原作3年前
どこかの廃ビルのような場所に小学校に上がったばかり位の少年と傷だらけの大人の男性がいた。少年は廃ビルの中にいるというのに取り乱したりせず一見冷静に見える。大人の男性は様々な医療機器を体に取りつけていて見ているだけで痛々しいさまだった。
「まずはいきなり連れてきてしまったことを詫びよう。すまなかった」
「別にいいよ。慣れているから」
「ほう。私のようなものが他にもいるのかい?」
男性は少年の言葉に興味を持った。自分のように他者をどこかから移動させる個性を持っている人物で有名になっていないものは珍しいからだ。そしてこう思った。いったいどんな人であろうかと。自分の仲間になってくれると計画を進めやすくなるのだがと。
「違うよ。こっちのことをきにしないで頼みごとをしてくる人がいっぱいいただけ。今回みたいにいきなり変な場所にとばされたことなんてないよ」
「それにしては冷静そうに見えるが?」
「今ここで暴れてもおうちには帰れないでしょ? 僕は無駄なあがきはしない主義なんだ」
小学校にあがりたてくらいとは思えないほど少年は達観していた。そんな少年の言葉に内心で驚きながら男性はそれを外側にだすことはなかった。ただ、少年自身に興味を持った。この子を上手く教育できれば自分の後継者にできるのではないかと。
「そうか。私の頼みたいことというのは他でもない。私の体を治してほしいということだ。できるかね?」
「お兄さんを治せばいいの? わかった。なんでもいいから新品の人形を5体用意して」
「そんなもので治せるのかね?」
「うん」
「人形は何でもいいのかね?」
「何でもいいよ」
男性は少年の言葉に嘘がないことを確認し念入りに用意するものを確認してから目の前にテディベアを5体出現させた。少年は出現したテディベアの状態を黙して確認した後男性に近づいた。
「これなら大丈夫」
「そうかね」
「個性を使うために触るけどいい?」
「構わないよ」
男性に近づき年齢相応の小さい手で男性の体に確認を取ってから触った。すると触ってない方の掌の上に黒い不気味な球体が出現し徐々に大きくなっていく。最終的にその黒い球体は少年の頭と同じくらい大きさになった。
「お兄さん相当傷ついていたんだね」
「・・・・・・そうだね」
数年前から感じていた痛みや倦怠感などが一切感じられないことに男性は驚いて少年の言葉への反応が少し遅れてしまった。男性は自分の体の状態を確認する。その結果健康そのものであることが確認できた。
「この黒い球体は相手から抜き出したダメージなどの負の塊なんだ。これをそのまま開放すると相手に戻ってしまう。だけど人形にこの黒い球体を触れさせると・・・・・・」
人形に黒い球体を近づけると人形に向かって黒い靄のようなものが流れていく。すると人形は徐々にボロボロになっていって最終的には塵になった。近づけた黒い球体は最初に比べると小さくなった。
「やっぱり1体ではたりなかったね」
掌の上にまだ残っている黒い球体を見ながら少年はそう言い次の人形に黒い球体を近づけていく。そして5体全部の人形が塵になった時黒い球体はその姿を完全に消していた。
「計算通りぴったりだった」
「ほう。見ただけでそこまでわかるのかね」
「ううん。僕が相手から1度に抜き取れる最大量が人形5体分なんだ。ちなみにどんな大きさだろうと関係ないよ?」
少年の個性の説明に男性は感心する。自分の最大量というのは中々把握しづらいものなので少年位の歳で把握しているものは少ないのだ。そして個性の有用性も中々。少年にしっかりとした教育を施せば相当なものになると男性の直感が言っていた。
「なるほど。ところで少年、私の後継者になるつもりはないかね?」
「後継者? 僕が?」
「そうだ」
男性の突然の提案に少年は首をかしげる。どこに自分を後継者にしようと決めた要因があったのかと。そういう思考ができるから後継者に見込まれたのだということに気づかず。
「・・・・・・いいよ」
「本当かね?」
「うん。お兄さんの後継者。それが何を意味するのかは分からないけど。僕に選択肢はなさそうだからね」
少年は考え中に男性の治った目を見て悟った。承諾しない以外の道はないと。どんな理由や言い訳を並べてもこの男性が逃すことはないと。なら承諾してしまえばいい。自分は無駄なあがきはしない主義なのだからと。
「それではこれからよろしく頼むよ少年」
「・・・・・・そういえば自己紹介してなかった。僕は請負 まもり。言いやすいように呼んでほしい」
「わかった。まもりと呼ばせてもらうよ。私は世間ではオール・フォー・ワンと呼ばれている。私のことは先生と呼びなさい」
「わかりました先生」
これが史上最大の悪になる少年が誕生したきっかけの日のことだ。これから3年でまもりはオール・フォー・ワンの想定を超えて成長した。その力は全盛期のオールマイトをしのぐのではないかと思わせるほどに。
個性:抜きだし&押しつけ
タイプ:発動系
様々なものを生物から抜き出して人形に押しつける個性。
1つの人形に押しつけられる容量は決まっていてそれ以上だと押しつけた人形が塵となり押しつけた分だけ球体が小さくなる。
生物から抜けるのは本文の負の塊だけでなく血液や内臓など様々なものが抜ける。
人形に押しつけなかった分は相手に戻る。
抜くためには直接相手に触らないといけない。
抜きだしたものは触っていない手の掌の上で球体になる。(抜きだしたものによって色が変わる)
例外として自分に抜きだしたものを入れることができる。(例えば相手の個性を抜いて自分に入れると相手の個性が使えるようになる。血を抜いて自分に入れると輸血された感じになる)