ウルトラマンカイナ   作:オリーブドラブ

8 / 68
◇今話の登場ウルトラマン

椎名雄介(しいなゆうすけ)/ウルトラマンザイン
 4年前、怪獣や異星人の脅威から地球を救った若きウルトラマンと、その依代になった人物。胸部から肩部にまで伸びているプロテクターと、電子回路のような模様の身体と、電気属性を待ち合わせているレッド族のウルトラ戦士であり、必殺技はスペシウムエネルギーを球体状に凝縮して撃ち放つザイナスフィア。現在の雄介はBURKの専任分析官であり、年齢は22歳。
 ※原案は魚介(改)先生。



特別編 ウルトラカイナファイト part4

 同じく、約数分前。テンペラー軍団の猛攻によって崩壊した、BURK日本支部の基地の前には――急造の遺体安置所が設けられていた。

 幾つかのテントの下に、袋詰めにされた遺体が死屍累々と横たわっているだけの、簡素な安置所。そこで眠っているBURKの隊員は皆、基地の崩落に巻き込まれた者達ばかりであった。

 

「……これで、全員か?」

「いえ……まだ下敷きになっている隊員達がいるはずです」

 

 テンペラー軍団と、ウルトラマンカイナの激戦が続いている今の状況では、弔う暇もない。

 BURK隊員の生き残りである真壁悠兎(まかべゆうと)江渡匡彦(えとくにひこ)の2人は、負傷者でありながら懸命に瓦礫を退かし続け、生存者の捜索に励んでいた。傷の痛みよりも、仲間達が瓦礫に潰されたままであることの方が、遥かに辛いのだと。

 

小森(こもり)巡査、もう結構ですからあなたも早く逃げてください……! ここだって、いつ怪獣達の攻撃が飛んでくるか分からないんですよ!」

「それはあなた達BURKだって同じでしょうが……! ここまで来たら一蓮托生です、俺も最後まで働きますよ!」

「小森さん……!」

 

 その作業には、警察官の小森ユウタロウも加わっている。都民が避難するための時間を命懸けで稼ぎ、その犠牲となってきた彼らを、放っておくことが出来なかったのだ。

 警察機関の手に負える相手ではない以上、ユウタロウ自身も避難するよう命じられているのだが。彼はその命令よりも、人を守るという警官としての「矜持」を優先している。

 

「うぅ……痛い、苦しい……!」

「た、助けて……助けてくれぇ……!」

「……! せ、生存者だ……! 生きてる奴がいるぞ! 真壁、小森巡査! 手を貸してくれッ!」

「は、はいッ!」

「分かりましたッ!」

 

 瓦礫の影から響いて来る、生存者達の呻き声。それを耳にした匡彦達は顔を見合わせ、全力で瓦礫を退かそうと力を合わせる。

 だが、瓦礫はあまりに大きく、到底人の力で動かせるような質量ではない。てこになるような物も見当たらず、この廃墟同然の基地では重機の類も全滅している。

 

「ち、ちくしょう……! もう、どうにもならないってのか!? 救える命が、目の前にあるってのに……!」

 

 万事休す、だというのか。その悔しさに匡彦が拳を震わせた、次の瞬間。

 

「ふんッ!」

「……!?」

「え……えぇっ!?」

「ゾ、ゾンビぃ!?」

 

 突如、背後から何者かの声が聞こえたかと思うと。並べられた遺体袋の一つが、内側から(・・・・)拳で破かれてしまったのである。

 死人が蘇ったとでもいうのか。その光景に振り返った3人が仰天すると同時に、遺体袋を破った1人の男が身を起こすのだった。

 

「……済まん、皆。俺はまだ、くたばるわけには行かないらしい」

 

 周囲の遺体袋に神妙な眼差しを向けながら、ゆっくりと立ち上がった彼の名は――椎名雄介(しいなゆうすけ)。4年前、アキレスに次ぐ「第3の新人ウルトラマン」として戦っていた過去を持つ男だ。

 現在は「後輩」となるウルトラマン達を支えるため、BURKの専任分析官を務めているのだが。彼はこの戦いによる基地の崩落に巻き込まれ、死亡したはず。「人間」であれば、蘇ることなどありえない。

 

「俺にはウルトラマンとして、やらねばならないことがある。……そういうことなのだな」

 

 「ザイナスキー」と呼ばれる、銀色の鍵を模したペンダント。彼の「変身アイテム」であるそれが、首に下げられていたこと。

 そして、「イカロスの太陽」による人工のウルトラサインが、「自分達」に助けを求めていること。その二つが、答えであった。

 

 専任分析官という役割では、先輩(カイナ)の窮地を救うことは出来ない。再び己自身がウルトラマンにならねば、この地球を守り抜くことは出来ないのだと。

 

「し、椎名さん……どうして……!?」

「ご無事、だったのですか……!?」

「お前達こそ、よくあの崩壊から生き延びたな。『生還こそ勝利』という俺の教えも、無駄ではなかったらしい」

 

 崩落の際に自分達を突き飛ばし、身代わりとなって瓦礫に潰されていたはずの雄介が。生前と変わりない姿で、蘇っている。

 その奇跡を目の当たりにした匡彦と悠兎が驚愕する中、雄介は生存者達を生き埋めにしている巨大な瓦礫を仰いでいた。

 

「江渡、真壁、それに小森巡査……生存者の捜索、ご苦労だった。瓦礫の排除なら、この俺に任せておけ」

「ま、任せろと言われても、この大きさじゃあ……!」

「……ザイン・イグニッション!」

 

 やがて、ユウタロウの言葉を遮るように叫びながら。雄介はその胸にザイナスキーを突き刺し、ウルトラマンの力を「解錠」する。

 眩い輝きが「鍵」を中心に広がって行き、掌を掲げる真紅の巨人が「ぐんぐん」と顕現したのは、その直後であった。

 

「な、なんだと……ま、まさか!?」

「椎名さんが……!」

「ウルトラマンッ……!?」

 

 目を覆うような光が収まり、3人の視界が戻った時には。すでに彼らの眼前には、かつて地球を救った「第3のウルトラマン」が出現していたのである。

 その巨躯を仰ぐ匡彦達は、自分達の理解を超えた光景に言葉を失うばかりであった。

 

 ――アイスラッガーのような突起物。曲線的な「凹み」がある頭部、胸部から肩まで伸びている、金と銀のプロテクター。全身を走る直線的な銀線と、その両端部の銀円によって彩られた、電子回路のような模様。

 どこか「メカニカル」な印象を与えている、レッド族のウルトラ戦士。それはまさしく、4年前にこの地球を救った第3の勇者――「ウルトラマンザイン」の姿であった。

 

『ジュアッ!』

「うわっ!?」

 

 ウルトラマンの力なら、瓦礫を退かすことなど容易い。ザインは変身を終えてすぐに、瓦礫を持ち上げ無人の方向へと放り投げてしまう。

 

「す、すごい……あの大きさの瓦礫が一瞬で!」

「……2人とも、今だ! ウルトラマンザインが……椎名さんが瓦礫を退かしてくれた、今のうちに!」

「りょ、了解ッ!」

 

 その下には、瓦礫の山から解放された多数の生存者達の姿があった。それを目にした匡彦達は我に帰ると、弾かれたように救助へと動き出していく。

 

『よし……ここから先は任せたぞ、お前達。……俺も、俺の責務を果たしに行く。ジュアァッ!』

 

 そんな彼らの姿に深く頷いていたザインは、やがて両手を広げて地を蹴り、「先輩」が待つ上空へと飛び去って行った。

 

「椎名さん……今度こそ、生きて帰ってきてください。『生還こそ勝利』、なのでしょう……!?」

 

 マッハ4という速さで姿を消してしまった彼の背を見送る匡彦達は、生存者達に肩を貸しながら――その拳を震わせている。

 生還こそ勝利。その理論は、人智を超えたウルトラマンにも適用されるべきなのだと。

 




 今話は魚介(改)先生原案のウルトラマンザインの登場回となりました。他の方々が考案されていたキャラ案も、瓦礫から生存者達を救助するという大事なポジションに就いております(о´∀`о)
 本採用枠は残り3人。次回もどうぞお楽しみに!٩( 'ω' )و


Ps
 にせウルトラセブンとか超好き。メカっていいよね(*´ω`*)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。