あの時のお父さんは、本気で上層部を潰そうと考えていたと思う。
人がだいぶ集まって中隊規模くらいになった頃、陸軍は私達にまともな補給を寄越さない癖に『身寄りの無い、10代前半の少女を確保せよ』って言う人攫いをさせようとしたの。
この頃はまだ、店長と武器屋の補給手段が完全に確立できてなかった頃で、奇兵隊は軍からの少ない補給物資でやり繰りするしかなかったから余計に腹が立ったのね。
そう言えばこの頃だったかな?私がお父さんの事を『おじさん』ではなく『先生』って呼び始めたのは。
「相棒、戦車の燃料はまだあるんすか?」
「燃料はまだあるけど弾がねぇよ。弾がない戦車なんか自動車以下だぞ」
人を相手にするんならそうとは言い切れないけど、私達が相手にしてたのは戦車砲もまともに効かない深海棲艦だったもんね。
人と違って轢き殺す事も出来ないし、深海棲艦の砲の前じゃ盾としても不十分。
数台の戦車を保有していたけど、移動するだけなら自動車の方が便利が良かったわ。
「クソ!女子供を攫って来いって言う前に弾寄越せってんだ畜生が!」
これに関しては金髪の言う通りだと思ったわ。
特に、攫って来いと言われた対象の条件に完全にマッチしてる私は。
「武器屋が言ってた、なんとかって言う兵器に関係あるんすかね?」
海坊主が言ってるのは、『対深海棲艦用装着型海上自由航行兵装』つまり、今で言う『艤装』の事。武器屋からその名前を聞いた時も思ったけど、無駄に長い名前だわ。
まるで、ソレっぽい単語をソレっぽく並べただけみたいな感じがしたもの。
「それは俺も知らん。だが、この任務を達成すれば優先的に補給を回すと上は言っていた。従う気は無いがな」
焚き火の前で腰を落としていたお父さんのこの一言で、皆の目が一瞬、ホントに一瞬だけ私に向けられた。
この頃の私は、お父さんから戦い方は習っていたけど自分の身を守るので精一杯、初めての殺人を経験したばかりだった私は、贔屓目に見てもお荷物だった。
その私と引き換えにすれば補給を得られる。
ジリ貧寸前だった奇兵隊のメンバーが、私を差し出そうと考えるのも仕方ない事だったと今でも思うわ。
「おい、テメェらまさか、お嬢を差し出そうとなんて考えてるんじゃないっすよね?」
意外にも、私を最初に庇ってくれたのは海坊主だった。お父さんも庇おうとしたみたいたけど、腰を浮かそうとした分海坊主より出遅れちゃってた。
ちなみに、この頃はまだ海坊主も私の事を『お嬢』って呼んでたの。『姐さん』って呼び出したのは、私が海坊主との賭けに勝ってからだったかしら。
「落ち着け少尉、今のは俺の失言だ。誰もそんな事は考えていない、そうだな?」
お父さんの静かな一喝で、皆は微かに頭を過ぎっていた考えを振り払った。振り払えなかったのは私だけ、私が身を差し出せば皆は補給を受けることが出来る。
私はこの時、どうやったら皆の役に……お父さんの役に立てるかばかり考えていたから。
その晩だったかな、お父さんに始めて本気で怒られたのは……。
「ふざけるな!俺にお前を差し出せっちゅうんか!」
「だ、だってそうすれば補給が……」
「お前、自分が何を言うちょるかわかっちょるんか?良くてモルモット、酷けりゃクソ共の慰み物じゃぞ!」
今思うと、私が軽はずみな事をしたせいでお父さんに責任を感じさせちゃったのかな。もしかしたら、自分が迂闊な事を言ったせいで私が出て行ったとか思っちゃったのかも知れない。
お父さんが止めるのを無視して身を差し出した後は、裸に剥かれて徹底的に身体検査をされ、電極とかをいっぱい貼り付けられて艤装との同調を繰り返す日々が一ヶ月近く続いたわ。
艤装との適合実験が始まるまでは改造手術でもされるんだと思ってて、頭の中で『や、やめろ~ショッカー!ぶっとばぁすぞぉ~!』ってセリフの練習をしてたんだけど無駄になっちゃった。
私って、意外と余裕あったのね。
慰み物にされるって言われたのが少し怖かったのも覚えてるわ。
私が夜一人で寝れなくなっちゃったトラウマの原因、夜襲を仕掛けて来た夜盗の一人に犯されかけてちょっと経った頃だったから。
「あの時はごめんね……勝手なことして……」
「な、なんじゃい急に、気持ち悪い奴じゃのぉ」
ほう?私が素直に謝るのが気持ち悪いですか。
ホントに悪いと思ってるのよ?私が勝手な事をしたせいでお父さんに土下座なんてさせる破目になっちゃったし、補給も前以上に減らされちゃったし……。
「や、やっぱり如何わしい実験とかされたんか?」
「はぁ?」
いきなり何言ってるんだろうこの親父、如何わしい実験って何?もしかして、実験と称して同人誌的な事とかされたと思ってるのかしら。
全裸に剥かれて身体検査はされたけど、検査したのは女の人だったし、実験って言っても、当時は一度誰かと適合した艤装に、他の人は同調出来ないって事もわかってなかったら、被験者を変えながら今の適合試験と同じ事を何度も何度もやっただけだし。
モジモジしながら聞いてくるのがキモイから少しからかってやろうかしら。
「べ、別に如何わしい事なんてされてないし……」
私は顔を若干赤らめてお父さんから目を逸らし、悲しいような、やるせないような表情を見せながらそう言った。口では何もなかったと言いながら、表情で何かあった風を装ったの。
きっとお父さんは泣きながら謝ってくるわ、そしたらさっきの仕返しに気持ち悪いって言って……ってあれ?
無言で立ち上がって刀を手にして……。あ、これ止めないとまずいわ……。
「ちょっと皆殺しにしてくる……」
「やめて!ホントに何もなかったから!ちょ、お父さん!」
ちょっとコンビニ行って来る、みたいなノリで何言ってるの!?
だいたい、あの当時の研究所はもう無いはずよ?何処に行って誰を殺すつもりなの!?
「本当に何も無かったんじゃの?」
「本当よ、私も悪ふざけが過ぎたのは謝るから、取り敢えず座ってよ……」
なんとか矛を収めて座り直してくれた。
私の事で本気で怒ってくれるのは嬉しいけど、もうこういう悪ふざけはやめよう……。
でも、あの研究所って今はどうなってるんだろ?
山奥にあったのは覚えてるけど、場所は覚えてないのよね。
だって、私がお父さんの所を飛び出して、後方の駐屯地にたどり着いてから、窓が目張りされた車で運ばれたんだもん。
それから、車酔いと戦いながら辿り着いた私は、研究所の中を見て病院みたいだなぁって感想を抱いたの。
だって玄関から入った途端に病院特有の臭いはしてくるし、内装も病院その物だったしね。
たしか、研究所の中央に大きなプールがあって、そこで艤装の動作試験をしたのよね。
研究所での暮らしは割と快適だったわ。
食事が病院食みたいに味が薄いのも、あの当時は気にならなかったし、実験とは言っても同調と動作試験を繰り返すだけだったから楽なものだったわ。
問題と言えば、夜あまり眠れなかった事と、初めて艤装と同調した時に、瞳と髪の色が赤く染まった事かな……。
自分の髪が赤く染まってるのを見た私は、過呼吸を起こして倒れちゃったの。
たぶん、殺した相手の血を頭から被った事がフラッシュバックしたんだと思う。研究所のカウンセラー的な人もそんな事を言ってたし、間違いないと思うわ。
そしてこの時、初めて自分がPTSD(心的外傷後ストレス障害)を患ってるって知った。夜、一人じゃ眠れない事もね。
研究所に来るまで、襲われた日以降はお父さんが傍に居てくれたから、一人だと寝れないことに気づいてなかったの。
あ、そっか!夜中に一人でトイレに行けないのもPTSDのせいだわ!
きっとそうよ!けっして、夜中のトイレが怖いとかじゃないわ。
PTSDじゃ仕方ないわよね!
「小さくガッツポーズして、何を一人で納得しちょんじゃ?」
「べ、別に!?ガッツポーズなんてしてないし!」
無意識に胸の前でガッツポーズをしちゃってたか、慌てて腕を降ろしたものの、かなり無理があったかなぁ……。
「友達とかおったんか?」
「友達?ん~、友達かぁ……」
私が研究所で友達って呼べるのは、ルームメイトになった子くらいかなぁ。あの子のおかげで、夜も問題なく眠れたし、仲も良かったと思う。
死んじゃったけどね……。
「実験でか?」
「ううん、違うわ。死ぬような実験はされなかったから。初めての実戦で戦死したって聞いてる……」
「そうか……」
艦娘としての名前は『野風』。
今も生きていたら、彼女が最古の駆逐艦と呼ばれてたと思う。
神風型と同時に開発が進められていた改峰風型駆逐艦、その中で最初に開発が成功したのが『野風』の艤装だったらしいわ。
『神風』と『野風』この二つの艤装が、艦娘の雛型になったの。
研究所への到着順が違ってたら、私が『野風』になってた可能性もあるわね。
そんなこんなで神風になって、私は奇兵隊に戻ったんだけど……。
って、私が神風になるまでの
でもしょうがないのよ?別に薄い本的な展開もなく、同調して動作試験を繰り返しただけなんだから。
まあ、私用の制服が赤系の色が多かったせいでまた倒れたりもしたけど、トラブルって言ったらそれくらいだったかな。
慣れちゃっただけかも知れないけど、赤系の色を身につけて過呼吸を起こすのも、研究所を出る頃には治ってたわ。
「私が奇兵隊に復帰してさ、しばらくは口利いてくれなかったよね……。やっぱり怒ってたの?」
「怒っちょったっちゅうより……申し訳なさでいっぱいじゃった……。お前のおかげで補給を受けれたのは確かじゃし……」
良かった、約束通り補給は受けれたんだ。
結局、その次の補給は受けれなくてまたジリ貧に戻っちゃったけど、一時でも役に立てて良かったわ。
「赤いな」
「真っ赤っすね。救急車呼ぶっすか?」
艦娘になって奇兵隊に戻った時に、金髪と海坊主は私を見るなりそう言った。確かに上から下まで赤系だったけど、真顔で赤い赤い言う事ないと思わない?
リボンは黄色だったんだし……。
「へ、変かな……。変…だよね……」
「ちょっ!なんで泣くんすか!?」
「まるで俺らが泣かしたみたいになったじゃねぇか!」
いや、泣くでしょ、男二人に真顔で責められるように赤い赤い言われたら泣いちゃうでしょ。
多感な時期に、仕方なく着てる服装にダメ出しされたら泣いちゃうわよ普通!
しかも!自分でもちょっと似合ってるんじゃないかな?とか思い始めた途端にコレよ!?
あ、思い出したらムカついて来た。後で黒い黒い言ってやる……。
絶対に言ってやる!
「でもよぉお嬢。こんな玩具みたいな鉄砲で敵が倒せるのか?」
「お、玩具じゃない!12cm単装砲だもん!」
「いやいや、確かに45口径くらいありそうっすけど、拳銃と砲の口径は意味が全く違うっすよ?12mm単発銃の聞き間違いなんじゃないっすか?つか、こんな大口径銃撃ったら大人の男でも肩が外れるっすよ?」
まあ、実際に見ないと信じられないわよね。
拳銃みたいな見た目なのに、撃ったら名前通りの威力があるし(ただし海上に限る)反動も大した事ないなんて誰が信じるのかしら。
で、私はこう言っちゃったわけ。
「そ、その……不思議パワーで敵をやっつける!的な?」
「不思議パワーって何だよ。頭大丈夫か?」
「お嬢……やっぱ病院行きましょ?変な実験されて頭パーになったんすよ」
結果、頭の心配されちゃったけどね、見た目が完全にDQNなあの二人に……。
ちゃんとポーズも取ったのよ?
こう、足を肩幅に開いて、右手を横にバって開いてさ。
決め顔までしてた私がバカみたいじゃない。
「で?大隊長にはちゃんと謝ったんすか?お嬢が出て行ってからしばらく、機嫌がめっちゃ悪かったんすよ?」
「謝ったけど……口利いてくれないの……」
海坊主曰く、私が出て行ってからのお父さんは、とにかく機嫌が悪かったらしい。
部下に当たり散らす事は無かったらしいけど、代わりに深海棲艦を嗤いながら滅多斬りにしてたんだって。『周防の狂人』って異名も、この頃定着したらしいわ。
それから程なくして、私は初めての実戦を経験する事になるんだけど、お世辞にも良く出来たとは言い難いわね。
いつも通り、深海棲艦襲来の報を受けた奇兵隊は現地に急行、補給を受けたばかりだったから、この時の戦闘はかなり余裕があったわ。
余裕が無かったのは私だけ、お父さんが海坊主を私につけてくれたんだけど、海坊主に援護とスポッターしてろって言われた私は食ってかかっちゃったの。
「私がやる!」
「いや、無理っしょ。大人しく自分のスポッターしてりゃいいっすから!」
「無理じゃない!私はやれるんだから!そのために、私は神風になったんだから!」
すでに戦闘は始まってたのに、呑気にそんな事を言い合ってたなぁ。
そして、私を諦めさせようとしてだと思うけど、海坊主があの賭けを持ち出したの。
「そこまで言うならやってみろっす!本当に敵を倒せたらモヒカン頭にして緑に染めてやるよ!一生な!その代わり出来なかったら俺の女になれ!」
「え?え?女になれってどういう……。少尉って私の事……」
「ち、違うっすよ!?別に好きとかじゃなくて……その……」
なんか、私達が居た場所だけ空気が違ってたなぁ。
数十メートル程先じゃドッカンドッカン言ってるに、私達の周りだけ学校の校舎裏みたいに感じたわ。
「い…いいわ……その賭けに乗ってあげる。その代わり!私が勝った場合、私を『姐さん』って呼び慕うのも付け加えて!」
「はぁ!?なんで年下のガキンチョを姐さんなんて呼ばなきゃいけないんすか!」
「そのガキンチョに、俺の女になれなんて言ったのは何処の誰よ!このロリコン!」
私が可愛い過ぎるのが悪いのはわかってるけど、さすがに『俺の女になれ!』はないわ。個人的には、もうちょっと雰囲気とかを大事にして欲しかったわね。
初めての告白がコレなんて、私って不幸だわ……。
「それじゃあ援護よろしく!」
海坊主がロリコン呼ばわりされて軽くショックを受けてる間に、私は一番近くにいた、敵の最後尾の駆逐艦に向かって物陰から飛び出した。
恐怖はあった。
だけどそれ以上に、目の前の悪魔をこの手で屠りたかった。
その時に、私の脳裏を過ぎったのはあの日の光景、私が住んでた町が燃やされた日、私の両親が死んだ日、私が全てを奪われた日……。
怒りで恐怖をねじ伏せた私は、海から上がった来たばかりの駆逐艦に突撃したわ。
距離は50メートルも無かったと思う。
私は単装砲を撃ちながら、私に気づかずに横っ腹を晒している駆逐艦に接近したんだけど、私が撃った弾は辛うじて駆逐艦の『装甲』を貫いたものの、陸上では兵装の威力が激減してるのもあって、3メートル近い体長の駆逐艦にはあまり効果が無かったわ。
陸じゃあ、本当に拳銃位の威力しかなかったなぁ。
「だったら!」
単装砲が効かないと判断した私は、魚雷発射管から魚雷を一発取り出して駆逐艦に投げつけた。
コレも本来の威力と比べると段違いに低かったけど、陸に上がって弱体化してた駆逐艦の右半分を吹き飛ばすのには成功したわ。
「うわあああぁぁぁぁぁ!」
そこからは夢中だった、虫の息になった駆逐艦に向けて、何かに取り憑かれたように単装砲を撃ち続けていた。
弾が食い込むたびに、駆逐艦が体をビクンビクンさせるのを見て妙な興奮を覚えたっけ。
私でも倒せる、私から全てを奪った悪魔に復讐できる。そう思った時、私の中で何かが切れたような音が聞こえた。
「あは…あはははははははははっ!」
単装砲の砲声が響く中、私の耳に気が狂ったように笑う女の声が聞こえてきた。
狂気を孕んだ笑い声を発しているのが自分だと気づいた時、私ってこんな笑い方が出来るんだ……って冷静に考えてたのを覚えてるわ。
カキン!カキン!カキン!
弾が尽きても、指は引き金を引くことをやめない。
もっと撃ちたかった、もっと痛めつけたかった、目の前で青黒い血を流しながら横たわる悪魔を、もっとグチャグチャにしてやりたかった。
「お嬢!もういい!もう終わったっすから!」
「でも!でもぉ!」
海坊主に単装砲を無理矢理下げさせられて、ようやく私は引き金を引くのをやめた。
だけど、手が単装砲を離してくれない、体が戦うのをやめようとしてくれない。
私の心と体は、敵をもっと痛めつけたくて仕方なかったみたい。
気づいたら、私は感情が整理出来なくなくて涙ぐんでた。自分の中に、あんなにドス黒い感情が潜んでいたなんて、この時まで知らなかったから。
「せんせぇ……」
戦闘を終えて、私と海坊主の元に集まってきた隊員の中にお父さんを見つけた途端、私は糸が切れた人形みたいにその場にへたり込んだ。
私を見下ろすお父さんは、なんて言ったらいいかわからないって感じだったな……。
「手が…離れないのか?貸してみろ」
そう言って、お父さんは跪いて私の指を一本一本、単装砲から解いてくれた。
「ふっ…ふぇ……」
指が単装砲から離れるにつれて、それまで押さえつけてた感情が溢れ出してきた。
深海棲艦への恐怖と怒り。
戦闘が終わった事への安堵と喜び。
その全部が掻き混ぜられて、私の頭の中はパニックになって泣き出す寸前だったわ。
「よく、頑張ったな……」
「うえぇぇぇぇん!せんせぇぇぇぇぇ!」
お父さんが褒めてくれた途端に、視界は涙で完全に歪んでしまった。
私は恥も外聞もなく、お父さんの胸に飛び込んでガン泣きしたわ。
「大尉、補給品の中に酒があったな?」
「はい、あまり上等とは言えませんが」
相変わらず泣き続ける私を抱きかかえたお父さんが、大尉にそう訊ねた。
お酒なんてどうするんだろう?って泣きながら思って少し泣き止んだ私の顔を見ながらお父さんは言ったわ。
「神風の初戦果だ、皆で祝ってやろう。な?」
「ふぇ?」
『な?』って言われた私は、小首を傾げてそう反応することしか出来なかった。だってこの頃は子供だったから、祝い事にはお酒って考えなんてなかったもの。
この日、初めてお酒を飲んだんだけど、美味しいと思えなかったなぁ。美味しそうにお酒を酌み交わすお父さんたちが信じられなかったもん。
たった一杯で酔っぱらって、お父さんの膝の上でウトウトし始めた私は、久しぶりのアルコールでテンションが上がった皆を見ながらこう思った。
この人たちは凄いなぁって、この人たちみたいに強くなりたいなぁって。
お父さんみたいに、強く在りたいなって。
正化20年秋。
駆逐艦神風は駆逐艦イ級を一隻撃破。
このショボい戦果が私の……。
いえ、艦娘が深海棲艦相手にあげた初戦果だった。