我等が女王に、跪け。 作:白蛆
ちょっと痩せました。
(更新出来なかったことへの言い訳中)
というわけで待望(笑)の本編開幕!
果たして、主人公は活躍することが出来るのか!?
目が醒めると、そこは知らない天井だった。
などということはなく、今現在俺の真上に広がるのは、高層マンションに匹敵するであろう、地球でも稀に見るほどの巨大な樹木と、その先に僅かに見える澄んだ青空のみであった。
なけなしの木漏れ日が地面を照らし、背の低い植物に辛うじて生存の権利を許している。
見渡す限り木々に覆われ、不粋な人工物など影も形も見当たらない。
自分が寝ているのもベットではなく、積み重なった落ち葉の上だ。
簡潔に述べるのならば、森の中にいるのである。
その時点で十分に異常な状況ではあるものの、既にそれ以上に異常な事態に出くわしている俺にとり、それはさほど衝撃を受けるものではなく、比較的すぐに冷静さを取り戻した。
そんな俺は、一先ずは周囲の様子を探ろうと、ゆっくりと身を起こす。周りの状況確認は必須。これを怠らなければ俺だって今こんな場所には居ないのだから。
しかし、そこで俺は、自分の体に違和感を感じる。
と言っても、これで自分の体が人間じゃ無くなっていたとか、そういうオチではない。
五体満足だし、四肢はしっかりと人間の感覚そのままである。
だが、明らかにその感覚は前世のそれとは異なる。
それはまるで、流動性のあるネバネバした"何か"によって全身が覆われているかのように、動作が重苦しかったのである。
いや、「まるで」ではない。実際に自分の体を見てみると、世界一黒いと言われているベンタブラックを彷彿とさせる黒をベースに、淡く発光する赤と紫の禍々しいマーブル模様が絶えず形を変えて流動し続ける、触ったらその瞬間生命力を吸われそうな謎の粘液に覆われていたのだ。
「ナんだ
直視しているだけで精神を病みそうな物質を、自分が全身に纏っているという事実に、俺は驚愕の声を上げ、戸惑う。
祟り神だって戦慄しそうな禍々しさなのだ、仕方がないであろう。
だが、その瞬間、俺の頭の奥からズキリと貫ぬくような痛みが走った事により、その驚愕は半ば強制的に停止させられる。
《解。סמאלの所有する転生特典、『黒の法衣』です。》
刹那の頭痛の直後、俺の頭の中にそんな情報が流れ込んできた。
声にも似て、しかし声とは明らかに異なるそれは、あの『黒』の世界で聞いたものと類似していた。
俺の転生特典……?
そういえばあの声がそんな事を言っていた。確か『黒の法衣』は神を祀る者の装いであり、神を復活させるための四つの能力を成長させるために必要な能力だと。
まさかこんなブツだとは思っていなかったが、確かによく考えれば、こんな物を纏っているのに自分は苦痛など欠片も感じていない。寧ろ包み込むような安心感がある。
しかし、この頭の中に流れ込んできた情報みたいなものは一体なんなのだろうか?
そう考えた瞬間、俺の頭を再び頭痛が襲った。連続で発生したせいか先程よりも頭痛が激しい。
そして、先程と同じように、俺の頭に情報がインプットされる。
《解。本機能は名を『禁書』といいます。סמאלの持つ転生特典の一つです。》
……なるほど、そういえば神の復活に必要な能力の内『禁書』だけは最初から使えるみたいなことを言っていたな。これは質問に答えてくれる能力なのだろう。
とすると、まず最初はこの『禁書』先生に色々と質問をして情報収集をするべきだな。例えば……俺の転生特典は何がある?とか。
《解。סמאלの有する転生特典は『咎人』、『六道輪廻』、『人権』、『禁書』、『黒の法衣』、『深淵』の六つになります。この内現在能力として機能しているのは『禁書』、『黒の法衣』、『深淵』の三つになります。それぞれの能力の詳細説明に入りますか?YES/NO》
やはりナビゲーションを担う物なのか……。まあ、右も左も分からない世界だ、これはありがたい。
取り敢えず、YESだ。
《解。データをインストールしています。……now loading……一部のデータのインストールに失敗しました。表示します。
『咎人』※神の裁き。
『六道輪廻』※神の理。
『人権』※神の権力。
『禁書』※神の知識。万物を記す禁忌なる古書。
『黒の法衣』※神を祀る者が儀式に用いるとされる装い。倒錯せよ。狂信せよ。崇拝せよ。
『深淵』※神への奉納。虚無の深淵に底は無く、ただ変わらず静かに此方を見つめ続ける。》
どうやら不完全だが情報を得ることに成功したらしい。残念ながらわからないことだらけだが。
じゃあ次は、今の俺の現在地についてだ。これがわからなければ人探しなどできようはずもない。
《解。『女王領域』と称される特殊な環境が広がる絶海の孤島。災害名、『成長』のスフィア・ルフネによって作られ、彼女の力の糧となるために作られた非常に厳しい生態系が構築されている。『星焔の蠱毒の壺』。全ての存在が修羅種であり、成長することを強いられ、強くならなければ存在の権利は得られない。そして、強くなった一握りの生存者は、女王の餌として喰われる宿命にある。ただし、女王は気まぐれなので喰われないこともある。》
……は?
絶海の孤島?作られた環境?
蠱毒の壺って…百蟲を壺の中に入れて、共食いをさせて生き残った奴を神獣にするとかそういう儀式だよな……?
というか、スフィア・ルフネってなんなんだよ。
そう思った瞬間、情報が流れ込んでくると共に、俺の頭は割れて弾けそうなぐらいの激しい頭痛に襲われた。それこそ、死の瞬間に匹敵するような……。
《解。……一部情報の取得に失敗しました。
※開闢龍スフィア・ルフネ(※※ ※※)
始祖飛龍神種・分類不能
災害名『成長、進化』
世界級モンスター
リオレイアから進化した世界最強の生命体。成長と進化を体現せし存在であり、宇宙規模の大災害を引き起こしかねない怪物。
数多の修羅種の巣食う『女王領域』を生み出した張本人。もとい張本龍。究極破壊の体現。あらゆる攻撃に揺るがず、あらゆる防御をも破壊する。圧倒的な力を持ち、万物にして抗うことは出来ない。
また、※龍(月※ ※※)の実※妹であり転※者。生と※の神テオ※・※ェルト※によって転※されて※り、※生特※は与え※れて※ない。
また、※生者で※ある姫巫※エク※リ※(※※ ※音)とは前※からの※友であり、こ※に害成す存在※は女王の※槌※下るこ※であろ※。》
なんだこれ……?
書いてある内容がおかしすぎるが、まあ、神話などではありがちな誇張表現である気もするので、取り敢えずは置いておくとして……、
情報の…特に後半部分が、虫食いのように途切れている。
ひょっとして『禁書』を成長させなければこの部分は見えないのだろうか?
《然り。》
どうやらそうらしいな。
じゃあ、とっとと成長させなくちゃな。
なんだか理由はよくわからないが、そう思った。
……限りなく最速で、能力を成長させなくては、と。
『禁書』の力は……
それはもうとんでもないダメなヤツです。
失礼、『禁書』の力も、でした。
それではまた。