とある国
古い城の玉座に壮年の男性が目をつぶって座っている。服装は中世ヨーロッパの貴族がきていたような服で顔に気品があることもあって玉座がとてもよく似合っていた。
「・・・・・・きたか」
「今日こそ討たせてもらうぞ! 吸血鬼!」
「吸血鬼ではないと何度説明すればいいのだろうな」
男性のいる玉座に何人もの人が入ってきた。服装や言動を見るかぎり彼らはヒーローであるようだ。そんな彼らに呆れた目を向けながら男性は右手の先をヒーローたちに向けるようにあげた。
「まあ愚直に我が前に立った己の行為をあの世で後悔するが良い」
「なにっ!?」
男性の言葉が終わった直後、ヒ―ローの足元から何か鋭利なものが突き出てきた。それに反応できなかったヒーローの大半はその鋭利なものに突き刺さられ命を散らした。そんな中でも硬化などの体をまもる個性を持っている面々や足元の反応に気づき事前に避けていたものは無事だった。
「よくぞ避けたといっておこうか」
「くっ!」
男性の称賛を聞いてもヒーローたちは嬉しそうではなかった。いつどこからまた先ほどのように鋭利なものが突き出てくるかわからず辺りを警戒している。その様子に男性は失望の眼を向けた。その目はそんなことをしても無駄だと語っていた。
「だが次は避けられぬだろう」
「がはっ!」
男性はそう言い右手を握りしめた。その直後、ヒーローたちは口から血をはいた。そしてヒーローたちの体から血のような色の鋭利なものが突き出てきた。おそらくこれによってヒーローたちは殺害されたのであろう。
「我を吸血鬼と呼んでおきながら対応を誤ったな」
「ぐっ!」
「吸血鬼であれば血を操ることもできると簡単に予想できたであろうに」
男性の言葉に悔しそうに倒れ伏したヒーローたちは呻く。確かにヒーローたちは予想していなかった。この城に吸血鬼のようなものがいるという周辺の住人からの情報を得ていたが吸血鬼の能力について詳しく知っているものはヒーローたちの中には1人もいなかったからだ。
「貴様らは自分たちなら大丈夫。これだけ人数がいるのだから大丈夫などと根拠のない自信をもって我が居城に攻め入った。そうであろう?」
「・・・・・・」
「うむ? もう息を引き取ったか。最近のヒーローは情けないのう」
息を引き取ったヒーローたちの様子に気がついた男性はため息をつきながらヒーローたちの死体から鋭利なものを突きださせた。ヒーローたちの死体は鋭利なものによってボロボロになり見るに堪えないありさまだった。
「我は『幼き竜公』。断じて吸血鬼ではないのだがな」
男性の悲しそうな小さな呟きを聞く者は死体以外誰もいなかった。
「我は求めよう。我を討つにたる強者が来ることを。それまではこの居城から動かぬことをここから見える満月に誓おう。さあきたれ強者よ! 貴様らの討つべき悪はここにいるぞ!」
血に塗れた玉座で誰かに聞かせるように大声で宣言する男性。その顔は覇気を纏っていてとてもただの悪人のようには見えなかった。まさに巨悪。正義が打倒すべきものであった。
個性:串刺し公
タイプ:発動系
決められた領域から槍を突きだす。(体内なら血でそれ以外ならその場にある材質のもので作られる)
上下左右は自在に選べる。
元ネタはfate/のヴラド3世の『極刑王』である