ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~ 作:疾風海軍陸戦隊
「義君・・・・・・もう隠さないでいいよ・・・・私知ってるんだから」
「な・・・・なにを?」
「義君が肺を病んでいること・・・・・そしてその病気で感覚がないって・・・・・」
「っ!?」
みほの言葉に義弘は紙コップを落とす
「なんで・・・・・みほが…そんなことを」
動揺する義弘にみほは
「ロスマン先生とエリカさんから聞いたの・・・・・義君がずっと肺の病気を・・・・肺血病を隠していたことを・・・・そして肺血病の症状で感覚がなくなっているかもって・・・・・・」
「先生が・・・」
「うん・・・・でも先生が言う前に私、義君が何か隠しているのは気づいていたの・・・・もしかしたら黒森峰を去ったのも本当はそれじゃないかって・・・・・」
その言葉に義弘は下を向き、そして・・・・
「くっ、ははははは……」
義弘は力無く笑う。
「なんで・・・なんで何でバレちまったかなぁ・・・・」
「義君・・・・じゃあ、本当に・・・」
「ああ・・・・そうだよ・・・・みほ」
義弘はみほの顔を見る
「ずっと隠し切れないものだな・・・・・やっぱりバレるときはバレちゃうんだから・・・・・」
「義君・・・・いつからなの?もしかして・・・」
「ああ・・・・みほの予想通りだよ。病が発症したのは三年前・・・・黒森峰を去った本当の理由もそれだよ・・・・」
「感覚が無くなったのは・・・・・」
「アンツィオ戦の時だよ……あの宴会の時だ」
「そんな前から……!?」
「ああ・・・・あの時、食べたパスタの味が分からなくなってたんだ。最初は薄味かなと思って、唐辛子パウダーをかけてみたんだが、何の味もしなかった。味覚が麻痺してたんだ。でもそれも、次の日には治ってたけどな・・・・それだけじゃない 覚えてるか? あの時、大野が俺に香辛料を取ってくれって頼んでいたろ?」
義弘の言葉にみほは頷く
「大野は複数ある香辛料の内の一つ、赤いのを頼んだ。どれがどれだなんて、色を見れば一目瞭然だ。でも……俺は渡せなかった。急に視界が眩んだかと思ったら、次の瞬間には色が分からなくなっていた。何もかも白黒。世界がモノクロに見えたんだよ」
「色が・・・?」
「その時は、10秒くらいで正常に戻った。でもその日以降、朝昼夜関係なしに1日にランダムで数回、色のわからなくなる時間が出来た」
「(そんな・・・色覚に異常が・・・・)」
「しまいには痛覚麻痺だよ・・・・・プラウダ戦での殴り込みの時、俺は石が頭に直撃したにもかかわらず何にも感じなかった・・・・・ 何も感じなくなっていた。痛みさえも・・・・ハハ・・・」
「義君・・・・」
「変な病気だよ・・・・・肺血病ってやつはただ肺が痛くなって血を吐くだけじゃない・・・・・色覚も・・・・味覚も・・・・痛覚も何もかも奪っちまうんだからさ……今までは永琳先生がくれた薬で症状を押さえていたけど、今の俺にはもうそれも利かなくなっちまったよ・・・・・まあ、これもみんなに内緒にして騙していた罰だと思うさ」
「・・・・何でそんなこと言うの?」
「・・・みほ?」
下を俯いていたみほが俺の顔を見る。その目は涙が溢れていた
「なんでそんな平然としたことを言うの義君!何で・・・何で義君…一言相談してくれなかったの・・・・・なんで・・・・」
「言えるわけないだろ・・・・・みほ。もしお前だったらどうする?武部や秋山たちに言えるのか?」
「・・・・・それは」
「そう言うことだよ。余計な気を使われたく無かったからだ。言ってどうこうなるわけでも無いからな。同情も悲しい顔もされたくない。気安い憐れみなんざ、侮辱と同じだ。同情されるくらいなら、いっそ嫌われた方がマシ・・・・そんな風に見られるくらいなら一生自分の内に秘め墓場まで持っていくだけだ」
「義君は・・・・それで本当にいいの?」
「いい・・・・といえば嘘になるかもしれないな・・・・俺だって本当はもう少しだけ生きたいよ・・・・だが時間がなさすぎる」
「義君・・・・・」
「すまないな・・・・・みほ。ずっと黙ってて・・・・お前を騙して・・・・・・でも俺はどうしても言いたくなかった。お前が泣く姿なんて見たくなかったから」
「泣くに決まってるよ!」
「みほ・・・・」
「義君は私にとって・・・・・私にとって・・・それにそれじゃあ、義君が救われないよ!義君が何でそんな病気に罹らなければならないの!何で義君が苦しまなきゃいけないの!義君が何をしたの・・・・」
みほは義弘の胸に顔をうずめ、声を上げてひたすら泣き続け彼に胸を叩くみほ。胸の中で泣いているみほの事を見ながら義弘は
「(本当に俺はバカ者だな・・・・)」
みほは泣き止まず、彼の服を涙で濡らし続ける。
だけど義弘は
「(みほを泣かせておいて俺は彼女の涙を拭く事も、彼女を抱きしめる事さえも出来ない。もう自分に、そんな資格はない・・・・ずっと彼女を騙してきたんだから・・・・)」
もう……空の色も、誰かの温もりもわからない
殴られる痛みも、肌が触れ合う感触もわからない
自分が生きているのか、死んでいるのかさえもわからない
でも、この時……。泣いているみほの顔を見た時…………
胸の奥が・・・、痛かった
そんな気がした
そんな初めて彼は後悔の念を感じたのだった。
「ごめんね義君‥‥服濡らしちゃって」
「謝ることはないよ‥・・むしろ謝らなきゃいけないのは俺の方だ」
日も暮れ、景色が暗くなり、義弘とみほは学園艦へと戻り、寮へと歩いていた
「義君・・・・決勝戦は」
「言っておくが隊長命令でも俺は拒否するよ・・・・みほ。わがまま言うようだけど最後まで戦わせてくれ・・・・」
「でも・・・・それで義君に何かあったら・・・」
義弘の言葉にみほは俯く。知っていた。彼がそんなことで止まる人じゃないことを・・・・だれにも止められないことも・・・・
「そう、悲しい顔するみほ。まだ死ぬと決まったわけじゃないよ・・・・」
「でも・・・」
「咳と感覚障害はあるがこうして普通に歩けるし話せる・・・・・問題ないよ…あと一試合ぐらいは持つと思うから」
「そう言われると試合に出てほしくないな?」
「冗談だ。冗談。来年もみほたちと戦車道したいしな・・・・・まあその前に病気直すため療養しないといけないけど・・・・」
「その方がいいよ・・・・・私も無理して苦しむ義君の姿見たくないから・・・」
「そうか・・・・・」
そう話しながら二人は、寮へとたどり着き、ドアの前に二人は立ち
「・・・・・義君。最後はこんな感じになっちゃたけど・・・・・楽しかった。中学の時、一緒にお出かけしたあの頃のように・・・」
「みほ・・・」
「だから義君‥・・・・絶対に・・・・死なないでね」
「・・・・ああ・・・おれも死ぬつもりはないよ。最後まで抵抗してやる・・・・ボコのようにな」
不適の笑みで言う義弘にみほは
「うん・・・・」
みほはそう返事をし、二人はたがいの部屋へと入るのであった。
その後、義弘は学校で戦車道のみんなに自分の病を打ち明け、黒森峰戦を最後に引退すると言ったのはその翌日のことであった
義弘は生存させる?
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生存しない
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生存させる
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生存するが長くは持たない
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死ぬが転生する
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どっちでもいい