ウルトラマンカイナ   作:オリーブドラブ

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暗躍編 ウルトラレディーズファイト 後編

 

 シャーロットの研究室を照らしている無数のモニターの中には、ごく一般的なテレビも紛れている。そこでは日本に居るウルトラアキレスが、怪獣と熾烈な格闘戦を繰り広げているニュース映像が中継で流されていた。

 「ミイラ怪獣」の異名を取るドドンゴの背に跨ったアキレスは、その頭上から一方的にチョップの連打を見舞っている。

 

 すでに彼の実力は、一流のウルトラ戦士と呼んでも差し支えない域に達しているのだろう。だがシャーロットはそれでもまだ、地球に迫ろうとしている「脅威」を排除するには遠く及ばないのだと「分析」していた。

 

 1年前のあの日――BURK惑星調査隊がホピス星に辿り着いた頃には、すでに惑星全域が焦土と化していたというのに。星を焼いた大爆発に巻き込まれていたはずのキングジョーは、星が滅びた後も継戦能力を維持していた。

 そのキングジョーは傷付いた状態でありながら、12人のウルトラマンとBURKセイバー隊を同時に相手取り、互角以上の勝負を繰り広げていたのである。全てにおいて、規格外であるとしか言いようがない。そして、それほどの怪物ですら、ホピス星を滅ぼした「元凶」には歯が立たなかったということなのだ。

 ここ最近は、あの12人のうちの1人である銀十字の紅き戦士(ウルトラマンメディス)が度々この地球に現れ、アキレスを手助けしているようだが。他の戦士達がほとんど現れていないところを見るに、ホピス星で遭遇した彼らを常駐戦力として数えることも難しい。

 

 ――アキレス1人が一流になったところで、何の保証になるというのか。その冷酷な評価が、シャーロットの結論だったのである。

 

 このドイツ支部も、世界屈指の科学力を活かした新兵器を続々と開発しているようだが。それらの兵器群でも、ホピス星のキングジョーすら蹴散らした「元凶」の力に届くとは、決して言い切れないだろう。

 BURKセブンガーを凌ぐ火力を誇る、ドイツ支部の最新鋭大型戦闘機――「BURKケルベロス」でも、必ず勝てるという保証は無い。その機体を駆る「ツェルベルス隊」の美しき女傑(パイロット)達が聞けば気を悪くするかも知れないが、それが事実なのだ。 

 伝説の怪物の名を冠するその大型戦闘機は今日に至るまで、このベルリンに現れた怪獣達を何体も駆逐して来た。機体そのものも、それを操る強く気高き美女達も、間違いなくドイツ支部の一翼を担う存在と言えるだろう。恐らく純粋な戦力としては、リーゼロッテとヴィルヘルミーナのBURKセイバーを遥かに上回っている。

 

 ツェルベルス隊とBURKケルベロスは紛れもなく、「最強格」と呼ぶに相応しい。彼女達はその評価に値するだけの戦果を収めてきた。それを疑う余地はない。

 だが、その戦果は全て地球に現れた怪獣に対するものでしかない。この地球の外側に犇めいている、まだ見ぬ宇宙の強者達にも通用するとは限らないのだ。ホピス星の惨状と死闘を直に目撃したシャーロットの見解としては、いかにBURKケルベロスが強力であろうとも、ツェルベルス隊が精強であろうとも、楽観視は出来ないのである。

 

「私の『過ち』を正しく理解し、それを許せないと正しく怒ることが出来る。……私はそんな人間にこそ、全てが終わった先の未来を導いて欲しいの。あなた達も、ツェルベルス隊も……こんな時代の犠牲にさせるわけには行かない」

「全てが終わるまで……僕達に、指を咥えてあなたの所業を見ていろ、とでも?」

「弘原海隊長や駒門隊員では出来ないことでしょう? 彼らも決して鈍いわけではないけれど……あなた達ほど、『大局』が見えているわけではないもの」

 

 そんな彼女が溢した言葉は、決して許容出来るものではなかった。

 仲間を愚弄するようなシャーロットの物言いに、冷酷な殺意を駆り立てられたヴィルヘルミーナと劉静は、鋭い激情に身を委ねるようにホルスターからBURKガンを引き抜く。その弾みで、爆乳美女達の熟れた果実がぶるんっと躍動していた。白く瑞々しい柔肌に、ぴっちりと隙間なく張り付いている特殊戦闘服は、その張りのある豊穣な乳房を蠱惑的に強調している。

 

「――ッ!」

 

 そして。テレビの中継映像に映されているアキレスがイーリアショットの一閃でドドンゴを粉砕し、現地の報道陣の歓声が画面越しに響き渡って来た瞬間。

 ヴィルヘルミーナと劉静は躊躇うことなく――引き金を、引くのだった。発砲の瞬間、2人の白く豊穣な爆乳と巨尻がどたぷんっと揺れ動く。男達が幾度となく喉を鳴らし、組み伏せようとしてきた極上の女体が、発砲の反動で甘い匂いの汗を散らしていた。

 

「……無礼(なめ)られたものですね。リーゼロッテも、ツェルベルス隊の皆も、その言葉を聞けば私達と同じ気持ちになるでしょう」

「僕達はあなたの思想に共感などしていなければ……理解を示した覚えもない」

 

 その銃口から放たれた二つの熱線は、白く艶やかなシャーロットの脚――の間近に着弾していた。だが、足元に光線銃を撃ち込まれても女科学者は全く動じていない。

 2人が銃を抜くことも、自分を殺すことまでは出来ないということも、全て理解しているかのような貌であった。これまで幾度となく、命と貞操を脅かされてきた経験の豊富さ故か。彼女は何もかも見透かしたような眼で、2人の爆乳美女を見つめている。

 

 ――決して許しはしない。だが、その言い分を理解出来ないわけではない。だからこそ「理解」を示すのではなく、「利用」することに決めた。

 

 それが、ヴィルヘルミーナと劉静が下した決断であった。

 そしてそれは、シャーロットの思惑通りでもあったのである。

 

「ただ、その『信念』を汲むだけのことです」

「あなたの『業』を、赦すつもりはありません」

「結構よ、それで」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 蠱惑的な微笑を崩さない女科学者に対して。その真意を知った女傑達の貌は、どこまでも冷たかった。

 

 ◇

 

 ――その後、人工ウルトラサイン発信装置「イカロスの太陽」は実証試験に成功。

 

 だが試験の成果を受けて、実用化が検討され始めた直後。ヴィルヘルミーナと劉静の告発によって、その悪辣さが露呈した運用計画は凍結。

 ほどなくして、開発責任者のシャーロットはBURKそのものから追放されてしまうのだった。彼女の美貌に執着し、殺すには惜しいと声を上げた高官達が居なければ――その頭脳を危険視され、即座に暗殺されていたことだろう。

 

 しかし、シャーロット自身にとってはそれすらも「シナリオ通り」だったのである。

 2人に告発される直前、発信装置の本体をドイツ支部から日本支部に移していたため、「イカロスの太陽」はそのまま日本支部の管轄下で封印されることになったのだ。

 

 ウルトラマンの力を兵器に利用する。それほどの悪事にも使えてしまう「イカロスの太陽」が無ければ、人類はホピス星を滅ぼした巨悪に打ち勝つことは出来ない。

 だからこそシャーロットは、せめてその力を正しく使える人間――即ち、弘原海に託したかったのである。

 

 そんな彼女の真意を理解し、その上でBURK隊員として彼女を裁くと決めた2人の女傑に、シャーロットは「イカロスの太陽」の処遇を委ねたのだ。

 その目論見通り、装置が日本支部に移されたタイミングでシャーロットの「狂気」を糾弾したヴィルヘルミーナと劉静は、彼女の「置き土産」を弘原海へと繋ぐことに成功した。

 

 質実剛健という言葉を体現してきた弘原海や琴乃では、このような清濁を併せ呑む道は選べなかっただろう。

 故にシャーロットはそれが出来る2人に、自分に引導を渡す役を任せたのだ。そしてヴィルヘルミーナと劉静も、不本意ながらその思いに応える形となったのである。

 

 その後間も無く、BURKを去ったシャーロットは事前に開発していたレーダー撹乱装置で行方を眩まし、消息不明となる。

 彼女を手に入れるために声を上げていた高官達は、ここぞというところで極上の獲物を取り逃がしてしまうのだった。張りのある豊満な乳房も、安産型の桃尻も、蠱惑的な唇も。終ぞ、誰のものにもならなかったのである。

 

 やがて。彼女達の策により「イカロスの太陽」を託された弘原海は、この数年後――世界の命運を左右する「決断」を下すことになるのだった。

 それは決して、万人から賞賛される道ではなかったが。少なくとも彼は紛れもなく、世界を救える道を選んでいたのである――。

 





【挿絵表示】


 今回は前回に引き続き、シャーロット博士の思惑を改めて掘り下げる、ちょっとしたシリアス回となりました。彼女のしでかしたことは決して許されることではありませんが、その信念無くして地球は救えなかったこともまた事実。そんなやるせない現実と向き合いながらも、精一杯正義に邁進しようとする爆乳美女達のお話となりました(´-ω-`)
 おかしい……! 私はこの3人がえちえちなピンチに遭う話を書こうとしていたはずなのに……! かくなる上はおまけイラストでそれっぽいのをお出しするしか……!(ノД`)

 また、現在は特別編で初登場したウルトラマンザインこと椎名雄介のルーツを追う、魚介(改)先生の3次創作作品「ウルトラマンザイン(https://syosetu.org/novel/291806/)」が連載中となっております! こちらの作品では、ザイン時代のイヴァンナも登場しておりますぞ!
 加えて、外星編で初登場したウルトラマンリードこと荒島真己を主人公としつつ、BURK隊員達の日常を描いた平均以下のクソザコ野郎先生の3次創作作品「荒島 真己のスキキライ(https://syosetu.org/novel/295056/)」も連載中です!
 さらに、X2愛好家先生が公開されている「命を照らす者 ~ウルトラマンメディス~(https://syosetu.org/novel/298255/)」では、外星編で初登場したウルトラマンメディスこと鶴千契にスポットを当てた物語が展開されております! シャーロットが今話で触れていたメディスの活躍は、こちらの作品でボリュームたっぷりに描かれておりますぞ! 今話で存在が明かされた「BURKケルベロス」や、その機体に搭乗している「ツェルベルス隊」の美女パイロット達についても、こちらの作品でガッツリと描かれております!
 機会がありましたら、是非こちらの作品群もご覧くださいませ〜!(*≧∀≦*)

 最近は「ウルトラ怪獣モンスターファーム」等に掛かりっきりですし、次回の更新は今のところ未定となっております。ウチのファームのBURKセブンガーはまだまだ未熟です故……。ですが、今話のようなちょっとした小話が浮かんで来る時があれば、こうして形にして行きたいなーと思っております。ではではっ!٩( 'ω' )و


Ps
 あ……ありのまま今知ったことを話すぜ! 拙作由来の2次創作及び3次創作の作品総数がすでに「20作品」を超えていた……! な、何を言ってるか分からねーと思うが、とにかく応援ありがとうございます……!((((;゚Д゚)))))))
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