ヒーロー基礎学
1年A組の初めてのヒーロー基礎学。その担当はナンバー1ヒーロー、オールマイトだった。指示に従ってヒーローコスチュームに着替えた生徒たちは演習場に集まっていた。
「えっと蒸くん?」
『あっている』
各人個性的なコスチュームを着こなしているがその中でもなお異様なコスチュームを着た生徒がいた。見た目は黒いロボットで手に身の丈以上あるドリルのようなものを持っている。関節部などから蒸気が出ており、背中に水が詰まったタンクを背負っている。
「どうしてそんなコスチュームを?」
『個性の関係と、な?』
蒸の答えで質問した緑谷は納得したようだ。彼の個性は異形系の蒸気。身体が蒸気で構成されている真っ白人間だ。何か容器のようなものがないと形をたもてないという弱点があるので全身を覆うこのコスチュームは彼に合っているのだろう。
背中のタンクの水も蒸気にして体の大きさを大きくしたり体を修復したりするときに使うのだろう。では手に持っているドリルは? このドリル、蒸気機関と同じような構造を組みこんでいて蒸気による力でドリルが回転する。まさしく彼に合った武器なのだ。
『何をするのだ?』
「戦闘訓練だって」
『ビルの中でか?』
「そうみたい」
『体がどこかにつっかえたりしないといいのだが』
麗日の答えに蒸は不安要素を述べた。といっても蒸は体の構造上声帯がない。故に声を出せない。ならどうやって会話をしているのか? その謎を解く秘密はコスチュームの胸に当たる部分にあった。
蒸のコスチュームの胸には紅い宝石のような球体が取りつけられている。そこに白い文字が蒸が返事をするときなどに浮かび上がっているのだ。この白い文字はもちろん蒸の体の一部だ。蒸が体を球体の中で文字になるように操作するこの機能をつけたおかげでようやく蒸はクラスのみんなとコミュニケーションをとることができるようになったのだ。
蒸がこの機能に気づいたとき、嬉しそうな文字が浮かんだのをクラスのみんなが目撃した。蒸は会話が個性の関係で出来ないだけでしたくないわけではない。むしろしてみたかった。誰とも話せないことによって微妙な疎外感を蒸は常に感じていた。それが解消されたのだ。嬉しくないわけがない。
ただの普通の会話でも蒸にとっては新鮮なもの。ついオールマイトの説明を聞いていたのに聞き返してしまったことくらいおおめに見てほしい。麗日が微笑ましい笑みを浮かべながら律義に答えてくれているのだから。
「蒸くん大きいもんね」
『自分の最大時の情報を元に作ったそうだ』
「ほへ~」
蒸のコスチュームは大きい。身長3mくらいだ横幅は高速道路の2車線と同等くらい。敵に狭い路地裏に逃げ込まれたらどうしようもなさそうだ。だがその分しっかりとした素材で頑丈に作られているため一撃がとても重そうだ。並みの敵なら一撃でノックアウトを決められるだろう。
『麗日は・・・・・・パツパツだな』
「そうなんよ。しっかり要望書いとけばよかったわ」
『そうか』
蒸はしっかりと要望を書かないと命の危機があったため要望書の提出時には何度もこれで大丈夫か何か抜けていないかと確認したため彼にとっては大満足な出来になっている。逆に麗日は個性使用のために必要なこと以外は書かなかったのであろう。本人にとっては恥ずかしいコスチュームになっていた。
『・・・・・・始まるようだぞ』
「そうみたいやね」
2対2の室内戦闘訓練。蒸と組むのは厳選なるくじによって麗日に決まった。初戦、緑谷・尾白ペアと飯田・爆豪ペアの戦いが始まったのを機に2人は会話をやめモニターに注目する。自分たちがやる番になったらどうするかと考えながら。
個性:蒸気
タイプ:異形系
身体が蒸気になっている。(熱を持った水蒸気の塊)
なにか密閉できる器がないと体が拡散して最悪死に至る。(どうやって生まれてきたのだろう?)
コスチュームはfate/grand orderのチャールズ・バベッジみたいな感じ