大阪の路地裏
よしっ! 今日も逃げきれた。あのおっちゃんとろいな。俺じゃなくても逃げられるんじゃないか?
「坊主か? ここらで食い逃げを繰り返してるっちゅうんは?」
「! ファットガムだと!?」
なんでここに? 追っ手はいないはずじゃ・・・・・・いや追ってきたんじゃないな。たこ焼き食ってるし偶然会ったとかそんな感じか。
「おっ! 俺のこと知ってるんやな」
「当たり前だ。ここらにいるヒーローについては全員把握している。最近ファットガムの事務所に雄英学園からのインターン生が増えたこともな」
もう1人には借りもあるししっかりと調べた。荒くれものが多いここら辺に相応しい個性の持ち主だった。雄英祭でも本戦に残っていたし将来を嘱望されているんだろうな。
「ほう。レッドライオット君のことも知っとるんかい? どないな感じに伝わってるんやろうな?」
「個性『硬化』の雄英学園1年生。男性であり赤い髪が特徴。漢気を大事にしており卑怯なことを嫌うまっすぐな人物・・・・・・」
「おいおい自分、レッドライオット君のこと知りすぎちゃう?」
「? 情報を本気で集めた成果だ」
これぐらい当たり前だ。情報が少ないせいで失敗して捕まりそうになったこともあるからな。念入りに調べさせてもらったということを置いておいてもこのくらいの情報くらい集めているだろ、犯罪者なら。
「自分、ずいぶん子供らしくないなー」
「物心つく前から何でも自分だけでやらなくちゃいけない環境にいたら自然にこのくらいにはなるさ」
「? 自分、親は?」
「死んださ。敵によってな」
まぁ物心つく前だったからどんな親だったのか俺は全く知らないがな。近所に住んでいた奴らの話によるとプロヒーローだったらしいが。
「ほうか」
「『クインズ』って名前でプロヒーローをやっていたらしい」
「クインズってあのクインズか?」
「そういわれてもどのクインズかわからん。クインズってヒーローは何人もいるのか?」
「いやちゃうけど」
「ならファットガムが知っているクインズが俺の両親なんだろう」
「そうかそうか。あの2人に子供がな・・・・・・」
ファットガムと知り合いだったとは俺の親はすごい人だったのかもしれないな。まあ俺には関係ないが。
「あの2人の子供なら俺の子供も同然やな」
「はっ?」
「自分、名前は?」
「走だ」
「なら走、ついてきなはれ」
「・・・・・・わかった」
ことわったら追いかけてきそうだしついていくか。こんな生活をいつまでも続けるわけにもいかないしちょうどいいきっかけだ。
「えらい素直やな」
「逃げようと思えばいつでも逃げられるからな」
「自分、俺をなめとるんか」
「俺の個性のおかげだがな」
「走の個性?」
「ああ」
俺の個性はこと逃走に関しては一級品だ。多分一流と呼ばれているヒーローでも逃走中の俺を捕まえることは難しいはず。
「どんな個性なん?」
「教えない」
「ええやん。もったいぶらずに教えてえな」
「自分の武器をそう簡単に教えるかよ。知られたらその分だけ不利になるんだぞ」
「ほう。よく考えているんやな」
「ファットガムが考えなさすぎなんじゃないか?」
「なんやと!?」
「はい、これ」
めんどくさいしあれを渡して静かにさせるか。いや、もしかしたら騒がしくなるかもしれないな。けど、話題を逸らすにはこれが一番いいはずだ。
「ん? ・・・・・・これをどこで!?」
「事務所から盗ってきたりしたものをまとめたものだ」
死穢八斎會。今、ファットガムたちが追っている相手の情報。構成員の個性の詳細とか何をやっているかとかを写真も入れてきっちりまとめたこれがあれば強行捜査をおこなえるしたたかいでも役に立つはず。
「走、大手柄やで。これさえあれば・・・・・・って盗んできたん!?」
「ああ。警戒していたみたいだけど俺にはあの程度の警備、無意味だ。間取りとかも覚えたしいつでも忍び込めるぜ?」
「いや、その必要はあらへん。これからは俺らの仕事や」
「そうか」
かっこいいな、太っているのに。
「あとはこの情報をあっちにも共有して・・・・・・走、自分の名前もだしてもいいか?」
「構わない。一応信憑性を持たせるためのカバーストーリーも考えついたしな」
「なんや?」
「クインズの息子であることを使う」
「あぁ確かにクインズはこういう手合いの相手ばっかしとったなあ」
クインズは暴力団などの指定敵団体の相手を主にしていたプロヒーローだった。それを使う。子供が親に憧れて親の死の真相を知ろうと多分死の原因になったそういう組織の情報を集めていてもおかしくない・・・・・・はずだ。
「ファットガムにも協力してもらわなくちゃいけないが」
「かまへんかまへん。それくらいの協力、おちゃのこさいさいや」
「・・・・・・よろしく頼む」
「こちらこそや」
なんとなく協力したいと思わせる人柄。こういうのがヒーローには必要なんだろうか? いや、そんなことはないんだろうな。
「その前にファットガムの事務所にいるだろうインターン生に俺のことをどう説明するか考えようか」
「ん? 正直に説明したらええやん」
「それでいいのか? レッドライオットの人柄を考えると正直に説明したら多分会議中にボロがでるぞ」
「・・・・・・確かにそうやな」
さて、どう説明したらいいものやら? 情報は集めたが実際に会ったことはないんだよな。全部合っているならなんとかできるんだが。
「ファットガム。俺の得ているレッドライオットの全情報が合っているか確認してくれないか?」
「おっ! いい考えが浮かんだんか?」
「情報が合っているのならな」
さあ一世一代の大舞台のつもりで演じきってやる。最後まで騙されてくれよ!
個性:マップ
タイプ:変形系
初めての建物でもある程度どこにどんな部屋があるかなどが視界の右下隅にマップのようなものに表示される。屋外でも使用可能。これにより追っ手を撒く最適なルートを調べていた。
罠がないか察知できる。罠は他の場所とは違う色に見える。命の危機がある罠が近くにある場合脳内に警鐘がなる。
情報を得ている人物がどこにいるかをマップ上に表示できる。詳しく知っていればどっちに向いているかなどがわかりやすく表示される。
黒目の中に発動時レティクルが表示され蟀谷から小さい電波塔が生える。