「暑い...」
砂漠の国に降り立った私を待っていたのは、灼熱地獄と大差ない砂漠の熱気だった。
私はあまりの暑さに、日傘をアモンにさしてもらっても汗が止まらない。
しかし、私とは反面にアモンとアスタロトは涼しい顔をして汗ひとつかいていない。
「なんで2人とも汗かいてないの...」
「鍛えておりますので」
「それはですね。長生きしているとこんな砂漠がある国にも攻めることがあるんですよ。それを何回か繰り返せば自然と慣れてきましたね」
「長生きって...2人とも何歳なの?」
「私は忘れましたけど、アモンは確か今年でごひゃ「殺す!」熱い熱いですって!洒落になってませんよ!ジョーク!お茶目なジョーク!!」
余計なことを言ったアスタロトは、アモンに頭を掴まれ熱い砂漠に頬を押し付けられています。
私はこの時、年齢の話は絶対にしないと心に誓いました。
しばらくして、アスタロトのお仕置きが終わると、アスタロトの頬は赤くなっており痛そうに頬をさすっていたが、すぐに赤みが引いていき、いつも通りの肌色になっていた。
「アスタロト治り早くない?」
「折檻の受け過ぎで、治癒能力は高いんですよ。いやー、私じゃなかったら死んでますね」
「アスタロト、今度は頭を砂漠に埋めてほしいようね?」
「冗談!冗談ですって!」
そんなアモンとアスタロトの婦婦漫才を観賞しながらしばらく歩くと、壁らしきものが遠目で見えてきたがアスタロトが私の前に手を出し私を制止させる。
アスタロトは遠目に見える壁を睨みつけている。
「アスタロトが目が良いのは知ってるけど、この距離で見えるものなの?」
「彼女の視力は両目とも5.0なので、この位置からでもはっきり壁が見えているのではないですか?」
「お嬢様、どうやら先客がいたようですよ」
「え?!」
アスタロトのいきなりの発言に驚きながらよく目を凝らして遠くにうっすらみえる壁を見るが何がどうなっているのか全く分からない。
アモンに関しては見えないことがわかっているのか、戦闘態勢に入れるよう準備をしている。
「とりあえず、あそこまで行ってみようよ」
「そうですね。微妙に煙が新たに上がっているのが気になるんですけど、まぁ敵は全部排除すれば解決ですね」
「アスタロト、慢心しているのなら後ろから刺しますよ?」
「まじめにやりまーす!」
仲良いな~。
そんなことを考えながら、全速力で壁に向かって走る。
私が本気で走っても大体60km/Hしか出ないのに対し、アモンとアスタロトは私以上に早く走ることが出来る。
年を重ねるごとに強くなっていくのが星喰いの特徴なので、私もまだまだ強くなる余地があるということで不満たらたらな心を落ち着ける。
大体30分ほど走り続けると、壁が徐々に近づくにつれ大きくなっていく。
壁のすぐ近くまで来ると、壁の中では未だに戦闘が続いているのか爆発音やらいろんな音が聞こえてくる。
私は初めての実践がすぐ手を伸ばせば届く距離にあると思うと、そろそろ我慢の限界が近い。
「お嬢様、作戦はどうなさいますか?」
「攻撃する奴は...全部殺す!」
「「承りました」」
私達3人はそれぞれの黒いトリガーを取り出し、装備する。
「起動」
私がそうつぶやくと、腕輪が反応し両手に大きな鉤爪型のトリガーが装備される。
鉤爪の大きさは、私よりも大きく重いが全然扱える。
このトリガー専用の能力もその使い方も頭に入って来た。
アモン達も既に戦える状態なので、私は右手の鉤爪「黒桜」の手のひらを壁に当てて能力発動のキーワードを口にする。
「ブラスト!」
ドガァッ!!
すると、壁に直径3mほどの穴が開き壁の内側で戦闘をしていた人たちが一斉にこちらを向く。
勢力的には、この国の兵士たちが圧倒的不利に立たされているようで、この国のものではないであろうトリオン兵が大量にいた。
おもに、バンダーとモールモッドが多数とバムスターが5体ほどいる。
経験が少ないのか訓練が足りてないのかは知らないが、明らかにこの国の兵士は弱い。
トリオン兵は多いが、敵の近界民は3人しかいない。
「アモン、アスタロト、この国に攻めてきた敵を殺るよ」
「好き勝手やるよー!」
「それではお嬢様、ご武運を」
2人はそう言うとそれぞれの方向に向かって走って行き、戦闘を開始する。
「さてと、死にたい人から向かってきてくださいねー」
「こんなところに来て、そんなこと言うなんてよっぽど死にたいらしいな!」
3人ほど、自分の戦っていた人たちを軽く倒し私の方に向かってきた。
まぁ、こっちに来るまでに何もしないとは行ってないんですけどねー。
私は左手の「白桜」の手のひらを相手の方向に向け、黒桜と同じようにキーワードを行って能力を発動する。
「
すると、いくつもの光の線が出現し敵ABCに向かって飛んでいく。
「こんなもんに当たるかyドドドン!」
敵Aが難なく避けたトマホークは軌道を切り替え、背後から敵Aの身体に着弾し炸裂していく。
その時に少々威力が強すぎたのか、トリオン切れで生身になってからもトマホークが降り注ぎ、爆発の煙幕が晴れるときには既に敵Aはただの肉塊になっていた。
「てめぇ!よくも仲間を!」
「そんなこと言われても私だって使うの初めてなんだからなにが起こるかなんて知らないよ」
私が呆れたように言い放つと、敵Bはキレたようで突っ込んできた。
「てめぇも同じように肉塊にしてやるよ!」
「愚直だー」
私はタイミングよく、飛び込んできた男を黒桜で捕まえる。
掴まれた敵Bは首だけを出した状態で喚き始める。
「俺らがどこの国の者かわかってやってんだろうな!俺たちはタイラントだぞ!!」
「そんな国知らん。あと上から話しすぎね?」
「軍事国家タイラントをしらねえだと!?てめえどこの国だ!」
「私の居る国に名前なんて無いと思うけど?いろんな国からは星喰いって言われるけど」
「なっ!星喰いだと?!伝説上の存在じゃないのか?!」
私が星喰いだと言うと、周りの人たちが騒ぎだし蜘蛛の子を散らすように一斉に逃げ始める。
捕まえた男も逃げようと必死で逃げようとしているのか、もぞもぞと動いている。
「悪かった!俺が悪かったから助けてくれ!お前に手は出さないから!」
「じゃあ良いよ」
「ふぅ...助かった」
男が安堵したところに私はキーワードを口にする。
「
そう言うと男の体が急に弾け飛び、生身の男が出てきた。
男は何が起こったのかわからない様子で私を見てくる。
だから、私はもう一度キーワードを口にした。
「
「待っグシャッ!」
男は私の手の中で弾け飛んだ。
返り血が辺りに飛び散り、私にもかかった。
敵Cがその様子を振り返りざまに見ていたが、引き返すことも無くどこかへ行ってしまった。
恐らくだが、輸送船のある場所まで戻ったのだろう。
「うわっ、黒桜汚れちゃった。白桜の能力もう1つあるから試したかったのに逃げちゃったからどうしようかな」
私が黒桜に付着した臓物を落としていると、すごい勢いでモールモッドとバンダ―がこちらに向かってきた。
私は爪の部分を向かってくるモールモッドに向け、能力ではないが機構の1つを使用する。
「
すると、鎖の付いた爪がモールモッドに飛んでいき弱点の目に突き刺さる。
私は手を横なぎに払い、死んだモールモッドで向かってくるモールモッドを薙ぎ払っていく。
モールモッドが面白いくらい簡単に吹き飛んでいく。
爪が折れたもの、目が壊れたもの、足が無くなったもの、一度の薙ぎ払いで多くのモールモッドを戦闘不能に追い込むことが出来た。
私は、爪からモールモッドを外し爪を元に戻す。
モールモッドを全滅させ、今度はバンダ―で遊ぼうと思いバンダ―を見ると、浮遊する物体がバンダ―を解体していた。
「アスタロト!私が遊ぼうと思っていたバンダ―取らないでよ!」
「え!?すみませーん!!」
私が叫ぶと、同じように謝罪の言葉が返ってきた。
浮遊するする物体、アレはアスタロトの黒トリガーで「
形状を好きなように変えることが出来、他のメイド達からはファ○ネルやシールドビ○ドと言われている。
アレの嫌らしいところは、全部アスタロトの思考にタイムラグ無しに動かせることだ。
「すみませんお嬢様、流石にキツイかなと思いまして~」
いつの間にかアスタロトがこちらに戻って来ていた。
「今度はちゃんと聞いてよ?じゃないとアモンに言いつけるからね!」
「ほんと気をつけますから良いつけだけは勘弁してください!あの人腕細いのに怪力なんですよ!怪力女ですよ!」
「あ」
私は絶句してしまった。
アスタロトの後ろで、笑顔のまま額と手に青筋を浮かべたアモンが立っていたからだ。
「お嬢様どうしたんですか?そんな終末でも見たような顔をして」
「アスタロト、ご愁傷さま!」
「ええー!どうしたんですかぁぁぁ??!!?!?!」
「アスタロト、殺すぞ?」
私が折檻されることは無いが、ちょっと見たくないので敵Cが逃げた方向へ私は走った。
後ろから阿鼻叫喚の声が聞こえたが、気にせず走った。
途中バムスターの死骸を見つけたが、気にせず走った。
少し走ると、輸送船があったであろう場所に到着した。
輸送船は無かったので、私は本来の目的であるマザートリガーのためアモン達の元へと戻る。
実際戻りたくないが...。
結局仕方ないので戻ったが、案の定アスタロトが見せられないよ状態だった。
「アモン、やり過ぎじゃない?」
「これくらいで良いのですよお嬢様」
「酷いですよお嬢様...いるならいるって言ってくださいよ...」
「まぁほっとけば治るから良いか」
5分ほど待つと、アスタロトは元に戻ったのでマザートリガーがあるであろう街の中央にある城に向かうことにした。
読んでくださりありがとうございました。
災花の黒桜&白桜のモデルはfa○eのパッショ○リップの鉤爪が元になっています。