艦隊これくしょん ~緋色の風~   作:哀餓え男

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闇落ち瑞鶴が落とせない(゚ロ゚; 三 ;゚ロ゚)ヒイイイィィ(゚ロ゚; 三 ;゚ロ゚)ヒイイイィィ


幕間 凹凸の少ないサービス回

 

 

 私のお姉ちゃんは凄い人だ。

 戦闘に関してはもちろんだけど、料理を作ってる間に、桜子さんだっけ?と話してた事の半分も理解できなかったけど、お姉ちゃんが司令官の事を本当に好きなんだという事は子供の私でもわかった。あんな変態を愛せるなんて素直に凄いと思うわ。

 これで、考えが顔に出やすいのさえなけば完璧なのになぁ……。

 

 「それでは、私たちはこれで失礼します。あんまり飲み過ぎないでくださいね?」

 

 「ああ、わかった。明日は何時に向こうに行くつもりだ?」

 

 「準備のお手伝いもありますので、6時頃には行こうかと。司令官は桜子さんをちゃんと連れて来てくださいね?」

 

 「任せろ。引きずってでも連れてくわい」

 

 桜子さんが出かけて少し経った20時過ぎ。

 そろそろお風呂に入って寝ようと言う話になったので、私とお姉ちゃん。そして不審者改め大淀さんは司令官の部屋を後にした。

 お風呂に入るのは良いんだけど、大淀さんも一緒に入るのかしら。

 

 「お姉ちゃんは明日どうします?」

 

 「朝潮ちゃんと同じくらいに鎮守府を出ます。明日も仕事ですので」

 

 という事は、今日は泊りか。私たちの部屋で寝るのかな?でも布団が足りないような……。それに、お風呂に入るにしても着替えが無いんじゃない?

 

 「布団は私と一緒の布団に寝ればいいとして……。着替えはどうしましょう。桜子さんに借りれば良かったですね。失敗しました」

 

 「問題ありません。こんな事もあろうかと!着替えは車に常備しています!ああっ!一度言ってみたかったんです!『こんな事もあろうかと!』って!」

 

 あ、この人車でここまで来たんだ。

 そりゃそうか。大本営の詳しい場所は知らないけど、歩いて行ける範囲にそんな施設はないもんね。

 セリフの後半はスルーしよっと。ツッコむの面倒くさいし。

 

 「では、私たちも着替えを取って向かいますので、後ほどお風呂場で……。あ、お風呂の場所分かります?」

 

 「もちろんです!こんな事もあろうかと!鎮守府の内部構造は把握済みです!」

 

 そう言って大淀さんと一旦別れて、私とお姉ちゃんは八駆の部屋に着替えを取りに向かった。

 それにしてもあの人、何回『こんな事もあろうかと!』って言うつもりだろう。数えてみようかしら。いや、やっぱ辞めた。面倒臭いもん。

 

 「変な人……」

 

 「そう言わないであげて?あれでも私のお姉ちゃんなんですから」

 

 「本当のお姉ちゃんなの?寮の入り口で会った時はそんな呼び方してなかったよね?」

 

 たしか、最初に会った時は普通に名前で呼んでたじゃない。

 それなのに、司令官の部屋で再会した時にはお姉ちゃんと呼んでいた。何があったらそうなるんだろう?実の姉妹と言われても違和感がないほど容姿に似た特徴は多いけど、私みたいに姉妹艦って訳じゃないし……。

 

 「あの人は私の先代のお姉さんなんです。それで……色々あって私もお姉ちゃんと呼ぶ事にしました」

 

 「へぇ……」

 

 その色々の部分が気になるんだけど……。

 言いたくなさそうだなぁ。『色々の部分を聞かれたらどうしよう』って顔してるし、この件はあまり触れられたくないのかもしれないわね。それとも、上手く説明し辛いのかな?

 

 「おかえり~。今からお風呂?」

 

 「はい。大潮さんと荒潮さんも一緒にどうですか?」

 

 たぶん社交辞令だと思うけど、明らかにお風呂に入った後の二人をお姉ちゃんがお風呂に誘った。

 この二人なら『じゃあもう一回入ろうかな~』とか言いそうだけど、時間が時間だしなぁ。

 

 「あらあら残念。もう入っちゃったぁ」

 

 「あんまり入るとふやけちゃうしね~」

 

 あ、これは行かないわね。

 荒潮姉さんはテレビ見ながらくつろいでるし、大潮姉さんはいつも読んでる古びたノートで勉強?してるみたいだし。

 

 「それでは二人で行って来ますね。あ、それと。事後承諾になって申し訳ないのですが、今晩、お姉……大淀さんがここに泊まるんですけど……。よろしいですか?」

 

 「大淀さんってぇ、姉さんのお姉さんのぉ?」

 

 「はい、その大淀さんです。荒潮さんはご存知だったんですか?」

 

 「大潮ちゃんと円満ちゃんも知ってるわよぉ。直接会った事があるのは円満ちゃんだけだけどねぇ」

 

 姉さん達も知ってたんだ。じゃあ、知らなかったのは私だけ?

 そりゃあ、お姉ちゃんの先代とは直接関わりは無いからしょうがないけど、なんだか疎外感を感じちゃうな……。

 

 「それで…よろしいでしょうか」

 

 「大潮は構わないよ。一度会ってみたいと思ってたし、お風呂に行ってる間に布団も用意しとくよ」

 

 「私もOKよぉ~」

 

 「ありがとうございます。では、行って来ますね」

 

 「「いってら~」」

 

 姉さん達に見送られて部屋を出た私たちは、特に寄る所も無いのでお風呂場に直行しようとしたんだけど、食堂の灯りが見え始めた辺りで『あそこは危険ですから迂回しましょう』と言いだした。

 どうして?って聞いたら『今晩、あそこにはGより質の悪い変態が居るはずです』って教えてくれたわ。

 Gって、あの黒光りしてたまに飛んでくる奴よね?

 あの害虫より質が悪い変態ってどんな人だろ?って思ったけど、人間かどうかも怪しいレベルの変態である司令官の事が好きなお姉ちゃんが本気で嫌そうな顔してるから、かなりレベルの高い変態なのは間違いないわ。

 関わらないのが正解ね。

 

 「お待たせしました。先に入ってもらってても良かったのに」

 

 「いえ、私も今来たところですから」

 

 待ち合わせか!いや、待ち合わせか……。

 着替えが入ってると思われる手提げバッグを持った大淀さんが、走って来たのか頬を上気させて照れ臭そうに言うもんだからついツッコんじゃったわ。

 これで、相手がお姉ちゃんじゃなく男の人だったら間違いなくデートの定番挨拶よ。『ごめん、待ったか?』『いえ、私も今来たところです』って感じでね。〇ねばいいのに。

 

 「ふと思ったのですが、どうしてこの鎮守府はお風呂場が二つもあるのですか?今から入る方は駆逐艦専用と書いてありましたが」

 

 「駆逐艦に欲情する変態が暴れた結果です」

 

 「提督ですか?」

 

 「違います!ん?いや…合ってるのかな?司令官が暴れたのは間違いないんだし……。いやいや!やっぱり違います!司令官は私を助けてくれただけです!」

 

 ふむ……。つまり、司令官ともう一人の変態がお姉ちゃんを取り合って暴れた結果、浴場を分けたと……。それでお風呂が二つあるのは納得するけど、司令官が駆逐艦に欲情する変態って思われたのは否定しなくていいの?それとも、実はお姉ちゃんもそう思ってる?

 

 「ひ…紐パンですか……」

 

 「え?ああ、これですか?最初は恥ずかしかったですけど、慣れると楽ですよ?何が楽かまでは言いませんが」

 

 脱衣所で服を脱ぎ始めて早々、お姉ちゃんが大淀さんの下着に目をつけた。

 スリットからチラチラ見えてた紐の正体はコレか。何が楽なのかは知りたくないけど、スレンダーながら円満さんよりメリハリのあるボディのおかげで良く似合ってるわ。いや、単純にエロい。

 それに比べて、鎮守府から支給される下着の私とお姉ちゃんは色気もクソもないわね。

 荒潮姉さんが『最近はそっちの方が需要が多いのよぉ』って言ってたけど、子供の私には理解できないわ。って言うか、理解しちゃいけない気がする。

 

 「ふむ……」

 

 「な…なんですか?そんなにジロジロと見て……」

 

 「いえ、妹も同じ位の大きさだったのかなと思いまして……」

 

 「何がですか!?胸ですか!?」

 

 やめてあげて大淀さん。お姉ちゃんって、円満さん並に胸の大きさに過剰反応するから正直面倒くさいのよ。

 まだ10代なのに、胸の大きさで悩む必要なんてないじゃない。

 私やお姉ちゃんほど小さくないけど、大潮姉さんが『貧乳はステータスだ…貧乳はステータスだ…』って、一人でブツブツ言ってる事があるじゃない。だから気にする事なんてないわ。あ、私たちの場合は貧乳じゃなくて無乳になるのかな?

 

 「はい。朝潮ちゃんくらいの歳ならもう少し育ってても良いような……」

 

 「いえ、私はもう少し大きかったです」

 

 「え?」

 

 「んなっ!?」

 

 はて?必死の形相で『胸ですか!?』って言ってたお姉ちゃんが、急に真顔になって変な独り言を言ったと思ったら、言った張本人のお姉ちゃんが一番驚いてる。

 もう少し大きかった?なんで過去形なんだろう。もしかして縮んだのかしら。

 

 「くぅ……!で、でも!他のスペックは私の方が勝ってます!」

 

 「スペックは上位互換でも胸は下位互換です」

 

 「がはっ!」

 

 なぜか、そのまま一人漫才を始めたお姉ちゃんが打ちひしがれた様に膝から崩れ落ちた。

 なんだか、人格が入れ替わってると思えるくらい見事な変わりっぷりね。片や、体全体を使ったオーバーリアクション。片や、真顔で冷静な追い打ち。大淀さんが『朝潮ちゃん…今のってまさか……』って言ってるけど、心当たりでもあるのかしら。

 

 「おのれぇ……。疲れるとか言ってたクセに、こうも頻繁に出て来るとは……」

 

 「今日はアゲアゲなんです」

 

 「アゲアゲ!?いや、大人しくしててくださいよ!頭がおかしい子と思われちゃうじゃないですか!」

 

 「え?自覚ないの?」

 

 「どういう意味ですか!?私って頭おかしい子って思われてるんです!?」

 

 うん、間違いなくおかしい。

 一人で百面相しながら一人漫才を続けるお姉ちゃんは控えめに言って頭おかしい。痛い子って言われても否定できないと思うわ。

 なぜか大淀さんは『仲が良くて何よりです』って意味わかんない事言ってるし、置いてけぼり感がハンパないんだけど?

 

 「ほらほら二人とも、いつまでも裸でいると風邪を引きますよ?」

 

 「そうですね……。さっさと入りましょう……」

 

 やっとか。夏場とは言え、素っ裸だから少し寒かったのよね。

 なんでお姉ちゃんに対して『二人とも』なんて言ってるかわかんないけど。お姉ちゃんは、一人でドッタンバッタンしてたから暑いと思うわよ?汗かいてるくらいだもん。

 でも、今度からは素っ裸でそんな事するのはやめた方が良いわ。普段見えない所まで見えそうだったから……。

 

 「あら、朝潮ちゃんは腕からなんですね」

 

 「ああ、洗う順番ですか?そうですね、言われてみれば、いつも腕から洗ってます。お姉ちゃんは胸からなんですね」

 

 「ええ、人によって違うから面白いですよね。満潮ちゃんはどこから?」

 

 「足」

 

 浴場に入って、カランの前に3人並んで体を洗い始めたら、大淀さんが思い出したかのようにそんな事を言い始めた。

 たしか、前に荒潮姉さんとお風呂に入った時に『体を洗う順番で、その子がどんな性格かとか、恋愛心理もわかるのよぉ?』って言ってたわね。それに照らし合わせると……。

 

 腕から洗うお姉ちゃんは甘えん坊タイプ。

 傍に誰かが居ないと落ち着かないらしい。そう言われてみれば、お姉ちゃんって常に誰かと一緒に居るわね。大半は司令官だけど。

 恋愛は、誰かの支えになりたがるタイプだったかしら。それで、あんな駆逐艦を部屋に誘い込んむような変態な司令官に引っかかっちゃったのね。お姉ちゃん可哀想。

 大淀さんは胸だから神経質タイプか。

 たしかに、部屋とかを無意味に綺麗に掃除してそうだし、何事も悪い方へ考えそうにも見えるわね。下着以外も少しは冒険して見たら?

 私の場合はたしか…自信過剰タイプね。

 恋愛はマイペースな恋愛をする傾向にあるだったかしら。どちらかと言うと逆な気がするけど、所詮は心理テスト、真に受ける事はないわよね。私って謙虚だし。

 

 「あれ?シャンプーハットがない……。持ってくるの忘れたちゃったかな……」

 

 「あ、シャンプーハット無しじゃ頭が洗えないんですね……」

 

 誤解の無いように言っておくけど、シャンプーハット云々を言い始めたのはお姉ちゃんであって私じゃないわ。私はそんな物無くても洗えるもの。

 

 「目を瞑ってれば大丈夫ですよ。私が洗ってあげましょうか?」

 

 「お願いします……。私…アレが無いと一人で洗えなくて……」

 

 「あ、この子背中の洗い方も雑なので背中もお願いします」

 

 「もぉぉぉぉぉっ!」

 

 また始まった……。

 今日のお姉ちゃんはいつもの2倍(満潮比)はおかしいわ。頭でも打ったのかし……。

 いや、打ってるわ。

 気絶したお姉ちゃんが起きた時に頭突きしちゃったのは私だ……。まさか、あのせいでおかしくなったのかしら。

 

 「そう言えば、漫画とかアニメのサービス回で、胸の成長を確かめ合うシーンってありますよね」

 

 「何言ってんの大淀さん。確かめるまでもないでしょ。大淀さんと違って、私もお姉ちゃんも確かめるモノが無いんだから」

 

 「言い方!満潮ちゃん言い方!無いわけじゃないんですから!」

 

 「そうね。今のは言い方が悪かったわお姉ちゃん。胸が無いわけじゃない、確かめるほどの大きさが無いって言うべきだったわね」

 

 大淀さんも言うほど無いけどね。贔屓目に見てBかしら。間違ってもCは無いわ。

 でも、大淀さんのスタイルなら丁度良いかも。それよりも大きかったら、逆に違和感が凄いかも知れないから。

 

 「ね、ねぇ満潮ちゃん。私、何か気に障る事でもした?」

 

 「ん?べつに?」

 

 胸の話題に対する過剰反応っぷりがウザいとは思ってるけどね。

 ちなみにお姉ちゃんは、大淀さんがサービス回がどうしたこうしたとか言いだした辺りから、ギューー!って擬音が聞こえてきそうな程硬く目を瞑って頭を洗われてるわ。もう少しかかりそうだし、先に湯船に浸かってよっと。

 

 「きっと、大好きなお姉ちゃんを盗られたと思って拗ねてるんですよ」

 

 「そうなのですか!?だったら心配しなくていいのよ?何だったら、今すぐお姉ちゃんの胸に飛び込んでおいで!」

 

 「タンコブ出来そうだから遠慮しとく」

 

 明後日の方向を向きながら両手をバッと広げて胸に飛び込んで来いとか言う前に、泡立ちすぎてアフロみたいになった泡を先に落としなさいよ。ずっと目を力いっぱい><(こんな)感じで瞑ってて疲れない?

 大淀さんも『意外と似合いますね』なんて言ってないで早く洗い流してあげて。

 

 「はぁ……。今日はなんだか疲れました……」

 

 「お疲れ様です。明日も忙しいのでしょう?」

 

 「はい…式場の準備は奇兵隊の方々がしてくれるのですが、料理を準備する人手が足りないらしくて……」

 

 頭を洗い終えて湯船に浸かるなり、ため息をつきながらお姉ちゃんはそう言った。

 大変ねぇ……。出来れば手伝ってあげたいけど、猫の目(あそこ)にはあの三人組がいるしなぁ……。

 うん、やっぱり無理。手伝いに行ってあげようとかチラッと考えたけど、思い出すだけでお風呂に浸かってるのに寒気がしてくるのもの。

 

 「朝潮ちゃんはお料理上手ですものね。誰に習ったんですか?」

 

 「桜子さんです。見た目や性格とは逆に、繊細な味付けをなさるんですよ?」

 

 「お姉ちゃんより教え方も上手いしね」

 

 「そうですね。あれは教えるとは言いません」

 

 「だぁかぁらぁぁぁぁ!」

 

 あ、またまた始まった。

 ザバァ!って音を立てて立ったと思ったらその場で地団太を踏み始めたわ。こんなに感情を表に出して……。いや、いつも出しっぱなしだけど、ここまでわかりやすく怒ってるお姉ちゃんを見るのは初めてだわ。

 

 「なんなんですか今日に限って!いつもは大人しくしてるのにぃ!」

 

 「あれ?気づいてなかったんですか?普段もちょこちょこ出て来てるんですよ?」

 

 「嘘でしょ!?い、いや…そう言えば心当たりがいくつか……」

 

 変な光景だなぁ。一人のはずなのに、まるで二人いる様に見えちゃう。

 それに、お姉ちゃんは素っ裸でバシャバシャとお湯を鳴らしながら動き回ってるはずなのに、全くと言って良いほど色気を感じない。

 胸が無いからじゃないわよ?動きに色気がないって言ったらいいのかしら。特に、オーバーリアクションしてる時は大股開いてドタバタやってるせいで、色気よりも見っとも無さの方が強いわ。親が見たら泣くわよこれ……。

 

 「私さ。普段のお姉ちゃんの事は尊敬してるけど、今のお姉ちゃんは尊敬したくない」

 

 「たしかに、少しはしたないですね……」

 

 事情を知ってそうな大淀さんも呆れてるわね。

 『一つになったと聞きましたが、まだ混ざりきっていないのかしら……。例えば、コーヒーにミルクを垂らした直後のような……』とか言って、一人で何かを分析してるみたいだけど……。

 

 「頭に来ました……。決着を着けてやる!工廠裏に行きましょう!」

 

 「もうすぐ21時ですよ?子供は寝る時間なんだから早く寝なさい」

 

 「え?もうそんな時間ですか?そう言えば眠くなってきたような……」

 

 そう言った途端、まだ入浴中なのにも関わらずお姉ちゃんは瞼をトロンとさせながらフラフラし始めた。

 毎度思うんだけど、お姉ちゃんて夜間哨戒とかどうしてるんだろ。だって、お姉ちゃんって21時以降まで起きてられないのよ?もしかして、お姉ちゃんは秘書艦もやってるから免除されてるのかしら。

 

 「あ、ダメですねこれ。すみませんお姉ちゃん、満潮ちゃん。この子の事お願いしますね」

 

 「うん、貴女もね……。おやすみなさい」

 

 「おやすみなさい。お姉ちゃん」

 

 一瞬シャキっとしてそう言った後、お姉ちゃんは背中からバシャーン!と音を立ててお湯の中に消えて行った。

 いや、これ助けないと溺れちゃうんじゃ……。って言うか本当に寝たの!?さっきまで、一人であんなに騒いでたのに!?

 

 「よいしょっと……。器用な子ですね。この状況で寝れるなんてビックリしました」

 

 「私もビックリしたわよ。ここまで変なお姉ちゃんは初めてだわ……。って、うわぁお……」

 

 大淀さんにおんぶされて、脱衣所に向かい始めたお姉ちゃんについて私も湯船から上がったんだけど、角度が悪すぎ?良すぎ?たのか、大淀さんに背負われたお姉ちゃんのお尻が目の前にあった。

 いや、お尻どころじゃない。全部見えちゃった。お姉ちゃんの大事な所を全部見てしまった……。

 私のもあんな感じになってるのかしら……。

 

 「大丈夫?満潮ちゃん、顔が真っ赤だけど…のぼせちゃいました?」

 

 「えっ!?あ、ああ…そうね。少しのぼせちゃったかも……」

 

 そう!のぼせちゃったの!けっして、中まで見えるような超至近距離でお姉ちゃんの局部を見たせいじゃないわ!

 ああでも、綺麗な色してたなぁ……じゃなくて!

 落ち着きなさい私!私はノーマル!お姉ちゃんの事は好きだけど、それは姉として慕ってるだけ!恋愛感情なんか欠片も無いんだから!

 

 「ほ、本当に大丈夫?火が出そうなほど赤いですけど……」

 

 「そこまで赤くない!綺麗なピンクって……ぎゃあぁぁぁぁ!」

 

 「満潮ちゃん!?」

 

 ダメだぁぁぁぁ!

 さっきの映像が衝撃的過ぎて頭から離れない!頭から冷水を被っても離れない!壁に頭を打ちつけても離れてくれない!どうすんのよこれぇぇぇ!

 

 結局、その日の晩は悶々としすぎてまともに眠ることが出来なかった。

 無理矢理にでも寝ようと布団を頭から被った私の傍で、大淀さんと大潮姉さんと荒潮姉さんがお姉ちゃんの先代の話をしてるのは聞こえたけど、私の頭はその話の内容など毛ほども理解しようとせずに、ひたすらお姉ちゃんの局部の映像を脳内に映し続けた。

 

 「私…なんであんなモノ見ちゃったんだろう……」

 

 私のお姉ちゃんは凄い人だけど、それと同じくらいおかしな人だと再認識した。

 駆逐艦の身で水鬼級の戦艦を単独で撃破し、あの変態司令官の秘書艦も熟す凄い人。

 そうかと思えば、プライベートでは大潮姉さんと荒潮姉さんに良いようにからかわれ、口に出さなくても考えてる事がわかるくらい顔に出る分かりやすい人でもある。

 それに加えて、脈絡もなく奇怪な一人漫才を始める痛い人だと言う事がわかった。知りたくなかったなぁ…あんな一面……。

 

 そんな、凄くおかしいお姉ちゃんの…恐らく司令官さえ知らない秘密の花園を見てしまった私は、しばらくの間お姉ちゃんの顔を見るだけで発狂に近い発作をするという変な癖が出来てしまった……。

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