入学試験 実技
俺は市街地を模した試験会場にいる。この試験会場にいるポイントが割り振られているロボット、仮想ヴィランを倒す。それが俺が受験したここ、雄英高校の実技試験だ。
内心精神に作用する個性の奴はどうするんだろうと考えながら淡々と目の前にいるロボットの腕を剣で斬り飛ばしてから首をおとす。腕を斬るのは無力化のため、首をおとすのは戦闘不能になっているか第三者にわかりやすいためである。こうしておけば誰かが俺の倒したものを攻撃することはほぼないはずだ。
「それでも攻撃する奴はいるだろうがな」
切羽詰ったやつとか緊張とかで周りが見えていないやつとかな。あと大規模攻撃で巻きこむなんて奴もいるはずだ。まあそういう個性の持ち主がこの試験会場にいるかは俺にはわからないが。
「なんだ?」
試験終了まであと少しだがあっちが騒がしいな。少し行ってみるか? いや、騒がしいという事は人が多いという事だ。俺に大勢の人間と話すコミュ力なんてない。スルーしておくのが無難か。いや、そうもいかなそうだな。
「音が近づいてきているな」
何かを破壊している音。おそらく試験会場に最初からあったビルに何かがうちつけられ倒壊した音だな。ということは増強系の個性持ちの仕業か? それとも大規模破壊可能な発動系の個性持ちの仕業か?
「どちらも違ったか」
音の聞こえる方から現れたのは巨大な仮想ヴィラン。確かポイントが割り振られていないお邪魔ギミックだと試験担当講師のプレゼント・マイクがいっていたな。倒しても割に合わないし倒せるような個性ではないといった理由で逃げているのか?
「情けないな」
目の前の敵に対して特に何もせず逃げる? そんな奴はヒーローではない。まぁこれは俺の自論だし俺もさっきスルーしようとしたしな。
「プロモーション:ナイト」
ふむ。地面が脆い素材だからかこんなものか。強度が心もとないが仕方ないこれに乗っていくか。ナイトになったから伸びた剣を片手に持って手綱をもう片方の手で持ってっと。・・・・・・行くか。
「でかいな」
遠目から見ていてもわかっていたがこのロボット大きすぎないか? こんな大きさのヴィランなんぞそうそういないと思うが。いや、体が大きくなる個性持ちであの大きさになったとか異形系の個性持ちであんな風に大きい奴がいるかもしれないな。
「まぁ今はいいか」
こちらを驚きの目で見ている奴がいるな。俺の個性なんてそれほど派手でもないだろうに。こちらを見て止まっているならその間に近くの仮想ヴィランを倒せばいいものを。
「? 誰かいるな」
巨大仮想ヴィランの足元に誰かいる。おそらく仮想ヴィランをくい止めようとしているのだろう。だが奴ではどうしようもなさそうだな。多分増強系の個性持ちなのだろうがあの様子ではな。
「個性を使い慣れていない? いや、フルパワーで使ったことがないといったところか。姿勢も悪いしあれでは・・・・・・」
力負けして潰されるだろうな。・・・・・・仕方ないか。目の前で大けがをおうとわかっていて助けないのはヒーローとして駄目だろうし巨大仮想ヴィランを倒す前にあの受験生を助けるか。
「プロモーション・ルーク」
脆いコンクリの馬からコンクリの象に変わる。これなら力負けすることはない。勢いよく巨大仮想ヴィランにつっこむ。ルークとなった俺の力を見せてやる。
「なっなんだ!?」
「無事か?」
「あっああ」
受験生が抑えていた仮想ヴィランの腕を横合いから強襲して助けて象の背中に乗せる。怪我はなさそうだな。混乱が多少あるようだがまぁこれは俺のせいだろうな。横合いからいきなり象が現れるとか普通考えないし。
「これからどうするか」
「えっ!? 」
「何を驚いている? 俺はあれを倒すつもりだがお前はそうではないのだろう? なら、お前をおろさないといけないだろう? ただ、そんな隙をあれがついてこないとは思えないのでな」
「どっどうして?」
「理由など簡単だ。アレの攻撃を受けていた時のお前の姿勢だ。横から奇襲されて満足に力が入る姿勢を取れなかったのだろう? だから押し負けそうになっていた。違うか? 」
表情が雄弁に語っている。こいつはあの巨大仮想ヴィランを倒すつもりがない。いきなり襲われて仕方なく戦っていた。そんなところだろう。多分他に誰かいればそいつに押しつけて逃げていたんじゃないか?
「戦意のない味方など邪魔なだけだ」
顔が赤くなってきたな。怒っているのか? この程度の言葉で怒りに我を失いそうになっているようでは受かったとしてもやっていけないだろうな。ヴィランが挑発してくるのなんて当たり前だし。
「おっお前なら勝てるっていうのかよ!?」
「当たり前だ。勝てない敵に無策で突っ込むほど俺は馬鹿じゃない。お前はここで隠れていろ」
コンクリの象をコンクリの塔へ変化。それから手に持つ鈍色の体をすっぽり隠せるほどの大きさのタワーシールドを目の前につきたてて両手を自由に。楯の後ろに呆然としている受験生を隠して巨大仮想ヴィランに向けて跳ぶ。
「さてやろう。俺をただの武器に頼る三流と一緒にするなよ」
仮想ヴィランは目の前の巨大なコンクリの塔に注目しているようだな。だがあれは動かないただの置物だ。なにもしないしできない。まぁさっき隠した受験生がとびだしてくる可能性はあるがそれは低いだろう。戦意が完全に折れていた。あの状態から短時間で立ち直れる者などほぼいない。
「まずは機動力を削ぐ。その後、戦闘能力を削ぐ。最後に機能停止に持ちこむ」
言葉にすれば簡単そうだ。ただ実行できるかというと難しい。機動力を削ぐことはできるだろうが戦闘能力を削ぐのはな。機能停止は止まれば簡単そうだし戦闘能力を削ぎながら狙ってみるか?
「ちっ!」
気づかれたか。こちらに攻撃してきた。あの程度なら避けるのは難しくはないが近づきづらくなったな。もっと長く囮に気が向いていると思っていたんだが。これが人間ではなくロボットか。冷静にこちらの脅威度を見ていやがる。
「今解除することはできない」
あれには受験生が乗っている。今解除したら地面に落下する。そしたら助けた意味がない。ちっ! 面倒がらずにあの受験生を下ろしてから向かえばよかった。
「くらえっ!」
ルークになったことによって上がった身体能力にものをいわせ勢いをつけてつっこみ巨大仮想ヴィランの右足にある履帯を破壊する。左の履帯も少し時間がかかったが破壊できた。後は機能停止に持ちこむだけ。
「破壊したら周りに被害が出そうだな」
公共物を破壊しまくるヒーローって印象悪いだろうな。となるとなるべく周りをあまり破壊しないように注意して機能停止にしたほうがいいんだろう。
『終ー了!!』
なっ! 時間のことを考えていなかった。まっまあいい。半壊にはできたしそれまで倒した仮想ヴィランは50。これくらい稼げば合格しているだろうか? いや、もっと稼いでいる奴がいるかもしれない。
「終わったか」
とりあえず塔の上にいる受験生をおろすか。人知は尽くした。後は天命を待つだけだ。合格していなくても構わない。俺はやれるだけのことはやったはずだ。これ以上はどうしようもできない。
個性:ポーン
タイプ:異形系?
ポーンのおこなうことができることがだいたいできる
中世ヨーロッパの一般兵のような姿をしている。
プロモーション
敵地と定めた場所と決められた条件を満たすことでナイト、ルーク、ビジョップ、クイーンになることができる
ナイト:足がなにかについている、手に剣を持っている
足元のものによってできた馬を作成できる。(例:轟の氷結の上では氷でできた馬が砂漠では砂で出来た馬ができる)
姿は騎士甲冑になり剣が片手剣から騎士剣に、楯が騎士盾になる。
ビジョップ:何かを信仰している、手に剣を持っていない
信仰している対象によって変化(例:彼が信仰しているのは武御雷なため雷の操作、武技(特に剣と相撲)の向上、身体能力の向上、女性特攻を得る)
姿は司祭服になり片手に杖になるのだが能力の効果を発揮するために彼は近くに剣を置いておくことが多い。
ルーク:何か護る対象がいる、一定以上のスペースがある
手や足に触れている部分からそのついている部分の素材でつくられた巨大な塔、城、象、古代の戦車を作成する。(例:氷の塔、コンクリの城、金の象)
姿は全身甲冑になり、身の丈ぐらいのタワーシールドを両手に持つ。タワーシールドの内側に剣が隠されている。
キャスリング
護ると設定した対象と自分の位置を瞬時に交換する。
条件として相手の名前を知っている。やるたびに設定する必要がある。視界外の相手との場合時間が少々かかる。生物しか設定できない。というのがある。
クイーン:配下と呼べる存在が近くにいる、血を流している、女性ものの服を着ている
全ての駒の能力を使用することが可能となる。(ただしキャスリングはできない)
血を流せば流すほど身体能力や五感などが向上する。
姿は漆黒のドレス姿になり手には鉄扇が握られている。ついでに髪が腰までの長さになり八百万並みのプロモーションになる。