オリジナル個性   作:雨の日

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個性:付与

 雄英体育祭のあと

 サポート科が勉強を受けている棟の廊下を1人の女性が歩いていた。青色の背中の中間あたりまでストレートに伸ばした髪と蒼い目のスレンダーな体格をしたこの女性の名前は才野譲という。

 

「うーんどうしよう?」

 

 どうやら何かに悩んでいるようで譲は前を見ず考えに没頭しながら歩いている。そんなことをしていれば前から来た人に気づかないのは当然のことで廊下の角から出てきた少年にぶつかった。

 

「きゃっ!」

 

「うわっ! ご、ごめん」

 

「いえ、私も前を見ていませんでしたので」

 

 ぶつかった少年が謝ってきたので譲も自分も不注意だったからと素直に許した。ただ、少年が何かを持っているのに気づいてそちらに目を向けた。そしてそれが何かの書類らしいことに気づいた。

 

「それはなんの書類ですか?」

 

「え? これ? これはコスチュームの変更の要望をまとめたもので・・・・・・」

 

「コスチュームの変更? ということはヒーロー科の人ですか」

 

「え? なんだと思っていたの?」

 

「体も小さいですし顔も特徴的というわけではないので普通科の人だと」

 

 譲の言葉にショックを受けたのか少年は顔をひきつらせた。譲はそんなこと気にせず少年の持っていた書類を手に取り中身をチェックする。そして胸ポケットに入れていたメモ帳にペンで何かを書いていく。

 

「どうぞ」

 

「えーと・・・・・・」

 

 譲はペンで何かを書いたメモ帳のページを破って少年に渡した。それには要望について読んで疑問に思ったことや追加した方がいいことが綺麗にわかりやすく書かれていた。

 

「あわわわ」

 

 自分の要望がどれだけ穴だらけか理解させられて少年は顔色を悪くさせる。もし要望がそのまま通っていれば何かしらの不具合が出ていたであろう。そのためにまた改めて要望を書くのは手間である。今気づかせてもらえたのはとてもありがたいことだった。

 

「どうですか? この部分とかしっかり考えないと大変なことになりますよ?」

 

「そっそうだね! ありがとう。もっと考えてから出しに来るべきだったよ」

 

「いえ、今気づいてよかったじゃないですか。私も一緒に考えますからあそこでコスチュームの変更部分について話しをしませんか?」

 

「うっうん!」

 

 少年と譲は譲が指し示したテーブルについてコスチュームの変更点などを話し合う。その話の中でそれぞれの個性についての話が出た。

 

「僕の個性?」

 

「はい。個性によっては材料なども気をつかわないといけませんので」

 

「そうなんだ! でも僕の個性は単純なパワー増強の個性だしそこまで考えなくてもいい気がするけど」

 

「パワー増強という事は筋肉が膨張する可能性がありますよね? でしたら伸縮性に優れた材料を使う必要が出てくるはずです」

 

「あ~そうかもしれない」

 

 少年は何かを思いだしているのか譲の言葉に納得していた。多分身内に個性を使用すると体形が変わる人がいるのだろう。

 

「私の個性は付与。手で触ったものに何かをあたえる個性です。ですので直接触らないように手袋をしています。こんなふうに個性によって気をつける部分は違うんですよ?」

 

「勉強になります」

 

 少年は譲の言葉に頭を下げた。少年は知っていたはずだった。クラスメイトのコスチュームは趣味などが入っているかもしれないが個性の弱点をカバーしたり個性の長所を伸ばすような工夫がされていることを。

 

「うん、これでいいでしょう」

 

「相談に乗ってくれてありがとう才野さん」

 

「いえいえ。こちらこそ使用者目線での指摘は中々もらえないのでこちらこそお礼を言いたいところですよ緑谷さん」

 

 相談したことで仲良くなったのか2人の雰囲気は良好だ。緑谷の要望書は才野の協力もあってしっかりとまとまった。徒手空拳でのたたかいしか想定していなかった緑谷のコスチュームは手を怪我をしたときに足で戦えるようにレガースを追加したりなど改良された。

 

「でも才野さんが雄英体育祭の日に休んでいたなんて思わなかったよ」

 

「あはは。あの有名な雄英体育祭で3位になった緑谷さんのことを知らないなんて私もどうかしてたんですね」

 

 才野は苦笑いを浮かべる。オリンピックの代わりとも言われている雄英体育祭の日。才野はとある用事で学校を欠席していたためかなり注目を集めているはずの緑谷について全く知らなかったのだ。

 

「何か悩みでもあるの? 」

 

「いえ、私の個性の被験者探しが難航しているだけです」

 

「個性の被験者?」

 

「はい。私の個性は人にも使用することができるんです」

 

「そうなんだ。それって危険じゃない?」

 

「場合によっては危険です」

 

「そっそうなんだ。・・・・・・僕が被験者になってもいいよ」

 

「本当ですか!」

 

 はっきりと言われて緑谷は少し躊躇した後、要望についての恩返しとして被験者になることを譲に伝えた。譲はそれを聞いて嬉しそうな笑みを浮かべた。その笑みに自然と緑谷の顔が赤くなる。

 

「うん」

 

「それではやらせていただく前に説明を。私の個性は相手によって限界容量が変わってきます。普通なら5つくらい付与することができます。私が見た最大は8つで最小は3つです」

 

「ちなみに僕は?」

 

「緑谷さんは7つですね」

 

「そうなんだ。ちなみに才野さんは?」

 

「私ですか? 私は緑谷さんより1つ少ない6つです」

 

 譲は緑谷の質問に律義に答えながら丁寧に説明を続ける。しっかりと聞いてもらって緑谷に理解してもらわないといけない。何故ならあとで文句を言われるのは嫌だからだ。

 

「与えられる付与は完全にランダムです。不要なものから有用なものまでさまざまで付与してみないとどんなものが付与されたかわかりません。ここまではいいですか?」

 

「うん」

 

「不要な付与であった場合や鍛えたりしていらなくなった場合消すこともできますのでその点は安心してください」

 

「そうなの?」

 

「はい。ただ、体力を使いますのであまりやりたくないのですが」

 

 才野はそういって苦笑いを浮かべる。その顔は過去に何かをやらかしてしまったことを思い出しているかのように緑谷には見えた。

 

「他にも何かあるの?」

 

「そうですね。有用なものが付与されたからといってデメリットがないわけではないんです」

 

「どういうこと?」

 

「例えば異性に好かれるというものが付与された場合同性に嫌われるというデメリットが発生します」

 

「ええ! それは困るよ」

 

「確かにヒーローにとってこれは困ることですが女性に好かれたいと思っている人にとっては有用なものなのです」

 

「・・・・・・そうかもしれないね」

 

 緑谷は誰かを思い浮かべて譲の言葉を肯定した。ただヒーローとして活動するなら男女に好かれた方がいい。要救助者が女性だけであるなんてことはありえないのだから。

 

「ですので付与されたもの強弱を操作します。最小限の効果であれば最小限のデメリットしか発生しませんので」

 

「なるほど」

 

「これにて説明は終わりますが何か質問などはありますか?」

 

「うーん・・・・・・ないと思う」

 

「それじゃあやらせていただきますね?」

 

「お願いします」

 

 才野は最終確認を取り緑谷は肯定した。そのことを確認してから譲は手袋を取り緑谷に触れた。そしてすぐに不思議そうな顔になった。

 

「緑谷さん、私と同じような個性を持った人と関わったことがありますか?」

 

「え? なかったと思うけど」

 

「そうですか」

 

「どうしてそんなことを訊いたの?」

 

「いえ、容量が1つ埋まっていましたので」

 

「うーん・・・・・・あっ!」

 

 緑谷は譲に言われて心当たりがないか再度確かめた。すると1つだけ該当するものがあった。それはワン・フォー・オールである。これは無個性であった緑谷がオールマイトから継承した個性である意味誰かに与えられたものである。

 

「心当たりがあるようですね?」

 

「うっうん。その・・・・・・」

 

「大丈夫です。私は自分が付与したものは見れますが他の人が与えたものは見えませんので」

 

「そうなんだ」

 

 緑谷は譲の言葉に安堵した。その様子を見た譲は人にはあまり知られたくないことなのだろうと追求したいがしないことにした。




個性:付与
タイプ:発動系
触れたものに何かをあたえる個性。生物非生物問わず効果が出る。(譲が何時もつけている手袋は不変という付与がなされている)
メリットとデメリットが釣り合ったなにかが付与される
いらなくなった付与や最初から不要な付与を体力を使って消すことができる(こちらは最初からできたわけではなく特訓により獲得したものである)
人によって限界容量が異なる。(もちろん非生物やほかの生物も同様)

ちなみに
緑谷に付与されたもの
1.超人体質
人の限界を超えたものになることができるようになる。要するに鍛えれば鍛えただけ成長できる。デメリットとして燃費が悪くなる。
2.異性誘因体質(最小限に)
異性と関わりやすくなる。デメリットとして同性と関わりにくくなる。
3.主人公体質
ピンチになった時それを乗り越えるために大きく成長する。打開策が見つかりやすくなる。異性に好かれやすくなる。デメリットとして強敵に遭遇しやすくなり窮地におちいるようなイベントに巻きこまれやすくなる。
4.毒耐性
さまざまな毒が効きにくくなる。デメリットとして味覚が鈍くなる。
5.○○デレ化体質(削除してもらった)
好意を抱かれた人物がヤンデレやツンデレなどになる。デメリットとしてヤンデレになると非常に危険。(ちなみに譲の場合クーデレになる)
6.ワン・フォー・オール(譲が付与したわけではない)
誰かに付与されたもの(オールマイトから与えられたものだが譲は知らない)デメリットとして体を使用するに相応しいくらい鍛えないと反動で怪我をする
7.なし
基本譲は1つ空きをつくる。なぜなら付与を消す時に1つ空きがないと体力の消費が2倍になるからだ。

譲が自分に付与しているもの
1.詳細不明
本人が恥ずかしがり教えてくれなかった。デメリットとして惚れやすくなる。
2.親近感
人に話しかけられやすくなる。好意を抱かれやすくなる。デメリットとして砕けた口調で話すことができない。なんか一線ひかれているように感じさせてしまう。
3.瞬間記憶
見たり聞いたことなどをいつでも思い出すことができる。デメリットとしてどんなことでも忘れることができない。
4.柔軟
体が柔らかくなる。デメリットとして身長が伸びにくくなる。
5.ゲーム中毒
1日1時間はゲームをしないと様々なデメリットをおう。メリットとしては集中力などの能力が上がる。
6.豪運
運がよくなる。デメリットとしてギャンブルに弱くなる。
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