ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~ 作:疾風海軍陸戦隊
自分がこの大洗に来てから、一年半過ぎようとしている。
ここに来たときは、戦車道をしないという約束の元日本への帰還を先生に約束し、そして来たのが大洗だった。
ドイツ風だった黒森峰とは違いここは日本って感じだった。
あ、いや黒森峰も日本の高校なんだけどな。なんていうか…そうどことなく落ち着く感じがした。
そしてそんな学園艦に学生や教員だけでなく、その親族や、この学園艦という一つの町でいろんな人が住んでいる
だからだろうか…川辺にある桜の木を見て立ち止まってしまったのは
「・・・・・・」
決勝戦に負ければ大洗学園は廃校。そうなれば、この学園艦を維持する必要もないので解体されるだろう。
そうなればこの桜たちも無くなってしまうのだろうか・・・・・
熊本にあった桜も好きだが、俺はこの大洗学園艦にある桜たちも好きだ。その桜がなくなるのは少し寂しいもんだ
「(いやいや何を考えてるんだ俺は・・・・・)」
まだ負け戦と決まったわけじゃない。勝算は低いが決してゼロではない。ほんの数パーセント勝ち目があるなら、俺はとことんやる。それが俺のやり方だ
「ごほっ!ごほっ!ごほっ!」
急に心臓と肺が締め付けられるような痛みと咳が出る。永琳先生に新しい薬はもらったが多分もうほとんど効果がなさそうだ
「(諦めたわけじゃない‥・・・諦めたわけじゃないんだがな・・・・)」
諦めたわけじゃない・・・・そう思ってはいるが、やはり少し忍びない・・・・残された時間は本当に短いのかもしれないな・・・・だが、もしタイムリミットが近いのならば、せめて決勝を終えてからにしてほしい
そう思った。
「はぁ‥‥何考えてるんだよ俺は・・・・・」
小さく独白する俺。するとはらりと自分の髪が肩にかかる
「そういえば切ってから結構立ってるな・・・・」
俺は肩にかかっている髪の毛をつまんでそういう。俺って小さいころから人より髪の毛が伸びるのが早いんだよな・・・・・サンダース前では短く切ってもらったのに、今はもう背中まで伸びている。
カーブミラーで自分の姿を見ると
「これじゃ、エリカと見分けつかないな・・・・・」
今の俺の髪形はエリカみたいなウルフヘアみたいになっていた
「そういや・・・・黒森峰時代。この髪型でみんな、俺とエリカを「ロボとブランカだ」だなんて揶揄われたことがあったな・・・・俺はオオカミ王じゃないんだがな」
と、少し昔を思い出しながら歩く
「決勝戦前出し‥・・・切るか」
そう呟き、俺はあるところへと向かうのだった
「こんちわ~~」
「あ!武藤殿!!」
店の中に入るとそこには秋山がいた。そうここは秋山の実家の床屋だ。
「髪を切りに来たのですか?」
「ああ・・・・おじさんはいないの?」
「ああはい。今日は父も母も出かけてまして」
「そうか・・・・・今日不在か」
俺が少し残念そうに言うと
「あの、でしたら私が切りましょうか?」
「え?切れるの?」
「これでも理容師の娘です!それに父や母がしているのを小さい時から見てましたので!」
「じゃあ、お願いしようかな?」
「はい!お任せください!」
と、ビシッ!と敬礼をする秋山。そして俺は席へと案内され座ると
「それで武藤殿はどんな髪型にしますか?」
「そうだな・・・・」
俺が考えてると
「あ、ではこんなのどうですか?」
と、秋山は何枚かの写真を見せる。それは・・・・
「秋山・・・・これは?」
「はい!私が考案した髪型に戦車をモチーフにしてカットする戦車ヘアです!!私のお勧めは7TP双砲型カットです!」
自信満々に言う秋山。そう写真に写っていたのは戦車の写真。つまみ髪型を戦車の形にするかなり斬新な髪型だった
「・・・・・・」
「さあ!どれにします?」
「・・・・秋山」
「はい?」
「これ、戦車の中じゃ、かさばって邪魔じゃない?特に砲身の髪とか引っかかるぞ?」
「あっ!そ、そうでした!すみません私としたことがそこまで考えていませんでした!」
他の人が見たら『突っ込むところはそこじゃない』と言いそうなセリフなのだが・・・・
「これは改良の余地がありそうです」
「ああ…この髪型はまた次の機会に頼む。じゃあ・・・・とりあえず首筋まで短く切ってもらおうかな?髪型は・・・・まあ、秋山に任せるよ」
「はい!お任せください!」
そういうと秋山はエプロンをつけ、俺にも切った髪がかからないようにエプロンをかけると、手慣れた手つきで水の入ったスプレーを俺の髪にかけ、そして、ハサミで髪を切り始める
「武藤殿、意外と素直な髪質ですね、私は癖っ毛がひどいので羨ましいです」
「そうか?別に手入れとかしていないけどな」
会話しながらも秋山は丁寧に髪を切る
「上手いな」
「はい。先ほども言ったように小さい時からお父さんの仕事を見てましたから、少しは自信があるんですよ」
「秋山は将来、親父さんみたいに理容師を目指したりするのか?」
「…どうでしょうね?父の技術は受け継ぎたいと思いますけど、戦車道はもちろん続けていきたいですし、そうでなくても戦車に関わっていたいとも思いますから」
「まぁ、そりゃそうか…」
まだ高校二年。急に将来と言ってもピンとこないのは当然だろう。
「武藤殿は将来、何かしたい事はあるんですか?」
「そうだな・・・・・」
俺は考えた。そして
「そうだな・・・・もしまだ生きていたら、その時はやはり戦車乗り・・・戦車道関連かな?まあ、はっきりした計画はねえけど」
もし肺血病が治りったら、やはり俺は戦車乗りだろうな・・・もちろん簡単な道じゃないことは分かっている
「できますよ・・・・武藤殿なら。ですから無理せず早く治してくださいね」
「ああ・・・こんな道半ばで死ぬわけにはいかないからな」
と軽く笑い返事する
「・・・・・」
だが秋山は軽く笑う武藤に対し悲しげな表情だった
「そういえば、武藤殿が初めてでしたね・・・・高校一年の時初めて声をかけてくれたのは」
「ああ…そうだったな」
秋山の言葉に俺はふっと昔を思い出す。あれは去年。ドイツから日本に来たばかり、大洗学園に入学して一週間ぐらいだったと思う。
俺は誰とも馴染めずに窓の外をぼーと見ていた。
だが、ぼ~とするのにも飽きて、俺は席を立つ。
「・・・・ん?」
すると、俺はあるものに目が留まった。それは一人の女子生徒が一人ぽつんと席に座り、戦車の本を読んでいた
「(ん?あの本は・・・・・)」
俺は興味本位で彼女に近づいた
「あの・・・ちょっといいか?」
「は、はい!?な、なんでしょうか?」
俺に声を掛けられ驚いた表情をする彼女
「その本。ヴィットマン伝記か?戦車が好きなのか?」
「は、はいそうです」
彼女は読んでいたのは有名な戦車乗りの本だった。そしてよく見ると筆箱とかカバンにも戦車のキーホルダーがつけてあったので戦車が好きかどうか聞くと彼女はうなずく
そうこれが秋山との出会いだった。その後、戦車について意気投合し、今では一緒に弁当を食べながら戦車について語る友人という間柄になっていったんだよな‥‥
「今思えば懐かしいな・・・・・」
「はい。あの頃も楽しかったです…そしてこれからも」
そう二人は思い出に二人ながら語る
「はい。武藤殿。できましたよ」
カットが終わったのか、秋山は俺に声をかける。俺は鏡を見ると髪は首筋まで短く切られ、少しウルフさが残っている。まるでどこぞの黒の剣士のようだった
「どうでしょうか・・・・」
「ああ!すごくいいよ!」
「アヘへ・・・・武藤殿に褒められました~」
俺の言葉に秋山は嬉しそうに頭をもしゃもしゃする。実際秋山の切った髪型はとてもいい、なんというか結構気に入った
「これからは髪が伸びたら秋山に切ってもらおうかな~」
「ふぇ!?」
俺が小さくつぶやいたのが聞こえたのか、秋山は軽く驚き、そしてなぜか急に顔を赤らめた
「ン?どうした秋山?」
「え?あ!なんでもありません!というより今の言葉の意味は・・・その」
「ん?」
「ああ!!いやいや、やっぱり何でもありません!」
と、あたふたしながら言う秋山に武藤は首を傾げた
「まあ、いいか。それで散発の代金。いくらだ?」
「ああ、そうでしたね。お代は・・・・」
そう言い俺は秋山に代金を支払う
「じゃ、また学校で」
「あ・・はい…あの武藤殿。また髪が伸びたら、店に来てくださいね!今度こそ戦車の中でも問題のない戦車ヘアにして見せます!」
「あはは・・・・その時よろしく頼むよ」
俺はそういい店を後にしようとするが、ふっと秋山と目が合ったその目はどことなく寂しそうな眼だった
もしかしたらこれが最後の来店になるかもしれないと思ったのだろうか?
それとも・・・・
「なあ、秋山・・・・今暇か?」
「はい。今後の予定はありません」
彼女の返事に俺はニッと笑い
「一年の時にやった戦車ごっこ。久しぶりにやるか?」
「! あ、…はい!やりましょう!では二階に上がってください!」
「おう、こんどは負けないぞ」
「ふっふ~ん。返り討ちにしてあげますよ!」
俺の言葉に秋山は嬉しそうな笑みをする。こうして武藤と秋山は楽しい時間を過ごすのであった
義弘は生存させる?
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生存しない
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生存させる
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生存するが長くは持たない
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死ぬが転生する
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どっちでもいい