とある牢獄
とある国には凶悪な犯罪者を収容する特別な牢獄が存在した。その中では厳しい監視の下とあるものを手足につけさせられる。それが木で出来た枷だ。この枷をつけられると個性が使用できなくなり身体能力も日本の小学校1年生の体力テストの平均くらいまで落ちる。これにより凶悪な犯罪者の脱獄を防ぐことができているのだ。
「で? それをここに導入したいといいたいのですか?」
「はい。何せここにはオール・フォー・ワンも収容されていますし」
「・・・・・・確かにそうだな。用心に用心を重ねた方がいいか」
収容所の長は部下の意見を取り入れてその国に枷を都合できないかと外務省で働いている知り合いに相談した。その知り合いはすぐにその国に連絡してみようと返し実際に連絡を取った。
「枷が欲しいと?」
「はい。・・・・・・できないでしょうか?」
「いや、私たちとしては構わないが彼が頷くかどうか」
日本の外務省の交渉人からの話にその国の外務省の交渉人は渋い顔をする。交渉人の言う彼がどう答えるかわかりかねるので確約できないのであろう。日本の交渉人はとりあえずその彼という人物に確認を取ってほしいと頼みその国の交渉人は了承した。
「・・・・・・ということになってな」
「それはそれは・・・・・・そこまで評価していただけるとは感激です」
交渉人は彼に話を持っていった。彼はその申し出に嬉しそうだった。なにせ自分の個性を外国の人間まで認めてくれたということだからだ。彼は個性をこのように使うまで誰にも認めてもらえなかった。せいぜい手錠のかわりに使えるくらいの認識だったのだ。
彼はそんな周りの人間のことなど気にせずに個性を鍛錬していくうちに枷に付加能力をつけることができるのに気づいた。つけると動けなくなる。つけるとつけた相手に従順になる。つけると体が重くなるなど様々な能力を付加でき牢獄に支給しているものは付加能力をいくつもつけた彼のこれまでの努力の集大成の品であった。
「で? どうかね?」
「わかりました。枷を念のため20個つくりましょう。確か日本はナンバー1ヒーローが引退して治安が悪化していると聞いていますので」
「そうかそうか! よかった。良い話を持って帰れる」
「私に断られると流石にいろいろと大変だったのでしょう?」
「そうなんだよ。上も無茶を言う」
交渉人は真底安心したのか思わず笑みを浮かべた。彼との交渉は今回が初めてではないがいつも緊張する。何故ならこの交渉中に枷をはめられて彼に絶対服従するようにさせられたものを知っていたからだ。彼の機嫌を損ねるということは身の破滅と同義であるのだ。
「日本と誼を通じたいという上の人の意向はわかりますが何でもかんでもはいはいいうのはどうかと思うんですがねえ」
「これぐらいなら問題ないとでも思っているのだろうよ」
そんな彼との交渉ではできるかぎり本音でぶつかっていかないといけない。見え透いたおべっかなんて使ったらすぐに枷がとんでくる。ある程度の隠し事はしていいが隠しすぎると後が怖い。その辺りのさじ加減がこの交渉人はうまかった。
「では次に来る時までに用意しておきますね」
「頼むよ」
交渉人が部屋を退室したあと彼はおもむろに立ち上がりクローゼットに向かった。そしてそこから数着服を取りだした。その後歯ブラシなどを旅行鞄をどこかから引っ張り出して服とともに入れていく。
「旅行も悪くないですよね?」
どうやら彼はどこかに旅行に行くようだ。さっきの話から推測すると日本に行くのかもしれない。ただ、彼の旅行鞄の中には普通の人で入れないであろうものがあった。それは数本の薪だ。おそらくその薪を使って個性を使うのであろう。
「ふふ。今回の旅行ではいいものが手に入るでしょうか」
彼は次の旅行に胸躍らせる。そこで手に入るであろう品物に。決して枷を使って自分に絶対に従う人を手に入れるというわけではない。これはただの防犯用だと誰もいない部屋で言い訳しながら枷もいくつか旅行鞄に入れた。
「依頼分もしっかり用意しないといけないな」
忙しくなるな、と内心つぶやきながら彼は作業をおこなう。そして数日後に訪れた交渉人に20個の枷を納品した。これで自分をこの国に今縛るものはなくなったと判断した彼は日本に旅行に向かった。その顔は満面の笑みを浮かべていた。その裏に欲望を隠して。
個性:枷
タイプ:発動系と変形系
材料から枷をつくる。その枷に能力を付加できる。(付加できる能力は様々で材料によって限界も違う)
自分の体を枷に変形させることもできる。
枷の能力は枷に触れている生物にしか効かない。