とあるまち
そこでは敵がテロを起こしていた。その敵は赤色のコートを着て狂気を感じさせる笑みを浮かべている。中年くらいの男性で身だしなみには気を使っていないようでそれがさらに不気味さを増させていた。
「クックック! 素晴らしい! 人間はやっぱり素晴らしい!」
「それはどういう意味だ! こんな、こんなことしておいて!」
「クックック! だってそうでしょう? 人間はこんなに簡単に花火になる。他の生物ならもう少しかかるというのに」
人間を何人も爆弾として爆発させている男性は狂っていた。肉片と骨が爆破とともにそこら中にとぶ。そんな爆発をみて男性は素晴らしいといったのだ。駆けつけたヒーローにとって男性は理解に苦しむ人間だった。
「てめえっ!」
「クックック! さあ来なさい。そして私に美しい花火を見せてください! さあ!」
ヒーローの個性は接近戦でしか使えないのか激情とともに男性に向けて突っこんでいく。それを男性は歓迎する。新しい爆弾の材料が向こうから来てくれたと。口元に狂的な笑みを浮かべて。
「その余裕がいつまでも続くと思うな!」
「クックック! 余裕? そんなものはありませんよ。私は今この場で起こっている素晴らしい光景を見るので忙しいのでね」
「っ! てめえは俺の神経を逆なでするのがうめえみてえだな!」
爆弾と化した人によって今この場はかなりひどい有り様だというのに男性は素晴らしい光景だという。まさに望んでいた光景だと。ヒーローにとってそれは許せないことだ。
町を人を護るのがヒーローであるというのが一般常識でこのヒーローもそう思っていた。そんなヒーローの前で人を爆破させて町を壊したのだ。ヒーローの怒りももっともだろう。だが男性はそんなこと気にもしない。
「クックック! あなたは思わないのですか? この光景が素晴らしいと! 人も建物も全てが廃塵とかしたこの光景を!」
「思わねえよ! この町は俺が護ってきたものだ! それを壊されて素晴らしいなんて思う訳ねえだろ!」
「クックック! そうですか、残念です・・・・・・ではさようなら」
男性は笑いながら全然残念そうに聞こえない声で最後にそう言い放った。まるでもう興味がないというかのように声に感情が乗っていなかった。そのことに訝しんだヒーローは嫌な予感がした。そして直感から来る警鐘に従ってすぐに退避しようとしたが間に合わなかった。
「グッ! ガァ!」
「クックック! 人はいじれば簡単に爆弾になる。そう! ヒーローであるあなたも例外ではない! さあ! 私に見せてください! あの素晴らしい光景を! もう一度!」
ヒーローは何かを言おうとしていたがそれは叶わず爆発した。その様子を恍惚の笑みを浮かべながらヒーローが爆発するまでの過程を男性は見ていた。まるで感動的な場面に立ち会った見物人のように。
「クックック! やはりいい! この人の焼ける音! またかぎたくなるにおい! すべてが愛おしい! やはり人間を爆発させるのはいい! 男性より女性の方が脂肪がついていてよい爆発をしますから次は女性を狙いましょうか」
男性はそんなことをのたまいながら周囲を見渡す。爆破テロを受けたかのような有様の町に人がいる確率は低い。男性のお目当ての女性も男性が見た範囲にはいなかった。
「クックック! 相手をえり好みするなど愚の骨頂。どんな相手でも最高の爆弾にしてあげなくては。そのために研鑽をつまなくては」
男性は大真面目にそう言い移動を開始した。次の獲物を求めて。それが一般人だろうとヒーローだろうと関係ない。男性だろうと女性だろうと関係ない。幼子でも老人でも関係ない。男性の望むのは至高の爆発。それを見たいという欲求だけだ。
個性:爆弾化
タイプ:発動系
手で触れた相手を爆弾にして任意のタイミングで爆発させることができる。
爆弾にするまで触り続けないといけなくて人間だと軽くタッチするだけで爆弾になる。他の生物や建造物だともう少しかかる。(何故かは不明)
元ネタは鋼の錬金術師のキンブリーの錬金術