とある墓地
大晦日にはたくさんの人が訪れる墓地にまだ幼い少年がいた。その目は何もないはずの空を見上げたりしながらも膝に置いてある問題集に向いていた。
「つまりこういうこと? ・・・・・・違う? そうじゃない? ・・・・・・ああそういうこと」
少年は1人ぶつぶつとまるで誰かと話しているかのようにつぶやきながら問題集の空欄を埋めていく。
「・・・・・・よしこれでおしまい。ありがとう」
虚空に向かって少年はお辞儀をし近くにあったお墓の掃除を開始した。そのお墓は何年も誰も墓参りに来ていないのか他のお墓に比べて汚れていた。花もいけられていた形跡がなく墓所を管理している人が景観やらなにやらのために最低限お世話しているという感じだった。
「お墓がここまでになるまで放置するなんてどんな人たちだったの?」
虚空に向かってそう少年が問いかける。返事など返ってこないと普通の人なら思うだろうが少年は違った。絶対に返ってくると確信しているようだった。
「お金持ち? ・・・・・・ああ聞いたことがある。使用人がたくさんいた? それなら誰か来てもおかしくないような。みそっかす? 兄弟が2人いたんだ。その人たちは来ないの? たいして気にされていなかった? それでもこの扱いはどうなんだろう。世間体を気にして? それならなおさらお墓の管理はしっかりしそうだけど・・・・・」
少年は誰かに返された言葉に疑問を覚えながらも話を続けていく。そうしていくとようやくお墓に誰も来ない理由が分かった。なんでも数年前に事業が失敗して借金を背負うことになった親が使用人を辞めさせたらしい。これによって使用人がここに来ることはなくなった。兄弟は借金返済のために忙しく世界中を飛び回っておりここに来ることはない。親は多分事業の失敗があってもなくても気にされていなかったからここには来ないだろう。
「ふーん。お金持ちも色々と大変なんだね」
数年前に有名だったお金持ちの失墜はいろいろな場所で報道されていた。そのため少年もたまたま知っていた。このお墓がその関係者の墓であったことは知らなかったようだが。というか誰が少年に答えを返しているのだろう。その場には誰もいないというのに。
そう普通の人は疑問に思うようなことをしながら少年は丁寧にお墓を掃除していく。周りの伸びっぱなしだった草を刈り水でお墓を洗い何も入っていない花が入るであろう場所に花を挿して線香に火をつけて指定の位置においた。
「また困ったことがあったら来るよ。まあその前に成仏しているかもしれないけどね」
お墓を拝んだ後そう告げて少年は墓所を後にした。
個性:死者との交流
タイプ:不明
死者の魂を見ることができ話をすることができる。
ある程度の未練などを浄化して成仏させることができる。