プロイツェンも存外大したことはなかったな?やはりこの惑星を統べるのは・・・我々、ゼネバスだ」

 

ガン・ギャラドは誰にも気づかれる事なく、空の彼方へと飛び去っていった。

 

デスザウラー戦の戦後処理が終わり、ガイガロスで共和国の要人を交えた戴冠式が執り行われた。

 

アーバインとムンベイも参列していたが・・・そこにバンとフィーネ、アオイの姿はなかった。

 

「本当にいいの?バン」

 

「俺には勲章とか柄じゃないさ・・・な?ジーク」

 

「グァグワァガグァイグェ!」

 

ブレードライガーとライガーゼロは荒野を走っていた。バン達はゾイドイヴ探しの旅を続けるために

 

「ところでアオイ、良かったのか?」

 

「何が?」

 

「ルドルフだよ、ルドルフが皇帝になったら帝国に戻れるのに」

 

「それも考えたけど、やっぱり自由気ままに旅する方が性に合ってるわ、私は」

 

それを聞き、フィーネは微笑んだ。

 

「フフ・・・アオイらしい」

 

「グァグォグイグァグィ!」

 

「なら俺達と行こうぜ!」

 

「ごめんね、少し気になる事ができたから・・・ここでお別れよ」

 

一緒に旅ができないと知り、バンとフィーネは残念そうな表情を見せる

 

「え~マジかよ」

 

「どうして?」

 

「それは秘密」

 

アオイはウィンクしながらそう言い・・・ガン・ギャラドのパイロットと、プロイツェンの言っていた事を思い出す

 

『東洋の生き残りよ』

 

『東洋の没落種族如きが!』

 

アオイの出自を匂わせる“東洋”という単語・・・旅の間も気になっていた事だった。

 

「(物心つく前から両親はいなかった・・・きっと東洋・・・東方大陸にその秘密があるかも知れない・・・)」

 

手掛かりは僅かだが、何かが分かると踏んで、アオイは別の旅をする決意をする。

 

「それじゃあね、バン、フィーネ、ジーク。また会いましょう」

 

「おう!アオイも元気でな!」

 

「またね!」

 

「グァグァグェ!」

 

ライガーゼロはブレードライガーから離れ、別の道へ走って行く

 

「さぁ、少しだけ私の我がままに付き合ってもらうわよ?ゼロ」

 

アオイを肯定するようにライガーゼロは吠え、地平線の彼方へと向かっていった

 

そして・・・

 

「ライガーゼロ・・・順調に成長しつつある・・・フフフ・・・その力、いずれは私のものだ」

 

アオイの旅は、新たな局面を迎える。

 




ゾイドイヴ編終了です。ここで一旦の区切りですね。
そして次はガーディアンフォース編・・・重要なシナリオ以外はオリジナルになるかも知れません。時間が掛かる分、色んなゾイドを使った事件等が作れるから結構楽しみ

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