第2話 3人目
「ゆう〜く〜ん」
朝だ。今日も小鳥のさえずりは聞こえずに幼馴染の声が聞こえる。
窓から身を乗り出し、
「今いく」
そう伝え支度を進める。
一階に降りると妹からの置手紙があった。
にぃへ
朝ごはんちゃんと食べてよ♡
葉月
なんだこれと思いつつもパンを一つ手に取り外へ行く。
「待たせて悪いな…」
「大丈夫だよ。さぁ、今日も学校いっきましょ〜!」
こはねの掛け声とともに歩を進めた。
学校に着くと正門の前で教師が入学早々チェックを行っていた。
「うわ…めんど…」
「大丈夫だよ!私たち何も変じゃないから」
こはねの言葉を信じて正門の前の教師の前を通ると。
「おいお前ちょっと待て」
こはねがこの手のものに引っかかるわけがないと思い、
「…なんすか」
俺は返事を返す。
「お前じゃない、そこの新入生!」
「え?え?私ですか⁉︎」
「そうだ。制服をきちんと着ろ!手をきちんと出せ」
するとこはねの顔がドンドン赤くなり教師に向かって言い放った。
「小ちゃくて手がでないの!一番小さいサイズでもこれなの!」
「…ほら行くぞこはね。先生も少し察してあげてください。」
「お、おぉ。わるかったな」
こはねをひょいと持ち上げるとそのまま玄関へ向かった。
「なによ!あの先生。私だって大きくなりたいもん」
「そんなに気にするな…俺は小ちゃいお前が好きだぞ…」
「ゆうくん…もう!わかってるって〜、未来のお嫁さんなんだから〜」
顔を真っ赤にしながら制服のあまり部分でムチのようにペシペシとしてくる。
「嫁じゃない…ほら遅れるぞ。」
「も〜待ってって〜」
昼休み
「こはね、今日の目的忘れてない?」
「分かってるよ!翼ちゃんを部に入れることだね!」
「入れるんじゃなくて勧誘だ。」
「わかってるってー」
そんな会話をしていると昼休みを終わりを告げるチャイムがなった。
2人は急ぎ足で教室へ向かい授業を受けるのだった。
放課後
「ゆうくん二等兵!じゅんびはできたかー!」
「お〜」
「こえがちいさい!」
「お〜!」
「満足か?…」
「うん!満足満足!」
「ほら行くぞー」
「はい!」
「翼ちゃ〜ん。」
凛とした振る舞いをしていて一言で表すと大和撫子。
「ん?優樹と…」
「こいつがこはねだ」
「こはねか。わたしに何か用か?」
「あぁ、ほらこはね…」
「え!うん。翼ちゃん!私の部活に入ってください!」
「ふむ…具体的にどんな部活なのだ?」
「ええー!えと…」
小声でこはねが「ゆうくんおねがい!」と囁いてきた。
「はぁ〜…こはねはなにがしたいんだ…?」
「んと…恋愛相談室…」
『はぁ!』
2人は声を合わせて驚いた。
何せ優樹も初耳だったのだ。
「こはね、私はひとの感情を読み取るのが苦手なのだが…」
「こはね…。悪いが俺もそうなんだが」
「大丈夫だよ!ほら、苦手を克服する意味でもこの部を立ち上げてさ!人との交流を深めながらもさ」
語彙力が足りないなりにこはねは必死に説得をした。
翼はこはねの様子をみてかんがえた。
「私にそんなことできるだろうか…ただの足手まといにならないだろうか…」
「…い」
「お……い」
「おい。」
「言葉漏れてるぞ…」
「失礼、悪い癖だ。」
翼の独り言を聞いてこはねの小さな体がわなわなと震え始めた。
「そんな事ないよ!私は翼ちゃんならできると思うし、だって友達になりたいし……」
「だってよ…どうするんだ翼。」
「しかし、私たちはまだ出会って2日だ。」
「そんなの関係ないよ!まだ高校生活は始まったばかりだよ。」
「そうか…」
「こんな私であれば力を貸そう。」
「本当にいいのか?」
「あぁ。問題ないさ」
「やった〜!あと1人だよゆうくん、翼ちゃん!」
「分かってる。翼だれかいないか?」
翼はしばらくおしだまり
沈黙の中に重々しく口を開いた。
「ふむ、思い当たる節はあるが間違いなく拒否される」
「ほー、それは誰なんだ?」
「同じクラスの、天座リリスだ。」
「天座?あの、空白の席のやつか。」
「あぁそれであっている。」
「それで?その子ってなんでダメなの?」
「……」
翼は黙り込み視線を落とした。
「すまない。明日まで待ってくれないか?私も色々あってな」
「あ、うん。分かったよ翼ちゃん、また明日ね!」
「あぁ、また明日。優樹もまた明日…な」
「おう、また明日」
そう言うと翼は早足で廊下を歩き正門にでた。
……さてと、リリー今年こそは学校に行ってもらう…
翼が歩を進めた先は大きな門のある豪邸だった。
豪邸に着くと呼び鈴を鳴らし、
「相谷です、」
と、伝えた。
「はい、相谷様。お嬢様にお会いに?」
「まぁそんなところだ。」
そう言って家の中にいれてもらい、
あるひとつの部屋へと向かう。
部屋の前には
【リリスの部屋】
と書かれているプレートがぶら下がっていた。
部屋にノックをし、
「翼だ、リリーいるか?」
「いいよ、入って」
「久しぶりだな。リリー」
部屋の中にはぬいぐるみが少女を囲んでおりその中にちょこんと座りながらディスプレイを眺めている少女がいた。
「つーちゃん…今日は遊びにきたって訳じゃなさそうだね。」
リリスは翼の顔を見るなり笑みを浮かべた。
「やはり、お前に隠し事など無駄なのか」
「分かってるね、さぁ話してよ」
「私は高校に入って2人友達ができたんだ。」
「へぇ〜あの真の道をいくって聞かなかったつーちゃんにねー、それで?」
「私は剣の道を選ばずに友を選んだのだ」
「つまり、家のことを無視して友達を選んだと…」
「……あぁ」
「珍しいね。その友達にそこまでする価値を見出したのかい?」
「いや、あの…あの目の少女を信じてみたかったんだ…」
「ふーん」
「それで?僕にどうしてほしいの?」
「その…私の友に協力してやってほしい」
「聞くだけ聞くよ。どんなことをするの?」
「れ…恋愛相談の部…」
「………そのこは何がしたいんだい?」
「分からない」
「あはははは〜面白いね、うん分かった明日見にいくだけいってあげるよ」
「本当か⁉︎」
「うんっ」
リリスの出した決断は結果として学校に行くという選択になり、
そして四ヶ月ぶりの外出となるのだった。
家に引きこもっていた少女。
ボクっ娘、銀髪、色白のハーフ。
リリスが三人にもたらす影響を、この時の翼はまだ知らない。
そして、物語がどの方向に向かって行くのだろうか…