オリジナル個性   作:雨の日

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個性:吸血鬼

 林間合宿3日の夜

 空が夕焼け色に染まるころ、夕食を食べて皿洗いをし終わった生徒たちはピクシーボブたちに告げられたイベントを楽しみにしていた。

 

「腹も夕食で膨れたし体調も万全。会場もいい雰囲気さあやろう!」

 

「肝試しを!」

 

 芦戸と上鳴が元気よく声を上げる。どうやら朝から楽しみにしていたらしい。他の面々も声にこそ出していないが楽しみにしていたのが表情からうかがえる。

 

「その前に大変心苦しいが・・・・・・補習連中は、これから俺と補習授業だ」

 

「嘘だろ!?」

 

 相澤先生の無情な宣告に補習組の表情が崩れる。相当ショックだったようだ。そんな補習組の様子を気にせず相澤先生は首に巻いている捕縛武器で拘束し連行しようとして動きを止めた。何故なら森の中から動物の鳴き声が聞こえてきたからだ。

 

「これは?」

 

「動物の鳴き声でしょうか?」

 

「動物か。・・・・・・なら口田!」

 

『犬の鳴き声に似ている。けど犬ではない』

 

「いったい森でなにが?」

 

「先生たちも驚いているってことは先生たちが仕掛けた罠の類ではないみたいだな」

 

 突然の出来事でB組が混乱している中A組は現状を把握するために意見交換をおこなった。動物に詳しいであろう口田に意見を求めたり、先生たちの様子をうかがって先生たちのサプライズかどうかを判断したりとてきぱきと進めていく。

 

「ふむ、優秀な生徒たちのようですね。このような状況になっても混乱しているものがいないとは」

 

 森の中からA組の様子を見て感想をつぶやきながら誰かが近づいてきた。その誰かは男性であった。背は180をちょっとこえるくらいで金髪碧眼の外国人のような容姿。服装も容姿に合わせたのか黒いスーツを着こなしている。

 

「あんたは誰だ?」

 

「私は血道 鬼気だがこちらで今は呼べ『赤い霧』と」

 

「赤い霧だと!?」

 

 赤い霧。20年以上前から存在している敵の名前であり、彼はとても変わった敵として有名である。ターゲットを決めて情報を集めて彼がゲームと称する賭け事に相手を誘う。断れば何もせず去り、のればゲームがおこなわれる。ゲームは勝利条件と敗北条件が決まっており勝利すれば報酬を彼が払い、負ければ指定されていたものを彼に奪われる。

 

 そんな彼の最大の特徴は敵となった出来事である。路地裏にいたチンピラに絡まれ逆上したのかチンピラは肉片すら残さないほど細かくこま切れにされ、路地裏の壁や床、彼自身をチンピラの血で染めた。駆けつけたヒーローを見て動揺したような顔をして霧のようになって逃げた。その霧が血で染まって不気味だったという印象をヒーローは強く持ったらしく報道された時の敵名が赤い霧となった。

 

 事件が報道された後、彼は敵名を誇るように最初に告げゲームに誘うようになった。最初のゲームはじゃんけん。誘った相手はとある警察官であった。勝てば大人しく捕まる。負ければ見逃すというこのゲームは警察官の負けで終わった。

 

「今回は私の勝ちだ。次のゲームは誰が勝つだろうな」

 

 ゲームが終わりきりになってどこかに消える際彼はこう言っていたらしい。それから警察はどうにかして彼を捕まえようとしたが特定の地域に出るというわけではなく北海道から沖縄までさまざまな場所で彼の被害が出ているため次の被害がどこで起こるか絞りきれなくて難儀しているらしい。

 

 彼のゲームに勝利したものは報酬として様々なものを得た。ある者は富を得、ある者は個性の使い方を教えられ、ある者は知識を得た。こういう人がいるせいか敵であるにもかかわらずファンがいるというのも彼がおかしな敵と呼ばれる理由だ。

 

「此度のゲームの参加者はここにいる全員。内容は私に一撃加えること。敗北条件は参加した者全員の戦闘不能。そちらが勝利したら私ができる限りのことをおこなう。敗北した場合ここにいる女子の誰かに私の妻になってもらう」

 

「はぁ!?」

 

 彼の告げたゲームの内容に全員が驚きのあまり声をあげた。内容が簡単すぎることもそうだが敗北時の代償が意味不明であったからだ。だがそんな彼らの様子を気にすることなく彼は話を続ける。

 

「無論参加しなくても構わない。ただし、敗北時に私の妻になる相手は事前に決めておくこと。これは負けた後誰かに妻の役目を押しつけるのを防ぐためである」

 

「えっ。えっと・・・・・・ちょっと待って」

 

「なんだ?」

 

「つっ妻ってどういうこと?」

 

「? 言葉の通りの意味だが?」

 

「いっいや。その、えっと・・・・・・」

 

 ピクシーボブの当然の疑問を彼は軽く流した。どうやら彼には若干天然が入っているようだ。彼の様子からそれを察したピクシーボブはどう質問すればいいのかうまい言葉が出ず悩みマンダレイに視線を向けた。

 

「まずどうしてその条件をだしたの?」

 

「両親に死ぬ前に子供をつくれと言われていたんだが、敵である私と結婚して子供を産んでくれる人はいなかった。だからヒーローを妻にしようと思ってな」

 

「何がだからなの!?」

 

「ヒーローなら個性を自由に使える。だから負けたとき言い訳ができないだろう? 個性が使えなかったからだと。それに俺もあの個性の暴走さえなければヒーローになりたかったくちでな。妻にする人はヒーロー関係者と決めていたのだ」

 

「えっ!?」

 

 彼の理由にマンダレイは驚いた。彼の最初の事件が個性の暴走によるものだと知っているものは少ない。なにせ20年以上も昔のことだ。当時を知るものなどほとんどいない。最初に挑まれた警察官もすでに亡くなっているし駆けつけたヒーローも現役を引退してどこかに隠居している。

 

「で? 誰を指定する? 自分たちは負けないから指定しないはなしだ。どんなことであろうと可能性がなくなることはない」

 

「どうする?」

 

「いきなり妻と言われても・・・・・・」

 

 女性陣は困惑を隠せない。彼女とかいろいろと通り越して妻である。困惑するのもわかるというものだ。

 

「それって私たちも条件に入っているのよね?」

 

「無論だ」

 

「なら私が妻になるわ!」

 

「ピクシーボブ!?」

 

 ピクシーボブの宣言にマンダレイは驚きの声を上げる。だがピクシーボブの言葉は順当なものであった。プロヒーローが敵の要求から逃げるわけにはいかないしここで生徒を妻に差しだすのもヒーロー失格である。それに勝てばいいのだ。

 

「マンダレイ、わかっているでしょ?」

 

「・・・・・・ええ」

 

「ピクシーボブか。そういえば婚期を逃しそうで焦っているという情報があったな」

 

「い、今は関係ないでしょう?」

 

「そうだな。たとえどんな相手だろうと妻になったものを愛すると決めていたのだった。ピクシーボブ、私が勝ったら私なりに精いっぱい愛することを改めて誓おう」

 

 真顔でそうのたまった彼にピクシーボブは顔を真っ赤に染めた。その言葉が冗談でもなく真剣に告げているものだとわかってしまったがゆえに。

 

「そっそれじゃあ始めましょうか?」

 

「ああ」




個性:吸血鬼
タイプ:異形系
吸血鬼にできることはだいたいできる

眷属使役
梟、蝙蝠、狼、狐、昆虫、鼠を使役する。(今回は根津校長を使役して林間合宿の場所を知った)

変化
霧、狼、蝙蝠、蒸気に変じる。

魔眼
魅了、催眠、暗示の魔眼を使用できる。

銀以外無効
銀で出来た物以外での攻撃を無効化する。

吸血
他者から血を吸うことができる。

血液操作
血液を自由に操作する。(基本的に自分ののみ操作可能で他者の血は身体から出ているもののみ操作可能)

吸血鬼作製
血を吸った相手を吸血鬼に変える。(もともとの個性は消えないが意思が強いものでなければ屍食鬼になる)

不老
成人に達したくらいで見た目の変化が止まる。そして美男美女になりやすくなる。

誘惑
無意識に異性を惹きつけるにおいを発している。

夜目
夜でも昼間のようによく見える

身体能力
普通の人間よりかなり上

五感
普通の人間よりかなり上。血のにおいであればかなりの距離からでも感じとることができる。血をおいしく感じる。

弱点
銀に弱い。日光は当たっても消滅することはないが身体能力などが低下する。
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