オリジナル個性   作:雨の日

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個性:海水

 職場体験中

 ヒーロ殺しステインを捕まえるために保須市にやってきたヒーローたちは今現在救助活動を行っていた。何故なら保須市が水に沈んでしまったからだ。もちろんこれは自然現象ではない。とある敵による仕業だった。

 

「これは確か・・・・・・アトランティスの」

 

 緑谷は保須市の様子を見てその敵がどういうものだったか思いだした。アトランティスとは海に沈んだ伝説の都市のこと。その名をあたえられた敵、海道勝のことを。

 

 海道は普通の時はこんな惨状を生み出すような人柄ではない。彼がこんな惨状を生み出すのは感情がどの方向でもいいので高まった時だ。嬉しいでも悲しいでも恐怖でも不安でもいいのだ。

 

 何故なら彼は生まれたときから付き合っている個性の制御が甘いからだ。いや、こういった方がいいかもしれない。彼は個性を制御する以外の余力が平常時にはないと。なので感情が高まったのを鎮めようとすると途端に個性を制御できなくなるのだ。

 

「まずは彼自身を見つけないと」

 

 彼の個性の暴走は何度も報道されていて対処法が編み出されている。それをおこなうためには彼をまず見つけないといけない。だがそれが困難であることを緑谷はよく知っていた。

 

「この中から彼を探さないといけないのか」

 

 そう。彼の個性は異形系の海水。保須市を満たしてなお拡大中の海水の中から彼の意思がある海水を見つけないといけないのだ。緑谷の個性では地道に探すことしかできない。

 

 ただ、幸いなことに彼の意思がある海水は個性の制御を失ったその場から動かないという情報を緑谷は得ていた。暴走中の彼が移動することはない。保須市のどこかに必ず存在するのだ。時間はかかるだろうが地道に探すのが一番の近道だろう。

 

「だけどなんで彼はここに来たんだ? 暴走するって普通ならわかるはずなんだけど・・・・・・」

 

 緑谷は彼を捜索しながら思案にくれる。ここ保須市にはヒーロー殺しが潜伏していることはかなりの人間が認知していた。彼が知らないわけがない。そしてヒーロー殺しを捕まえるためにヒーローが集まるのは予想されてしかるべきことだ。

 

 そんな敵であるヒーローがたくさんいるところに進んでくるような男ではない。なのに保須市に来ている。その理由がどう考えても緑谷にはわからなかった。可能性として1番高いのは誰かに連れてこられたというものだ。ただ、彼をここに連れてくる理由がわからない。ヒーロー殺しへの牽制のためであろうか。

 

「これ以上考えてもらちが明かない。今は捜索に集中しよう」

 

 脳無が先ほどまで暴れていたという情報もある。考え事に夢中になって奇襲に合うなんてことにはなりたくないので思考を一旦うちきり周りを警戒する。いつ何が来てもいいように。でもそれは予想しても逃げる以外どうしようもないものだった。

 

「えっ・・・・・・えっと」

 

 緑谷が見たのは保須市の中央から全方位に向けて放たれた津波である。高いビルをなぎ倒して進む波は緑谷のいる方にも向かってきている。対処する術を緑谷は思いつかなかった。というより起こるはずがないものを見て緑谷は一瞬思考が真っ白になっていた。

 

「でもここにはマニュアルさんがいたはず。ということは飯田君も・・・・・・」

 

 クラスメイトである飯田はここ保須市に事務所を構えているノーマルヒーロー・マニュアルの所に職場体験に来ていた。そして緑谷は知らないがエンデヴァー事務所に職場体験に来ていた轟も保須市にヒーロー殺しを捕まえるために来ていた。

 

「ん? あれは・・・・・・轟君!?」

 

 現に緑谷は津波が一か所凍らせられた場面を見た。ただ出力が足りないのか凍った部分はすぐに津波の中にのみこまれていった。もしかしたら凍った部分で被害が増大する可能性を轟が懸念したのかもしれない。次に炎が見え津波の一角がその炎によって蒸発させられたかのように消える場面を見ながらそう推測する。

 

「うわあ・・・・・・」

 

 津波が一部消滅したことによってビルの屋上まで駆け上がっていた緑谷に内部の様子が微妙に見えた。中央にいると思われる敵・アトランティスの所から断続的に津波が起こっている。多分アレは個性を制御して失敗している余波なのだろう。高いものや低いものなど様々な津波が保須市に牙をむいている。

 

「これどうにかできるのかな? いや、してみせないといけないんだ」

 

 緑谷は保須市の惨状を見て弱音を吐いたがすぐに持ち直してこれからどうするか考えをまとめることにした。あの中に入っていくのは無謀である。多分オールマイトならなんなく津波を突っ切って捕まえに行けるのであろうが緑谷にそんな身体能力はない。

 

 なら誰かに助けを求めるのはどうだろうかと考えて緑谷の職場体験先であるグラントリノであれば何とかできるかもしれないと思いつき彼を探すべく緑谷は歩を進めようとしてすぐに歩みを止めた。

 

「ッ!?」

 

 何故なら歩き始めようとした緑谷に何かが飛来したからだ。それはナイフ。グラントリノを探すために周りに意識をさいていたおかげで何とか反応できたが普通なら直撃していたであろう。

 

「かわしたか」

 

「・・・・・・こんな時に!」

 

 緑谷はナイフを投げた人物に見覚えがあった。何故ならテレビで大々的に報道されていたから。ここ保須市にヒーローが集まるきっかけになった人物。飯田が兄の仇とつけ狙う敵。ヒーロ殺し、ステインだったのだから。




個性:海水
タイプ:異形系
身体が海水で構成されている。そのため食べ物は食べれない。定期的に水分補給が必要。
膨大な水を制御するために水分補給以外に意識を割く余裕が本人にはない。そのため今回黒霧にテレポートで保須市に飛ばされてすぐに制御不能に陥った。
水量は太平洋と大西洋を合わせたくらいと言われているがもっとあるのでは? と一部の専門家は考えている。
暴走すると定期的に周りに津波を発生させるようになる。ただ海道が抑えようとすると小さくなる。
これでも軽い暴走で完全に彼の制御から離れると日本が地図上からなくなると言われている。
この件によって敵連合は日本のあらゆる組織を敵に回すことになった結果、急速に衰えていくことになった。
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