オリジナル個性   作:雨の日

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個性:凌駕受胎

 とある病院

 そこにはたくさんの男と1人の女がいた。女の手には生まれたばかりであろう赤子が抱えられている。

 

「これで45人目。次は誰ですか?」

 

「俺だ!」

 

「いや俺に決まってる!」

 

「何を言っとる! こういうのは老い先短いわしに譲らんかい小僧ども!」

 

 女性は傍から聞けば意味が分からない言葉を紡ぐ。いや、理解できるが納得できないという所だろうか。女性の外見で45人も子供が産めるわけがない。そんなに子供を産んだにしては女性の外見は若すぎる。

 

 だがその場にいた男性たちは女性の言葉に疑問をいだいていないように次の座を争って醜い争いを巻き起こしている。そのざまを何も感情を感じさせない目で女性は見つめていた。

 

「決まらなさそうですね。なら次は貴方にしましょうか」

 

 女性はそう言い近くにいた老人の手を取った。そして自分が寝そべっているベットの上にあげて抱きしめた。すると老人の体を光が包み最後には光の球体になり服は主が消えたことによって女性の上に堕ちた。そして光の球体は女性に吸いこまれていった。

 

「うっ! ぐっ!」

 

 光が吸収された後すぐに女性の体には異変が起こった。お腹が膨らみまるで妊婦のようになっていく。そして10分後には臨月の時と同様くらいまで膨らんだ。そして女性の股から赤子の頭が出てくる。出産だ。分娩室でもなんでもない病室での出産など危険すぎるのだが周りは何も気にしない。まるで赤子にも母体にも命の危険がないとわかっているかのように。

 

「ふー! これで46人目。1日50人との約束でしたからあと4人ですね」

 

出産された赤子の体を拭きながら女性はそんなことをつぶやいた。どうやらこの女性進んでこんなことをやっているわけではないようだ。まあこんなことを進んでやるような人など狂人くらいしかいないであろうが。

 

「私がここに来てからもうすぐ半年になるのですよね」

 

 男性たちの再度始まった醜い争いから目を逸らして女性は過去に思いを馳せる。女性は今年で14歳。普通なら中学校に通っている年齢だ。なのにもかかわらずこんなところでこんなことをしているのは女性の個性が関係している。

 

 凌駕受胎。相手を取り込んで出産しなおすことによって相手の個性をより強力なものにする個性。弱個性しか持っていない敵予備軍たちにこの個性が知られてしまい誘拐された。まず自分たちで効果を確認したその者たちは女性を使って商売を始めた。自分の個性に悩んでいた者たちにこれがウケた。口コミで徐々に広まり今や制限を設けないといけないほどの規模にまで膨れ上がった。

 

「異形系か・・・・・・これも彼らのためなのよね?」

 

 そしてこの個性にはもう1つ嬉しい効果があった。今回勝ち取った男性は異形系だった。その見た目が嫌いで敵になってやろうかと何度も思っていたそうだ。でもできなかった。最後の一線を彼は越えることはなかったのだ。そんな彼に女性は先ほどの義務的な感じを消した。

 

 女性は異形系の人間が好きというちょっと変わった感性をしていた。それが影響したのか異形系に個性を使うとある効果が必ず追加される。それは人間化だ。異形系の姿と普通の人間の姿。どちらにも自由自在になれるようになるというもの。異形系が世間から見るとまだまだ恐怖の対象になると女性は理解しそれなら姿だけでも人間になることができればいいのではないかと思っていたことが反映されているのだと女性は勝手に思っていた。

 

「・・・・・・今日はここまでね」

 

「金は払っているんだからやってくれ!」

 

「そいつよりも払うから俺に先に!」

 

「いくらでも払うからやってくれ!」

 

 今日のノルマである50人を終えた。女性は息をつく。そんな女性に男性たちが群がろうとする。だがそれを女性の近くにいた女性を攫ったグループの人間が止める。女性に恩義を感じている異形系の人間も同様にとめる。そうすれば弱個性しか持っていない男性たちにはどうしようもなかった。

 

「また後日。ご都合がつき次第きてください」

 

 そんな男性たちを哀れに思ったのか女性はそうつぶやく。攫ったグループの人間も不満を言われるのは慣れているのか次に来たときは優先されるということを説明して優先券を渡していく。それで何とか男性たちは折れた。

 

「何で男性しか来ないのでしょう?」

 

「さぁ?」

 

 男性たちが去った後女性は気になっていたことをリーダーに尋ねた。だがその女性の疑問の答えをリーダーは明言することはなかった。ただ何となく女性は察していた。リーダーたちが人心売買をおこなっていることをとある日知ったからだ。おそらくその商品になっているのだろうと。

 

「私は籠の鳥。でもある程度満足しているわ。リーダーさん。今日もやるの?」

 

「もちろん」

 

 リーダーと2人きりになった女性の問いにリーダーは笑顔で答えた。客が帰った後リーダーは女性に個性による産まれなおしをほぼ毎日頼んでいるのだ。そのせいでリーダーは個性だけなら今のナンバー1ヒーローにも引けを取らないくらいになっている。ただ、経験が違いすぎるため正面からやりあっても勝てるという保証はないが。




個性:凌駕受胎
タイプ:発動系
抱きしめた相手を光の球体にし体に取り込み産まれなおさせる個性。
吸収してから出産まで10分ほど。
戦闘能力は一切ない。
産まれなおされた人物は個性が強化される。
異形系の人間は普通の人間の姿になることができるようになる。
遺伝子は元の人間と変わらない。
個性は強化されるが全く別のものになることはない。
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