職場体験
僕の事務所でも職場体験をおこなうことになった。一応指名はしたが本当にくるとは思っていなかったので驚いている。うちは正直言ってマイナーだからね。
「ようこそ、八百万さん」
「はい、よろしくお願いしますわ」
八百万百。個性、創造。分子レベルで把握しているものを脂質を消費してつくりだす個性。僕の個性との相性も抜群だし容姿もいい。だからこそ指名したのだけど。
「1つ不躾な質問をしてもいいかい?」
「はい、なんでしょう?」
「なぜうちに? 他にも指名していたヒーロー事務所があっただろう?」
「確かにそうなのですが・・・・・・」
? 言いづらいことなのかな? ならこれ以上深入りするのは得策ではないね。
「言いづらそうだね。別に無理して言わなくても構わないよ。ただの好奇心だったしね」
「いえ、そういう訳ではないのですけれど・・・・・・どう説明したらいいのか」
うーんよくわからないな。ただこれ以上話しても時間の無駄になりそうだ。強引にでも話を打ち切った方が良さそうだな。
「うまく言語化できないか。ならしょうがない。仕事の話に移るけど大丈夫かい?」
「はっはい!」
うん、元気だ。初々しいね。さて、せっかく職場体験に来てもらったんだ。なにか成果と言えるものを持って帰ってもらおう。
「まずここがどういう事務所か知っているかい?」
「ヒーロー活動とはべつに探偵業をおこなっている事務所だとお聞きしていますわ」
「うん、正解。ここ『ライブラリー』はヒーロー活動とは別に探偵業をおこなっている。そこで使うのが僕の個性『星の図書館』だ」
「『星の図書館』?」
ふふ。僕の個性はあまり知られていないけど個性名からどういうものか推測しようとしているのかな。彼女は聡明だ。何個か仮説をたてているだろうけど正解を導き出せたかな?
「ふむ。1人くらいなら巻きこめるであろう。行ってみるかい?」
「巻きこむ!?」
驚いているね。確かに言い方が悪かったかな。一応安心させた方がいいよね。
「危険はないから大丈夫。騙されたと思って僕と手を繋いでくれるかい?」
「・・・・・・わかりましたわ」
繋いだね。よし、いこう。
「・・・・・・ここは?」
「初めての人はみんなびっくりするよ。ここが星の本棚。地球上のあらゆる情報がおさめられている場所だ」
目をつぶったわけではないにもかかわらず本棚がたくさんある空間にいつの間にかいたら驚くよね。
「あらゆる情報が?」
「そう。ただ情報が多すぎるんだよね。だから検索機能を使う。3つくらいかな? キーワードを打ち込むことによって情報を絞るんだ」
「なるほど。だから私に・・・・・・」
八百万さんは自分が指名された理由が分かったみたいだね。そう、ここにある情報を使ってもっと八百万さんのレパートリーを増やしてもらおうと思っていたんだよね。今でもたくさんの情報を得られているだろうけどここの情報量は世界一だからね。
「何で指名したのかわかったみたいだね?」
「ええ」
「仕事がない暇なときはここに言ってくれればいつでも連れてこよう。職場体験で何も得ず帰させるわけにはいかないからね」
悪い噂とか流されたりしたくないからね。一応こういう風に気遣った方がいいとあいつもいっていたし。
「あっありがとうございます!」
喜んでくれているみたいだね。よかったよかった。最初はどうなるかと思ったけどこの分なら何とかやっていけそうだね。
「クラスメイトのことでも調べてみるかい?」
「いっいえ」
「? 心配ではないのかい? ここで調べれば今どうしてるか知ることができる。ここは現在進行形で更新されているからね」
「そうなのですか!? いえそれでも・・・・・・」
「それとも自分が他の人の心配するなんておこがましいとでも思っているのかい?」
「!?」
「ここに来てから表情がすぐれない。雄英祭で碌な活躍ができなかったことをそんなに気にしているのかい?」
「・・・・・・」
図星みたいだね。でも碌な活躍ができなかったというのは間違っていると思うよ。八百万さんは一回戦で敗れたけど騎馬戦ではチームの潤滑剤となっていたし障害物競走では上位だった。これで活躍していないと言われると立つ瀬がない人間が何人も出る。特に爆豪くんを煽っていた物間くんとかね。
「・・・・・・いや、すまないね。私は人の心がわからないとよく言われる。こんな場所に長時間いたからであろうね。それでも今のは言いすぎだった。すまない」
情報があふれているここにいると醜いものを多く見る。故に感情を殺してきた。その弊害で人の心がわからないとよく言われる。今回もそうなんだろうね
「いえ、ライブラさんのご厚意はありがたく思いますが初日の自分にこうまで優しくされるとは思っていませんでしたので、その・・・・・・」
「戸惑っていると?」
「はい」
「なるほど」
僕ももっと人の感情について学ぶべきなのかな? いや、今更学んでもな。・・・・・・そうだ。これでいこう。
「それなら今回の職場体験中に僕に人の感情について教えてくれるかい? その対価にここの使用を許可するってことでどうだい?」
「わかりました。私もよくわかっていませんが教えられるものは教えましょう」
こういうギブアンドテイク的な関係が今は精いっぱいかな? もっと踏み込むにはまだまだ八百万さんとの関係は浅いみたいだからね。
個性:星の図書館
タイプ:発動系
アカシックレコードに接続する。1人だけだが同行させることができる
弱点
精神のみで行くため体が無防備になる
情報が多すぎるためキーワードを入れて検索しないと必要な情報が得られない(だいたい3つ~9つくらい必要)
下手に探ると大変な情報もあるので注意が必要(オールマイトのこととか)
入れる時間が最大1時間
未来の情報は得られない