「闇」のジャンルが違う気もするけど僕はおねぇちゃんの方が好きです。
「はぁ、それで山城さんに諭されて凹んでるって訳ですか」
「そんなつもりはなかったんだけど、おせっかいでしかなかったのかなぁって思うとねぇ」
青葉はいきなり訪ねて来た提督にお茶を出すと自分も卓袱台へと腰を下ろした。
提督は机に突っ伏し、うんうん唸る。
「青葉さんにもおせっかいだったのかなぁ」
「青葉ですか? うーん、そうかもしれないですねー」
「まじかー」
「青葉はもともとインタビューとか好きでしたし、きっと提督の許可とかなくっても勝手に新聞部を作ってたかもしれないです」
机に額をつける提督を見ていると笑みが湧く。
「青葉たちは、もともと戦う事を目的として生まれてきましたから。
戦場に出て、沈むかもしれないのに趣味なんて持ってどうするんだって考えている子は結構居ます」
あるいは天龍の様に戦いそのものを娯楽として捉えている場合もある。
「だから、急に『やりたいこと』なんて言われても思い付かない人もいるんじゃないでしょうか」
「そういう事もあるのか」
「難しい事を難しいまま考えようとするからこんがらがるんですよ、仕事の事でもないならもっと気楽に構えてればいいんじゃないでしょーか」
「気楽にねぇ、難しくなくて出来る様なことっていうと何かある?」
「いやーそれは青葉に聞かれてもお力になれないですねぇ」
でも、と落ち込む提督の頭を撫で回す。
「提督が、青葉に新聞部を作らせてくれたのは本当に嬉しかったんですよ? 戦う事以外にも考えていいんだ、って思えたから今は凄く楽しいんです」
「えぇ〜、本当にござるかぁ〜? うぶっ」
「生意気ですねぇ戦後生まれのくせに、うりゃりゃりゃりゃーーー」
「うわわわわ。
そんなジャガーマンみたいな声をってやめろやめろ」
「にっししし、提督からすれば青葉達はみんなおばあちゃんみたいなものですから無理して気を使おうとしなくてもいいんですよ。
むしろ提督が青葉達を頼るくらいじゃないとこれからもっと大変になっちゃいますから」
「そーいうもんかなぁ」
「そーいうもんですよー」
まだ納得しきれていない様子の提督を見ながらお茶をすする。
何故かは分からないが、この提督は艦娘について少し心配しすぎなきらいがあるようだ。
(生まれたばっかの子供じゃないんだから少し過保護かもだけど、『人嫌い』の子達と上手くいけばいいなぁ)
まぁこの提督なら大丈夫だろう、と根拠は無いがそう思えるのはこの上司の持つ不思議な雰囲気のせいだろうか。
「そしたらさー青葉さん、早速お願いがあるんですけれど」
「はいさー、なんでしょう?」
『提督ぅあ!! ここに隠れてんのは分かってんのよ! あんたよくも午後の執務全部すっぽかしてくれやがったわね!?』
「むっちゃ切れてるうちのかわいい秘書艦を鎮めてもらえません?」
「あー、そりゃ無理なご相談ってやつですよ。
大人しく締め上げられてください」
ドゴメキャァと自分の部屋のドアが弾け飛ぶ様を眺めながら、修理のお願いは誰にすればいいのか考える青葉だった。
艦娘は、ホムンクルスとして上質な鋳型を使用しているためじゅみょうは30年ほどあります。
さらに高速修復材などで細胞レベルの傷や劣化まで修復出来るので実際の稼働時間はもっと伸びます。