ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~ 作:疾風海軍陸戦隊
これは、みほとのデートが終わって二日後くらいだろうか
ある日のことだ。学生寮の中でゆっくりしていた俺に突如、先生から連絡があった
「‥‥もしもし先生?」
『ああ、出たわね義弘。今日は予定開いているかしら?』
「空いているけど・・・・・なにかあったんですか?」
『空いているならちょうどいいわ。あなた、島田流の島田愛里寿さんと知り合いみたいね?』
「はい。迷子になっているところを交番まで案内しました」
『その愛里寿さんの母親・・・・・島田流家元がその件に関して、ぜひあなたにお礼が言いたいと言って来たのよ』
「つまり島田流の本拠地に来いと?」
『ええ…そうなるわね』
「ですが、お礼を言うだけじゃないですよね?」
『勘がいいわね義弘。愛里寿さんはどうか知らないけど。家元の方はきっと‥・・・』
「島田流に引き入れたい?」
『ええ・・・・島田流と西住流の因縁はあなたでもよく知っているはずでしょ?』
「ええ…水と油とよく聞いていますから。個人的な関係はともかく。ですが、なんで俺を引き入れたいんですか?メリットもないのに?」
『それは、あなたが高杉流の最後の一人だからよ』
「俺は別に高杉流を名乗った覚えはないですよ。高杉流戦法も母さんがすぐ死んで、教わったことや見たこともない。強いているなら、俺の戦法は、ロスマン流ですよ」
『あら、嬉しいこと言ってくれるわね。まあ、ともかく明日。島田邸に行ってらっしゃい。たぶん愛里寿さんも会いたがっているんじゃないかしら?』
俺は脳裏に愛里寿ちゃんのことを思い出した。島田流家元が何を考えているかわからないが、俺も久しぶりに愛里寿ちゃんが元気にしているか気になっていたため。
俺はこの誘いを受けることにした
「ここがその場所か・・・・・・」
俺が来たのは、目的地にほど近い戦車道の練習所。俺はその練習場の奥で戦車戦をしているのを観察していた
ちなみに先生は少し遅れるとのことで俺が先に来ていた
「あれが大学生チームか‥‥中高とは違った激しいバトルだな・・・・」
俺は遠目ながらも大学生たち、しかも数々の大学から選ばれた大学選抜チームの練習を見ていた。中学、高校で培った技術で見事な一糸乱れぬ隊列と遠距離からの正確な砲撃。正直言ってほれぼれするぐらいの練度だ。
「今の大洗とあの大学選抜・・・・戦うことになればどっちが勝つかな・・・」
今のみほたちが、あの大学選抜と戦うことになったら勝てるであろうか?
フラッグ戦なら逆転勝ちはあり得るけど、殲滅戦だとどうなるかわからない。しかも試合に出る最大数は30輌。今のチームの数量じゃ結構厳しいな・・・・・ほかの高校が助っ人に入らない限り・・・・
だが、みほたちならそんな状況でも切り抜けられると俺はそう思った
「・・・・・・」
その時、俺はその場にいるのだろうか・・・・
その試合をこの目で見ることができるであろうか・・・・
そう思った
「お兄ちゃん………ッ!」
「ん?」
聞き覚えのある声に呼び止められた。
振り向くと、数ヵ月ぶりのサイドアップの髪型の少女が駆け寄ってきた。愛里寿だった
「お兄ちゃん来てくれたんだね!」
「ああ。せっかく愛里寿ちゃんが招待してくれたからね」
そういい、義弘は愛里寿の頭を優しくなでると彼女は嬉しそうな表情をする
「お兄ちゃん。体の具合大丈夫?準決勝で倒れたから・・・・・」
そういえば、準決勝で肺血病の症状が出て倒れたんだっけ…あれ、モニターでも映されてたのか・・・・
「ああ、軽い脳震盪だったみたいだ。今はもう大丈夫」
「ほんと?」
「ああ、心配してくれてありがとな」
俺は微笑むと愛里寿ちゃんは顔を少し赤くした。
「愛里寿!勝手に離れないでって言ったじゃない!」
「あう………ゴメンナサイ………」
すると、愛里寿ちゃんのうしろから、彼女の母親、島田千代が息を切らして走ってきた。
その光景に、義弘は苦笑を浮かべるが、千代は直ぐ様、視線を義弘に向けた。
「貴方が、武藤義弘君よね?」
「あ、はい」
そう答えると、千代は微笑んで言った。
「愛里寿の母、島田千代です。先日は、家の娘がお世話になりました」
「いえいえ、別に良いんですよ。あの時は別に大した用事もありませんでしたからね」
頭を下げた千代に、義弘は微笑みながら返した。
「貴方に会ってから、この子、『大洗の試合を見に行きたい』って聞かなくてね。準決勝の試合、この子と一緒に拝見しました。なかなかの腕ですね」
「恐縮です」
「ですが試合後に倒れられましたけど。もうお体の方は大丈夫なんですか?」
「はい。おかげさまで」
義弘がそう言うと千代は
「ふふ・・・あの人見知りなこの子がこんなにも懐くなんてね………………」
千代は愛里寿が恥ずかしそうに、義弘の右腰に抱きついているのを見てほほ笑んだ
「立ち話もなんですし、家の中へどうぞ」
「お邪魔します」
義弘は千代に連れられ島田邸へと向かった。
島田邸
「(ほぉ・・・・西住邸と違ってモダンだな・・・・)」
義弘は屋敷に案内され、応接間のソファーに座りきょろきょろと見渡した。
和式の西住邸とは違い、島田邸はモダンな西洋式の内装であった
「お茶です」
「ありがとうございます」
紅茶を出され、義弘は一口飲む。ちなみに愛里寿ちゃんは彼の隣にいた
「そう言えばロスマン先輩・・・・先生は?」
「師匠なら、後から来るそうです」
「そうですか・・・・・・これはチャンスですね?」
「え?」
「いえ何でもありませんわ。ところで武藤君、貴方愛里寿の婿養子にならない?」
「ぶふっ!?」
突然の言葉に義弘は、思わず吹き出しそうになった。予想していた通り婿養子にならないかと誘いが来た。
「ごめんなさい、千代さんその話は断らせて頂きたいです」
義弘の俯き千代からの誘いをきっぱりと断った。
「どうして、愛里寿は優良物件よ?かわいいし、次期島田流の当主だし、大学でも評判の美人よ?・・・・・・それとも武藤君の事情?」
「・・・・・」
この人は知っているのだろうか、俺の病気のことを・・・・まるで見透かすような目に俺はこう言った
「いいえ、要領物件とか関係なく……それは愛里寿ちゃんが決めることです。流派というしがらみで俺は彼女の人生を縛りたくない。ただそれだけですよ」
千代は大学戦車道連盟の理事長であり、彼のことも調べていた。
自分の先輩であるヨーロッパ戦車道理事長の弟子であり養子。
そしてライバルである西住流のお気に入りでありかつてはその西住流の次女と婚約関係であったことも
だが今はその婚約関係はなくなっており、今はフリー
どうしても愛里寿と婚約させたかった
「何としてでも貴方と愛里寿を婚約させてみるわ!!」
「いや、話聞いてました!?俺は愛里寿ちゃんと付き合う気はありませんから!」
「言っておくけど、貴方の才能が欲しいからじゃあなく、武藤義弘君・・・・・・貴方自身が欲しいからよ?こればかりは愛里寿に頑張ってもらうから」
「ほえ?」
「将来、愛里寿の隣に貴方がいることを楽しみにしているわ」
と千代からそう言われた義弘は、放心状態になった。あのしほさんでもここまで強引なことはしなかったためである。すると愛里寿が、義弘の服を引っ張る
「わ、私はお兄ちゃんの事が好きだよ……………?」
「!!」
愛里寿は恥ずかしそうに顔を赤らめながら上目遣いでそんなことを言ってきた。
「……………愛里寿ちゃん。その気持ちは嬉しい。だけどまだ心の準備が整ってないんだ。だから返事は待っててくれないか?」
「…………うん。」
愛里寿は頷くとそのまま義弘に抱き着いて離れなかった。すると
「愛里寿お嬢様。練習場にいる門下生の方から電話が来ておりますが・・・・」
「わかった・・・・」
女中さんがやってきて、愛里寿ちゃん宛に電話が来たと伝えると、愛里寿名残惜しそうに義弘から離れいったん席を外し部屋を出る
そして残ったのは千代と義弘だけであった
「さてと・・・・もう一つお話ししましょうか武藤君。話は聞きました‥・・・引退なさるんですね?」
「ええ…決勝戦後しばらく療養することになりました。千代さんは知っているのですか?」
「肺血病のこと・ええ…よく知っています。そして高杉流の呪いのことも。貴方の母。翔子さんのこともね・・・・」
「そうですか・・・・」
「お母さんについて何か知りたくない?」
「いえ、素晴らしい戦車乗りだった…そして自身も俺と同じ肺血病にかかりながらも最後まで戦い抜いたことも・・・・それだけ知ってれば十分です。俺にとっては師匠と同じ、尊敬する人です‥‥ですので俺も最後まで抗おうと思っています。そして決勝戦では最高のファイトを愛里寿ちゃんに見せようと思っています」
「そう・・・・」
「次に私からもいいですか?」
「こちらだけ訊いておいて、そちらの質問を聞かないのも不公平ね…なんでしょうか?」
「・・・・・島田ミカ。この名に聞き覚えはありませんか?」
「っ!?」
俺の言葉に彼女は少し驚いた表情をする
「ええ・・・・聞いたことがありますわね・・・・ですがあの子は何年も前に島田流を抜け出し、今は放浪しているそうね‥‥彼女のこと知っているんですか?」
「ええ・・・・よく。俺に唯一黒星をつけた女なので、つい数日前も会いました」
「そう・・・・元気にしてた?」
「ええ、いつものようにカンテレを弾いていましたよ」
「そう・・・・」
「俺が言うのもなんですが、仲直りする気は?」
「今はその時ではないわ・・・・それに今更、島田流に戻れとは言いません。あの子はあの子の自由な戦いをさせたいの・・・・」
「そうですか…でもたまには会いに行ってあげてください。島田流家元としてではなく母親として」
「善処するわ」
そういう。余計なおせっかいなのかもしれないが、せめてあいつと千代さんを仲直りさせてあげたい…そう思った
「お母さま・・・・」
すると電話を終えた愛里寿ちゃんが戻ってきた
「愛里寿。おかえり。電話の内容は何だったの?」
「それが・・・・・」
「だから。君みたいな中学生が来ていい場所ではないのよ」
「そうそう。入りたいなら大学生になってから来て頂戴」
「そうね・・・・気持ちはわかるけどおチビさんにはまだ早いわよ」
一方、練習場では、三人の大学生が一人の女性と揉めていた。その三人はアズミ、メグミ、ルミ、大学選抜チームの三人組、通称「バミューダトリオ」と呼ばれる三人だった
「いえ、ですので、私は島田流家元。島田千代さんに呼ばれて・・・」
と彼女が頬を引きつらせは説明すると
「なんの騒ぎかしら?」
そこへ義弘と愛里寿を連れた千代がやってきた
「あ、家元!どうか聞いてくださいよ!この子。家元に会いたいなんて言っているんですよ!」
と、ルミがそう言い、千代はその人物を見るとサッと顔を青ざめる
「あ、あなたは・・・・・」
「お久しぶりね。千代さん。かれこれ数十年ぶりかしら?」
にっこりと笑っているが目が笑っていないロスマン先生。
「あはは・・・・・エディータ先輩、元気そうで何よりで・・・・」
彼女の表情に千代は顔をさらに青ざめる
「家元。この子、知っているのですか?」
知らないは罪とはこのことであろうか、恐れを知らない三人組がそう訊くと
千代は
「あなたたち…この人がだれか知らないのかしら?」
「「「???」」」
千代の言葉に三人は首をかしげると
「この人はエディータ・ロスマン先生。ヨーロッパ戦車道の理事長であり、私の学生時代の大先輩であり、私の客人です」
「「「っ!!!」」」
その言葉に三人は顔を青ざめる。見た目から中学生だと思っていた相手が、まさかそんな大物人物であったとは思いもしなかっただろう。
そんな中、ロスマンは
「千代?あなた自分の門下生にどんな教育をしているのかしら?」
背後から、ゴゴゴという文字が見えそうなくらいに怖い笑みを浮かべる先生
「義弘についてあなたと話す前に、このことについてたーーーーぷり、貴方とそこの三人にお説教してあげます‥・・・覚悟しなさい#」
「「「「っ!?」」」」」
こうして千代とバミューダトリオは正座させられ、ロスマン先生のきついお説教を受けることになるのだった
島田流でもあの人には勝てないみたいだ・・・・
「愛里寿ちゃん・・・・あの人は絶対に怒らせたらだめだからね」
「う・・・うん」
義弘の言葉に愛里寿ちゃんはうなずくのであった
その後、義弘と愛里寿ちゃんの婚約についての話は保留となったのだった
すみません決勝戦のシナリオがまだ完成できなくてしばらくは短編や番外編を出したいと思っています
義弘は生存させる?
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生存しない
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生存させる
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生存するが長くは持たない
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死ぬが転生する
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どっちでもいい