ゲームの設定よりも少しだけ年を重ねたカルデアのマスター。
新たな提督として鎮守府に着任する。
「はじめまして、藤丸立香です。今日から提督として着任する事になりました」
よろしくお願いします、と頭を下げるとまばらな拍手が返ってくる。
先程、藤丸に槍を向けた少女の他に3名がその発生源だ。
「大淀と申します、主に事務処理を行っています」
「間宮です、みなさんの食事や健康を管理させていただいてます」
「明石でーっす。艤装のメンテから開発まで聞いてくれればお答えしますよー」
最後に、4人分の視線が銀髪の少女に集まる。
彼女の頭部やや上に浮かぶ機械が居心地悪そうにピコピコと動いたあと、諦めたように語り出した。
「駆逐艦、叢雲よ。一応、初期艦として今の鎮守府をまとめさせてもらっているわ」
「駆逐艦?」
「あんた、そんな事も知らないで提督やろうと思ってたの?」
「いやぁ、お恥ずかしい」
聞けば、駆逐艦と言うのは艦娘と呼ばれる彼女たちの中でも戦艦などに比べて小回りが効き燃費も良い艦種の事を言うらしい。
(実際は異なるらしいが、とりあえずその認識で良いと叢雲に言われた)
「それじゃ、初期艦って言うのは?」
「提督の着任と一緒に大本営から派遣される駆逐艦の事よ」
「あれ? でも、俺が来るよりも早く叢雲さんが着任してたって言いましたような、ヒィッ!?」
にっこりと、最高の笑顔をした叢雲に思わず短く息を呑む。
経験上、こう言う笑顔をした女性はプッチンと切れていてしかも怒らせてはいけない人ほどこの傾向がある事を理解していたから。
「あんたの着任が3ヶ月も遅れたせいでしょうがぁぁぁーーーーー!!」
「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁ! ごめんなさーーーーい!!」
胸ぐらを掴まんとばかりの叢雲を眼鏡を掛けた長髪の艦娘、大淀が嗜める。
「落ち着いて下さい、叢雲さん。提督をあまり責めないであげて下さい」
「いえ、別に責めるつもりなんかないですけど」
「なら良かったです。叢雲さんが泣きながら提督が来るまではなんとかするんだって、頑張ってくれてましたから」
「ちょっと!? あたしはべそなんかかいてなわよ!!」
大淀はクスクスと一通り笑ったあと脇に抱えていた書類の束を差し出した。
「ここに鎮守府の運営に必要な書類と敷地内の地図があります。目を通しておいていただけますか?」
「はい、ありがとうございます」
「困った事がありましたらここにいる艦娘に聞いて下さい、大体の事でしたら答えられますから」
「あの、では。俺の机がみかん箱なのは何故でしょうか?」
そう聞くと大淀は困ったように微笑み答えた。
「なんでも、新米提督は全てその机から始められるそうです」
海軍のやることってよくわかんない、藤丸の海軍に対する評価に『謎』という項目が追加された瞬間だった。
鎮守府データ
執務室:みかん箱
在籍艦娘
叢雲、大淀、明石、間宮