雄英体育祭第2種目騎馬戦
そこでは熾烈な戦いがおこなわれていた。騎馬通しの衝突ではなく人形と騎馬との衝突であったが。
「B! 右の騎馬の前に罠を設置! 相手を近づけるな! A! 貴方はそこで壁になって! C! 貴方は待機! 飛んでくるだろう爆豪を警戒!」
『おっと! サポート科西城! 自作の人形で相手の騎馬を近づけさせない!』
Bと呼ばれたくるみ割り人形が胡桃の殻を使った罠を鉄哲チームの騎馬の足元に設置して足止めしようとする。だがそれは鉄哲チームの騎馬である骨抜によって不発に終わる。だが何個も設置することによって足を鈍らせて結果的に足止めには成功している。
Aと呼ばれたぬりかべ人形は巨体を生かし西城の騎馬の死角になるであろう位置に移動して通せんぼする。フェルト記事でつくられた柔らかそうな見た目に反してそれなりの強度があるようでそちらから攻めようとしていた騎馬を足止めしている。
Cと呼ばれた小銃を持った軍服を着た人形は西城の指示通り飛んでくるであろう爆豪の方を向き銃を向けた。爆豪は人形から感じられる圧に押されてかタイミングではないと判断したのか近づいてくる様子はない。
「緑谷さん! あと警戒するのは轟さんの騎馬だけでいいんですね?」
「うん! 他は今の配置でどうとでもできると思う」
「わかりました! DからHまであの騎馬を狙いなさい!」
5体のフランス人形が轟の騎馬に向かう。それを轟は凍らせようとした。だがそれは人形内部に搭載されていたヒーターによって失敗に終わる。西城は雄英体育祭がおこなわれる前まで同じ1年生の個性に把握に努めていた時期がありA組の個性は全員把握していた。なので轟の個性対策はしかっりとおこなっていた。
「ヒーロー科だけが優秀なわけないでしょ! サポート科だろうと普通科だろうとみな一生懸命にやっているのよ!」
轟の個性を把握した時西城が感じたのは憤り。すごい個性を持っているというのにつまらない個人的事情で活かそうともしない。そんな相手にサポートアイテムをつくる? 冗談ではない。相手が個性を十全に使いそれでもなお届かないところに手を届かせる。それがサポートアイテムである。そう西城は本気で思っていた。故に轟の現状が許せなかった。
「ちっ!」
轟は舌打ちをしながらヒーターがある胴体部分ではなく足元のみ凍らせて現状打破を図ろうとした。上鳴の放電も八百万の創造もまだタイミングではないと判断して。それが間違いだった。
「I! J! やりなさい!」
西城の言葉によって轟たちに予期せぬ方向から何かがとんできた。それは人形。胴体に爆弾をつけた爆発人形である。飛んできた方向には2体の人形と巨大なパチンコがあった。1体はパチンコを支えもう1体がパチンコに爆弾をつけた人形をセット。そして紐を引いて轟たちにとばしてくる。
「くっ!」
近くで爆発する人形を凍らせようとしてその射線にフランス人形がはいってくる。踊りながら優雅に。お前の個性などその程度だと言わんばかりに余裕そうに。それが轟の癪に触った。だが現状打開策はない。八百万は爆発によって集中できず個性を使用できない。上鳴の放電は人形には無意味。指揮を執っている西城を堕としたいが既に近くにはいない。
「これで何とかなるでしょうか?」
「上出来だよ! あとは・・・・・・」
「クソデクーーー!!」
轟を退けてほっとしていた緑谷たちの元に爆豪が個性を使って飛んでくる。Cが牽制のために銃を撃っているがものともしていない。人形が持てる程度の銃では爆豪を止めることはどうやらできないようだ。
「まあそれも予想の範囲内です。いきなさい! KからT! 堕とされたら他の人間を狙いに行きなさい!」
背中にジェットパックを背負った10体の人形が爆豪に突っ込んでいく。爆豪と人形の空中戦は熾烈を極めた。爆豪の個性である爆破によってジェットパックを壊された人形は西城の指示で戦線離脱して他の騎馬の妨害に向かう。
そうやって徐々に爆豪に向かっていく人形は減っていった。西城はその様子を真剣に見ながらタイミングを計っている。そして爆豪がすべての人形を堕とした。
「今です! U! V! きつい一撃を喰らわせてやりなさい!」
西城の近くにいた2体の人形は1体が大砲の砲身に入りもう1体が大砲の導火線に火をつけた。そして人形を弾にした大砲が発射された。爆豪は全て堕として気が緩んでいたのかそれに直撃した。騎馬である瀬呂が慌てて個性で回収したためリタイアは免れた。
「あとは守りに入ります。全戦力防衛に全力をつくしなさい!」
個性:自動人形
タイプ:発動系
手作りした人形に自我のようなものをあたえる。(指示を出せばその指示に従う程度のもの)
他人に人形を譲度することも可能。