職場体験中
緑谷たちが職場体験をおこなっている頃、海上でとあるパーティーがおこなわれていた。そのパーティーは一見普通のパーティーに見えるがその実普通のパーティーではなかった。
「死柄木、このパーティーは我々にとって重要なパーティーですよ」
「そうなのか?」
そのパーティーには雄英高校を襲撃した敵連合の幹部2人が乗っていた。一応上級階級のパーティーであるからかきっちりとした服装を着ていた。死柄木の特徴であるたくさんの手のアクセサリーも今日はつけていない。
「ええ。まずこの船には知る人ぞ知る有名人が乗っています」
「有名人?」
「はい。まずはあちらの女性」
黒霧が指差したのはパーティーの会場にも関わらずきっちりとしたスーツを着た若い女性だった。アクセサリーをつけている様子もなく容姿も悪くもなく良くもなくといったこの場にはあまりふさわしい人ではないように見える。
「あれがか?」
「彼女はアマリス・ハリア。個性は戦艦です」
「戦艦? ・・・・・・まさかこの船は」
「ええ。彼女の個性です」
黒霧の話を聞き死柄木は驚きを顔に浮かべながら船内を改めて見渡す。個性の名前に反してパーティー会場は上級階級のパーティーに相応しい装飾が施されていた。客室も下手な船より設備が充実していた。これが個性の賜物だとは死柄木には信じがたかった。
「・・・・・・すごいな」
「そうでしょ。他にも・・・・・・」
黒霧が紹介する人物はどれも裏の人間にとっては有名な人物ばかりだった。裏に関わってからまだまだ浅いと言わざるを得ない死柄木でも知っているものが何人もいた。ただその中で死柄木はある疑問を持った。
「何で誰も変装とかしていないんだ?」
「ふふ。このパーティーは裏の人間を集めたパーティーですからね。誰もが腹に何かを抱えていますし変装のプロなんて人もいますから。下手に変装すると命に関わるのですよ」
黒霧が紹介した人の中には詐欺師などもいた。多分そういう人が変装のプロなのだろう。そしてシリアルキラーとして有名な人もいたので下手な変装をしていたらそいつらに殺されていただろうと黒霧は大真面目に言い切った。
「じゃあ俺は大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。そうでなければこの船に乗ることはできていませんよ」
「それならいいんだが・・・・・・」
死柄木は自分の特徴である手のアクセサリーを外しているので変装していると言えなくもない。故に心配になったようだが黒霧は大丈夫だと太鼓判をだした。パーティーの主催者もパーティー中に血が流れるたり問題が起こるのは勘弁願いたいのでそういう事態にならないように入場時にいろいろと対策をしているらしい。
「ん? アマリス嬢が近づいてきますね」
「はぁ? 何かしたか黒霧?」
「いえ、心当たりはありませんが」
壁の花と化していたアマリスが黒霧の説明が終わった直後死柄木たちの方に向かってきた。視線などから自分たちに用があると悟った黒霧の言葉に何かおかしいことをしたかと死柄木は疑問を浮かべるが黒霧もわからず困惑しているような口調になっている。
「新参さんへの説明は終わったようね」
「ええ」
「・・・・・・なんだそういう事か」
「そういう事よ」
死柄木はアマリスの言葉によって疑問を解消した。おそらくアマリスは新参者である死柄木たちがおかしなことをしないか見張っていたのだろう。この船が彼女の個性であるなら船内の人の会話を盗聴できてもおかしくない。いや出来て当たり前だろう。
「心配性なんだな」
「当たり前でしょ? ここで何か起こったら責任を取らされるのはまず私なのよ」
「へえ」
死柄木は悪そうな顔を浮かべる。それに対しアマリスは憂鬱そうな顔を隠さない。どうやら何か事情がありいやいや個性を発動させているようだ。そんな様子を見て死柄木は彼女が欲しいと子供のような欲求がわいてきた。
交渉次第では彼女を味方に引き込めるかもしれない。死柄木の顔を見て何を考えているのか悟った黒霧も彼女を引き込むためにはどうすればいいか頭を巡らせてそう結論をだした。ただ、それには解決しなくてはならない問題がいくつかある。
まずはここにいる者の顔などを彼女が知っていることだ。下手に強引に味方に引き込むとここにいる人全てを敵に回すことになる。それは流石に今の現状だと厳しい。
次に彼女がどういう事情でここにいるのかわからないことだ。人質だとすると味方に引き込むのは難しい。逆に借金であれば額によっては味方に引き込むのは容易になる。
「アマリス嬢、少し話をしませんか?」
「・・・・・・わかったわ。ここではまずそうだしあちらにいきましょう」
黒霧は交渉のテーブルを整えようとアマリスに声をかけた。アマリスも黒霧の雰囲気から察したのか憂鬱そうにしながら誰にも聞かれないであろう場所を脳内で検索しそこに2人を誘導することにした。
個性:戦艦
タイプ:変形系
身体を戦艦に変形させる個性。今回は体全部を戦艦にした後船の備品として自分の体を船上にだしていた。
弱点として海上など水の上でしか使えない。(一部変形の場合はその限りではない)
燃料は糖分、弾丸は脂質で生成する。
自分の知っている船にしか変形できない。