オリジナル個性   作:雨の日

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個性:死を見る眼

 ヒーロー殺し捕縛の日 保須市

 ヒーロー殺しが捕縛される数日前から、保須市にはとある敵がいた。服装は黒の着物でナイフを手に持っている以外普通の人間と見分けがつかない男性だ。顔立ちは幼く成人していないのではないかと初対面の人間には思わせるがこれでも30代を迎えている。

 

「エンデヴァー、グラントリノ。大物がいっぱいいるな」

 

 男性が蒼く光る眼であっちこっちを見ながらつぶやく。今保須市にはヒーロー殺しが現れたせいでたくさんのヒーローがおりその中でもエンデヴァーはナンバー2ヒーローとして有名だ。グラントリノもオールマイトの師匠として一部の界隈で有名であったりする。

 

「どうするか? やっちゃうか? あいつにやられる前に」

 

 男性は少し思案して結論を出したようで一つの路地裏に入っていった。そこにパトロール中であったヒーローが通りががった。

 

「きみ、こんなところで何をしているんだい?」

 

「僕?」

 

「そうだよ」

 

 ヒーローは幼い男性の外見に騙されて優しく声をかけた。ヒーローは背が低い男性に合わせてくぐんだため咄嗟に動くことは難しくなった。そのことを確認しながら男性はヒーローの観察を続ける。ナイフをいつでもふるえるように準備しながら。

 

「僕は待っていたんだ」

 

「待っていた? なにをだい?」

 

「・・・・・・貴方みたいな得物を」

 

 視線誘導でナイフをヒーローに見られないようにしながら男性はタイミングを計る。ヒーローの警戒心が薄れるのを。そしてヒーローの警戒心が薄まった時、男性の目が蒼く光った。

 

「ぐっ!」

 

「まずは1人。今日は何人やれるかな?」

 

 光った瞬間ヒーローは身体から鮮血を飛び散らせながら倒れた。身体の左わき腹から右肩に向けてナイフが振るわれたのだ。ナイフをふった男性の動きに淀みはなくふり慣れているのがよくわかる。

 

 男性はナイフについた血をぬぐうとその場から動かず次のターゲットを待つ。その顔は人を殺したにしては普通過ぎた。、まるで日常的に人を殺しているかのように。罪悪感なんて全く感じとれない。人を殺すのも蚊を殺すのも変わらないと言っているかのように。

 

「次は貴方か」

 

「えっ? なっ! マックス! これは君が?」

 

「そうだよ? そして次は貴方がこうなる番さ」

 

 最初に殺したヒーロー、マックスの痛ましい様子に動揺したらしい次に訪れたヒーローはあっけなく男性に殺された。

 

「・・・・・・抵抗することもできないとは。あいつが言っていたようにヒーローの質は以前より下がったみたいだな」

 

 男性はため息を一つついた後路地裏を後にした。その後その路地裏を訪れた一般人によって通報されこの事件はヒーロー殺しがやったものだと報道されることになる。

 

「僕がやったのに。・・・・・・まぁいいさ。次は大物をやろう」

 

 その報道に顔をしかめながら男性は次のターゲットに近づいていく。正面から堂々と。これからやることに緊張することなく。あくまで普通に。故に気づかれるのが遅くなった。

 

「! 貴様!」

 

「ちっ!  今のでやれないか」

 

 経験による直感でも働いたのか、男性がナイフを突きだしたのと同時に近くにいた相僕だと思われるヒーローが標的にしていたヒーローをかばった。

 

「エンデヴァー。優秀な相棒を従えているな」

 

「ふん! 貴様、何者だ?」

 

「僕? 僕は『シキ』」

 

「シキだと?」

 

 エンデヴァーは男性、シキのことを知っていたようで獰猛な顔になった。シキ。この敵は数多の人を殺している敵の名前だ。全国指名手配されていて偽物が多く確認されている。だが本物はある特徴を有しているため本物か偽物かすぐにわかるという。それが・・・・・・

 

「蒼い目にナイフ。そして黒い着物。間違いなく本物だな」

 

「ええ。僕の偽物が一時期流行ったんですよね。あんな奴らと一緒にされたくないってのに」

 

「ふん! お前の犯行はある種の人間には魅力的に映ったらしいな」

 

「そうなんだ」

 

 シキの殺した人間は基本一撃で殺されている。その死体を偶然見てその殺しの力量に魅了された人間が偽物のシキの正体だった。その数、24。それだけの数、シキは人を殺してきたのだ。いや、まだ見つかっていない死体や誰も魅了されなかった死体もあるのでそれ以上人を殺しているだろう。

 

「今日が貴様の年貢の納め時だ!」

 

「いや、それはないな。明日も明後日も僕は人の死体を生みだすよ。これまでと同じように」

 

 シキとエンデヴァー。舌戦を切り上げ戦闘に移った。力量は拮抗しているのか一進一退の様相を呈している。シキはナイフと体術によって炎を操るエンデヴァーと互角にやりあえるほどの実力者だったようだ。

 

「? なんで笑っているんだい?」

 

「ん? 笑っていたか?」

 

「ええ。まるで戦闘を楽しんでいるかのように」

 

「楽しんでいる、か。確かに俺は楽しんでいたのかもしれない。だが、もう終わらせよう」

 

 エンデヴァーはそう宣言しより苛烈に攻めたてる。シキはそれをさっきより余裕をなくしながらもさばいていく。その様子を職場体験に来ていたエンデヴァーの息子、轟焦凍は黙って見ていた。自分が割りこめない自分よりはるかに高みに達している2人の動きから何か参考になるものがないか探しながら。

 

「くっ! 流石にナンバー2ヒーローだけあって一筋縄にはいかないか」

 

「当たり前だ! よくここまで耐えたと言っておこう」

 

「ふふ。まるで勝ったみたいな言い方だね?」

 

「なに?」

 

 たたかいながら移動していた2人のたたかいはシキを袋小路に追い込んだエンデヴァーの勝ちで終わりを見せるかと思われた。壁をシキがまるで豆腐を切るかのようにあっさりと切ったことによって覆された。

 

「それじゃあね」

 

「まて!」

 

 家の屋根にとび乗り逃げていくシキを追おうとしたエンデヴァーの前に羽の生えた脳がむき出しの怪人が現れた。エンデヴァーは鬱陶しそうにしながら炎によってその怪人を排除しようとした。だが炎への耐性でもあるのかその怪人は容易く倒すことはできなかった。

 

 怪人を倒し終わったころにはシキは逃げおおせていた。そのことに悔しそうにしながら他の場所にも同様の個体が現れたという情報を手に入れたエンデヴァーは相棒たちを3人1組を厳命して事の収拾に当たらせた。

 

 轟焦凍を職場体験に来た1ヒーロー見習いとして自分に同行させながら集まってくる情報を基に的確に指示を出す。そんな知られざるヒーローとしての父親の姿に轟焦凍は素直に感心していた。母親をあんな目に合わせたのは許せないようだが。




個性:死を見る眼
タイプ:変形系
型月世界の直視の魔眼のようなもの
発動すると目が蒼く光り人や物に死の線と死の点が見えるようになる。
違いはオンオフが可能なことと脳へのダメージが比較すると小さいこと
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