符術少女とつぐもも   作:【時己之千龍】龍時

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第05話 祭神、金山毘売神たぐり

 

 翌日。皆と合流したアリスは自分の式神、『イクス』『クリス』『アリア』『マリア』を出した。

 

「……」

「久しぶりの外だー」

「ねぇねぇアリス様。今日はなにするの?」

「今日は天気もよく、お散歩日和ですね」

「今日は祭神様に会いに行きますよ。神様だから皆お行儀よくしてね」

「「「はい」」」「(こくり)」

 

 三人は声を出し、イクスは相変わらず無口で頷く。

 

 いつもは鍛錬用の胴着姿だが、今日のアリスは着物姿だった。そしてその式達も似た着物を着ている。またその装束は皆アリス手製の物だ。

 

「アリスさんのその姿ははじめて見るね。初めて会った時も鍛練の時もずっと胴着だったし」

「あ、そうじゃな。なかなか似合っておるぞ」

「ありがとうございます桐葉さん。今日は久しぶりに私服で来ました。でも学校では目立ってしまうので洋服を着るようにしてますが」

「うん。すごく似合っていると思うよ」

 

 一也からの突然の褒めにアリスは一瞬顔を紅くするも立て直す。

 

「あ、ありがとうございます。一也さん」

「全員揃うたな、ほないくで」

 

 昨日と違い今日は子供姿の菊理様が先頭を歩き進む。そして神社に着いた菊理様が声を上げる。

 

「おーいたぐりー、わいやー、入れてくれー」

 

 その直後、はーいの声と同時に皆は社の中に吸い込まれた。

 

 

 

 

 一瞬、視界が真っ暗になったかと思った先は和室だった。

 

 外の社は人が入れないほどの小さいものだったが空間をいじっていたか、または別のとこへ飛ばされたかみたいだった。

 

 着地した前には広く大きな机があり、その先には掛け軸に『絶対少女』の文字が大きく書かれていた。

 

「ようこそ金羅神社へ」

 

 皆の視線が声の方へと動く。

 

「私が祭神、金山毘売神たぐりです。そちら方皆様は初めましてね」

 

 祭神たぐり様がとても嬉しそうにアリスとその式達、それから桐葉へと順に見ていく。その視線に式が何か感じ取ったのかアリスの影に隠れる。

 

「おう。ワシは付喪神の桐葉じゃ」

「人間の加賀見カズヤです」

「私は陰陽術師の皇アリスです。こちらは私の式達です」

 

 たぐり様はうんうんと頷き、よろしくねと言うとくくり様に近づく。

 

「それでくくりちゃん。ま~たお金を借りに来たの?」

「うぅ……そうや、まだ前の借金返せてへんのにすまんけど……」

 

 視線を逸らし、もじもじさせながら答えるくくり様。それをたぐり様は数枚のカードを出しながら言う。

 

「いいのよいいのよ。じゃ、いつものこれでいきましょう」

 

 いつもの?と桐葉とアリスが声を漏らしてそのカードを見る。

 

 向かい側に座ったたぐり様がカードを切り、机に並べ始めいくのをみて、皆も机を囲って座り始める。

 

「もしかして神経衰弱ですか?」

「そのとおり。楽しみましょう」

 

 カズヤの問いにたぐり様が頷いて答える。桐葉は金を借りるのに関係があるのか?といった感じにいたが「初めての方もいるからまずは説明ね」とたぐり様は説明をする。

 

 カードは借金券であり、同じカードを揃えたらその金額分のお金を借りられる、と簡単に話した。

 

「あ、式ちゃん達も混ざってね?その方がとても楽しくなるから」

「いいの?」「やったぁー」

 

 式達が嬉しそうに声を出す。

 

 そしてさいころを順番に振っていき、順番を決めていく。

 

 一番手、桐葉。

 

「おう!まずはワシからだな」

 

 桐葉はカードを引き、見事五千円カードを揃える。しかし二回目の引きは揃えられず、元の位置へ戻す。

 

 二番手、アリス。

 

 カードを引くが揃わず。でもまだ始まったばかりだと次を期待する。

 

 三番手、アリスの式神『クリス』。

 

「これ…え?」

 

 引いた一枚目のカード。そこには『おしりもみもみ』と書かれており、クリスは首を傾げる。周囲も頭に?を浮かばせた。

 

 二枚目のカード。『ねこねこスーツ』……。

 

「くくり様、少しお話があります」

「え、ええと……」

「くくり様はこれをわかっていて、私と私の式達も参加させましたね?」

「ど、どうやろうなぁ……」

「私の大切な式達に…何をさせようとしているんですか!」

「おいカズヤ!帰るぞ!」

「まっ?!ままままってーな桐葉!アリス!」

 

 帰ろうとする二人をくくり様は必死になって引き止めにかかる。

 

「止めないでくださいくくり様!」

「放せくくり!」

 

 その後五分間。くくり様は二人に説得し、ゲームを続行することになった。

 

 四番手イクス、五番手カズヤ、六番手アリア、七番手マリア、八番手くくり様と移っていき、イクスとくくり様が一万円ずつを獲得する。しかしアリスと桐葉がハッと気づく。

 

「「((これは…後手になるほど有利になるっ!!))」」

 

 二人の顔色が悪くなり始める中、九番目のたぐり様の番が来てしまった。たぐり様は二人に笑みを送りながら私の番が来たわね、と……。

 

 たぐり様が引いたカード……『ぺろぺろちゅうちゅう』の揃い。

 

 式達が一斉にアリスにしがみつく。

 

「あ、ああありすさまー」

「怖いです」

「はわはわ」

「(ガクガクブルブル)」

 

 大丈夫、きっと大丈夫とアリスは式達に震える声で言う。

 

 たぐり様の視線が皆へと向けられ、ひとりひとりをじっくりと見て移っていく。

 

「さぁ…誰にしようかしら。――決めたわ」

 

 一瞬ビクッと皆が震え目を閉じたその直後、風が吹いた。

 

 まず自身が無事だったことに気づいたアリスは次に自分の式の安否を確認する。

 

「(…よかった、皆無事だっ――)」

 

 そのまま誰が被害にあったのか確認しようと振り返ったアリスは、あまりの衝撃に固まった。

 

 たぐり様がくくり様を……くくり様の唇を舐め回し、吸い尽くしていた。

 

「ごちそうさま。さぁ続けましょう?」

 

 この後、たぐり様の連当が続いた。八人もカードをめくればそれだけ検討がついてしまう。

 

 桐葉、ねこねこスーツ姿。

 

 イクス、一時間添い寝。

 

 マリア、ちくびくりくり。

 

 アリア、おさなづま。

 

 クリス、赤ちゃんぷれい。

 

「……次は私が来ちゃう……残りは、どんなのがあるの??」

 

 頭を抱え顔を青ざめるアリス。順番から今度は私だろうと体を震わせていた。

 

「次は……これ!」

 

 たぐり様がめくった二枚のカード。

 

「し…下着、脱がし!!?」

「さぁ…準備はどうかしら?」

「あ…ああ、あ……せめて」

「はい?」

 

 アリスは顔を紅く染め、うつむきながら言う。

 

「一也さんは目隠しをするか、部屋から出してほしいです!!」

「なっ?!ええと、その……」

 

 突然名を呼ばれた一也があたふたし始める。

 

「良いではないかアリス。皆恥ずかしい姿や羞恥姿を見られてるんだぞ?貴様だけ見られないのはズルイ」

「え?そんな桐葉さん……私は……」

「ねぇまだダメかしら?」

「たぐり様……」

 

 さらに顔を紅く染めるアリス。

 

「アリスさん。僕は終わるまで目を閉じてますから」

「お願いします…」

 

 アリスはたぐり様によって帯を取られた。

 

「あっ……アリスちゃん」

 

 突然、たぐり様の手が止まり、一瞬の驚きの表情から怪しい笑みに変わる。

 

「下着、穿いてないわね?」

「き、着物を着ている時だけです!着物の時だけは!!」

「いいのよ。代わりに『それ』を脱がすから」

「え……っ」

 

 アリスは全て脱がされてしまった。

 

 

 

 

 

「また遊びに着てね」

「「二度と来るかーっ!!」」

 

 くくり様と桐葉が声を上げる。たぐり様はとても楽しめたとご満悦で社に戻って行った。

 

「全部、見られた……」

 

 蒼白顔に涙を流しながらアリスは言い、式達も涙目でガクガクブルブルとアリスにしがみついていた。

 

「くくり様……次行く時は絶対に誘わないで下さいね。神勅とかも無しですよ。連れて行くのなら黒耀さんだけにして下さい。お願いします」

「……ええと、ごめんなアリス」

 

 くくり様は皆に謝り、今日は解散となった。

 

 

 

 

 

 

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