個性把握テスト
雄英学園に入学した初日、相澤先生に言われて1-A組の生徒たちは渡された体操着を着てグラウンドにやってきた。そこで告げられたのが個性把握テストだ。
個性把握テストとは個性を使用してもいい体力テストのこと。自分が今どのくらい個性を使えるのかを把握することができる。良い結果を出そうとするならどのように個性を使用するといいのかを考えることが要求される。
このテストにて相澤先生に見込み有りと認められないと除籍処分になるというおそろしいテストだ。もちろん抗議をおこなった生徒もいたが相澤先生はこれをことごとく退けた。
「自然災害、大事故、敵たち。何時来るかわからない厄災。日本は理不尽にまみれている。そういう理不尽を覆していくのがヒーローだ。雄英高校は3年間全力で君たちに苦難を与え続ける。Plus Ultraさ。全力で乗り越えてこい」
相澤先生の説明で生徒たちは口をつぐんだ。ここで何を言っても無駄であると悟ったからである。何人かは除籍というのは嘘であると思っているようだが相澤先生は去年持ちクラスの生徒全員を除籍処分にしている。見込みなしと判断すれば有言実行するだろう。
「脚力について」
相澤先生の目を見て本気だと悟った指島示は50m走のスタート位置につきながらつぶやいた。すると彼の目の中にルーレットが現れ回りだす。そしてとまった。止まった位置には脚力2倍の文字が。
「よし」
嬉しそうにしながら示はスタートの合図を待つ。相澤先生の合図とともに示はとびだす。個性によって脚力2倍になっている示は中学までの記録より2秒は早くゴールにつくことができた。
その後も握力のときは握力についてのルーレットを回し順調に記録を伸ばしていく。今日は運がいいのかよい結果ばかり出ている。いつもなら柔軟性0,1倍などが出ていてもおかしくないというのに。
「嫌な予感がする」
この示の予感は的中する。最後の種目であるボール投げ。これまでいい記録を出せていない緑谷がボールを持ち何かをしようとして普通の結果をだした。そして相澤先生に何かを言われている。
近くで話を聞いていた人によると相澤先生が緑谷の個性を消したらしい。そのことから緑谷は相澤先生のヒーロー名を導き出した。イレイザー・ヘット。アングラヒーローでメディア露出を嫌うためさほど有名ではない。だが実力がないわけではない。
示は何か策を考えている緑谷を見て策は成功するのかな? とつい思ってしまった。それがトリガーとなったのか示の目の中でルーレットが回りだす。成功が99%で失敗が1%。普通なら成功するが示は嫌な予感が止まらなかった。
案の定、失敗の所でルーレットが止まった。示はとっさにルーレットのやり直しをおこなった。やり直しは3回までしかできずその3回すべて失敗に止まった。緑谷の策は失敗に終わるだろう。
示はついやってしまった自分の行いを悔いながら緑谷の様子を見ていた。緑谷はボールを持ち投げる瞬間に指を1つ折るほどの力をこめることによって結果を伸ばそうとしていた。だが加減がうまくいかなかったのか指が1つちぎれ飛んだ。
「ーーーッ!!!」
あまりの痛みに緑谷は地面をのたうちまう。そんな緑谷の様子を心配そうに他の生徒たちは見ていて相澤先生は厳しい目で見ていた。麗日は何かを思いだしたのか顔色を悪くしながら緑谷に歩みよっていった。飯田も心配そうに駆けよる。
「デク君? 大丈夫・・・・・・なわけないよね」
「緑谷くん! 指が!」
「・・・・・・緑谷、忠告したよな?」
「・・・・・・はい」
「俺が何を言いたいのかわかるか?」
厳しい目で見ていた相澤先生の言葉に緑谷は顔色をさらに悪くした。そして最初の宣言は真実だったのだと生徒たちはその言葉でようやく悟った。
「相澤先生! まだ初日ですよ!?」
「時間は有限だ。見込みのないものに割く時間などない」
「で、でも!」
麗日は何とか食い下がろうとするが相澤先生は動じない。飯田も抗議するが暖簾に腕押し。のらりくらりとかわされる。
「緑谷、荷物をまとめて帰れ。親御さんには後日説明する」
「相澤先生! まずはけがの治療を!」
「・・・・・・そうだな。麗日、保健室に緑谷を連れていけ。リカバリーガールがいるはずだ」
緑谷は麗日に連れられてグラウンドを後にする。その様子を示は何とも言えない顔で見送った。示のルーレットは絶対である。失敗するとわかっていて何も言わなかった自分に何かを言う資格はないと示はおもっていたのだ。
個性把握テストが終わり、緑谷の除籍が相澤先生に告げられると生徒たちは雰囲気が暗くなった。初日から除籍者が出た。卒業までに自分は除籍にならないだろうかと不安になっているのだろう。
個性:ルーレット
タイプ・発動系
課題を出すと目の中でそのことに関することが書かれた円の中が分割されているルーレットが回りだして止まった時に矢印が指し示す場所の結果を現実化する。
良い結果の時もあれば悪い結果の時もある。
割合は勝手に決まり示が決めることはできない。
示には成功続きだと制御がゆるみつい思ってしまったことでルーレットが発動してしまうという悪癖がある。
やり直しは3度まで認められる。
基本的にルーレットの結果にさからうことはできない。