雄英体育祭本戦
2人の人物が向かい合っている。1人は眼鏡をかけた優等生といった感じの男性。1年A組の学級委員長でもある飯田天哉だ。もう1人も眼鏡をかけて勉強ができそうな雰囲気を醸し出している1年B組所属の海崎守だ。
「どちらも眼鏡をかけた優等生のたたかいだー!」
「眼鏡はたたかいに関係ないだろう」
「飯田君だったかな? よろしく頼むよ」
「ああ、海崎君。どちらも悔いの残らない戦いにしよう」
「それはできないな。僕の個性の関係上ね」
海崎はそう言い笑う。その言い方に冗談を言っているかのように飯田は感じたが海崎は本気だった。海崎の個性は1対1で日光が当たる場所であればかなり凶悪な効果を発揮する。もしかしたら試合にならない可能性もあった。
「そうか。では俺は最初から本気で行かせてもらおう。悔いを残したくないのでね」
「わかった。僕も本気でいこう。どっからでもかかってくるといい。まあ君が僕に攻撃することは叶わないだろうけどね」
「それじゃあ試合、開始!」
ミッドナイトの宣言を受けてすぐに飯田は個性であるふくらはぎにあるエンジンをフル稼働させる。個性の誤った使い方であると飯田が言う。飯田の必殺技『レシプロバースト』をおこなおうとしているのだ。
それに対して海崎は開始からすぐに右足を地面から少しあげたくらいだ。何か目的があるのだろうが飯田にはわからない。観客席にいるヒーローも海崎の動作の意味が分からずただ静観している。
「行くぞ! レシプロバースト!」
「・・・・・・ここかな?」
「なっ!?」
飯田が全速力で海崎に近づき海崎の足元に飯田の影が到着したと同時に海崎は浮かせていた右足を下ろした。すると飯田が走っている体勢で止まった。慣性も何もかも無視して急停止した自分の体に飯田は驚く。
「解説が必要かな? 僕の個性は影踏み。相手の影を踏むことによって相手の動きを止める個性だ。そして今僕は飯田君の影を踏んでいる。飯田君、状況は理解できたかな?」
「くっ!」
「確かに僕が影を踏む前に接近できれば君の勝利だったよ。でもこの状況から逆転はできないんじゃないかな?」
海崎の問いに飯田は答えられない。その通りだったからだ。この状況を打開するには天候がくもりになって自分の影がなくなるか海崎が影を踏むのを何らかの理由からやめるくらいしかない。
「これで詰みだ。言っただろう? 多分悔いが残るだろうって」
「いや、これは俺の完敗だ。騎馬戦の時同じことをしていたのを見ていたのに何の対策もしていなかった」
確かに海崎は騎馬として他の騎馬の足を個性を使って妨害していた。だがそれを見たからと言って対策をたてられるわけではない。飯田の個性では多分どうしようもないことなのだから。
「そうだね。そういう見方もできるんだよね。だからこそ飯田君、君は強い。多分来年には勝てなくなっているんだろうね」
勝負に対して言い訳を言わない。そんな飯田の態度を海崎はまぶしいものを見るかのように見る。多分自分にはそんな風にいうような度量はないだろうからと。来年には自分の個性に対抗する手段を確立してくるだろうと予想して海崎は笑う。それでも今年は自分が勝ったんだと誇るように。
「飯田、戦闘不能! 勝者、海崎!」
ミッドナイトの宣言で歓声がまばらにだが上がる。早期決着だったためあまり場が盛り上がらなかったせいである。ついでに2人とも個性が地味であったことも関係していた。轟や爆豪のように派手ならもっと盛り上がったかもしれないが。
個性:影踏み
タイプ:発動系
相手の影を踏むことによって相手の動きを止める。
そのため屋内や夜などでは使いづらい。
爆豪なら爆破の勢いで突っ込んでくる可能性があった。(このように発動系とは相性が悪い)