明日香結里の日記
△月△日
今日は軍に行って、また検査を受けた。
なんか“ねんどうりょく”がどーたらこーたらと軍の人が話してるのが聞こえたけど私にはわけがわからないよ!
あと軍に私と同じくらいの女の子がいて友達になった。
ラトゥーニって名前なんだけど、私は口が回らなくてちゃんと名前を言えなかった。そしたらラトちゃん呼びを許してくれた!
△月□日
お姉ちゃんが機体の操縦を教えてくれた。
あの事件の時はぶっつけ本番だったから、ちゃんと教えて貰うのは今回が初めて。
……最初に操縦知ったときは無我夢中だったし、しまいには途中でローちゃんが操縦奪ったりされたから一応これでちゃんと操縦できたことになるのかな。
あと、またお姉ちゃんとイングラムさんが喧嘩してた。
△月▼日
私のは一応軍属になったらしい。
昨日のお姉ちゃんとイングラムさんはそのことを話していたらしい。
それで私の上司がお姉ちゃんになった。
難しいこと考えず私はお姉ちゃんの部下になった……て認識で大丈夫だってローちゃんは言ってた。
△月◎日
お姉ちゃんの新曲の発売日
通常版、初回限定版、もちろん両方買った。
あとロボットアニメの曲だからかリュウセイさんもお姉ちゃんのCD買ってたのにばったり遭遇した。
話を聞いたら、最近お姉ちゃんの曲にはまったらしい。もう遅いよ!お姉ちゃんの魅力に気づくの!
今度家にある私が買い集めたCDを貸す約束した。
△月☆日
模擬戦をやった。
お姉ちゃんやローちゃんが色々フォローしてくれたけど、すぐに落とされた。
私が落とされた後、お姉ちゃんはイングラムさんを執拗に狙ってた。
△月◇日──
「ローちゃん……」
「どうしました。ユウリ」
「日記もう
「そうですか。頑張って続きを書いてください」
おねえちゃんを待つ間、待合室で頑張って記憶を引っ張り出しながら日記を書く。でもそれも限界になってきた。タブレットに移ってるローちゃんにギブアップの宣言をしたけどローちゃんは無情にも続きを要求してきた。
いや、毎日こまめに書いてなかった私も悪いと言えば悪いけど。そんなばっさり切り捨てる事はないと思う。
「日記は毎日寝る前に書いておきなさいとシオンにも言われていたでしょう」
「私、疲れたらすぐに寝ちゃうんだもん!日記なんて書いてる暇ないよ!この一週間私すごいハードスケジュール!!」
①ミラージュ(あの日降ってきたゲシュペンスト)が私しか使えない事が発覚。
↓
②敵のスパイじゃないかと疑いを掛けられる+しかも色々秘密知っちゃった私はものすごく扱いが難しい位置にいる。
↓
③軍属にして、監視をつけられる。
↓
④毎日毎日学校終わった後、軍に連行される。
↓
④検査、検査、訓練、検査、訓練とひたすら検査と訓練。
こんな日々が続いたら身体が持たないです。
「自分の筆無精を棚に上げないでください。そんなだから夏休みの最後の一週間いつもいつも泣きを見るんですよ」
「それは今は関係ないよね!」
夏休みの事を持ち出されるとは思わなかった!確かに最後の一週間はお姉ちゃんに泣き寝入りしてお姉ちゃんとローちゃんに助けて貰うけど!
「言っておきますが、今回は助けられませんからね。ここ一週間私はシオンと一緒にいてユウリの様子を把握できない時間がありましたから」
「ローちゃんの薄情者~!」
私はこんなに苦しんでるのに……なんて薄情なローちゃんなんだろう。本当に融通が利かないんだから。
「なんとでもいいなさい」
「情けない声だして、どうしたんだユウリ?」
「!リュウセイさん、ライさん、アヤさん!ちょうどいいところに!助けてください!」
リュウセイさんに声をかけられて顔をパアッと明るくして振り向く、そこにはリュウセイさんの他にライさんとアヤさんがいた。
グットタイミング!ちょうどいいや。助けてもらおう。
「助けてって……どうしたんだ?」
「日記を書くのを手伝ってください!ローちゃん、なんとしても今日までの日記埋めろってうるさいんです!」
そりゃ日記を書き忘れたのは悪いとは思っているけど……今日までのをすべて書くのは難しいと思う。
「別にいいじゃないか、ちょっとくらい日記書かなくても……」
「だめです。それを許したらユウリはずっと日記を書こうとしません」
「だから明日書くって言ってるよ!私嘘つかない!」
「それって絶対明日やらないパターンだろ」
「ちーがーいーまーすー!」
ひどいですリュウセイさん。そんな風に思うなんて見損なった!本当に明日は書こうと思ってるもん。
「違いますリュウセイ。ユウリは本当に明日は書こうとは思っているでしょう。ユウリは嘘はつきません」
「ローちゃん……」
私にひどいことを言ったリュウセイさんに対してローちゃんはそれは違うと言ってくれた。
ごめんね、ローちゃん薄情者なんて言って、ローちゃんは薄情者なんかじゃないローちゃんは立派な──
「ただ、宣言したことを100%忘れる問題しかない鳥頭なだけです」
──薄情者じゃなくて悪魔だった。
ひどくないかな、今の一言。返して、私のさっきの感動返して。
「そりゃ確かに色々と忘れることはあるけれど!!私そこまで鳥頭じゃ……ないと言い切れないけど!その言葉はないよローちゃん!」
「言い切れないのか……」
「私は嘘つかないんです!」
三人の呆れた目線がつらい。ローちゃんに怒られ、三人には呆れられ、私はものすごいいじけた。
私だって忘れたくて忘れる訳じゃないもん、いつの間にか忘れてるんだからしょうがないもん。そんなことローちゃんに言ったら怒られるから言わないけれど。
「ひどいです皆して……私はこんなに真剣なのに……」
「じゃあもう好きなとこ書けばいいんじゃないか?」
「……そうか、その手があった!」
机に突っ伏していじけてた私にリュウセイさんが救いの言葉をくれた。
リュウセイさんの言葉に天啓が走る。そうか、無理に書くことを考えるんじゃない。好きなことを書けばいいんだ!!
「それはもはや日記と呼べるのか?」
「まあ……それで今日までの日記が埋まるのであれば、75%は認めましょう」
「認めるんだ……」
よーし!ローちゃんの許可も貰ったし、好きなこと書くよ!!やっぱ私の好きなものは一つしかない!私が書くものなんて決まってる。
△月◇日
今日は私のお姉ちゃんを紹介するよ!!
お姉ちゃんの名前は明日香 紫苑!
私が物心つく前にお父さんとお母さんがいなくなって、私はお姉ちゃんに女手一つで育てられた。
軍人さんだけど、科学者さんでもあって、今を輝くトップアイドルでもあるの!
最初二つの仕事は話に聞いてただけで、一緒に仕事をしている今でも何をやってるのか分からないんだけど。
トップアイドルのお姉ちゃんはすごいんだよ!CD一杯売れるし!ライブ満席だし!ファンじゃない人もいるけど、お姉ちゃんを全く知らない人はいないんだから。
欠点といえば少し時間にルーズなところがあるところかな!私ほどじゃないけどよく待ち合わせ時間に少し遅れたりするよ!
でもとっても自慢なお姉ちゃんなの!
「日記というよりただのシオン博士の自慢だな」
「そりゃそうだよ。お姉ちゃんは私の自慢のお姉ちゃんだもん!」
お姉ちゃんの事ならこの本一冊あっても書き足りないね!
「リュウセイさんとライさんとアヤさんのことも書いてあげるね!今度また
「いや、ちゃんと毎日書けよ日記。何のための日記だよ」
リュウセイさんにの言葉にわたしは面を食らった。いや確かに本来日記は一気に書くものじゃなくて毎日書くものだけど。私にとってものすごい意外な人物に言われた。
リュウセイさんだってよくライさんやアヤさんやイングラムさんにレポートの提出を忘れて怒られてるのに……
「明日は槍でも降るのか」
「ライ、それはどう言う意味だよ」
リュウセイさんの言葉にショボーンとしてたら、ライさんが私の気持ちを代弁してくれた。うんうん、やっぱりそう思うよね。
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「ユウリ、待たせてごめんなさい。あら……皆、ユウリの相手をしてくれたのね」
「お姉ちゃーん!」
「遅いです、シオン」
そんなこんなでリュウセイさん達に日記書くの手伝って貰っていたらようやく待ち人が来てくれた。
遅いよお姉ちゃん。私いろんな辱めを受けたよ。(主に自分の筆無精が原因)
「三人とも準備で忙しいのにありがとう。聞いたわ、今度南極へ行くそうね」
「南極行くんですか!だったらシロクマの写真お願いします!」
リュウセイさん達の南極行きを聞いて、私はリュウセイさんにシロクマを撮ってきてもらうようにお願いした。
癒し、癒しが欲しい。シロクマ見て癒されたい。この際実物じゃなくてもいい。
「南極にシロクマ?」
「ユウリ。シロクマが生息しているのは北極です」
「南極に生息しているのはペンギンね」
「え……うそ……」
しかし、ローちゃんとお姉ちゃんにシロクマは南極にはいないと訂正された。……かなしい、シロクマ見たかった。
この忙しい日々の中で少しでも癒やしがほしかった。
ガーンと打ちひしがれながら机に突っ伏した。
「シロクマ……」
「そんなに落ち込まなくても……」
明日香結理の日記
△月●日
今日はついにローちゃんに私が日記を毎日書いてないのがバレた。
ローちゃんめっちゃ怒って今までのを今すぐ埋めろって無理難題言ってきた。
ほとんど何があったか忘れてたから日記を埋めるのすごく苦労した。
リュウセイさんからの天の救いがなかったらきっと私は今日の日記を書けなかった。
いやーリュウセイさんに感謝感激だね!
シロクマさんを見たかったけど、南極にはいなかったから。
代わりにペンギンさんを撮ってきてもらうようにお願いした。
最後に頼もしい友達を紹介するよ。
ローちゃん、お姉ちゃんからの誕生日プレゼント。私のお目付役。AI。
正式名称ロート・ケップヒェン。かわいくないし言いづらいから私はいつもローちゃんって呼んでる。
いつもは私かお姉ちゃんのペンダントや持ってるタブレットにいるんだけど。
お目付役の言葉の通り、私が忘れてることを代わりに覚えててくれたり、ミラージュ落下事件の時みたいに私が危なくなったら真っ先に助けてくれる。
ちょっとお姉ちゃんに甘いところがあるけど、私の大切な友達。
Y・A=Bの
世界を違えても、人の
魔神は怒り、風が吹く。
幕は切られた。彼らはもう止まらない。
立ち上がれ、鋼の戦士達。
立ち向かえ、鋼の勇者達。
我は