とある戦場
そこでは様々な個性が派手に使われていた。火が放射され何もない場所が爆発し地面が割れる。そんな中を同じ服装の兵士が駆けていく。その兵士は逆手持ちの短剣と特大剣を持ちその動きは狼のよう。一糸乱れぬその連携は目を見張るものだった。
「すごいな」
「ああ。あれが不死隊だ」
「不死隊ですか?」
「そうだ。あいつらは全部殺さないと復活するんだ」
「はぁ!? 本当ですか、隊長?」
その動きを見ていた兵士は上司に言われたことを信じられず猜疑の目を向けた。あれを全部殺さないと死なない? 自分では相討ちで1人殺せるかどうかのあいつらを? 冗談だろう? そんなことが顔に出ていた。
上司はそんな兵士の心情に内心同意していた。あれを殺すのは手間である。1人1人が大隊と同じくらいだと言われている。それが30。普通なら諦める。上司も最初聞いたとき嘘だろと思ったものだ。
「嘘だと思うだろうが残念ながら本当だ」
「ええ・・・・・・」
兵士はどうすれば殺せるか思案する。1人を囮にして左右から攻撃したり、前方で派手に動き後ろから奇襲したり、遠距離からの攻撃を数人で対処したりと彼らの連携はすさまじい。あれを崩すことなんてできそうもない。
「あれらは本当は1人なんだと」
「えっ?」
「だからあれらは1人から分裂した分体らしい」
「なるほど。だから全滅させないといけないんですか」
「そういうことだ。1人でも残すとそいつからまた分裂するらしい」
「それはまた・・・・・・」
たった1人でも隠れるのに徹しられたら自分には見つけることはできないだろう。故に彼らを自分は殺しきることはできない。現に今この戦場には20人くらいしかいない。30人全員ここにいないのだ。この戦場で彼らを殺しきるのは不可能だ。
「じゃああの連携も」
「全部の分体の情報を得られるんだ。連携しやすいのは当たり前だろう? まあ30人もの情報をどうやって処理してるんだっていう疑問が残るが」
普通の人間では30人分の情報を処理するのはほぼ不可能である。無理とは言わないがあんな風に激しく動くのは厳しいなんてもんじゃない。彼らはどうやって処理しているのか。上司の頭では考え付かなかった。無論兵士にもだ。
短剣で斬り特大剣で潰す。つっこんで相討ちを敵が狙ってくるが逆に狙われた奴がそれを真正面から受ける。そこを後ろから他の奴が襲いかかる。連携に淀みはない。敵兵は順調に減っていく。その様を隊長と兵士はただ見守っていた。
「あれを敵に回したくはないな」
「まったくです」
「この戦限りの契約にしようかなんて上の人間は言っていたらしいが」
「ええっ!? 勘弁してくださいよ」
「ははっ。そんなこと俺たちがさせねえよ。あいつらを敵に回したら俺らにはどうしようもねえからな」
上司の言葉に兵士は頷く。攻略法が全く思い浮かばない敵。そんなもの敵に回したくない。どんだけ高値の報酬を要求されようと払う価値が彼らにはある。それに上司の話によると彼らは義理堅く裏切りには苛烈な報復を返すという。そんな相手を無碍にするなんて考えられない。普通は懐柔しようとするものだ。
「そういえば彼らは1国を堕としたとかいう話があったな」
「本当ですか?」
「そうだろ? 普通は疑うよな。ところでレシビンって国があったのを覚えているか?」
「ええ。周りの国に喧嘩を売りまくっていた国ですね。数年前にその報復で国民を皆殺しにされたとかいう話でしたが」
「その報復をしたのが彼等だって話さ」
「ただの噂じゃないってことですか? まあ今見た彼らの実力なら可能でしょうけど」
兵士はそう大真面目に答えた。それくらい彼らは強い。国1つ堕とせるくらいの戦力。絶対にどこかにやるわけにはいかない。どんなことをしてでも繋ぎ止めたい。そう考えてある仮説が浮かんだ。
「そのレシピンに所属していた?」
「多分そうなんだろうよ。そしてレシピンも俺たちと同じ結論をだした」
「ただ繋ぎとめようとする手段がまずかった」
「で。彼らの報復を招いた。そう俺は思っている」
上司の言葉は一定の説得力があった。彼らに人質などを使ったつなぎ止めは悪手だ。金銀財宝も魅力的に映るかわからない。戦闘狂なら戦場を用意するだけでいいがおそらく違うだろうし。
「どうすればいいんでしょうね?」
「さあな。とりあえず俺たちは彼らの報復を受けないように上官たちに嘆願することしかできないな」
「そうですね」
個性:分裂
タイプ:変形系?
30人くらいに分裂することができる。
服や武器も複製される。
ちなみに
彼等は誠実な対応をすれば報復の刃を向けてくることはない。
レシピンは兵士たちの予想通り両親を人質にとろうとして報復を招いた。(彼らはもともとレシピンの国民だった)
元ネタはダークソウル3のファランの不死隊(深淵の監視者)である。