S16 昼間の山中の車道
菜緒と要が乗った軽トラが車道を疾走して下山していく。
S17 軽トラの車内
要
「そう言えば、その畳んで持ってるヤツってレーシングスーツだよな?それもコスプレ用?」
菜緒
「えっ、そっそうだよ!一応、パルクール動画撮影用の予備衣装として持ってきといたの」
要
「へー」
菜緒
(ほっ、本当はトライクで来たって事は何とか誤魔化せたみたい。にしても、要ちゃんのペットだっていうゴーロンっていうゴールデンライオンタマリンだけど、さっきから落ち着いて寛ぐような仕草ばっかりで暴れも無駄鳴きも全然しないみたいだけど、いくら類人猿で知能が高くて躾が行き届いているとしても大人しすぎるような……)
菜緒、車内で寛ぐフリをしながら、要がゴーロンという名で紹介したゴールデンライオンタマリンをチラチラ視界に入れる。
菜緒
(というか、今頃になってから思い出したけどゴールデンライオンタマリンって一時的に絶滅危惧種になったって聞いたし、そういうのって条約で禁止か制限される筈だし、制限程度だったとしても そういうのは凄く高くなる筈だから、要ちゃんに そんな高級珍獣をペット用に購入する程の財力が……いや実は宝くじが当たったって線も有るかもだけど、そんな人が貰えるか不確かな謝礼金を目当てにした行動を起こしたりなんかするかなぁ?)
菜緒の視界に、道の駅までの距離と方向を示す標識が目に入る。その標識には、道の駅は軽トラが現状で進んでいる道をまっすぐ行けば着く事を示している。
菜緒
(おっ丁度いいや。道の駅ならスマホも繋がるだろうし、そこでツジーンや叶先生に此の事を報せよう)
菜緒
「ああ、要ちゃん。このまま行けば道の駅らしいから、そこでトイレ休憩できない?」
要
「ウキっ?まさか大じゃないよな?」
菜緒
「いっ!?いやいや小だから小っ!相変わらずだけど、もう少しデリカシー持とうよー?」
要
「ウキキキっ!悪かったな。そんじゃまあアタシも其処でトイレを済ますか」
菜緒
「う、うん。ありがとね」
菜緒
(そう言えば、さっきから『キー』とか『ウキ』とか言ったり『ウキキキっ』なんて笑い方してるけど、要ちゃんって、そんなキャラだったっけ?まあ、猿を可愛がる時に其の鳴き真似をしてる内に其れが定着しちゃったって線も有りうるかもだけど……)
S18 道の駅の駐車場
菜緒と要が乗った軽トラが入ってきて駐車する。
S19 軽トラの車内
要
「ウキ……っと」
要、一応はペットという事になっているゴールデンライオンタマリンの為の換気用として運転席の窓を少しだけ開けてから、軽トラのエンジンを切る。
要
「んじゃ、折角だからアタシもトイレに行っとくから、大体15分後に此の軽トラの近くに集合って事で」
菜緒
「うん、わかった」
軽トラの車内から出る菜緒と要。
S18 道の駅の駐車場
あやめ
「あれっ?ねこにゃー殿、どうして こんな所で軽トラから……」
菜緒
「へ?あっ、ツジーン!」
要
「ウキ?知り合いか?」
菜緒
「あ、うん、副業その2の同僚で……い、いやー、にしても こんな所で会うなんてねー」
あやめ
「は?なに言ってんすか、私らトライクに二人乗り……」
菜緒
「あーっ!そっかーツジーン、トライクで此処まで来たんだー!」
菜緒、この辺りまで二人でトライクに乗って来たと言い掛けたあやめの声をかき消すかのように、やや大声で捲し立てながら、あやめの側まで足早で歩み寄る。あやめの顔に自身の顔をキス直前かという程にグイッと接近させると、自身の人差し指をあやめ の口先と鼻先に当てて「しーっ」と静かにさせる為のハンドサインをする。
菜緒
「アナタは、一人で此の道の駅までトライクに乗ってきて、私と此処で出会ったのは偶然……いいね?」
菜緒、要には聞こえないようあやめに耳打ちする。
あやめ
「アッハイ」
あやめ、奈緒の有無を言わせぬような態度などに気圧されて、小声で短く返事するしか出来ずにいる。
菜緒
「あー、要ちゃん。私、もう少し我慢できそうなんで、この子と少し話してからトイレに行くから、要ちゃんだけ先にトイレまで行っといて」
菜緒、要の方へ向き直って述べる。
要
「キ、そうか。まあ、集合時間には なるべく間に合うようにしろよ」
菜緒
「うん、わかってる」
要、菜緒に少し釘を刺すような事を述べると、道の駅のトイレへと向けて歩いていく。
あやめ
「あー、それで……さっきの事といい、あの要とかいう人の事といい、いったい何が有ったんすか?」
あやめ、空気を読んで要がトイレへ入っていったのを見計らってから菜緒に質問する。
菜緒
「ああ実は……カクカクシカジカで」
あやめ
「マルマルウマウマってワケっすか」
菜緒
「うん、そうなの。ところで、ツジーンこそスマホが通じる所まで戻って先生達に聞いてから、高井山まで迎えに来る予定だった筈なのに、なんで此の道の駅に……」
あやめ
「あ、いや……実はスマホが通じる場所で先生達に連絡をとったんだけど、そ、それから……」
あやめ、少し赤面しながら恥ずかしそうな仕草をする。
菜緒
「そ、それから?」
あやめ
「あの……お、大きい方を、催しちゃって……」
あやめ、赤面して言い辛そうに述べる。
菜緒
「あ……ああ……えーと、ごめん。言いにくい事を強要させちゃったみたいで」
あやめ
「いや、いいんすよ。それで、下山した少し先に此の道の駅が有ったのを思い出して、なんとか此処まで我慢してトイレを使わせてもらって、お尻を拭き終えて外に出た先でねこにゃー殿達に鉢合わせたんっすよ」
菜緒
「なるほどねー。まあ、結果的に要ちゃんへの同行が円滑にし易くなって良かったのかもだけど」
軽トラの少し開いた窓からは、ゴールデンライオンタマリンのゴーロンが、菜緒と あやめ の二人を注視するかの如く彼女達をジーッと見据えている。
あやめ
「どうもっす。それじゃあ、この件はアタシの方で先生達に伝えておくっすから、ねこにゃー殿は要さんって人への同行を何か口実を設けて続けた方が いいっすね」
菜緒
「うん、そうする。続ける口実を考えるのが地味に大変そうかもだけどね」
あやめ
「そっ、そうっすね。あはは……」
菜緒
「うん、まあ今回も怪獣や異星人が絡んでる可能性も一応は考えて、何か おかしな事が有ったら連絡を」
要
「おかしな事って何だよ?」
あやめ
「うわったっ!?」
菜緒
「か、要ちゃん!?ず、随分と早く戻ったんだね……」
要
「当たり前だろ『小』だったんだから。ところで、何の話してたんだ?」
菜緒
「べ、別にたわいの無い話をしてただけだよー」
菜緒、冷や汗を少し流しながら繕う。
要
「ウキー……でも怪獣、とか、異星人、とかって聞こえたような気もしたんだけどなぁ」
あやめ
「いっ!?」
要
「お前らの雇い主が描いてるっていう『えむえむあーるっ!』が大体どんな内容なのかは知ってるつもりだから、そういう感じの取材を担う事も有るかもだけど、流石に怪獣やら異星人やらは『たわいもない』に含め難いんじゃね?」
菜緒
「え、えっと、気のせいだって気のせい!」
あやめ
「そっ、そうっすよ!ホントに普通の話しかしてないっすから!」
要
「ホントに?」
菜緒
「本当なの!」
あやめ
「信じてくださいっす!」
要
「ふーん、信じてくださいってのが何か必死っぽく感じたんだけど……」
あやめ
「あっ、いやその……」
要
「ウキ……キキキハッ!」
要、急に笑い出す。
菜緒&あやめ
「「え?」」
要
「キハハハハハっ!悪い、いじわる言ったりして」
菜緒
「へ……?」
要
「ちょっと悪ノリが過ぎたかな?」
あやめ
「い、いえそんな」
要
「ウキキっ、それにしても……」
要、軽トラのドアを開けて車内に居たゴールデンライオンタマリンのゴーロンを肩に乗せる。
要
「お前ら、随分と面白い顔してたぞー」
あやめ
「い、いやぁ……」
あやめ、誤魔化すように頭を掻く。
菜緒
「ひ、人が悪いよ要ちゃーん」
菜緒、苦笑を浮かべながら述べる。
要
「ウキキっ、ホーント阿保みたいに顔ゆるめやがって……ウルトラ戦士の癖してなぁ」
要、台詞の後半になるにつれて表情が悪者っぽくなっていく。
菜緒&あやめ
「「えっ!?」」
菜緒とあやめ、ウルトラシスニャーとウルトラマンピルザが自分達に憑依している事を知らない筈の要の発言に動揺する。
要
「荷台の石棺の事が気になるんだろうけど、アレの中身、封印された怪獣だから」
菜緒
「ちょっ、要ちゃん!?」
要
「ウキキッ!中身の怪獣が、我々の言う事を聞くようになる処置も済ませてある」
あやめ
「わっ、我々ぇえ?」
要
「ウキー?今は こうしてゴールデンライオンタマリンという我々に少し似た地球生物の姿をとらせてもらっているが、ゴーロン星人だ。この地球人の女に猿の脳波を混入させて操り、色々と利用させてもらった他、コイツの口を借りて今このように伝えさせてもらっている」
要、片手の親指で自身の頬あたりを指す。ゴールデンライオンタマリンこと其れに化けたゴーロン星人、要の背中上部あたりへ移動し彼女の頭部を盾にするかのように要の後頭部へ両手で しがみつく。
菜緒
「なっ!?」
要
「ウキキッと」
要、懐からボイスレコーダーを取り出して再生ボタンを押す。するとボイスレコーダーからは「ピー」という電子音が一定のリズムで断続的に流れ出す。要がボイスレコーダーの再生ボタンを押した直後から、石棺が青く発光しはじめ、それから数瞬後に其の石棺から青い光線が放たれる。
S19 道の駅から少し離れた岩山
石棺から放たれた光線が、道の駅から少し離れた大きな岩山へと照射されていく。
S20 道の駅の駐車場
菜緒&あやめ
「「あっ!」」
菜緒とあやめ、石棺から光線が放たれた事に驚いて声をあげつつ其の照射先である岩山の方を反射的に見る。
S21 道の駅から少し離れた岩山
光線が照射されていた岩山全体が一瞬だけ青く発光した直後に其の壁面で爆発が起こる。その岩山壁面を突き破りながらアボラスが岩山外へと歩み出て来て鳴き声をあげる。なお容姿はパワード版の物。
S22 道の駅の駐車場
要
「キキッ、あのアボラスっていう青い怪獣は、侵略計画的には市街地内に入ってから出したかったんだが、お前達に足止めをくわされてしまったから、近郊である此の辺で妥協しといてやる。さぁ、そのまま市街地まで進んでいけっ!」
要、ボイスレコーダーの電源を切って懐へと仕舞いながら、アボラスへと指示を出す。周りでは道の駅の客や従業員が怪獣であるアボラスの出現によって悲鳴をあげながら逃げ出している。
S23 道の駅から少し離れた岩山の近く
アボラス、岩山の近くに少し建った民家を破壊しながら市街地側へと進んでいく。
S24 道の駅の駐車場
菜緒
「っ!」
要
「ウキ?」
菜緒、パルクールの要領で近くの手摺や駐車場の他の車などを利用して要の背後に回り込み、要の後頭部に掴まっているゴールデンライオンタマリン姿のゴーロン星人を文字通り蹴落とそうとする。
要
「おっと」
菜緒
「あっ、くぅ!」
要
「んしょっと」
要、タイミング良く しゃがんで回避しつつ蹴ってきた菜緒の片脚を上手く掴みつつバランスを崩させながら、菜緒のもう片方の脚の膨脛を器用に掴んで仰向けに倒すようにしながら膨脛を片方ずつ自身の両腋あたりへ抱えてから回転をはじめ、ジャイアントスイングをかける。
要
「そらぁあっ!」
菜緒
「なっ、うわぁああぁぁああああぁあっ!うわわぁあっ!」
あやめ
「ね、ねこにゃー殿っ!」
菜緒、要からのジャイアントスイングを数回転ぶん受ける。
要
「ほいっと!」
菜緒
「わぁああっ!」
あやめ
「あっ……!」
菜緒
「ぐぅっ!」
あやめ
「がはっ!」
要、ジャイアントスイングを何度か続けたところで、そのまま菜緒をあやめ の方へ投げ飛ばす。菜緒、ジャイアントスイングされる姿勢から投げ飛ばされて、頭をあやめ の腹へ勢いよく突っ込まされてしまう。
あやめ、投げ飛ばされた菜緒が頭から自身の腹へ突っ込んできたので、腹パンならぬ腹頭突きを勢いよく受けたも同然な状態となり、苦悶の声をあげながらバランスを崩して後方へ倒れ込みながら、背後に停車されていた車の壁面に背中を叩き付ける形となる。
(ジャイアントスイングから頭側へ向けて投げ飛ばすイメージはユー◯ューブおよびニ◯ニコの『【MMD】ジャイアントスイング(virtua fighter ウルフ)』という動画)
菜緒
「うっ、くぅ……!」
あやめ
「うっ、えほっ……んっ!」
要
「ウキッウギャヒャヒャヒャヒャッ!」
菜緒と あやめ、先程のダメージに苦悶する。要、菜緒と あやめ の様を見て、ゴールデンライオンタマリン姿のゴーロン星人を後頭部に乗せたまま笑う。
笑う要の背後の上空から、見掛け上はユーリー星人(シャドウマンの主人の裏設定名)の宇宙ステーションの色違いである、ゴーロン星人の大型艦が一隻ゆっくりと降下してくる。色以外の見掛けがユーリー星人の物なのは、この大型艦自体がユーリー星製の物のライセンス生産品だから。
要
「グッヒャヒャヒャヒャヒャッ……ん、あ、うぅん……」
ゴールデンライオンタマリン姿のゴーロン星人、大型艦が一定高度まで降下してくると、姿勢自体は要の後頭部にしがみついたままで姿を波面のようにユラめかせながら姿を消して、背後の大型艦内へ自ら転移していく。それと共に、大型艦が再び高度をあげて飛び去っていく。
要、一通り笑ったところでゴーロン星人からの操作用催眠が解けて、呻き声をあげながら地面へ ゆっくりと倒れ込んでいく。
菜緒
「うっ……か、要ちゃんっ!」
菜緒、先程の苦悶から立ち直り、倒れ伏した要へ足早に歩み寄って抱き起こす。
あやめ
「ぐっ……たぶん、もう用済みになったんで、その人の体を放りだして、さっきの宇宙船へ戻ったんっすよ……!」
あやめ、同じく苦悶から立ち直りつつも先程の腹へのダメージの余韻によって少し苦しそうに話す。
菜緒
「うん……そんなところだろうね。あっ!」
菜緒とあやめ、アボラスの鳴き声が響いたので、反射的にソチラへ顔を向ける。
あやめ
「っ!ここに居たら、アタシらも危険っすね」
菜緒
「だね。安全そうな場所で先生達に報せて、ガウエジェ隊に出撃要請してもらおう!……っと、トライク2人乗りだけど、要ちゃん、どうしよ?」
あやめ
「あっ、それならアタシが其の軽トラ運転していくんで、その人を助手席に乗せましょ」
菜緒
「えっ、ツジーンって軽トラ対応の運転免許もってたの?」
あやめ
「持ってたんっすよ。さっ、これで序でにアボラスって怪獣が入ってた石棺も持ち帰られるんすから、はやく要さんって人を!」
菜緒
「う、うん、わかった!」
菜緒、あやめの言うとおり、よく考えると軽トラごと移動できるならば荷台の石棺も其のまま持ち帰られる、というのに今になって気付いて少し吃るも、返事をしながら、あやめと共に要を軽トラの助手席に乗せていく。
S25 郊外
アボラス、家々を破壊しながら市街地へ向けて進撃していく。
S26 岩牡蠣プロダクション事務所のオフィスラウンジ
自身のスマホで電話に出ている叶以外の、ユッキーと光のみ漫画制作の業務を進めている。
叶
「うん……うん、わかった。それじゃ二人とも気をつけて戻ってきてくれ」
叶、ピッという効果音と共に自身のスマホの通話を切る。
叶
「猫島君と辻凪君から連絡が入った。例の石棺をゴーロン星人なる異星人に利用されて、石棺内の巨大怪獣1体を暴れさせられてしまったらしい」
ユッキー
「えっ、マジでっ!?じゃあ、ねこにゃー とユッキーは?」
叶
「ああ二人とも無事に此処まで戻ってきているそうなんだが、猫島君の知り合いでゴーロン星人に操られていたという女性を一人 保護したので一緒に連れてくるそうだ」
ユッキー
「はあ、それなら良かった……」
叶
「ああ佐渡君。ガウエジェ隊に出動を要請してくれ」
光
「は、はいっ!」
光、自身のPCを操作してガウエジェ隊の基地に音声通話を繋ぐ。
光
「ガウエジェ隊、B地区に巨大怪獣1体 出現。なお背後に侵略異星人の存在あり。ただちに出動ねがいます」
S27 昼間の高空
合体状態なガウエジェ数機が画面斜め前へ向けて飛行してくる。
(BGM:(参照動画:ニ◯ニコの『サイレントメビウス 幻影の堕天使 【Part11】』の27:23~28:18))
S28 郊外
市街地へ向けて進撃を続けるアボラス。それより画面奥には、飛来してきたガウエジェ数機が映り込んでいる。
S29 ガウエジェ1番機のα号側コックピット内
フットレストが付いて何処となくアニメの艦長席っぽさを想起させなくもない指揮官席には隊長である駒門琴乃が座して、前部の向かって左のパイロット席には八木夢乃が座して操縦し、残り三つのオペレーター席にはモブの女性隊員達が座している。
琴乃
「二手に分かれて攻撃する。もう一手の隊は2番機の指揮で行動せよ。住民の避難が完了するまで、あのアボラスとかいう怪獣を市街地へ入れるな!」
S30 ガウエジェ2番機のα号側コックピット内
指揮官席には副長であるクーカが座して、他の席にはモブの女性隊員達が座しているのだが、琴乃の1番機と違って後部に二つ有る斜め前を向いたオペレーター席のうち片方が空席となっていて、今回の乗員が1番機より一人 少なくなっている。
クーカ
「了解。ふぅー、ったく……低階級だと定年も早いってんで迂闊に昇任試験なんか受けた所為で副長なんざに祭り上げられて、この席に ふんぞり返ってばっかで自力で飛ぶ機会が滅多に ねぇ……」
女性隊員D
「あ、あはは……当機の指揮下に割り振られた各機を続かせます」
女性隊員D、クーカの言に苦笑を浮かべながら述べる。なお彼女が座している席は指揮官席の向かって右斜め前のオペレーター席。
クーカ
「おう、よし行け!」
女性隊員E
「はっ!」
女性隊員E、クーカへ短く且つ強く返事する。彼女の席はパイロット席。
S31 郊外
ガウエジェ各機、琴乃の隊とクーカの隊の二手に分かれて順に搭載火器でアボラスへ攻撃をしかける。
S32 郊外の道端(アボラスが居る辺りとは離れた場所)
既にレーシングスーツを着用し終えている菜緒がトライクを停車させて其れに取り付けられたバイク用ナビを操作し、あやめも軽トラを停車させつつ車内に要を残して車外に出てスマホの地図アプリを操作している。
あやめ
「いやーまさか、事務所への帰り道が避難の車で、あんなに渋滞してるとは思わなかったっすねー」
菜緒
「だねー。あっ、この道なら遠回りになるけど、すいてるみたい」
菜緒、ナビの機能で渋滞になっていない道を見つけて、あやめ に告げる。
あやめ
「ん、ちゃんとトライクと軽トラが通れる道っすよね」
菜緒
「うん。古くて狭い脇道だけど、一応は車道あつかいになってるよ」
あやめ
「見せて。うん、これなら軽トラくらいは通れそうっすねー。じゃ、この道にしましょっか」
あやめ、トライクに取り付けられたナビの画面を覗き込んでから答える。
菜緒
「だね。にしても此の調子だと今回もウルトラ戦士たちの力を借りる事になるかも」
あやめ
「えっ、えぇえー……」
あやめ、露骨に嫌そうな表情などをとる。
菜緒
「い、いや何も其処まで嫌そうにしなくても……」
菜緒、あやめ の様子に少し戸惑う。
あやめ
「だって、ねこにゃー殿に取り憑いてるシスニャーは猫耳猫尻尾でスタイルいい巨乳ツインテお姉さんだから いいすっよ。でもアタシに取り憑いてるピルザは男で、しかもピザデブ体型っすよっ!」
菜緒
「そっ、そりゃまあ、そうだけど……」
あやめ
「ちょっと、アタシと ねこにゃー殿に取り憑いたウルトラ戦士が逆だったとして、それで ねこにゃー殿は積極的に変身したいと思えるか想像してみてほしいっす!」
菜緒
「うぇえっ!?そ、そう言われば、まあ確かに……」
あやめ
「そうっしょっ!?」
菜緒
「う、うん。と、とにかく……さっき見つけた道を通って、はやく事務所に戻ろう」
あやめ
「あっ、そうだった。じゃあ行くっす」
あやめ、思い出したように述べた直後、軽トラの運転席へと乗り込む。菜緒、同じくトライクの運転席へと跨がり、トライクを発車させる。
S33 郊外
アボラス、ガウエジェ各機からビームを浴びせられて時折、多少は痛がったり等しているような そぶりを見せるも進撃自体を特に止める事は なく、近くの建物を破壊しながら市街地へと進んでいく。
S34 岩牡蠣プロダクション事務所のオフィスラウンジ
室内では叶の出資によって揃えられた機器類を使って、叶とユッキーと光が、ガウエジェ隊によるアボラス攻撃の戦況を見守っている。
ナターシャ
「し、失礼しますっ!」
ナターシャ、この部屋に出入りする為のドアを開けて中に入ってくる。
叶
「あ、ジャハナム君」
ナターシャ
「あっ、玄関の鍵が開いてて緊急事態だったので、勝手に入らせてもらいました。すみません」
ユッキー
「あっ、いいんです、いいんです!それより、さっきから戦況を見させてもらってたけど、やっぱり此処の市街地も……」
ナターシャ
「ええ。駒門隊長達の部隊が防いでいますが、市街地へ進入されるのも時間の問題で、ここも危険です。すぐ避難してください!」
叶
「わかった。皆、知っての通り同じ機材や家具類が他の予備事務所にも揃っているから、HDDなどの記録媒体を中心に急いで荷物を纏めよう。この事務所は放棄する」
ユッキー
「ええ、わかりました!」
叶
「ああ、それと佐渡君。猫島君と辻凪君にも、第6事務所の方へ向かうよう伝えておいてくれ」
光
「わ、わかりました!」
光、返事を終えると共に あやめのスマホへ連絡しようとする。
ナターシャ
「それじゃ私も連絡役として同行しますんで、荷物纏めも手伝わせてもらいますね」
叶
「おお、ありがたい」
ユッキー
「それじゃあ、お願いします」
S35 車道
菜緒の乗ったトライクを先頭に、あやめ と要が乗った軽トラが後ろに続く形で疾走している。
S36 軽トラの車内
あやめがレーシングスーツ姿のまま運転し、助手席には未だに気絶している要が座らされている。
あやめ
「ん?本当は、ながら運転は駄目なんっすけどねー……」
あやめ、運転中に自身のスマホが鳴ったのに気付いて其れを上手く取り出し、運転しながらスマホの電話に出る。
あやめ
「はい、もしもし。ああヒカルン。どうしたんっすか?うん……うん、わかったっす。ねこにゃー殿にも伝えておくっすよ」
あやめ、スマホ越しに光に応え、向こうから通話が切られた直後にスマホを仕舞う。
あやめ
「ねこにゃー殿が前だし、広い窓ガラス越しならメット用インカムの電波も充分に届く筈っすね」
あやめ、軽トラを運転しながら脇に置かれたフルフェイスヘルメットを片手で器用に被る。
あやめ
「あー、ねこにゃー殿」
菜緒
<ん、どうしたのツジーン?>
あやめ のヘルメット内に備わったインカムの受話器に菜緒の声が響く。
あやめ
「実は、さっきヒカルンから連絡が有って、今の事務所も例のアボラスに襲われる危険が高いから、第6事務所に移動するそうなんでアタシらも此のままソッチへ向かってほしいそうっす」
菜緒
<ん、わかったー。遠回りになると思ってたけど第6事務所なら、ここからの道筋なら却って意外と早く着くかもね>
あやめ
「そっすねー。丁度いい位置で連絡が来て良かったっすよー」
菜緒
<だねー>
S37 車道
菜緒が乗ったトライクとあやめと要が乗った軽トラが疾走していく。
S38 岩牡蠣プロダクション事務所前
ナターシャが乗ったガウエジェ隊専用車、叶が乗ったスペランツァ540M、ユッキーと光が乗ったスペランツァ600LMからなる3台が発車し、放棄される事となった事務所を後にする。
S39 郊外と市街地の境目あたり
アボラス、市街地の目と鼻の先まで迫ると共に先程から自身を攻撃してきているガウエジェのうち1機に対し、やや上を向いて口からの溶解泡を吐きかける。なおアボラスの容姿はパワード版風だが、溶解泡は初代風な白いガス状に見える物となっている。
クーカ側の指揮下に入っているガウエジェの1機こと4番機、アボラスの溶解泡をやや浴びてしまう。
S40 ガウエジェ2番機のα号側コックピット内
4番機の女性乗員
<こちら4番機!被弾しました。敵の溶解液らしき物によりβ号機首砲とα号主翼砲を全て破損、戦闘力低下!飛行は可能ですが安定性やや低下>
クーカ
「了解した。4番機、戦列を離脱し基地へ帰投しろ」
4番機の女性乗員
<了解!>
4番機の乗員との通信が切られる。
クーカ
「おい。この事を1番機に報告しておけ」
女性隊員F
「はっ!こちら2番機……」
クーカ、後ろを向いてオペレーター席に座す女性隊員Fへ、琴乃機こと1番機へ通信で報告しておくよう命じる。女性隊員F、被弾した4番機を帰投させた事を通信で報告する。
S41 郊外と市街地の境目あたりの上空
琴乃が自ら率いる一隊を編成するガウエジェ数機が、1番機を先頭に飛行している。
S42 ガウエジェ1番機のα号側コックピット
琴乃
「ん、了解した」
琴乃、4番機を帰投させたという2番機からの報告を受けて其れに返事する。
琴乃
「市街地の避難状況は!?」
琴乃、2番機からの報告通信を終えて、アボラスが到達直前となった市街地の避難状況を、指揮官席の向かって右前脇のオペレーター席に座す隊員Aに聞く。
女性隊員A
「既に完了したそうです!人間どころかペット用の鳥獣類を通り越して熱帯魚すら水槽ごと運び出されたそうです」
琴乃
「そうか。少し複雑だが、避難時間を稼ぐ目的を果たせただけでも上々だと考えるべきか……」
S43 市街地
アボラス、避難が完了して無人となった市街地へ進入し、鳴き声を響かせながら建物を次々と破壊していく。その過程で、先程に放棄された岩牡蠣プロダクション事務所も、周囲の建物もろとも溶解泡を吐きかけられて泡塗れとなり溶かされてしまう。
S44 岩牡蠣プロダクションの第6事務所前
現在アボラスが暴れている市街地とは別の街に建つ、叶の出資で設けられた岩牡蠣プロダクションの予備事務所の一つである第6事務所の前に、ガウエジェ隊専用車、スペランツァ540M、スペランツァ600LMの三台が停車し、それぞれからナターシャ、叶、ユッキー、光らが降車してきて、車内に積んできた荷物を第6事務所内に運び込んでいく。
それから少し経ってから、菜緒が乗ったトライクと、あやめと要の乗った軽トラが到着して停車する。
菜緒
「ただいまー……って出発場所とは違うから変かもだけど」
菜緒、トライクから降りつつフルフェイスヘルメットを脱ぎながら述べる。
叶
「おお早かったじゃないか二人とも」
あやめ
「ええ、前の事務所へ遠回りで戻ろうとしてたのが幸いしたんっすよ。んしょ……」
あやめ、叶に返事しつつ助手席にて未だに気絶している要を運び出そうとする。
菜緒
「ああ、足側を持つから」
あやめ
「あっ、どうもっす」
菜緒、要を第6事務所内へ運び込もうとする あやめを手伝うべく両手で要の両足を一つずつ持つ。カメラは、レーシングスーツ姿な菜緒の尻の下側をアップで映しつつ其の更に下の股間から覗き込む形で運ばれようとする要の尻も同時に映すという、所謂ビビットアングルに近い映し方をする。このカットは次の あやめの台詞が終わるまで続く。
あやめ
「そんじゃ、この人とアタシらの荷物を運び込んだら、荷台の石棺を運び入れますんで」
ユッキー
「わかった。へへーん、これで『えむえむあーるっ!』のネタは暫く尽きないかもね」
ナターシャ
「ちょっ!こんな時に暢気な……」