ウルトラマンカイナ   作:オリーブドラブ

7 / 68
◇今話の登場ウルトラマン

暁嵐真(あかつきらんま)/ウルトラアキレス
 5年前、怪獣や異星人の脅威から地球を救った若きウルトラマンと、その依代になった人物。全身の各部にプロテクターを装着しているレッド族のウルトラ戦士であり、必殺技は片腕を横に振りかぶった後、縦に突き出して放つイーリアショット。現在の嵐真は小学校の教師であり、年齢は24歳。
 ※原案はMegapon先生。



特別編 ウルトラカイナファイト part3

「おい、いつになったら進めるようになるんだよ! もう怪獣達がすぐそこまで来てんだぞ!? 俺らを見殺しにする気か!?」

「ウルトラマンカイナもBURKもやられちまってるって話じゃねぇか! 俺達、一体どうなるんだよ! アメリカや中国のBURKは何やってんだ!」

「もういい、俺は家に帰る! あいつらが勝てないってんなら、どこに逃げても同じだ!」

 

 ――遡ること、約数分前。隣県に繋がる東京の道路では、避難民達の車両が大渋滞を引き起こしていた。

 テンペラー軍団によって破壊された都市から退避するべく、大勢の都民達が我先にと逃げ出そうとしているのである。この一帯は人々の怒号と、クラクションの音ばかりが響き続けていた。

 

「せ、先生ぇ……」

「怖い……怖いよぉ……!」

「大丈夫大丈夫、何も心配いらないさ。きっとすぐにウルトラマンカイナが、怪獣達なんてやっつけてくれるよ」

 

 大人達の言動に狂気を与えている、焦燥と恐怖。その負の感情は、子供達にも伝播しているのだろう。渋滞に巻き込まれているスクールバスの小学生達も、身を寄せ合い震え上がっていた。

 そんな子供達に優しげな笑みを向け、穏やかでありつつも力強い言葉で励ましている若手の教師――暁嵐真(あかつきらんま)は。この状況でありながら、落ち着いた様子で後方を見遣っている。

 

「先生……ダメだよ、カイナでも勝てないんだよ? ……負けちゃってるんだよ?」

「ねぇ先生、誰かカイナを助けてあげられないの? BURKがダメになったら、カイナは独りになっちゃうの?」

 

 遥か向こうから響いて来る激戦の轟音が、カイナの劣勢を雄弁に物語っていた。子供達も状況を察しているのか、嵐真の励ましを受けてもその表情は暗いままとなっている。

 

「……」

 

 自分達の命すら危ういのに、それでもカイナの身を案じている子供達の言葉を受け、嵐真は逡巡し――懐に手を伸ばした。

 その手に掴んだ、真紅の眼鏡のようなものに視線を落として。嵐真は「5年前の戦い」を振り返る。

 

(俺の元に「これ」が再び現れたということは……やはり、そういうことだったんだな)

 

 ウルトラマンカイナが恐竜戦車を倒した日から、1年が過ぎた頃。再び地球に怪獣や異星人の危機が訪れた時、第2の新世代ウルトラマンが颯爽と現れたのだ。

 かつてそのウルトラマンと一体化し、共に地球を救ったカイナの「後輩」こそが、この暁嵐真なのである。

 

 その戦いの日々において、相棒同然だった変身アイテムは使命を終えた瞬間に、消滅したはずだった。それが今蘇り、こうして手元に現れている。

 しかも、テンペラー軍団という全ての「元凶」を前にして。

 

(そして、さっきのサイン……間違いない。弘原海隊長が、「イカロスの太陽」を使ったんだ。俺達に助けを求めるために……カイナ兄さんを、救うために)

 

 地球の守り手(ウルトラマン)としての重責に苦しむ中で、独りにはさせまいと命懸けで支えてくれた、父のような存在。そんな弘原海が己の全てを投げ打って、SOSを発信している。

 

(……教師として、教え子達から目を離すわけには行かない。だけど、今この瞬間だけは……俺は、ウルトラマンでいなければならないんだ)

 

 それを悟り、子供達の思いを知った今。嵐真は教師という立場だからこそ、子供達に「絆」という力の強さを伝えねばと決意する。

 

「……大丈夫だよ、皆! カイナの他にも、地球を救ってくれたウルトラマン達がいただろう? 今に彼らが大急ぎで助けに来てくれるさ!」

「ほ、本当……?」

「ああ、本当だ! 今まで、先生が嘘ついたことあるかい?」

 

 カイナに続いて地球に現れ、活躍してきた5人の後輩ウルトラマン。その登場を「予言」する嵐真の言葉に、子供達の目にも微かな「光」が灯る。

 それが、子供達を励ますための「嘘」なのだと解釈していた若い女性教師は、心配げに嵐真の袖を摘んでいた。

 

「あ、暁先生……そんなこと言っちゃって大丈夫なんですか? 確かにそれくらい言わないと、子供達も安心できないとは思いますけど……」

「……辻凪(つじなぎ)先生。少し周りの状況を見て来ますので……この子達を頼みます。必ず戻りますから」

「ふぇっ!? ちょっ……暁先生っ!?」

 

 漫画の制作が趣味だという、眼鏡を掛けた姿が愛らしい同僚の女性教師――辻凪あやめに子供達を託して。嵐真は素早くスクールバスから飛び降りると、渋滞の真っ只中を逆走していく。

 

「すみません、辻凪先生! これから起きること、漫画のネタにしても構いませんのでっ!」

 

 立ち往生になっている車の大行列。その隙間を縫うように、嵐真は燃える街の方へと走り去ってしまった。その背を見送ることしかできないあやめは、豊満な胸に手を当て、彼の身を案じることしかできずにいる。

 

「暁先生……」

 

 それが、「単なる同僚」に対する感情ではないということに。子供達は、すでに勘付いているようだった。

 

「あやめ先生、嵐真先生のこと心配なのー?」

「絶対そうだよ! だってあやめ先生、嵐真先生のこと大好きだもん!」

「ふぇっ!?」

「えー!? やだよー、私が嵐真先生のお嫁さんになるんだもんっ!」

「あ、あなた達まで何を言ってるんですかっ! い、いいから暁先生が戻るまで大人しくしてなさいっ!」

「あはは! あやめ先生、耳まで真っ赤ー!」

「たこちゃんみたいー!」

「もっ……もぉおぉっ! 先生怒りますよ! ほんとのほんとに怒りますよっ!」

 

 自分の恋心を看破され、驚きのあまり眼鏡がずれてしまったあやめは。ばるんばるんとHカップの巨乳を揺らしながら、可愛らしい怒号を上げている。

 そんないまひとつ威厳に欠けている彼女の姿に、子供達もようやく笑顔を取り戻したのだった。

 

「よし……ここなら行ける!」

 

 その頃。車が1台も見られない無人の道路に行き着いた嵐真は、真紅の眼鏡「アキレスアイ」を掲げていた。

 

「デュワッ!」

 

 その掛け声と同時に、アキレスアイを装着した瞬間。

 目元から広がるようにウルトラマンの姿が形成されて行き、徐々に巨大化していく彼の肉体が、レッド族のウルトラ戦士へと「変身」していく。

 

 ――シルバー族の血を引いているためか。レッド族ながら眼の形状はシルバー族に近く、全身のあらゆる部位がプロテクターに防護されている。その上に備わるカラータイマーは、縦に長い六角形のようであった。

 頭部にあるアイスラッガー状の武器「アキレスラッガー」の前面には、ビームランプ状のクリスタルが付いている。赤色で統一された上半身と、銀色に染まっている下半身が、混血という「雑種」の強力さを物語っていた。

 

 この巨人の名は、「ウルトラアキレス」。かつてウルトラマンカイナに続く2人目の新人ウルトラマンとして、地球を守り抜いた若獅子だ。

 今や歴戦のウルトラ戦士として立派に成長した彼は。その力と経験値を余すところなく発揮しうるほどの戦場に、巡り会ってしまったのである。

 

『カイナ兄さん……今行きます! ダアァッ!』

 

 地を蹴って両手を広げ、マッハ3にも迫る速度で飛ぶアキレスは。「先輩」であるウルトラ戦士の元へと、全速力で飛び出すのであった。

 




 まずは本作における読者応募企画にご参加頂いた皆様、ご協力誠にありがとうございました! おかげ様で作者の予想を遥かに上回る盛り上がりになりましたよー(о´∀`о)
 次回からも今話のようなタッチで、残り4枠となる本採用ウルトラマンの変身シーンを書いて行く予定となっております。まずはMegapon先生原案のウルトラアキレスが、本採用枠のトップバッターとなりました!(*≧∀≦*)
 本採用枠のウルトラマン達は全員、1年間に渡って地球防衛という大役をやり抜いたツワモノ揃いですからねー。やはり可能な限りは、「過去作の主人公っぽさ」を出して行けたらなーと思っております(*´ω`*)

 残念ながら本採用枠としての登場は叶わなかった案もあるのですが、その案についても出来る限りは……ほんとに出来る限りは今回のように原案に少しでも寄せつつ、様々な形で物語に組み込んでいくつもりです。変身前だけの登場だったり、逆に変身後のみの登場だったりと色々なパターンがありますぞ(´-ω-`)
 誰がどんな枠でどういうポジションとして登場するのか。そこもひっくるめて、最後まで楽しんで頂けると幸いです。ではではっ、次回もどうぞお楽しみに!٩( 'ω' )و


Ps
 「お前らちゃんとアキレス腱伸ばしたか?」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。