とある病院
そこには1人のヒーローが入院していた。その名はインゲニウム。1年A組の委員長である飯田天哉の兄である。彼は雄英体育祭の日にヒーロー殺し、ステインに保須市で襲撃され重傷を負った。医者の懸命な努力も実らず後遺症として下半身麻痺が残りヒーローとしての再起は不可能であろうと言われていた。
「1年A組の飯田くんに教えてもらってきました。1年B組、幸先望です」
「知っていると思うが飯田天晴。ヒーローネームはインゲニウムだ。わざわざありがとうな」
インゲニウムが医者の宣告によって失意のどん底にある時、とある少年が見舞いに来た。幸先望と名乗った彼はわざわざ弟の飯田から話を聞いてお見舞いに来てくれたらしい。そのことに嬉しかったのかインゲニウムの顔に小さい笑みが浮かんでいた。
「いえ、そんなことないですよ。僕はインゲニウム。貴方のファンなんです。だからこうしてあえてとても嬉しいです」
「そうか。こんな状態で悪いな」
「構いません。その怪我は相棒をステインからかばったことによって受けた怪我が元なんだと聞いています」
望は暗くなってしまったインゲニウムを励ます。そして彼がここに来た本当の理由について話すタイミングをうかがいながら世間話をつづけた。インゲニウムも彼が何か言いたいことがあるのに気づいたのか自然に言わせるために話を変えることにした。
「それで? 本題はなんだ? わざわざほとんど面識がないであろう天哉に関わったほどだ。それだけ重要なんだろう?」
「わかっていましたか。では本題に入りましょう。インゲニウム。その怪我治したいですか?」
「そりゃあ治したいさ」
「そうですか。では僕の個性で治します」
「君の個性?」
「はい。僕の個性は等価交換。等価のものを代償になんでもおこせる個性です」
「それはすごいな」
望むの個性は天秤が釣り合えば世界征服も可能である。そんなおそろしい個性であることを察しインゲニウムの顔が驚愕に染まる。そのことを気にせず望は話を続ける。
「ただ等価というのが問題なんです」
「どういうことだ?」
「人によって価値観が違うため僕が釣り合うと思う対価と相手が釣り合うと思う対価が違う可能性があるんです」
「なるほどな。だからきたと」
「そういうことです」
相手が釣り合うと思えなければならない。その制約があるためインゲニウムの完治の代価が本人と望では違うことによって成立しない可能性があるのだ。だからこそ本人に訊きに来た。望の見舞いの本当の理由はそこだった。
「僕としてはインゲニウムが復帰した後相棒にしてくれるとかでいいんですが・・・・・・」
「いやいやそれでは釣り合わないよ」
「インゲニウムでしたらそういうでしょうね。だからこうやってきたんですよ」
「そうか」
インゲニウムは少し悩み望に代価を掲示した。それに望が頷いたと同時に望の手に釣り合った天秤が現れた。
「対価と結果が釣り合った。故に我が個性を発動する」
天秤から光が放たれインゲニウムの足に当たる。それをじっと見ていたインゲニウムは光が終わった後驚いた顔になった。それまで全く感じなかった足の感覚があるのだ。おそらく歩くことも可能であろう。
「終わりました。ついでです。『僕が職場体験にいけなくなることを対価に飯田兄弟がヒーロー殺し。ステインを捕縛する結果を欲す』」
「何を言って・・・・・・大丈夫か!?」
望がそういうと同時に崩れ落ちる。それに慌ててインゲニウムはベットから降りて望に近寄る。望は全身の骨を骨折し何カ所が筋肉が断裂し脱臼も起こしていた。普通の人なら痛みだけでショック死しているだろう状態だった。
「大丈夫です。これくらい慣れっこです。僕の憧れ、インゲニウム。勝ってくださいステインに。僕にここまでさせたんですから」
「・・・・・・任せろ!」
個性:等価交換
タイプ:発動系
対価を掲示しそれに見合った結果を起こす。対価はその人の価値観に左右される。(望は身長を対価に人類最高峰の身体能力を得ていたため今回のような結果になった)
釣り合うと望の手に黄金で出来た神々しい天秤が出現する。釣り合わないと出てこない。