ヒーロー基礎学初日
屋内での敵とヒーローのたたかいについて学ぶことになった1年A組は2人1組にくじで分かれた。1組目は敵サイドが爆豪と飯田でヒーローサイドが緑谷と麗日だった。勝敗は熾烈な戦いの末にヒーロー側の勝利に終わった。そして2組目の戦いが始まろうとしていた。
「2組目! 敵サイド、葉隠・佐々木! ヒーローサイド、轟・障子! 敵組は先にビルに入って準備をするように!」
「佐々木君、よろしくね!」
「ああ、よろしく。とりあえずお互いの個性について話しとこうか?」
ビルに入った敵組はとりあえず4階に核を設置してこれからどうするか話し合いをすることにした。まず改めて自己紹介をしてこの戦闘で重要になる個性について話していくことにした。
「そうだね! 私の個性は透明! 見ての通りだよ。弱点としては自分の体だけしか透明にできないことかな?」
「そっか。僕の個性は狂気。意図的に狂うことによって様々な恩恵を受けれる。まあデメリットもあるんだけどね」
「デメリット?」
佐々木は説明中にくらくなった。どうやらそうなるくらいデメリットが深刻なようだ。葉隠はそんな佐々木の様子に首をかしげたが佐々木には見えない。ただ言葉のニュアンスで伝わったようだ。
「うん。近くにいる人を無差別に襲ってしまうことがあるんだ。あと、肉体のリミッターを無理矢理解除したりするから個性解除後激しい痛みを感じたりする」
「そうなんだ! 大変だね。で? どうする?」
「作戦か~。とりあえず僕は核の近くにはいられない。無差別の攻撃しちゃう可能性があるからね」
「そっか。ならしょうがないかな? 私はこんな個性だから攻めにいきたかったんだけど・・・・・・」
佐々木の言葉に葉隠は残念そうに答えた。佐々木は個性で狂うことによっておこる無差別攻撃で核に攻撃してしまう可能性を考えると近くにはいられない。葉隠の個性は奇襲には最適であるが防衛にはあまり向いていない。ただ2人のうちどちらかを核の近くに置くとなると自然と葉隠になる。
「いや2人で攻めにいこう。相手は轟君と障子君だからね。生半可な策は見破られるはずだ」
「わかった! 私本気でいくね!」
「葉隠さん、見えないとはいえ大胆だね」
葉隠は着けていた手袋とブーツを脱いだ。これによって葉隠は全裸状態である。確かに個性の効果によって誰にも見えないが普通の女性なら躊躇することを簡単に行ったことに佐々木は驚いた。
「別に見えないんだから問題ないよ!」
「それでも何の躊躇もなくやらないでほしい」
佐々木と葉隠の準備が終わった時に戦闘開始の時間になった。佐々木は俯いて前髪を垂らして目元を手で覆う。そして何かをつぶやいている。葉隠はそんな佐々木の様子が気になって近づいていった。
「相手はヒーロー。僕は敵。敵なら敵らしく。やるなら徹底的に。狂気に染まれ。理性などいらない。狂気に身をゆだねろ。・・・・・・さあ首狩りの時間だ! 目についた人は敵だ! 敵の首を刎ねろ! 慈悲などいらない! 断頭台の露と消えろ! さあ! さあ! さあ! 敵はどこだ! 真っ赤な血を俺に見せろ!!」
途中までは何ともなかったが徐々におかしくなっていった。目が充血して赤くなり異様な雰囲気に包まれた。その狂気につい葉隠は呑まれそうになってしまった。自分もこの狂気に体をゆだねてみたいと思ってしまった。
葉隠が狂気に呑まれそうになっているときビル全体を轟は凍りつかせようとした。だが佐々木の狂気の波動により4階のみ凍りつかなかった。そのことに驚きつつ障子とともに4階に向かった。そこに核があると信じて。
そして数分後敵サイドとヒーローサイドは4階で鉢合わせた。そこでヒーローサイドが見たのは異様な雰囲気を纏っている佐々木と誰もいないにもかかわらず何かが感じられる空間だった。もちろんその空間の場所には葉隠がいる。どうやら葉隠は佐々木の狂気に呑まれてしまったようだ。
「お前は俺の敵か? 敵だよな? 敵だと言え!」
「何を言ってやがる」
「敵は排除する!敵の首は刎ねる! それが俺の役割だから! さあ! かかってこい! 手を抜けばその首胴体から離れることになるぞ!」
「上等だ」
「ぐっ!」
「どうした障子?」
狂っている佐々木はそれでも己の役割を自覚しているのか轟たちに殺気を向ける。それにこたえるように轟たちは戦闘態勢をとる。だが遅かった。佐々木に気を取られすぎた。後ろに回っていた葉隠の攻撃に障子は反応ができなかった。
複製腕に耳や目をつけていた障子だが佐々木から発せられる狂気と殺気によって感覚が麻痺していた。そして佐々木の言葉を聞いているうちに佐々木に集中してしまい周囲への警戒が緩んでしまっていた。
「まずは1人! 次はお前だ!」
「そう簡単にやられるかよ!」
轟の攻撃をリミッターを解除した身体能力で佐々木は回避する。轟の氷は狂気の波動により一定の距離に達するとひびが入り砕け散る。そして徐々に轟も狂気におかされていった。
「くそっ!」
「どうした! この程度か! この程度では俺には届かないぞ! もっと本能に体をゆだねて見せろ! こんな感じでな」
佐々木の熾烈な攻撃に轟は徐々に防戦一方になっていった。轟は狂気の波動によって狂いそうになる自分を何とか抑制しながらたたかわねばならず戦闘に集中できなくなりつつあった。そこに葉隠の攻撃がくるようになった。ただの女子高生の拳での攻撃ではない。どうやら葉隠も体のリミッターを解除してしまっているようだ。
無線で危険だからとオールマイトが止めようとしたがその頃には全員狂気に身をゆだねていて誰の耳にも届いていなかった。そして熾烈な戦いの末全員限界がきて気絶という結果になった。途中で轟は封印していたはずの炎を使い葉隠は光を放ち佐々木は手足にそれぞれ刀を装着した4刀流を披露した。
そのたたかいはドローという結果に落ち着いたが命の危険があったことからオールマイトとリカバリーガールによる説教が3人に待っていた。ただ3人には狂気に陥った時の記憶がすっぽりと抜けていたため効果があったかというと難しい。
個性:狂気
タイプ:発動系
狂気を操る個性。
自分にかけることによって戦闘衝動を活発化させる。全力で発動すると理性が崩壊する。身体のリミッターを解除できる。痛みを感じない。完全に狂化する。
狂気の波動を発する。当たっている相手を狂わせる。
狂っている間の記憶は朧気でほとんど覚えていられない。(全力で使用時のみおこる)
解除時体にそれなりの痛みを感じる。
自分に制約を課しているものには積極的に破らせる。(これにより轟は炎を使った)
意識がないものには効果がない。
距離によって効果の強弱がある。(至近距離からくらったため轟も葉隠も狂化した)
ちなみに
この出来事があってから葉隠と轟の仲がとてもよくなった。(理由? 不明)