とある病院
緑谷は4歳になり流石に個性が発現していないとおかしいと母親とともに病院を訪れた。そこで医者に無個性であると診断された。個性がないといろいろと不便でいじめの対象になったりする。それに緑谷の夢であるヒーローになるには個性は必須のものだった。そのためその診断結果を聞いた緑谷は沈んだ顔をしていた。
「君、なんでそんな沈んだ顔をしているの?」
「えっ?」
そんな緑谷に話しかけてくる人がいた。思わず顔をあげた緑谷の目に映ったのは自分と同い年くらいの少女だった。髪はオレンジ色で何故か炎のように見えた。眼もオレンジ色でなんとなくどんな人でも包みこんでくれる感じがした。
「僕、無個性なんだって」
「なるほどね。それでか」
緑谷の言葉を聞いて少女は頷いた。緑谷がどうしてこんな状態なのか理解したのだ。誰でも無個性と言われたらショックを受ける。だが緑谷ほどショックを受けることはない。多分無個性だから夢がかなえられないとかそんな風に考えているんだろうと。
「無個性だろうとなんにでもなれる。もちろんヒーローにもね」
「本当?」
「本当よ。ただ、それには覚悟がいる。ただの覚悟じゃない。死ぬ気でやり遂げるほどの覚悟よ。貴方にそれはある?」
「・・・・・・わかんない」
「そっか。なら確かめてきなさい」
「えっ?」
少女はそう言い緑谷の額に触った。すると緑谷の視界は暗転し真っ暗闇の世界に変わった。それに驚きからパニックになった。ただ数分もすると落ち着いた。そして暗闇の世界で何かできないかと様々な行動に出た。でも結果は芳しくなかった。もう諦めてしまおうか。そんな風に考え始めていると。
『ふーん。諦めるんだ。そうだよね。こんなどうしようもない状況なら仕方ないよね』
「誰!?」
『あっ! つい声を出しちゃった』
虚空から声が響いてきた。それは大人の男性の声。まるで道化のような調子のその声に緑谷は反応した。緑谷の反応から男性は無意識につぶやいていた声を拾われたことを察して緑谷の前に出てくる。
緑谷の前に出てきた男性は藍色の炎に包まれた中世の貴族が着ているような服を着た男性。目元に涙のペイントが施されていて指などに高そうな指輪や腕輪などのアクセサリーをつけている。ただその格好がとても似合っていた。
「貴方は?」
『そうだね。自己紹介が必要だよね。僕はルクレチア・トムソン。君の名前は?』
「僕は緑谷出久」
『出久くんか。いい名前だね?』
「ありがとう」
『うんうん子供は素直でいいね。で。出久くんは何でここにとばされたか覚えてる?』
「え? ・・・・・・あ!?」
ルクレチアの問いかけで緑谷は思い出した。ここには死ぬ気でやり遂げるほどの覚悟があるか知りに来たのだと。
『思い出したみたいだね? 答えを言うと君にはあるよ。証拠は僕さ』
「ルクレチアさんが証拠?」
『うん! 死ぬ気がないと僕を見ることはできないからね。もし失敗していたらこのなにもない空間を永久に彷徨うことになっていたさ。出久くん。君は僕を見つけてくれた。故に君は霧の炎に相応しい人物だよ。だからその力を託すね』
ルクレチアの答えに緑谷は嬉しかった。たとえ嘘だとしてもそう言ってくれたことに。ルクレチアはそんな緑谷の心境を理解しているのか笑みを深めた。
『現実に帰って彼女に説明を受けなよ? その力はもう君のものなんだから』
ルクレチアはそう言い緑谷の前から姿を消した。そしてその後すぐに暗闇の世界から病院の待合室に緑谷は戻ってきた。まぁ本当は一瞬意識が飛んでいたのが回復しただけなのだが。
「どうだった? 誰に会った?」
「会ったってどこで? 僕は確か貴方と喋って・・・・・・」
「覚悟を確かめるために暗闇の世界にとばしたでしょう?」
緑谷は少女のその言葉からさっきのできごとは夢ではなく本当におこったことだと気づかされた。そしてルクレチアがぽろっと言っていた失敗すれば死んでいたという言葉も同時に思い出し冷や汗をかき始めた。
「えっ? あれって夢だったんじゃ・・・・・・」
「ふふっ面白いことを言うね。アレは夢じゃない。現実だよ?」
「そっそうだったんだ」
自分を問答無用で死地におくった少女に恐怖を抱いて緑谷の顔色は悪くなっていく。だがそんなこと少女は気にしていないかのように話を続ける。
「で? 誰に会ったの?」
「ルクレチア・トムソンって言ってたよ」
「てことは霧か・・・・・・雷あたりだと思っていたんだけどね」
最期ら辺を小声で言いながら少女は緑谷に説明をおこなう。いったいどんな力を託されたのかを。そしてその力の使い方を。
個性:死ぬ気点火
タイプ:発動系
相手に死ぬ気の炎を発現させる試練をあたえる。
方法は相手の額に手を当てること。
炎の属性によって試練が違う。
死ぬ気の炎は個性ではないので相澤先生の個性では消せない。
ちなみに
緑谷は霧と雷に目覚めている。(雷の試練監督は面倒だからと霧の試練監督であるルクレチアに丸投げしていた。)
他に作者が決めているのは爆豪が嵐、八百万が霧、轟が雲、切島が雨、上鳴が晴れである。他は特に考えていない。
元ネタは家庭教師ヒットマンリボーンの死ぬ気の炎である。