ある一族、ボーダーへ   作:千紫万紅

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少女、玄界に行く...はず

 私がエリモスから帰ると、お母さんにいきなり呼び出しを受けた。

 

 「行きたくないよ~...」 

 「ご愁傷さまです(行ってみないとわかりませんよ)

 「アモン先輩、本音と建て前が逆ですよ」

 「あれ?でも私の直感が怒られると囁いてこない...」

 

 私のサイドエフェクトは「直感」

 能力も名前通り、本能的になにが起きるのかがわかる。

 だけど、わかるのは私自身のことだけでほかの人のことなんかはわからない。

 まぁ、そんなもんだろう。

 

 私はしぶしぶお母さんの部屋に行くことにした。

 部屋のほうに一歩ずつ歩くたびに、気持ちが沈んでいく。

 怒られるわけではないはわかっているが、わざわざ地雷原に自ら突っ込んでいくような感じは何なんだろう。

 とても嫌な予感がする。

 

 「入りたくない」

 

 結局、いろいろ考えているうちにお母さんの部屋の前までたどり着いてしまった。

 いつもなら、特に何も思わない龍の襖が今日に限って重圧(プレッシャー)をかけてくる。

 

 「お母さん、入るよ?」

 「ええよ。入ってきんさい」

 

 意を決して部屋に入る。

 お母さんは爪をいじっており、特に怒っているような様子はない。

 だが私は知っている。

 お母さんは爪をいじっているときは、ろくなお願い事をしないということを...

 

 「災花、とりあえずお疲れ様やねぇ。先客がおったようやけど自分なりに考えて行動できたのは偉かったね」

 「怒らないの...?」

 「自分のやりたいことをやったんやろ?褒めはしても怒りはせんよ」 

 

 私は安堵で、腰が抜けた。

 畳にへたり込んでいると、お母さんは惑星軌道予測装置を押入れから取り出し私に見せてきた。

 

 「運のええ事に近々もう一個惑星国家が近づいてくるんよ。確か名前が...玄界(ミデン)やね」

 「え、でも玄界(ミデン)は次女の崩花お姉ちゃんが行ってるよ?」  

 「そうやっけ?まぁええよ。行ってきんさい」

 「休みがないー!」

 「まぁ来るまでにまだ三日間はあるからゆっくり休んでてええよ」

 「じゃあ行くよ」

 

 私は三日間の休日と引き換えに玄界(ミデン)に行く決意をした。

 我ながら安い対価だと思うが、お母さんのいうことだから何か意味があるはず!

 私は勝手にそう思いながら部屋を出た。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 母side

 

 うちは嬉しそうに部屋を出て行った娘を見て何か伝え忘れたことがあったと思ったがすぐに思い出せないので思い出すことをやめた。

 ぶっちゃけ今回、災花を玄界(ミデン)に行かせる理由もさらに強くなってもらいたいからである。

 

 「先に介入してた国家が国家やし、面倒なことになるのは100%決まっとる。うちの娘はどう対処するのか見ものやねぇ」

   

 娘が処分した敵はうちが数十年前に壊滅寸前まで追い込んだ軍事国家タイラント。

 うちへの恨みはまだあるのか知らんが、子供らを狙うのは予測出来る。

 

 「これからが楽しみで仕方ないわぁ。フフフ」 

 

 この笑った声が廊下まで漏れており近くを通ったメイドたちが何か間違いを犯したと勘違いし泣きながら先輩たちに助けを求めたのは秘話である。

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 休日一日目

 

 この日はとりあえず疲労を抜くために、家の外の露天風呂に朝から入りに行った。

 驚いたのはメイドたちが大量に居たことだ。

 みんな急いで出ていこうとしたが、引き留め親睦を深める意味でも一緒に入った。

 恋バナや髪の手入れを教えてもらい、「これが夢のガールズトーク!」と心の中で興奮していた。

 途中からアモンとアスタロトが入ってき、「次からは誘ってください」と言われたので誘おうと思う。

 風呂の後は、コーヒー牛乳を一気飲みした。

 アスタロトが出てくるのが遅いので見に行ったら頭から逆さに露天風呂に刺さっていた。

 まるで犬〇家のようだった。

 

 「ちゃんと剃ってるんだ...」

 

 どことは言わないがまじまじ見ていたらほかのメイドたちに「気にしない気にしない」と言われながら露天風呂から連れ出された。

  

 二日目

 

 私が生まれた場所に行ってみた。

 手術室で指揮を執っていた人を見つけ、会いに行ってみた。

 あの時はうっすらとしか見えていなかったが、見た目は若い。

 風貌からしても研究員の見本のような格好だ。

 ヨレヨレになった白衣、ぼさぼさの髪、これは女の人としてどうなんだろう。  

 

 「その節はお世話になりました」

 「あぁ異常個体(イレギュラー)じゃないか。どうしたんだい?こんな辺鄙なところにきて」

 「私は災花っていうんです。ずっと興味があったんだけど来る機会がなかったから今日来ました」

 「興味があることはいいことだ。軽く説明するとここはトリオン技術の開発と製造部門だ」

 「トリオン兵でも作ってるんですか?」 

 「あんな機能美のない糞以下の存在なんて作るわけないでしょ。何をするにしても自分の手でしないとやりがいないでしょ」

 「え、じゃあ何を作ってるの?」 

 「主にトリガー関連だね。黒トリガーは大量にあるがなじまない子がたまにいるからノーマルなトリガーを作ったりしている。もちろん要望は言ってくれれば出来るだけ適える」 

 「ということはあのメッセンジャートリガーも?」 

 「あれは結構前に作った骨董品だよ。まだあったんだね」

 

 あれが骨董品というとは中々すごい。

 お土産として、骨董品のメッセンジャートリガーを3つほどもらっておいた。

 

 「新しいのが欲しくなったらいつでもいいな。それと整備も任せな」

 「いろいろありがとうございます」

 「使われないより使ってもらったほうが助かるんだよ」

 「在庫処分的な?」

 「いや、せっかく作ったのに使われないなんて可哀想だろう?」

 

 この人は口では骨董品などと言ってるけど、すべてのトリガーに等しく愛を注いでいるんだろう。

 

 「そういえば、名前教えてください」

 「私の名?私はザガンっていうんだよ」

 「なんか男っぽいですね。よく言われるよ」

 

 ザガンはハハハと笑いながら研究室の奥に消えていった。

 

 三日目

 

 この日は明日のための準備に使った。

 服なども持っていくと考えると相当な荷物になってしまう。

 この問題を解決するために、朝からザガンのもとに相談に行った。

 

 「収納用のトリガーを作れるかだって?」

 「明日出発なんですけどどうにかなりませんか?」 

 

 ザガンは少々考えた後、夕方にまた来てくれといった。

 夕方まではまだまだ時間があるので、とりあえずお母さんのもとに遊びに行くことにする。

 

 「お母さん~遊びに来たよ~?」 

 「よう来たねぇ。何して遊ぶん?蹴鞠するん?」 

 「する!」

 

 蹴鞠はお母さんといつも一緒にする遊びで、ルールは先に落としたほうの負けというシンプルなものである。

 100を超えたら球を1個ずつ追加していくというルールが最近できた。

 

 「今日は負けないよ!」

 「いつまでも付き合ってあげるから気張りぃや」

 

 蹴鞠をしながらいつも私はお母さんと話をする。

 雑談からお母さんのことや私のこと。

 たまに歌に合わせて蹴りあう。

 

 まる たけ えびす に おし おいけ あね さん ろっかく たこ にしき し あや ぶっ たか まつ まん ごじょう せきだ ちゃらちゃら うおのたな ろくじょう しち(ひっ)ちょうとおりすぎ はちじょう(はっちょう こえれば とうじみち くじょうおおじでとどめさす

 

 「あ!」

 「今日も災花ちゃんの負けやねぇ」

 

 考え事をしていたら、私は球を1個落とし私の負けとなった。

 気づけば、もう日が傾き始めてる。

 庭先に植えてある枝垂桜に夕日の赤色が重なり合ってとてもきれいだ。

 

 「お母さん!私が帰ったらまたやってくれる?」

 「いつでもやってあげるから強うなってき?」

 「約束だよ!」 

 

 私はザガンのところまで走っていく。

 しかし研究室にザガンはおらず、研究員の一人が私に近づき私にネックレスを渡してきた。

 

 「所長は疲労のためお休み中です」

 「あー...なんかごめん」 

 「いいんです。所長も最近休んでいなかったのでいい機会です」

 

 確かに休まなそうなイメージあったけど本当に休んでなかったんだ。

 私はネックレスを受け取り、部屋に急いで戻った。

 

 すでにアモンとアスタロトが荷物をまとめてくれていたので、もらったばかりの収納型トリガーをアモンに渡し荷物を仕舞ってもらった。

 

 出発日当日

 

 いつもより早く目が覚めた....食堂で

 昨日の夜、メイドたちがパーティーを開いてくれたのは覚えている。

 周りを見ると、酔いつぶれたメイドたちが辺りに転がっていて死屍累々の状態だ。

 

 「ちょっ!みんな起きて!片付けないとお母さんに怒られるよ!」

  

 私が焦ったように起こし始めると、怒られるのワードに反応して起き始めた。

 みんな怒られるのは嫌なのだろう。

 その後は急いで片付け、いろいろとチェックをしていたら出発は昼を回っていた。

 

 「ほんならいってらっしゃい。気を付けるんよ?気が向いたら行くかもしれんからね」

 「気を付ける...よ?え?来れるの?!」 

 

 私が質問した瞬間、足元に(ゲート)が開き重力に従って私はアモンとアスタロトと一緒に落ちた。

 

 

 

 

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