病弱な提督と過保護な艦娘達   作:ゆ~だい

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どうも宴大好きです!

前回の感想からアドバイスをいただき、それを意識しながら今回は書きました!

今回、キャラの視点変更もやってみました。

どうぞ♪


木曾の叫び

ー提督sideー

 

 

「いい天気だなぁ」

 

 

 晴れ渡る空。暖かな日差し。さざ波の音。

 

 俺は今、泊地から少し離れた浜辺に来ていた。

 

 ちなみに、今日は休日である。

 

 浜辺にいるのには、朝目が覚め、せっかくの休日をどう過ごそうかと執務室で考えていたのだが、特にやることがないので、とりあえずここに来ようと思ったからである。

 

 来る途中に、他の艦娘達からいろんな誘いを受けていたのだが、また今度、という理由で断った。

 皆残念そうな顔をしていたが、そこは俺の身を案じてか、渋々分かってもらえた。

 

 けど、俺自身もせっかくの誘いを、体があまり良くないせいで断ってしまったことに、申し訳ないと思った。

 

「皆、今頃楽しんでるんだろうな…」

 

 思えば、生まれてから存分に体を動かせたことがなかった気がする。

 

 体に力を入れるだけで、目眩や立ち眩みにおそわれ、少しでも走ろうものなら、吐き気や発作で動けなくなり、昔からそんな状態が続いていた。

 

 大人になった今では、昔と比べれば多少マシにはなった方だが、それでも、充分と言えるほどではない。

 

「どういう感じなんだろうなぁ…」

 

 子供の頃、周りの皆はお互いにグループを作り、サッカーやバスケなどの遊びをしている時、俺はいつも脇でその様子を眺めているだけだった。

 授業中の時間も、いつも決まって隅の方で、その光景を眺めているだけだった。

 最初の方は、担当の先生も「その内良くなるから大丈夫」と言っていたが、時が経つにつれ「また掃除お願いね」などの雑用ばかりやらされている事が、当たり前のような感じになっていたのを覚えている。

 

 そんな昔の事を思い出しながら、今楽しく遊んだりしているであろう、彼女達のことを考えると、少しだけ羨ましいと感じた。

 

「…………」

 

 先ほどから聞こえてくるさざ波の音が、どこか切なく思える。

 

 そんな感情に一人で浸っていると…

 

 

 

 

 

「提督」

 

 

 

 

 

 後ろから俺を呼ぶ声が聞こえた。

 

 振り返り見ると…

 

 

 

 

 

「木曾…」

 

 

 

 

 

 そこには木曾が立っていた。

 

 

 彼女は、球磨型5番艦の重雷装巡洋艦、木曾。

 

 水色のラインが入ったセーラー服を着用し、その上から、黒いマントを着けている。

 

 そして、何よりも右目にある眼帯が特徴の艦娘だ。

 

 ちなみに、俺のエース艦隊の切り込み隊長でもあり、頼りになる男勝りな艦娘だ。

 

「どうしてここに?」

 

 聞くとどうやら、先程の俺が皆からの誘いを受けているのを、偶々見かけていたようだ。

 その後、誘いを断って何処に行こうとしているのか気になり、ついて来たようだった。

 

「隣、邪魔するぞ?」

 

 そう言い、俺の隣までくる。

 

 すると、ここで一人で何をしていたのかを聞かれる。

 

 俺は、別に何もしてないよ?と言うと、木曾は…

 

「そのわりには、随分思い込んでいたように見えたがな」

 

 と、返し、俺は少し驚いた。

 

「…いつから居たの?」

 

 と、聞くと…

 

「お前が、いい天気だなぁ…って、言ってた時からだな」

 

 と、言って、俺はさらに驚いた。

 

 つまり、木曾は俺が浜辺に来たときから、ずっと一緒に居たという事になる。

 

 何故出てこなかった、と聞くと、本人いわく、声をかけようとしたところ、急に俺が思い込んだ様子をしたから、かけ損なったようだ。

 

「…言えない事なのか?」

 

 木曾が俺の顔を見ながら聞いてくる。

 

 その表情は、半分気にしてくれているけれど、半分言え、と言っているような表情だった。

 

 俺は、大した事じゃないよ…と、言いながら、先程まで思っていた事を木曾に話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…そうだったのか」

 

 俺が思っていた事を全部聞いた木曾は、海の方を静かに見つめながら、そう呟いた。

 

 つまらない昔話だったろ?と聞くと、そんな事はない、と木曾は首を少し横に振りながら言ってくれた。

 …正直、提督の俺が、こんな暗くなるような話をしてどうする、と内心思っていた。

 

 けど、そんな俺の話を最後までしっかり聞いてくれた木曾には、少しだけ感謝の気持ちもあった。

 

「…今はどうだ?」

 

 そう聞かれて、俺は少し考える。

 

 

 今…か、昔と比べれば良くなったんじゃないかな?提督を始めてから、それまで他の人と関係を持つという事が、ほとんど無かった身としては、木曾達のような部下を持てた事は、俺にとって、良い事だと思う。

 それに、皆からよく接してもらっているから、俺自身も嬉しいしな。

 

 …まぁ、少しだけあのスキンシップは控えてほしいが…。

 

「楽しいよ、それに、皆あんな感じだから、むしろ楽しくないってのが、おかしいくらいだよ」

 

 俺は、はっきりと木曾にそう言った。

 

「そうか…」フッ

 

 木曾は目を細め、微笑むように、そう言った。

 

 普段のキリッとした表情とは違い、また魅力的な表情に、俺は少しだけ、ドキッとした。

 

 

 その後、俺と木曾はちょっとした世間話を始めた。

 

 

「…そういえば、聞いたぞ、また倒れたんだってな」

 

 

 しばらく二人で話していると、木曾が急にそんな事を言ってきた。

 誰から聞いたのだろう?という、疑問とともに、話が広まるのが早いなと思いながら…

 

「正しくは、倒れそうになった…だけどな?」

 

 と言ったら、同じことだ…と、呆れながら返された。

 

 最近は、皆こういった感じで、接してくる事が多い気がする。

 原因は、勿論俺にあるのだが、さすがに似たような事を何度も繰り返していると、少々またか、と思ってしまう。

 

 …でも、やはり木曾も皆と同じで、俺のことを心配してくれているのだろう。

 

「すまん…分かってはいるんだけどな」

 

 俺は、微笑を浮かべながら、そう言った。

 

「分かってない」

 

 だが、それを聞いた木曾は、少し強めの口調でそう言った。

 

 その時の木曾は、何故か不機嫌そうな顔をしていた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー木曾sideー

 

 

 俺は今、無性にイラついていた。

 

 原因は、勿論提督(コイツ )のせいだ。

 

 提督は、もともと病弱なせいで体が良くなかった。

 ここに所属している艦娘は、その事を知った上で生活し、常に提督のことを気にかけていた。

 だからこそ、前に過労で倒れた時は、泊地全体で大騒ぎだった。

 提督が倒れた事で、皆どうしていいか分からず、ただ慌てふためくだけで、あまりのショックで、泣き出す者までいた程だった。

 

 それほど、皆提督の事を心配していたのだ。

 

 …なのに提督(コイツ)

 

 今回の件もそうだ。

 

 執務室での作業中に目眩に襲われ、意識を失いそうになったところを、その日の秘書艦であった加古に介抱された。

 加古が居てくれたから良かったものの、もし提督一人だけだったら、今頃、またあの時の二の舞になっていたかもしれない。

 

 そう心配しているのに、そんな事を言う提督に、俺は苛立ちを覚えていた。

 

「それに、今日の付き添いはどうした?」

 

 前に提督が過労で倒れた後、今後の提督の事で会議を行った。

 会議の末、提督に付き人をつける、という結果になった。

 具体的にどういう事かというと、執務作業以外の秘書艦が居ない時は、一人付き添いをつけて、提督の様子を見る、というものだ。

 今日の担当は、初月だったはずだが、その姿が見えない。

 

 提督の様子を見るに、どうやら本人には何も言わず、黙ってこの浜辺に来たようだった。

 

 それだけで俺はさらに苛立ちを覚え、自分の拳を固く握りしめていた。

 

「お前はもっと自分のことを気にするべきだ」

 

 提督(コイツ)が優しい奴ということは分かる。

 病弱なくせに、いつも周りの奴の気遣いばかりして、自分のことはあまり気にしない。

 だからこそ、俺達を頼ってほしいと言っているのに、提督(コイツ)はいつも「大丈夫」の一言だけ…。

 

 なぜ、初月に黙って来たかを聞く。

 

「休日くらいは、ゆっくり過ごしてほしいからな…」

 

 

 俺はもう我慢の限界だった。

 

 

 気づくと俺は提督の胸ぐらを掴み、叫んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その気遣いが皆を心配させている事に何故気づかないんだ!!?!お前は!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 提督は驚愕しながら、俺のことを見つめていた。

 

「俺達はそんなにも頼りないのか!?信じられないのか!?いつもいつも!俺達よりも体が弱いくせに他人の気遣いばかりしやがって!!少しは自分の心配をしろよ!!」

 

 気にせず、俺は叫び続ける。

 

「どうして…!俺達がお前を頼るようにお前は俺達を頼ろうとしない!?自分が提督だからか?俺達を率いる(おさ)だからか!?それも気遣いだからか!?関係ねぇんだよ!!そんなモンはよぉ!!!」

 

 言い終わったときには、俺は肩で息をするくらいに叫んでいたようだ。

 

「ハァ、ハァ…!お前は…!俺達の誇りなんだ…っ!そんな奴が、こんな事で…!こんな、事で…っ!」

 

 俺は今まで溜め込んでいた鬱憤(うっぷん)を、全部ブチまけてやった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー提督sideー

 

 

 俺は今、正直かなり驚いていた。

 

 まさか、木曾があんなにも感情的になるなんて、思ってもいなかったからだ。

 

「…………」

 

 ……今まで、こんなにも俺の事を叱ってくれた人が居ただろうか?昔からいつもいつも、いろんな人に気にかけてもらっては「大丈夫」とだけ返し、それっきり…

 周りに迷惑をかけないよう、自分のことは、自分で済ませながら過ごしてきた。

 

「木曾…」

 

 けど、木曾は違った。

 

 いや、木曾だけじゃなかったんだ。

 

 この泊地に居る皆が、今の木曾と同じ気持ちだったんだ。

 その気持ちに、俺自身が気づいてやれなくて、今まで皆を心配させていたんだ。 

 

「……」

 

 木曾の表情は俯いていて分からない。

 

 だが、俺の手は自然と動き…

 

「……!」

 

 木曾の頭を撫でていた。

 

「ありがとうな、木曾…」ニコッ

 

 その言葉を聞いた木曾の顔は、少し赤く染まり、上目遣いで俺のことを見つめていた。

 

 …俺は、今まで勘違いをしていたようだ。

 それを、他の皆から散々言われ続けてきたのに気づかず、木曾のお陰で今日、ようやく気づく事ができた。

 

 

 俺の今のこの時間は…最高に幸せなものなんだな、と

 

 

「これからもよろしくな?」スッ

 

「当たり前だ、言ったろ?」スッ

 

 お互いに握った拳を突きだし、優しく触れる。

 

「お前に最高の勝利をくれてやるってな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー後日、俺は初月にあんな事をやられるとは、今の俺は知るよしもなかったー

 




今回は前回と比べると、少しは手応えがあった感じがしました!

これも、見てくださっている方々のおかげと思うと、次も頑張らくちゃ!と思います。

次は、本編でもあったとおりのキャラがでますので!

観覧ありがとうございました!
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